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Slash(m/m小説) レビューブログ

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Widdershins
Jordan L. Hawk
Widdershins.jpg★★★ summary:
Whyborne&Griffinシリーズ1。

Percival Endicott Whyborneは力のある父親を持ちながら、家から離れ、静かに研究に没頭している学者であった。
同僚の中には彼を馬鹿にして見下す者もいたが、Whyborneはただ静かに生きていきたかった。

そんな時、Griffin Flahertyという探偵が現れ、Whyborneに書物の解読を依頼する。それは、謎の死を遂げた青年が死の寸前に家族にあてて送ったものだという。
銀の杖を手にしたGriffinの存在は、Whyborneの心をかき乱す。だが知られてはならなかった。同性愛が知られれば社会的に抹殺される。そんな時代だ。

しかし段々と捜査に巻きこまれていくWhyborneは、謎の秘密結社と、暴かれた墓のことを知る。
そして彼の手にあるものがただの本ではなく、別の世界への鍵であることも……。
.....



今かなり人気のヒストリカル・ホラー・サスペンスシリーズの第一作。
この作家さんは初めて読みましたが、これはちょっと毛色が変わっていておもしろかった!
そしてクトゥルーものだったりしますよ。昔少し読んだだけであんまり詳しくないのですが、ヨグ=ソトトって(ヨグ=ソトースが多いようですが、私が読んだ本の訳語はそうだった)Yog-Sothothって書くんだ……実に邪悪そうな綴りです。

主人公、Whyborneのキャラクターがとにかくいい。奥手で、引っ込み思案で、おどおどとどもったりするのですが、その奥には頑強な意志の力を持っている。誰にも見せないけれども、心の奥には火のようなものを持っている男です。しかもけなげだ!
そしてそれを、Griffinは見抜き、惹かれていく。
私はこういう文系/探偵の組み合わせの時って、基本的に探偵側がお気に入りになるのですが、今回はWhyborneが一番のお気に入りだった。Griffinもいいけど、Whyborneには本当に「お前はいい子だよ!がんばれ!」って言ってあげたいぞ。

Griffinは元ピンカートン探偵社の調査員です。このピンカートン探偵社というのはアメリカではとても有名な私立探偵社のこと(同名のアラン・ピンカートンが創設)で、最盛期が19世紀後半なので、この話の舞台もそのあたりかと思います。
ピンカートン探偵社は小説でもたまに出てくるので、覚えておくといい単語。

さて、Griffinはそのピンカートンの元で働いていたが、何かあってから探偵社を去り、今は一人で調査を行っている。
彼の過去にも深い傷があり、夜にうなされたり、何か語りたくないことがある。その過去もまた、今回の謎めいた事件と関係があります。
謎めいた秘密結社、解き明かされていく神秘の力。

Whyborneの数少ない友人である同僚の女性学者が非常にきっぷがよく、気持ちのいい女性です。富裕な家に背を向けた学者、十九世紀の女学者、ピンカートン探偵社を去った探偵と、時代や社会背景から行くと「異端者」である三人が力を合わせて謎の敵と戦っていく。
今、六巻かな、そのくらいまで出ているので読むのが楽しみ!

かわいい奥手の文系青年に萌え萌えしたいなら是非おすすめ。
ホラー風味とはいえ怖いわけではないので、読む人はあまり選ばないと思います。

★クトゥルー
★初めての(略)

The Royal Street Heist
Scotty Cade
RoyalStreetHeist.jpg★★ summary:
南北戦争時代の高価な絵画が二枚、美術館から盗まれる。
そして、後には死体が転がっていた。

ニューオーリンズ警察の班長Montgomery "Beau" Bissoneは、その事件の捜査にとりかかる。
そこに現れたのが保険会社ロイズから派遣されてきたTollison Cruzだった。

捜査に口出しされるのを嫌うBeauはCruzに冷たくあたる。だがCruzが美術品業界に精通していることは間違いなく、二人は失われた絵の手がかりを追って、美術館を運営する一家の周囲を調べていくのだが…
.....



強面の腕利刑事と、保険調査員の顔をした過去のある男のお話。

刑事のBeauは、実はまっすぐでいい奴なんですが、とある刑事と恋仲になって同棲した挙句、浮気されて別れ、その傷心から立ち直ってない。しかも悪いことに、その相手と同じ現場で働かなければなりません。毎日気まずいなんてもんじゃない。
そんなわけで、どんどん冷たく、どんどん厳しく剣呑な男になっています。

そこに颯爽と現れた保険調査員。当然のようにBeauはこの男の口出しが気に入らないし、相手のCruzはBeauの見下したような態度が気に入らない。
いいですねえ。二人の男がツノ付き合わせて捜査。私の大好物です。
ことあるごとに文句を言い、ことあるごとに反感を抱いて、それでも感情的に二人は段々と近づいていくのです。嫌いな相手のことって四六時中考えてしまうからね。何かと気になるからね。
恋とよく似てるよね!っていうか恋じゃねえか、それ。

そのあたりの反発の感じはよく書かれていて、とてもおいしい。
あとBeauの、過去の恋へのあれこれがグダグダ並ぶのですが、ここも真面目で誠実なBeauの性格がにじみ出ていてよかった。彼は決してパートナーを裏切るタイプではないから、裏切った相手を許すことができない。どんなにその相手が後悔していても、その傷を忘れられない。誠実だけど、その誠実さが今は彼を不幸にしている。でももしパートナーが裏切ったのだとしても、関係の破綻は片方だけの責任なのだろうか?

BeauとCruzは反目の挙句、案の定、なんだか勢いあまってベッドインしますが、簡単にはうまくいかない。
実はCruzには、美術品窃盗の過去があった。今回あまりにも都合よく彼が美術品盗難の現場に現れたのは、偶然なのか、それとも保険調査員の顔こそが偽物なのか。

Cruzとの関係が深まるにつれ、Beauが過去の傷と向き合い、その痛みを手放していく経過がひとつ物語の大きなターニングポイントを作っています。そのあたりも楽しみながら読むと話がちょっと広がる感じ。

捜査の展開も無理がなくて、おもしろかった。
あとは少し、第三者の視点が入ってくるバランスが気になったかな。それとBeauがもう少しCruzの過去に悩んだりしてもいいんじゃないか、あいつ真面目だしさー、もっと良心の問題を問うてもいいと思うよ!とかその辺、私の好みとしてはもう一歩つっこんでほしかった。つっこんだらおいしかっただろうに!
お洒落というか薄味というか、好みで分かれるところかもしれません。でも全体にこなれていて読みやすかったし、楽しかったので、シリーズの次の話も楽しみにしてます。あとこの作家さんのほかの本もちょっと読んでみよう。

真面目で強面の刑事と美形の有能保険調査員の恋、という言葉でときめく人におすすめ。

★美術品盗難
★過去のある男

Manipulation
Eden Winters
Manipulation★★★ summary:
Diversionシリーズ4。

Luckyはかつて違法薬物の取引にかかわって有罪となったが、今ではその過去を活かしてアメリカ南東部の薬物捜査局で働いている。
同じ職場で働くBoとは恋人関係にあったが、真面目なBoが将来のことを考えているのに対して、Luckyはどうしても自分の先のことやBoとの未来を考えることができずにいた。
自分は、そんなものを得る資格はない気がする。
だが、Boのためなら。彼が喜んでくれるというなら、もしかしたら…

潜入捜査中のBoが消え、Luckyにもまた過去からの手がのびてくる。
かつての恋人、Luckyが裏切った薬物取引界の大物、Victorはまだ生きているというのか?
新たなドラッグの開発戦争に巻き込まれていく彼らを待つのは、メキシコの太陽だった。
.....



さてさて、こちらは潜入捜査を主としたかなり硬派なシリーズ。
最初の2作は麻薬ではない薬品の違法な還流などをテーマにしていましたが、3、4とハードさが増して麻薬捜査に足を踏み込んでいます。
当然、危険も増す。
潜入捜査員としてBoはたぐいまれなほどの適性を示すが、それこそがLuckyの心配の種です。この真面目で優しい恋人は、正義のために己を削って、変えて、いつか戻れない線を越えてしまうのではないかと。
正直、読んでいる方としてもBoはとても心配だ…
すでにかなりヤバいところにいる感じがして、その点、LuckyがBoをつなぎとめる役をしているのが興味深い。かつてはふらふらしているLuckyがBoにつなぎとめられていたのに、彼らの関係も変わっていくし、それにつれてLuckyも変わっていく。

今回、Luckyの昔のボスでもありパトロンでもあったVictorが重要な役割を果たすのですが、この男がまあ格好いい犯罪者でさあ。紳士的きわまりない。一巻で惚れましたけど、惚れ直してしまったよ。いやでも、彼に関してはまだまだわからないことも多くて、先の巻が楽しみ!

二人はメキシコにいて、誰の助けも届かない。自分たち同士で、仮面をかぶりながら、証拠を集めて、それを生きてアメリカに持って帰らねばならない。
そんな中での、明日のない切迫したエロシーンは手に汗握ります。
捜査のために、どこまで一線を踏み超えるのか。どこまでそれを、相手に許すのか。許さなければならないのか。
恋人同士である前に彼らは捜査官同士であって、さらに犯罪者の顔をかぶって組織に潜入している。

巻を重ねるごとにプロットが厚くなっていると思う。
なかなか歯ごたえのあるテーマですが、やはり読むなら一巻から。(一巻は最近再編集されて出てますが、基本ストーリーは前と同じ)
二人の関係の変化がよくわかるし、もう口が悪くてどうしようもないLuckyの意外な純情さに胸が詰まるよ!

ちなみに今のところ8巻で完結する予定なんだとか。折り返しということで、ここから先どんなふうに展開していくのかとても楽しみなシリーズです。
口の悪い純情男とか、正義感からあやういラインを歩いている真面目くんとか、煮ても焼いても食えない大人なボスとか好きな人におすすめ。

★潜入捜査
★麻薬組織

Listening To Dust
Brandon Shire
listening to dust★★☆ summary:
Stephenは傷心からフランスに逃げ帰っていた自分をふるいたたせ、アメリカへとやってきた。
ロンドンで出会い、愛した男を自分の元へ連れ帰るために。

Dustinは振り払えない影を背負っていて、自分がゲイだとも認めていない男だった。彼とStephenはロンドンで出会い、Dustinは激しい憎しみをStephenにぶつけるが、二人は恋に落ちていく。
だが結局Dustinはアメリカへと戻っていったのだった。
知的障害のある弟を、暴力的な父親のところに残しておくわけにはいかずに。

だがやっとStephenが町にたどりついた時、すでに悲劇は起こっており…
.....


出口のない物語。

ネタバレになってしまうのであまり詳しいあらすじは書けないのですが、ストーリーはDustinの弟のRobbieが語るシーンから始まる。
とても無邪気な、愛らしい口調で話す彼ですが、その言葉遣いも理屈もまるで子供のもので、読み手は段々と違和感を覚えていきます。あっけらかんと語られるその話が、実はとてつもなく重いものなのではないかと。何か、とりかえしのつかないことが起きてしまったのではないかと。

その重さ、そしてRobbieの明るさとのやりきれない対比が、物語の最後までずっしりとのっかってきます。

もうねえ、切ないっていうか苦しいっていうか、つらい。
途中で「何が」起こったのかは大体わかるのですが、それがもうやりきれない。Dustinたち兄弟が育ってきた背景が切れ切れに語られる中、浮かび上がってくるのはほんとうに悲惨な、傷つけ合うしかなかった人々の物語です。
そんな中、事故でRobbieは知能を損ない、そのことに兄のDustinは責任を感じている。暴力的な父親の元から二人で逃げようとも思ったようですが、Robbieは「パパを置いていくわけにはいかないよ」という。

ほんとにねえ、Robbie、お前は…!
その愛情にあふれた、無邪気で優しい言葉は全編を明るく支えてくれるのだけれども、彼のその愛がなにをもたらしたものか。
そして、Dustinを愛し、ついに迎えにいったStephen。彼の愛が、なにをもたらしたのか。
愛は決して、明るい運命へと続くわけではない。愛や情熱は、時にその純粋さゆえに重い鎖となる。

読んでいる間もしみじみ苦しかったんですが、読み終わってからも「もし」や「何故」につきまとわれてしまう話です。
何がDustinたちをそこまで追いつめたのか。出口はどこにもなかったのか。

タフな一冊ですが、悲劇好きならこれは読むといいと思う。この重さと緊張感は読みごたえがあります。
過去と現在の語りに、途中から手紙の中身も織りこまれてきて少しだけ語り口が入り組んでいますが、話全体の流れはわかりやすいので難易度は高くはないです。
Robbieはthemとtheirを間違えたり、areを使うべきところにisを使っていたりと、典型的な子供の語り口をしています。かわいいんだけど、いや、Robbieのことを考えるのもやりきれない。
胸がぎゅっとなるお話でした。この作者の話を読んだのは二冊目ですが、閉塞感に満ちていて、気になる作家さんです。

★切ない
★自己否定

Corruption
Eden Winters
Corruption★★★ summary:
犯罪者の過去を持つLuckyは、今は薬物捜査局の一員として法の側で働いている。
誰とも親しくならず、誰にも心を許さず…
だが、新人のBoが入ってきてから、Luckyの孤立主義は崩れつつあった。
Boの生真面目で誠実な生き方に辟易しつつも、少しずつ変えられている自分を感じる。

新人であったBoは潜入捜査の訓練を受け始める。
Luckyはそれが気に入らなかったが、Boが見せる才能は否定しようがなかった。
他人になりきる。Luckyの知らない男に。そのBoの変身の鮮やかさはLuckyを落ち着かなくさせる。

そして薬物市場には、新しい薬物の魔手がしのびよりつつあった。Corruption。
BoとLuckyはその組織に潜入をこころみるが、そこでLuckyは過去の影を見る。彼が死なせた、あの男の影を。
.....



Diversionシリーズ3。
新人としてLuckyに引き回されながら成長してきたBoが、文字通り今回「化け」ます。
潜入捜査官としての鮮やかな才能を見せる彼に、Luckyは予想もしていなかった嫉妬を感じたり、教官から「君がBoの足を引っ張っている」と言われてショックを受けたりと、一人で右往左往しながら相変わらず罵声を吐きまくって強がっています。
同時に、Boが化けた強面の犯罪者としての顔にちょっと魅力を感じてしまったり。Cyrus Cooper、Boとは似ても似つかない非情な犯罪者。二人しかいないのに三角関係か?

Boの受ける潜入用のトレーニングがなかなか本格的に描写されていておもしろく、そこにいちいち顔や口を出さなければ気が済まないLuckyも笑える。
そんなに好きなのに、いまだにLuckyは「将来」とか「未来」といった言葉や約束にほとんど反射的な拒否反応を示してしまう。堅実なBoをそのたびに傷つけているのはわかっているけれども、Luckyはどこかで自分はBoに値しないんじゃないかと(口に出しては絶対言わないけど!)思っているのです。
その二人の、ぎくしゃくとしたシーソーゲームが滑稽ながらも、ちょっと悲しい。
好きなだけでいいじゃねえか、今の一瞬だけで何が悪い!というLukcy。でもBoが「それ以上」を求めているのは知っている。いつか、Boは「今だけ」では足りなくなって、Luckyを去るのではないかと。

LuckyはどうしてもBoが心配で、いつも心の中で新人扱いしていますが、Boは着実に成長している。
もしかしたら、2人が対等な関係になって新たな未来への一歩を踏み出すには、Boの成長、そしてLuckyの庇護(や悪口)のもとからの卒業は、必要なステップなのかもしれません。でもまあ、2人ともいろいろ手探りで、出口はまだ遠い感じ。
がんばれ!

新たな薬物が広がっていくのも彼らの心配の種で、Luckyは特にその動きの奥に、かつて知っていた男の影を見てしまう。死んだはずの男です。
まだ彼が生きていて、薬物取引に関わり始めたのか?

プロットや描写が骨太で、がっつりと潜入捜査ものを読みたいという人におすすめ。
いやあ、ほんと、すべてのものを罵倒するLuckyだけど、心の奥底にやわらかいところがあるので、Boもそこのところを汲んであげて…と思うんだけど、憎々しいことには間違いないんだな。Boの忍耐にも頭が下がるけど、どうにかしていつか幸せになってほしい二人です。

★潜入捜査官訓練
★ペルソナ

Animal Instinct
Stephen Osborne
AnimalInstinctLG.jpg★★★ summary:
恋人は十年前に交通事故で死んだ幽霊、友達は数百年は生きているだろう魔女、ペットはその魔女が生き返らせてくれた犬のゾンビ。
Duncan Andrewsは、きわめて「普通の」探偵であった。

その魔女のGinaの父親、非常に強大な魔法使いであった彼の頭蓋骨が墓場から盗まれ、何者かが力を手にしたという。
同時に、様々な動物の異常行動や、その動物に襲われて死んだ人々のニュースが報じられるようになった。
Ginaの父親は、特に動物を操る力に長けていたという。

何者かが、動物を操って、自分の欲求をとげている。
Duncanは事件を調べだすが、相手の反撃を受けてGinaは昏睡状態に陥ってしまい…
.....


Duncan Andrewsスリラー2。

相変わらず幽霊のスケスケ彼氏のRobbieと、さわれないからセックスしたくてもできないDuncan。実にかわいそうで、実に笑えますが、当人たちにとってはなかなかに深刻な問題です。
でも2人はラブラブだし、探偵仕事も一緒に片付けたりして、実にいい相棒でもある。

Duncan自身は普通の探偵なのですが、幽霊が見える体質のせいか、人づてに神秘現象の事件が持ち込まれてくる。
今回も吸血鬼を倒したり、そして友人のGinaのために魔法使いの頭蓋骨を探したり。動物に狙われているらしい、とDuncanに助けを求めてきた子供を守ろうとしたり。

途中で、霊媒師とテレビで名高い男に会いに行ったりもして、その男の一言がDuncanとRobbieの間に溝を作る。2人ともずっとかかえていた恐れを、あらわにされてしまう。果たして彼らはこのままでいいのか、死者は旅立つべきではないのか、生者が人生を自由に歩めるように。そして死者もまた、自分の運命を受け入れるのが自然なのではないか。
愛はある。でも愛は、答えではないかもしれない。

その辺のやりとりや葛藤がとにかくシリーズ通して切なくてもどかしく、可愛らしくもある。
ほんとになあ。答えがないままに時間がたっていくしかないし、お互いにお互いを引き止めているだけなのではないかと思ってしまうんですよ。お互い好きなのに!
いつか手を離すしかないのかもしれないと2人とも思いながらも、まだ、と思ってしまう。まだ。でも、「まだ」っていつまでだろう?

明るくて、かわいくて、でも切ない2人なのです。

話はDuncan視点で進みますが、今回はRobbieの視点もちょっとだけある。
あと最後に、ボーナスボーナス!なシーンもあってウフフでした。
一巻から通しで読むのがおすすめ。少し軽みもある、切な系のお話が読みたい時に。

★幽霊彼氏
★魔法使い

Fair Play
Josh Lanyon
FairPlay★★★ summary:
50年前、Roland Mills、すなわちElliotの父親は世界を変えようとして過激な戦いに身を投じた、左翼の闘士であった。
今でこそ引退した大学教授である彼が、最近、回想録を書こうとしているのはElliotも知っていた。
だがその本が、父の身をあやうくするようなものであるとは、想像もしていなかった。

家に放火され、命を狙われる父だが、Elliotに対して何かを隠している。
それを探ろうとするElliotに、パートナーのTuckerは「他人の境界を尊重しろ」と告げる。それはどういう意味だ?
一緒に暮らし出したばかりの二人の間には、まだ互いに理解しきれぬ、きしむようなものがあった。

そして、Tuckerもまた、Elliotに何かを隠しているようで…
.....


Fair Game続編。というか、All's Fairっていうシリーズなんですね、これ。
今のところ3冊シリーズの予定だそうなので、ここで折り返しということになります。
単独で読めると思いますが、ちと勿体ないので前作のFair Gameからがオススメ。

前作で誤解を解いてくっついたElliotとTuckerは、まあツノつき合わせながらゴツゴツとやってます。ラブラブなんですけど、ゴツゴツ。
いやもう何というか、惚れた弱みという言葉をひしひしとTuckerに感じずにはいられません。ElliotはTuckerに支配権渡しすぎてる気がして焦ってるんですけど、はたから見てると弱いのはTucker。
お互いに距離をはかりながら、近すぎてぶつかりながら、不満もありつつ、反省もしたりして。愛はあるので足元は揺らがないけど、その上はぐらぐらしまくり。
まあこの人たちは仕方ないな。一巻で「言葉足りない」と思ったけど、二巻は「言い過ぎ」ですよ。

で、Elliotに負けず劣らずの頑固者がお父さんのRoland。相変わらずいい味出してます、親父!
さて今回のメインテーマはこの父に降りかかる災難と彼が書いていた過去の闘争の回顧録なんですが、その回顧録につれて読む側も当時の歴史を振り返れるようになっています。
といってもベトナムの反戦運動が中心で、多くの日本の読者にもそれなりになじみがあるのではないかと思う。ヒッピー、フリーセックス、ビートルズ。デモ、爆弾。そんな時代の渦の中、世界を変えられると信じて戦った若者たちの姿は、決して今でも古びてはいない。

過去の中の、何がよみがえってきたのか。
Elliotはそれを探ろうとして、父親はそれを拒否する。
似た者親子です。
父親は反体制側ですので、息子のElliotがFBIに入った時には親子の縁が断絶するほどの不和が生じたのですが、こうして二巻を読むと「世界のために何かしたい」「正しいことをしたい」という理想の炎は、サイドこそ違えど、親子を通じて流れている血であると見えてくるのもおもしろい。

今回の裏のテーマは、孤独。
孤独を知る者、その孤独に傷つけられたもの。孤独から抜け出す道を手に入れたもの。
あとちょっとエロい。
最近Lanyonさん、少しエロい気がするんだよな。どうした!好きだけど!
エロと人間関係の絡み合いがなかなかに濃密で、ごちそうさまでした。三巻も楽しみです。

★反戦運動
★同棲生活

★Three-Star rating system★


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