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Slash(m/m小説) レビューブログ

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The Blinding Light
Renae Kaye
BlindingLight.jpg★★☆ summary:
Jake Manningは黙ってられない、利口になれない性格だった。いつも余計なこと、正しいことを言ってはクビになる。
ツキにも見放され、彼はひとつの職にとどまれないでいた。
だがアル中の母親と三人の妹たちの面倒を見るには職がいる。

必死でつかんだハウスキーパーの職は、その派遣会社の誰もがさじを投げた案件だった。
Jakeは最初の訪問で、その理由を悟る。
ぶっきらぼうなメモであれをしろ、これをしろと命じてくる、非常に細かい雇い主。皆、それに耐えきれずに辞めていくのだ。
だがJakeは辞めるわけにはいかない。言いつけをこなしながら、彼は持ち前の余計な精神を発揮して、「Please」と書くようにと相手にメモを返す。二人の静かな応酬が始まった。

家の主人、Patrick Stanfordは全盲であった。Jakeはある日、たまたま彼と顔を合わせる。
てっきり陰気な老人を想像していたが、まさに意表を突かれた。そこにいたのは傲慢な、だが実に美しい男だったのだ。
.....



全盲で孤独な男と、世話焼きの男の物語。

まず物語はJakeの側だけで展開していきます。Patrickの姿は見えないし、指示を書きつらねたメモだけが残されている。あれをしろ、これをしろ、掃除をきちんとしろ、ラベルはまともに貼れ、大量の買物(メーカーも指定)、お前の香水は気に入らない……などなど。
なんだこいつは、と思いながら(大体香水はつけてないし)Jakeはひとつずつ仕事に取り組んで片付けていくのですが、後から、Patrickの指示に理由があることも段々と明かされていきます。
目の見えない男には、様々なルールで世界を構築していくほかに、その中を快適に生きていくすべがないのです。

全体におもしろい話で、中でもいいのはこの導入部。メモでの二人のやり取りから、それぞれの性格の違いも見えてくるし、二人の関係性の変化も出てくる。メモのやり取りが笑えるし、スリリングですらある。
そこできちんと描きこまれた陰影が、最後までこの二人の物語をしっかり支えていて、話に厚みを出しています。

やがてJakeはPatrickを外の世界へつれていくことになるのだけれども、家の中であれだけ帝王のようにふるまっているPatrickが「僕が何かこぼしたら恥ずかしくないか?人に笑われてもいいのか?」などとJakeに確認を取るあたりがとても切ない。Jakeは勿論、もちまえの正義感で「そんなもの笑う奴を殴り倒してやるから、保釈金よろしく」と言うわけですが。よいコンビ。

Jakeは家族の面倒を見ながらも自分の人生はずっと犠牲になってきた。Patrickは生活に困ることはないけれども、一人の世界だけにとじこもってきた。
お互いが、相手との出会いによって新たな扉を開いていく。その感じがとてもかわいい。

惜しむらくは、Patrickのツンデレが、もうちょっと長かったらな……!好きになるとすぐデレるタイプだった。いやいいんだけど、個人的にはもうちょっとツン成分を!たのみたかった!
ところどころ出来すぎな感じもあるんですが、そのあたりは現実を舞台にしたフェアリーテール的なものとして読むと楽しい。
ほどほどに重さのある、気持ちのよい現代物を読みたい人におすすめ。

★全盲
★ハウスキーパー

Mark of Cain
Kate Sherwood
Mark of Cain★★☆ summary:
Mark Webberの弟は、バーでの喧嘩で、ギャング崩れの若者に殺された。
英国国教会の牧師であるMarkは、犯人への憎しみを受けとめようとしながらも、その犯人がわずか三年で刑務所を出てくると知って、心の平穏をかき乱されていた。
人を殺しておいて、三年で自由の身?

そんなMarkはある時、牧師館につれてこられた行き場のない若者と顔を合わせる。殴られ、痛めつけられたその若者は、Lucas Cain。
Markの弟を殺した男だった。

Lucasは、自分の罪が決して終わらないことを知っていた。三年は、ただ壁の中ですごした期間にすぎない。
これから一生、壁の外で、罪を背負いながら生きていくしかないのだ。

被害者の家族と、加害者。
ひとつの罪と失われた命をはさんで二人が向かい合う時、思わぬ感情が生まれ……。
.....



被害者感情と加害者をテーマに据えた話だと、Sloan ParkerさんのBreatheもありますが、こちらはもつれた、出口のない感情を書かせたら定評のあるKate Sherwoodさんのお話。

Markと、Lucas Cainの話ということでタイトルは「Mark of Cain」。カインの印、と意味がかけられています。カインの印は、弟殺しの印。LucasはMarkの弟を、三年前、酒場のいざこざで殺しています。
当時のLucasは未来のことなど考えない、考えなしで粗暴で、何もかも自分の思い通りになると考えている若者だった。
三年経ち、刑務所を後にした彼は、また同じ生き方には戻れない。だが彼の友人たち、親友、その誰もが「刑務所で償ったんだからもういいだろう」と言う。
だが三年経っても、被害者は死んだままで、被害者の家族は傷ついたままだ。Lucasはそれを知っています。もはや逃げ場などないことを。

Breatheもそうでしたが、被害者家族と加害者との心の葛藤もさることながら、被害者側、あるいは加害者側同士での心の齟齬が描かれているのは非常に深いし、興味深いですね。被害者側では、悲しみや痛みを共有しつつ、その狭い世界の中では時に忘却や許しの余地がない。思い出から抜け出すことはとても難しい。
Markは牧師ですし、罪を許さねばならないことはわかっている。わかっていても心の整理がつかないことが、Lucasとじかに顔を合わせたことでさらに乱れたり、そして思わぬ方向へと心が動いていく。その流れがゆっくりと、しっかりと書かれています。ここの骨太で説得力のある流れは、さすがにSherwoodさん。

一方、Lucasはかつてのような野放図な暮らしには戻れないが、自分を受け入れてくれる親友たちを切り捨てることもつらい。
しかし、友人たちはLucasが変わってしまったことを受け入れようとはしてくれない。ここにも大きな葛藤があります。

痛みというよりは、孤独を感じる物語だった。その中で、MarkとCainは寄り添うのだけれども、そこの葛藤は意外に小さかったな。私の好みとしてはそこがもうちょっとほしかった気もします。
逆に、彼らを囲む社会との葛藤の方が大きなウェイトを持っていて、読みごたえはあった。たとえば英国国教会(カトリックともプロテスタントとも違う)の中で、ゲイの権利を語ろうとするMarkと、それを認めない教会の人たちのような。
誰もが傷つき、誰もが苦しみをかかえている。そんなお話です。Lucasに背を向けた親友にも、人生の痛みがふりかかる。余談ですが、続編があるってことなのかなーと思った展開があったので、ちょっと期待してます。

じっくりとした人間ドラマが読みたい時におすすめ。そこまで息苦しくはないけれども、ゆっくりと浸ることができる罪と人生の物語です。

★贖罪
★過去との決別

Control
Cardeno C. & Mary Calmes
Control.jpg★★ summary:
Vy Aleknosは鷹のシフターであり、群れのリーダーだった。独立心が強く、群れを守るためならどんなこともいとわない。
そんな彼はある日、メイトの匂いを嗅ぎつける。

Robert Ciminoはあちこちを旅して自然の調査を行いながら、小さな町でとても心引かれる相手に出会う。
彼はグリズリーのシフターだったが、熊の野生の力を恐れて自分に変身を禁じてきた。
獣の部分を押し殺したRobertには、Vyが自分のメイトであることは感じ取れない。だがこの、気の強い、面倒な男にどんどんと惹きつけられていく。

Vyたちの群れと人狼の群れとの不和、鷹たちがグリズリーのRobertに向ける恐れと非難のまなざし。
Vy自身がRobertに向けて覚えてしまう疑い。
様々なものをのりこえながら、二人は絆を深めていく。
.....



シフターものも色々ありますが、これはなんと鷹のシフターとグリズリーのシフターのカップリングです。
鳥ではあるけれどもなんせ肉食の鷹だから、しかも群れのリーダーだから、Vyはとても鼻っ柱が強い。そんな彼と、動ぜずに彼を愛でていく熊のお話。熊さんが鷹さんをもふもふするよ!(変身後でのエロはないです。おっかけっこはしてますが)
熊のRobertはほんともう包容力の塊で、どんだけVyが荒れても「かわいいなあ」「手がかかって最高」と溺愛していくあたりが実にツボでありました。包容×強気、てもうMary Calmesさんの鉄板でしょう。

あんまりVyがキツいんで、最初のうちは読んでいてもちょっと入り込めなかったんだけど、Robertと何やらうまいこといき始めてからは強気なVyの裏も見えるし、そのがんばりっぷりがけなげに見えてきた。Robertの影響ですね……。こいつがあんまりかわいいかわいい言うから、読んでいる方にもかわいく見えてきます。
群れを守ろうとして、Vyは必死だけれども、その強さは彼を孤立させてもいる。Robertの出現によってそんな立ち位置がかわっていく、その流れがとても甘くて、幸せで、やっぱりかわいいです。

「シフターであること」が話のひとつの柱になっているあたりも読みどころで、熊の野生を押し殺しているRobertと、「獣の半分を否定したままではシフターとして欠けたままだ。永遠に本物のメイトにはなれない」と絶望的な気持ちになるVyとか、おもしろい観点です。
色々と萌えどころがちりばめてあるので、気楽に、楽しく読める一本。

ちょっと変わったシフターものが読みたい人、包容攻めととことん強情な受けが好きな人におすすめ。

★熊×鷹
★溺愛

The Ghost on My Couch
L.A. Gilbert
GhostonMyCouch.jpg★★☆ summary:
27歳の看護師、Alex Tannerは病院での仕事で疲れきって帰ってきた。カウチに座ってテレビをつける。
それが彼の日常だ。仕事と、テレビ。そして空想の恋人。
だがその日は、テレビを見ながらの独り言に、誰かが答えた──カウチで、彼の隣に座る見知らぬ男が。

仰天して見やると、相手の男も仰天していた。
「俺が見えてる?」

相手の男は昨夜からずっとこの部屋にいて、ずっとAlexに話しかけようとしていたという。眼鏡で、だらしないTシャツに、でかいウサギのスリッパ。
そして彼は、自分が幽霊だと言った。

最初はパニックに陥ったAlexだったが、相手の男、Sidのおずおずとした様子についほだされていく。
Sidがこの世に残っている理由はわからない。何故か、Alexが自分の部屋にいる時だけ、同じ部屋に出現できるのだという。途方に暮れた幽霊と、Alexは奇妙な共同生活を始める。

だが段々と、Sidの身に変化が起き始め……
.....



ゴーストストーリー。
ロマンティックで、可愛らしいお話です。読んだのはかなり前ですが、今再読してもやはりキャラクターの繊細さ、やわらかさがとても読んでいて気持ちのいい話。

舞台はロンドン、Alexはある日幽霊を部屋に見つけて仰天するのですが、相手も仰天し、一晩冷蔵庫の中に隠れてしまう。遠慮深いと言えば遠慮深い彼です。寒いらしいが。さすがに冷蔵庫の中。
二人とも、静かに孤独に生きてきた、地味な人間で、幽霊と生きた人間ではあるけれども、「相手のいる暮らし」の気安さに心を開いていく過程がおだやかに、少しドラマもまじえつつ描かれていきます。

Alexが、Sidの飼い猫を引き取りにいくところがとても可愛い。SidはとてもおずおずとAlexに猫のことをたのむし、猫は飼えないと思うAlexは、保護センターにつれていくつもりでいるのですが、ほだされてしまって家に連れ帰ってくる。
Sidは心の底から感動し、Alexは喜びを覚える。かわいいなあ二人。

ほのぼのとしつつ、笑えるところもあって、Alexの元彼(今のセフレ)が居座ってなかなか帰らず、AlexとSidがそれについて喧嘩を始めるシーンとか。Sidの姿はセフレには見えないので、彼はAlexがどうかしたと思ってこそこそと帰っていくのです。

二人は互いに恋に落ちるけれども、お互いにさわれもしないし、Sidがいつこの世から消えてしまうかもわからない。甘酸っぱい!
そしてついに、その日はきます。

最後にはさみこまれる視点の変化がちょっと唐突なんですが、でもそれもいいかなと。全体に本当に愛らしく、あちこち切なく、そしてちゃんとハッピーになれるゴーストストーリーです。
おだやかなロマンスが読みたい時におすすめ。決して声高ではないけれども、誠実で、丁寧な話です。

★幽霊
★再会

Winter Wolf
S.P. Wayne
WinterWolf.jpg★★☆ summary:
Axtonはゲイだと理由で父親の群れを追い出され、故郷を追われて、今は人里離れた静かな山のキャビンで暮らしていた。
自然に囲まれた、静かな暮らし。狼として走り回り、人の姿を取ることはむしろまれだ。
人と話すことは、もっとまれだった。

そんなある日、隣のキャビンにLeander Avilezがやってくる。
人間とどう接していいかわからないAxtonだが、Leanderの明るさは彼を惹きつけ、離さない。数回の滞在で、二人の距離はぐっと縮まっていった。
人間の、それもストレートの男に恋を?
それ以上に最悪なことがあるだろうか。

だが、あったのだ。
Leanderは冬の嵐がこようという時、またキャビンを訪れる。Axtonが冬をキャビンで越しているから、自分もできると思ったのだろうか。
だがこの小屋は、人間が冬を越せるようにはできていない。Axtonは冬を人狼の姿ですごすのだ。
降りしきる雪の中、Leanderをどうにかして守ろうとするAxtonだったが……
.....



人狼ものはどうしても似た設定が多くなる中、「これはちょっと違う!」と聞いて読んでみました。
本当に違った!

いやあAxtonの不器用な人狼っぷりというか、人間にあやしまれずにつき合おうとする努力が実にいたいけです。
「握手?握手は右手を出すんだよな?」「サンドイッチ?そうか、人間はハイキングの最中にウサギをつかまえて食ったりしないな!」「靴!靴なんかどこにやったっけ?」などなど。ひとつずつうろたえるAxtonはものすごく不審だと思いますが、Leanderは結構細かいことを気にしない男で、鷹揚に接している。
そんな中で、Axtonはこの人間の男に絶望的な恋に落ちていくのです。

ほぼすべてのストーリーがキャビンと、その周囲の自然の中で進んでいきます。この自然描写がなかなか素敵で、Axtonが狼の姿で駆け回って、テリトリーの中の動物たちに気持ちを向け、春には若い獣を狩らないようにしたり、飢えた山猫の子供たちに獲物を投げ与えたりしている姿もほのぼのとします。
楽しそうだし、Axtonが自分のテリトリーに心を砕いている様子がよくつたわってくる。人間としては不器用ですが、彼は世界を愛している。人間のことだって嫌いではない、ただどう接したらいいかわからないだけです。
それにしても、狼の姿であんな自然の中を走り回ったら本当に楽しいだろうなあ。

雪のキャビンに二人でとじこめられてしまい、「うっかり変身したらどうしよう!」と緊張しまくるAxtonがなんとも、本当に、かわいいです。深刻なシーンもありますが、全体にニヤニヤしながら読んでしまった。
二巻ではどうもこのAxtonが都会に出かけるようで、「大丈夫か?本当に大丈夫なのかお前?」と今から心配で仕方ないです。いや、あんな子をそんな怖いところに出したら絶対駄目ですよ。

変わった人狼ものが読みたい人、かわいい人狼が気になる人、人狼と人間の恋に萌える人におすすめ。

★人狼(ゲイ)/人間(ストレート)
★人見知りの狼

Leaving Home
T.A. Chase
Leaving Home★★ summary:Homeシリーズ4。

Charles 'Chaz' O'Brienはロデオ・クラウンとしてロデオサーキットで長く働いてきた。
彼の役目は、牛から振り落とされたロデオライダーを守り、無事に外へ逃がすことだ。そのために彼らを体で守ることも、牛の注意をそらして自分に向かわせることもある。負傷はつきものだ。
Chazは背中をひどく痛めて以来、鎮痛剤なしではその日をしのぐこともできなくなっていた。

まだ、中毒ではない──そう自分に言い聞かせながら、真実から目をそむけている。

Peter Skinnerは家族にゲイだと告白して家を追い出され、今は友人たちの牧場に住み込んで会計士の仕事をしている。人生には満足していたが、特別な誰かがいないことが寂しくもあった。
そんなある時、彼は路地で朦朧としているChazを見つける。

明らかな、薬の中毒者。そんな危険な相手に心を許していいのだろうか?
そしてChazもまた迷っていた。Perterのことは気に入っている。だが、見るからに善人の彼に、自分のような男が釣り合うのだろうか?
.....



Homeシリーズ
毎回、主人公を変えながら少しずつ話が進んでいくシリーズで、どれからでも読めますが順番に読んだ方がわかりやすい。今は初期から出版社を移してTotally Boundで売ってるようですね。

さて、今回は真面目でシャイなPetterと、ロデオ・クラウンで鎮痛剤中毒者のChazの恋模様。ちょっと荒れ模様です。
ロデオ・クラウンというのはブルファイターとも言われます。アメリカのロデオでは今、馬ではなく暴れ牛を乗りこなすブル・ライドが大人気でして、そのライダーたちを体を張って守るのがChazの役目。
鎮痛剤中毒は、バイコデインなどかなり強めの鎮痛剤が薬局で買えるアメリカでは深刻なテーマのひとつです。痛みをとめるために常用していたものが、いつのまにか飲まないとやっていけなくなる。
Chazはもはや、はっきりと中毒ですが、自分では「いつでもやめられる」と言いながら薬を飲んでロデオ・クラウンの仕事を続けていて、それがPeterにとっては恐れのひとつなのです。
中毒を断つのは難しい。そんなChazと、恋に落ちる覚悟が自分にあるか。

Peterはこれまでの作品でも顔を出していて、カウボーイやロデオの騎手などいわば肉体派が多いシリーズの中で、珍しいほどの文系青年。草食系も草食系です。いい大人ではあるけれど、シャイでうぶでかわいい。とは言ってもやっぱりM/Mのキャラらしくやる時はやるし攻める時は攻めますが!
真面目な彼が、今にも道を踏み外そうとしているChazに惹かれてしまうのは、皮肉でもあり、そのコントラストが可愛らしくもある。

どちらも迷いをかかえながら、ずるずると恋に落ちてしまう二人。
だが、Chazはついに最悪のあやまちを冒してしまうのです。すべてを終わらせかねないあやまちを。

TA Chaseのキャラは根本的に人がいい。その明るさやほのぼのした感じは今回も健在です。
やや話の流れがあっさりしすぎている感もありますが、やはりこの人の、最後はみんなでハッピーになろうよ、という感じはとても好きです。テーマが重くても、読んでいて安心感がある。
大集合って感じでこれまでのシリーズのキャラがどかっと出てくるのもうれしくて、私の好きなTonyが怒り狂って癇癪を爆発させているのがかわいいのなんの。

シリーズのファンにおすすめ。気持ちが磨り減らされない、のんびりとした読書向きです。
そろそろついに、子供たち(もうでかくなってるけど)のお話かな?それがシリーズ最終巻になるそうです。

★カウボーイ×文系青年
★鎮痛剤中毒

A Reason to Believe
Diana Copland
A Reason to Believe★★☆ summary:
Matt(Matthew) Bennettの毎日はひどいものだった。刑事としての相棒──そして私生活でのパートナー──を失い、二人の関係が上司にばれ、デスクワークに降格された。
クリスマスシーズン、六歳の少女が行方不明になった家の捜査にMattが駆り出されたのは、単に皆が休暇で人員が足りないからだった。

その家で、Mattは少女の幽霊を見る。

幽霊など信じていなかった。見たところで信じたくもない。
だが、見てしまったものは否定できない。

友人に引きずられるようにして、彼は交霊ショーに行くことになる。
疑いに満ちた彼の前に現れたのは明るい、若い男だった。そのKiernan FitzpatrickはMattにまだあの少女の幽霊がくっついていると告げ──
.....



超自然ものサスペンス、といっても幽霊(女の子の)が出現する以外はきわめて現実的にひも解かれていくサスペンスストーリーです。
キャラクターがわかりやすく描き分けられていて、謎で最後までしっかりと引っ張られていく。

主人公のMattは仕事・私生活ともに大きなダメージを受け、そこから抜け出そうという気力も出ないような状態。
そんな彼が、クリスマスでかりだされた現場で幽霊を見て、しかもその幽霊に導かれて死体まで発見してしまうのです。
「幽霊を見た」と正直に上司に報告すると(正直者め!)そのままカウンセラー送りになってしまい、挙句に休暇を取らされる。踏んだり蹴ったりのクリスマスです。

彼には、わりと典型的な「元気で強引な女友達」がいて、彼女に引きずられるようにして霊能力者のショーに行くことになる。Mattは霊は信じていないけれど、自分の目で見たものは否定できず、かといって「あなたのお母さんがここにいます」というショーは尚更うさんくさくて馬鹿馬鹿しい。
そんな気持ちで出ていった彼は、若く明るい、馬鹿みたいなジョークを書いたTシャツを着たKiernanに出会うのです。

Kiernanのキャラがよく立っていて、なかなかユニーク。姉をマネージャーにして今では売れっ子の霊媒師であるけれども、この二人、結構ヘビーな過去をかかえていたります。でも過去があろうが霊が見えようが、Kiernanは持ち前のどこか無邪気なほどの前向きさでのりこえています。
ただし過去の男運は悪い。幽霊は見えても人の心は読めないらしい。
真面目で、心に傷を負ったままの刑事と、前向きで明るい霊能者は、女の子の幽霊に導かれるようにしてふたりで事件に巻きこまれていくことになります。

そのさなかで二人の関係が近づいていく展開も丁寧に書かれていて、事件の描写も非常にバランスがいい。上手な作家さんですね。一面、少しばかり個性に欠けるかなという感じも残りましたが、筆致が誠実で全体のレベルが高いと思います。
6歳の女の子の幽霊もいい味出していて、なんせ6歳だからちゃんと物事が筋道立てて説明できないとか、癇癪をおこしたりだとか、可愛い。それだけに読んでいて応援したくなる。彼女の存在感が全体の話をよく引き立てています。
いいサスペンスものが読みたい気分の時におすすめできる作品です。まだそれほどキャリアのない作者さんですが、今後も要チェックですね。

★霊能力者
★相棒の死

★Three-Star rating system★


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