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Love & Loyalty
Tere Michaels
Love & Loyalty★★★ summary:
シアトルの殺人課の警官Jim Sheaは、自分が捜査を担当したある殺人事件を忘れることができなかった。
一人娘が殺され、Jimが起訴した殺人者は無罪となり、それを目の当たりにした母親は心臓の発作をおこし、息絶えた。
家族のすべてを無残に奪われた父親は、だがJimを責めることはなかった。

ドラマティックな実話の映画化権を求めてハリウッドの人間は蟻のようにむらがったが、父親はGriffin Drakeとその相方である女優のオファーにだけ返事をした。映画が決して犠牲者の名誉を穢さないこと、面白半分のものにならないことを条件に、映画化の契約が結ばれる。
だが彼は、癌で余命いくばくもない。映画の完成を見ることはないだろう。
それを当人以外に知っているのはJimだけで、彼の意志通りに映画が作られるのを見届けるのが、Jimの誓いでもあった。

シナリオライターGriffin Drakeにとってこの映画は、自分のキャリアを高めるまたとないチャンスであった。
Jimから詳しい事件の話を聞こうとした彼は、この、強く自分を抑制している物静かな刑事に惹かれていく。一夜の打ち合わせはデートへと変わり、GriffinはそのままJimの家にとどまってしまう。それは彼らのどちらとっても、意外な成行だった。

Jimは何も探してはいなかった。一夜のセックス以上の関係も、愛も、信頼も。
Griffinの存在に心をくつろげながら、彼はいつかそれが終わり、Griffinが彼の人生から立ち去るだろうと思う。これまでずっと、すべてがそうだったように。
.....



Faith & Fidelity」に出てきたJames(Jim)の話。あれからちょっとたっているようです。独立した話なのでこれだけで読めますが、MattとJimとの奇妙な絆を知っておくと、Jimの内側がより深くわかります。

Jimは45歳の、とっても格好いい男です。
誰もが彼に恋人がいないことを意外に思うほど格好いい。だがJimは孤独で、孤独に慣れ、自分のルールで物事を運び、人と距離を保つことに慣れている。
彼をつつむ壁の向こうにある傷つきやすい素顔をGriffinが感じとったのは、彼もまた明るく馴染みやすい人間のようで、その裏に繊細な顔を持っているからかもしれません。
はじめてのデートの日、Jimが誕生日だと知った彼は、小さなカップケーキを買って蝋燭をたてる。こんなことして嫌がられないかな、と内心ドキドキしながらベッドにケーキを持ってきてサプライズを演出しようとする姿に、Jimはほだされてしまうのです。

そんな彼らの関係は、何ともぎこちなくて、それがとても可愛い。
わりと簡単にはじまって、互いの存在が気持ちいいけれども、自分がここにいていいのかどうか確信が持てない。相手の気持ちを探り合い、自分が踏みこみすぎてないかどうか考え、たじろぎ、立ちどまる。相手の反応を息をつめて待つ、その様子がリアルです。

家にろくな家具を置かず、仕事以外の私生活を持たないJimの姿は、前作でMattに心の内を見せたあの「James」とは少しちがって見える。あの時は、こんなに殻にこもった人には見えなかったし。
それは、遠い場所で知らない相手に心をひらくしかなかった、そんなJimの問題なのだと読んでいるうちにわかってくる。彼の中には色々と豊かなものがあるけれども、Jimはそれを静かな壁で覆ってしまっている。それを他人に見せることを恐れている。

惹かれながらたじろぐ彼らの心の動きもいいですが、周囲の様子もおもしろい。Jimの友人たちは彼を心配し、Jimが誰かいい人を見つけることを願っています。彼らは自分たちではJimの孤独を救えないことを知っているのでしょう。
そんな彼らなので、いざJimが恋人を持った時には過剰に反応します。
JimがGriffinを皆とのディナーにつれていく、という電話をすれば「頭を打ったのか」とか「何かの暗号か」とたしかめ、Griffinが現れれば「本当に存在したんだ!」と驚く。いい友人ですよ。うるさがるJimの気持ちもわかるけど。
最後の最後に、Jimがこっそり恋をしていた友人との会話がある、そのシーンも、とてもいい。

一方で、長年の友の裏切り、自分のした約束への責任、そんなものが彼らの関係を揺さぶり、2人の人生を変えていきます。
GriffinはすべてをなげうってJimとの約束を守ろうとする。でもそれだけでは充分ではないかもしれない。

前作もおもしろかったですが、こちらはまたぐっと緊張感のある、力強い描写の話になっています。Jimが少しずつGriffinに心をひらいていく、その様子がきちんと描き出されていて、説得力がある。
JimやGriffinだけでなく、周囲の人間の感情もよく書かれていて、物語に厚みをそえています。人間関係を中軸に据えた話が好きな人におすすめ。

★ハリウッド
★遠距離












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