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Windows in Time
M. Jules Aedin
Window in Time★★☆ summary:
向かいのアパートの窓に姿を見せる男は、何者なのか…

Jonah Sellersは別れた恋人が置いていった荷物につまずいて階段を落ち、足首を折った。
姉が買い物の用を足しにきてはくれるが、気が滅入る日々の中、彼は向かいの建物の窓に、粋だが古風な格好をした男の姿を見る。
彼はまるで、Jonahに見せつけるように意味ありげな笑みをうかべて、1枚ずつ服を脱いでいた。

Jonahの姉は休暇に出かける間、Liam Brooksという看護師をJonahのために手配した。
若く、おだやかな物腰のLiamにJonahは惹かれるが、Liamの態度はどこか煮え切らない。というよりも、たどたどしい。
不思議に思いながら互いの様子をうかがっている間に、Jonahはまた向かいの窓に男の姿を見る。

男は前と同じ服を着て、同じ笑みをうかべ、同じように服を脱いでいた。Jonahの方を見ているが、Jonahを見ているわけではない。

毎週火曜日の午後3時21分。同じ日、同じ時間。くりかえされるシーン。
彼は何者なのだろう? 誰に向けて服を脱いでみせているのだろう?
.....



この話は現代と、1957年の古きよきハリウッドの時代の2つをまたいで展開します。
窓のこちら側(現代)にいるJonahとLiamの2人、そして窓の向こうに見えるBuckとOliverの2人。

最初はジャック・フィニイの「愛の手紙」みたいな(名作っす)時をこえた2人の恋の話かと思ったんですが、それぞれの時代の、2つのカプの話です。
どちらのカプがメインということもなく、両方のカプがそれぞれの話を持っているという感じ。で、彼らは「窓」を通してつながっていく。
まあJonahの側から見えるのは、服を脱ぐ男の姿だけですが。
読む側からしたら、わりと早めに「窓から見える」のが1957年の2人(というかBuck)だということは推測がつきますが、BuckとOliverの方の話が進むにつれ、何故Jonahの窓からBuckの姿が見えるのか、一体2人に何がおこったのかが気になってきます。彼らがどんな運命に向かって進んでいるのか。
なかなか、その展開具合がにくいです。

1957年。当然、ゲイの人権などなく、理解もない。
そんな時代の中、BuckとOliverは非常に危険な手段で逢瀬を重ねます。
その末に何がおこるのか──何故彼らは2人ともに消えたのか。現代のJonahとLiamは、新聞の記事やインターネットから彼らの失踪に関する情報の断片を集めながら、それをつなげていく。

やがて事件の真相があらわれ、Buckが現れつづける理由も明らかになる。
50年前の物事の決着は、JonahとLiamにゆだねられます。
最後の最後にBuckとOliverが姿を見せるシーンはとても美しくて、スーツケースを持っているOliverの様子に心がしめつけられます。ついに出発できてよかったね。本気でじんときました。あれはいいシーン…

欲を言えば、50年前の2人にくらべて現代の2人のカプのドラマが薄いのがちょっと残念かな。Liamにもうちょっと何かあるかと思ったんだけど、意外とあっさりしていたのでそこは拍子ぬけの感がなくもない。
英語の崩壊したメールを送ってきたり、奥手なのにJonahにのめってたり、幽霊屋敷に住みたがってたりと、かわいいんだけど。惜しい。

M. Jules Aedinは、派手さはありませんが地味にいい話を書くので、最近気になっている作家です。品があるというか、味わいを感じる。
何本か読んだ感じでは、「時間」の積み重ねを描写するのが好きで、熱烈な「瞬間」よりも、そこからはじまっていく人間関係や絆にこだわりがあるようです。あと時代背景とか。書き慣れた感じがあって、展開はとてもうまい。

気持ちにじわりと染みこむ、素敵な話です。女装趣味が絡んでくるので、女装好きにもいいかもしんない。って書くと何ですが、なかなかに可愛いですよ。
余韻のある話を読みたい人におすすめ。

★窓から見える男
★過去と現代












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