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Convincing Arthur
Ava March
ConvincingArthur★★★ summary:
1821年、イギリス、ヨークシャー。
Leopold Thorntonは、ヨークシャーの屋敷でArthur Barringtonの到着を待っていた。ついに。10年待ってついにこの機会が訪れたのだ。
この週末を、Arthurは彼と共にすごすと承知した。滞在の間にどうにかしてLeopoldの気持ちをつたえ、それが真摯なものであることをわかってもらわなければならなかった。

10年続いた関係の末に不実な恋人と別れ、傷心のArthurは息抜きを求めていた。
Leopoldはその相手にぴったりであるように思えた。遠い昔の友人であったが、いつのまにかLeopoldはロンドンの虚飾の中に溺れ、Arthurとは離れた。だが噂はいつも耳にしていた。父親からの信託財産によって富裕な彼が派手なギャンブルや酒に身を浸し、男も女もかまわず不実な遊びを続け、高級売春宿でもよく知られた顔だと。
週末のちょっとした楽しみ。遊び。今のArthurに必要なのはそれだった。
日常から離れ、自分を傷つけた恋人を忘れること──ほんの一瞬だけでも。

Arthurは、その恋人とずっとより添っていけると信じていた。信じこもうとしていた。相手が彼の心を破るまで。
このまま孤独に生きていくことには耐えられない。ともに様々なことを分かちあい、ともに老いていく相手がほしかった。そばにいない時も、彼のことを思ってくれる相手。体だけでない、何かを分かちあえる相手。パートナー。
この週末、Leopoldとともにすごす時間で過去の傷を拭った後、ロンドンに戻れば、Arthurはそういう相手を探すつもりだった。

LeopoldとArthurは強く相手を求める。だがそれが一瞬の遊びであると疑わないArthurに、Leopoldは彼の心の内を見せることができるのか…
.....



Ava Marchは相変わらずイギリスの貴族ものを書いています。ありがたいことです。貴族とか身分とかロンドンの退廃とか大好きだ!
端正な文章なので、雰囲気があります。表紙に描かれてる家も素敵。

Leopoldは確信に満ちた、傲慢で美しく裕福な男だが、Arthurのことに関してはてんで駄目です。まだ少年の時に出会い、恋をして、言い出せないでいたらいきなり横からかっさらわれ、それから鬱々として10年を遊び暮らしてきた。
Arthurはその姿をただの遊び人としか考えていませんが、その10年、LeopoldはどうにかしてArthurを忘れようとしてきた。そのことを当人だけが知っている。

Arthurが恋人と別れたことを知った彼は、今しかない!と根性を入れてArthurを誘うわけですが、とにかく10年分の気持ちがあるので、それをつたえるのは生半可なことじゃありません。ただでさえ、他人に内心を見せずに10年のらりくらりと遊んできた男です。
自分の心を剥き出しにしてArthurに見せるということは、拒絶や嘲笑によってとりかえしがつかないほど傷つく恐怖と背中あわせです。それが怖い。でも手に入れられないのはもっと恐しい。
じゃあとりあえずさわっちゃえ(←短絡的)。とか、体の関係から気持ちよくなって、Arthurが逃げ出せないようにしてしまえ(←ちょっと黒い?)とか、幾分レールを外れがちなところも見受けられますが、それも愛ゆえにだな。多分。

ArthurはLeopoldが心の奥に秘めてきた思いのことを(ちらちらヒントは出てるんですが)まったくわかっていない。Leopoldのそばにいると予想より居心地がいいことに安心して、それから彼は不安になる。
Leopoldに馴染んで、この週末が終わった後、使い捨てのように背を向けられるのはつらい。この不実で多情な男に心を向けるのはまずい。
週末の気楽な遊びのつもりが、ちょっと予想とは軌道が外れつつあって、彼は怯えます。

彼らのテンションが段々に高まり、やがて破綻を生む──そのクライマックスが痛々しいと同時にとてもロマンティックで、胸にせまるものがある。

ちがう理由で相手を求め、ちがう理由でそれぞれに怯えている2人の男。
彼らのすごす週末が静謐な文章で情感こまやかに綴られています。
中編くらいの長さかな。
貴族やヒストリカルものに萌える人なら鉄板。すれちがい好きにもおすすめ。

余計なことですけど、この作者の作品はタイトルはもうちょいひねりがあってもいいかも、と思う。苦手なんだろうか…

★ヒストリカル
★放蕩/真面目












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