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Dreaming in Color
Cameron Dane
Dreaming in Color★★☆ summary:
この2年、Colin Baxterは赤いドアのある家の夢を見ていた。
そして、その家に住む男の夢を。

男の顔はいつも見えない。だが男の中にある痛みや悲嘆はColinに鮮やかにつたわって、いつも彼はそれを癒やしたいと思うのだった。夢の中で男とくり返し体を重ねながら、彼はいつか現実にその家を、そして家の主人を見つけたいと願っていた。それはそれほどリアルな夢だった。

友人の結婚式のためにフィジーを訪れたColinは、ボートの上から小さな島に建つ家を見て呆然とする。
あの家だった。幾度となく夢で訪れた家。
だがその家に赤い扉はなく、家に住む男はColinの夢など見たこともないと言う。

己のあやまち、そして死んだ恋人の記憶から逃げるようにフィジーへ渡ってきたMarek Donovanの望みは、ただそっとしておいてもらうことだけだった。そのために人里離れた島に家を買ったのだ。それから2年、彼は望み通り孤独に暮らしてきた。
だがいきなり現れたColinの姿、そして彼がこの家と赤い扉の夢を見ていたという話を聞いて、Marekは凍りつく。
Colin Baxter。忘れる筈もない、彼の高校の同級生。過去から現れた男。
これは何かの罠か、復讐なのだろうか。Colinは、Marekが何をしたのか知っているのだろうか。Colinの体に残る傷、その痛みをもたらして彼の人生を変えたのがMarekであったことを。彼は知っていて、現れたのではないだろうか。
.....



夢の話です。
「あなたの夢を見ていたんだ」というのはよくある恋物語ですが、「家の夢を見ていた」というのは、スラというよりホラーっぽいパターンですね。
これも超自然現象が(ほんのちょっと)からんできて、見方を変えるとちょっと怖い。いや、話はハッピーエンドで情感のあふれるいい話ですが。あの家はこの先もずっとこうやって自分の好きな住人を呼びよせていくのかなーとか、余計なことを考えると涼しくなれます。

Marekは幾度もあやまちを冒してきた男で、Colinに対しても強い罪悪感をもっている。彼らは互いに惹かれていくけれども、惹かれれば惹かれるだけ、Marekは過去にあったことを言い出すことができません。
Colinは自分を許さないだろう、そう思いながら、それが怖くて口をとざし、Colinを抱きしめる。彼の痛みが物語の焦点になっています。

大人になってからの再会の話もおもしろいんですけども、学生時代の追憶がパワフル。そんなにその部分のボリュームはないんですが、少年の罪悪感や情動、羨望、焦りや虚勢で混沌とした心や、それに追いたてられるように最悪の選択をしてしまう、その一瞬の怖さがよく出ていると思います。
そして今でもMarekはそのあやまちに背を追いかけられている。向き合わないから抜け出せないんですが、1人で向き合うことができないMarekの気持ちもよくわかる。

Colinも頑固でかわいいですが、Marekの複雑で痛みをかかえたキャラクターがいい。はじめは冷たくColinをあしらおうとするけれども、結局それができない。強い男のようでいて、あちこちにやわらかな部分をかかえている、それが見えてきます。
この話は、Colinが夢によって「家」を見つけ出し、Marekを悲嘆や孤独から引きずり出すまでの話ですが、決してColinや偶然の力だけではなく、Marekが自分の決断で闇から抜け出そうとする、その部分が美しい。

あとJordan(Colinのルームメイトの女性)が、なかなか魅力的。
「ゲイに理解のあるお節介な女性」ってはよくあるサブキャラですが、あまりにも無個性だったりいたたまれないような振舞いをしたりするケースが少なくない。あれはキツくて苦手です。
その点、Jordanは個性的で、彼女自身も色々な問題をのりこえてきた(Colinのおかげで)様子が、うまいこと見え隠れしています。びっくりするほど口が悪いが。

Cameron Daneにしては色々地味な話だけど(エロも結構あるけど、わりとそこも地味)、それだけにいつもより万人向けかも。おとぎ話のようなフィジーの美しい自然、超自然的な夢、10日間のバカンスなどの「非現実」的な部分と、痛みや苦しみのある「現実」の世界をうまくつないで織りあげた、佳作だと思います。

運命とか、あやまち、贖罪など、そういうキーワードが好きな人におすすめ。

★過去のあやまち
★夢












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