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Bound to Him
Ava March
Bound to Him★★★ summary:
Lord Vincent PrescotとLord Oliver Marsdenの関係がはじまってから、6ヶ月がたとうとしていた。
Vincentは、自分のすべての望みに応えてくれる恋人に満足し、父親から買い取った領地の開拓にも成功し、忙しくすごしている。

だが、Oliverは時おり憂鬱になっていた。
たしかに彼は、Vincentと体を重ねることができるならほかに何もいらないと思った。「心はいらない」とも友人に言った。
それでも6ヶ月の関係の中で、Vincentがまるで変わらないことにOliverは大きな痛みを感じてもいた。彼らの間は前と変わらない──いや前よりも悪い。もはや友人同士としてOliverと社交パーティで顔を合わせることすら、Vincentは避けようとした。

行為がおわれば、VincentはOliverの部屋を去る。一度として、ともに朝まですごしたことすらない。
自分がVincentの「汚れた秘密」になってしまったかのような重い失望感を、Oliverは拭うことができなかった。

そんなある日、Vincentは、父親からの呼出を受ける。
長男にすべての目を向け、次男のVincentがいかに努力しようと一顧だにくれなかった父親の、今になって息子の存在をたのみにする言葉に、Vincentは揺さぶられる。
だが父の要求に応えることは、Oliverとの関係を完全にあきらめなければならないことを意味した。貴族の令嬢との結婚。

迷い、Oliverに助言を求めようとするVincentは、だが相談を切り出す前に恋人から別れを告げられる。彼にとってはあまりにも唐突に、そしてあまりにも絶対的に。
.....



Bound by Deception」の続編。
相変わらず、誠実で繊細な2人の話です。

Vincentは世間の目を気にし、そしてまだ完全に自分たちの関係を受けとめることができていない。そして、そのことがどれほどOliverを傷つけているのか、見えていません。
Oliverは待つことに疲れはじめ、Vincentは何が友人を苛立たせているのかわからない。
ひとつひとつの苛立ちは些細なことだが、すべては深い絶望から出ている。Vincentは決してOliverを、そして彼の愛情をあるがままに受け入れようとしないのではないかと。

それでもOliverは愛する相手のためにできる限りのことをしようとするけれども、体のいい道具になってしまったようで、心にささくれるものをどうにもできない。そしてそれは、Vincentのせいばかりではありません。Oliver自身の環境の悪さ、わずかな収入にたより、自分でしっかりと身をたてることのできない状況もまた、彼を傷つけている。

Ava Marchの小説でうまいところは、必ず話の中でキャラクターたちが自分自身と向き合い、変わっていくところです。恋が、そして互いの存在が互いを変えていく。
時に痛みをもつ言葉を相手にぶつけあって、そしてその痛みが彼らに真実と向き合う勇気を与える。自分の中にある、目をそむけていた真実。
その「変化」を導くのが大変にうまい作家だと思う。一瞬で何かが変わるわけではないが、痛みが染みこんでいくように何かが見えてくる、その静かな目覚めが丁寧な筆致で浮かびあがってきます。

今回もまた、VincentとOliverは大きな決断を強いられる。Vincentはずっと関心を得たいと思っていた父からのたのみを断りきれず、同時にOliverの存在を心から追い出すこともできない。彼は何かを選ばねばなりません。そのことは、自分の奥深くに眠らせていたものの大きさを彼に気付かせる。Oliverに対する思い。
Oliverもまた、Vincentとまっすぐに向き合うために、自分自身を変えていかなければならない。ただ待つだけではなく、自分をもっと誇りに思えるように。

2人は互いをとらえる感情の中でもがき、相手の存在にあらためて気付く。
相手を鏡のようにして自分の姿をあらためて見つめ、相手の目にうつる自分に真実を見る。それが恋というものかもしれません。

BDSMプレイがありますが、そう強くもないものなので、特に読む人は選ばないかと。
ヒストリカルなもの、秘められた関係が好きな人におすすめ。

★貴族
★すれちがい












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