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Feral
Joely Skye
feral★★ summary:
Ethanはクーガーのシェイプシフターであった。8年前、それを珍しがった人狼の群れが彼をとらえ、Ethanの友人である雌の人狼は死に、Ethanは繰り返し拷問を受けた。
シェイプシフターは変身することで傷を癒やすことができる。傷と痛みには終わりがない。
どうにか逃げ出したEthanは、ひ弱な人間の体を忌み嫌い、クーガーに変身して2度と人間には戻らなかった。8年間。
そして彼は決して再び、人間に戻るつもりはなかった。

だが、もはや人間であることがどういうものなのか忘れかけた彼を、また人狼の群れが追う。

Bramは、Ethanが拷問されていた時、その群れにいた。後ろ盾もなく、力もなく、狼である自分をコントロールする力の弱い彼は、その時どうすることもできずにそのクーガーを見ているしかなかった。
8年たち、その時の残酷なリーダーはもういない。だが次にリーダーになった男は、アルファとしての力を誇示してBramを支配する、傲慢な男であった。
「野生に戻ったクーガーは殺さなければならない」と、リーダーは言う。人であることを忘れたクーガーは人間を襲って食う。その前に狩って、殺す必要があると。
Ethanが殺されないようにする方法はただひとつ、彼をとらえ、人間であることを思い出させ、手なずけることだった。

Bramは人肌のあたたかさで、Ethanを人間の形に引き戻し、彼を人として世界につなぎとめようとする。Ethanの怒りと憎しみの前で、それは簡単なことではない。
Ethanはただ自由を求めてもがく。それがどんな方向であろうとも。
.....



人狼ものは大量にありますし、狼以外の獣のシェイプシフターが入っているのもままありますが、これは「人」とその内なる「獣」との対立や引きあうダイナミズムを中心に書かれた、その意味で珍しい話です。詳細な心理描写で、緊張感のある展開が続く。
人と獣はシームレスにつながっているわけではなく、どこか痛みをともなう形でもつれあっています。変身には10分から、時には半時間もかかる。変身を終えた時、記憶はいくらかとび、混乱して、自分がどこにいるのか何がおこっているのか、多くのことが抜け落ちている。

Ethanは8年もの間、必死にクーガーの姿を保ってきた。だが人間にふれられ、人間のあたたかさを思い出すと、孤独をのがれようとして人の形に戻ってしまう。
彼の中の獣はその弱さを嫌い、牙を剥いて獣の形にしがみつこうとする。人間が孤独をうずめるために他人にふれようとする一方で、獣は怒りにふるえている。
そんなふうに、彼らは2つの顔を持ち、時にその両方に引き裂かれます。

また、Ethanが長年の孤独と痛みをかかえる一方で、BramにはBramの問題がある。彼は群れのオメガであり、彼の中の狼は服従することに慣れているが、Bram自身はそのことに怒りを覚えている。
彼は服従しながらも反発し、アルファに対して卑屈であることに馴染みながらもそれを忌み嫌う、ねじれたオメガなのです。

このアルファがじつに、嫌な感じで。一見まともな男に見えるだけに、何かこう落ちつきの悪い嫌さがある。
Bramが何か変な感じに弱々しいので、前半は読んでてかなり焦れます。ハラハラというよりイライラ。イライラしながら読みすすめたい人にはうってつけの話です(結構楽しい)。ちゃんと終わりにはきっちりと落とし前をつけるので、イライラの分だけカタルシスも楽しめる。
Ethanがクーガーから人間の世界へと戻ってくる前半部もおもしろいですが、後半のBramの変化もなかなか読みごたえがある。
クーガーは人狼のように群れを作る性質はないので、Ethanは群れだのオメガだのがピンとこない。それはBramにとって救いでもあり、つらくもある。
2人はちがう種ですが、互いによりそい、信頼するすべを覚えていく。そしてその信頼をもとに、ふりかかっていく危機をのりこえていかなければならない。シフターを追うのは、狼たちばかりではない。

普通じゃないシフターものを読みたい人とか、クーガーたまらねえ!という人とか、リハビリ過程があるものに萌える人におすすめ。
猫科のシフターものって、もっとみんな書けばいいと思うよ!

★シェイプシフター(野生)
★逃亡












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