Slash×Slash

Slash(m/m小説) レビューブログ

※万人向けの内容ではないのでご注意ください
→このブログについて

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Chasing Smoke
K. A. Mitchell
Chasing Smoke★★★ summary:
FBI、そして国土安全保障省で働くDaniel Gardnerは、母親が家を引き払う手伝いをするため、渋々クリスマスに休暇をとって生まれ故郷へ帰る。彼は家族と折り合いが悪く、そして故郷にはもう苦い記憶しかなかった。
自分を殴った酒飲みの父親、家庭内での言い争い、苦い恋と失恋の傷。
15年前の恋。彼を誰より惹きつけ、混乱させ、傷つけた年上の少年、Trey。

Treyの父とDanielの父はベトナムでの戦友で、彼らは家族ぐるみのつきあいをしていた。DanielはTreyへの恋に落ち、Treyも時にはそれに応えるようにも見えたが、彼はいつも人前ではDanielなどいないかのようにふるまいつづけ、自分がゲイであることを否定しつづけていた。
Danielは故郷を去る時、Treyに一緒に来てくれるよう懇願した。だがTreyはその願いを一蹴するように軍隊に入り、Danielの人生からそれきり消えたのだった。

あれはもう遠い昔のことだ。その筈だった。

だが戻った実家に空き巣が入り、その捜査に訪れた刑事の顔を見て、Danielは呆然とする。Trey。
彼は刑事になっていた。そしてそれが何のためか、Danielには一瞬でわかった。DanielがFBIをこころざしたのと同じ理由だ。
遠い日の犯罪の正体を暴くため。そしてTreyの父親の無実を証明し、妻殺しの罪を晴らすため。

再び動き出した過去の事件が、彼らを結びつける。
だがそれが解決した時、2人を待つものは今度こそ最後の別れなのかもしれない。
.....



Treyは、かつてのDanielにとって家族よりも必要な、大切な相手だった。Danielは自分を投げ出すようにしてTreyを求め、TreyはDanielに惹かれながらも、その先にあるものが恐しくて彼をつきはなす──
お互い複雑な家庭をかかえた少年同士の、切羽つまった、抑えきれない情動は、結局破綻します。
Danielは今でもその傷をどこかにかかえている。彼は今の恋人にも誠実に対そうとするが、人生や自分自身を彼らと分かちあうことができない。かつてTreyにしたように、自分をひらいてみせることができない。

TreyはTreyで、ゲイであることを恐れ、Danielを恐れ、同時に父親の犯罪によって彼の少年時代は滅茶苦茶になっています。
15年たって、彼は自分にとってDanielがどんなに大切な存在だったかわかっているが、距離を近づけようとしても、Danielがどこかに逃げ道を残していることを感じる。
体だけならいくらでも近づけるのに、Danielは過去の傷にしがみついて、Treyを許そうとしていない。
それでも2人は惹かれあう。

頑固で一途で繊細なDanielと、迷いと怒りに満ちた過去を持つ執念の男Trey。この2人の、緊張感に満ちた、時にもう未来などないかのような関係が読みどころです。
どちらも相手を恋しいと思う。人生の中で、これほど何かをほしいと思ったことはない。だがどちらの男も、相手の人生の中に自分の姿をはめこむことができない。
この事件が解決すれば。そしてDanielの休暇がおわれば。母親の家を売ったら、Danielがこの町に戻ることは2度とない、それはどちらもわかっている。

一方、謎解きの部分もしっかりしています。そして謎解きでも2人は対立する。
空き巣が「何か」を探していたと感じるDanielは、家の荷物の中からベトナム戦争中のポラロイド写真を見つけ、それが何かを意味すると感じる。だがTreyは簡単にはとびつかない。彼は父親が有罪にされた事件について、15年間ずっとかかえこみ、ずっとその重さを感じてきた。袋小路にいることに慣れてきた。その彼にとって、Danielはあまりに簡単に出口を指さしているように思える。

この話は、2人の男が自分なりの「出口」を探すまで、の物語でもあります。Danielにとっては過去の怒り、その過去がつくってきた自分自身の殻。Treyにとっては、父親の事件にとらわれつづけてきた自分からの。
タイトルの「Chasing Smoke」の「Smoke」は、まるで煙のようにとらえどころのない15年前の事件、そしてさらに昔のベトナム戦争でおこった「何か」と同時に、過去の自分自身を表しているようにも思えます。
そして「Smoke」は過去からたちのぼるばかりのものではない。事件を調べ出した2人を、現実の炎が追ってくる。煙の裏に隠れた殺人者を、2人がつきとめるまで。

読みおわって気付いたのですが、K.A.Mitchellを読んだのは2冊目でした。
Collision Course」を読んだことがあって、これずっとレビュー書こうかどうか迷ってるんですよね。すごくおもしろかったんですが、1つどでかく腑に落ちないところがあって、それがまた、自分の英語力でニュアンスを読みおとしたせいじゃないかという疑いが抜けず。
んで何度か読み返している作品です。どっちも多少ボリュームがありますが、エロ満載で(この人はエロのテンションを高めるのがうまいと思う)、ベタ惚れなんだけど甘々ではない、読みごたえのある話です。ほかのも読んでみよう。

話も人間関係もがっつりと読みたい、という人向け。
相当に自我の強いキャラ同士ですが、大体において受け攻めの分担ははっきりしてる感じなので(100%ではない)、やっぱりカプは固定が落ちつくよね!という人にも。

★エロ多め
★再会












管理者宛の投稿

★Three-Star rating system★


[カテゴリ]View ALL
レビュー (310)
★★★ (88)
★★ (188)
★ (34)
モノクローム・ロマンス (10)
電子ブックリーダー (23)
iPodTouch・Stanza (19)
nook (4)
雑談 (84)
英語 (29)
文法 (4)
読書日記 (11)
…このブログについて (8)
…書店情報 (2)
[タグリスト]

03 | 2017/04 [GO]| 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

カテゴリ一覧 最近の記事一覧 プロフィール リンク一覧 メールを送る
[カテゴリ]


モノクロームロマンス(M/M翻訳)


■公式サイト■

・2017年
・7月 ヘルハイ3巻
・夏 雑誌短編
・後半 王子二巻
・12月 アドリアンXmas
・冬 雑誌短編
・ほかにも出るかも
・不甲斐なくてごめん

*発行済*
・フェア・ゲーム
・フェア・プレイ
・ドント・ルック・バック
・恋のしっぽをつかまえて
・狼を狩る法則
・狼の遠き目覚め
・狼の見る夢は
・天使の影(アドリアン・イングリッシュ1)
・死者の囁き(アドリアン2)
・悪魔の聖餐(アドリアン3)
・海賊王の死(アドリアン4)
・瞑き流れ(アドリアン5)
・幽霊狩り(ヘルハイ1)
・不在の痕(ヘルハイ2)
・還流

*他訳者さん*
・わが愛しのホームズ
・ロング・ゲイン
・恋人までのA to Z
・マイ・ディア・マスター

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。