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M/M小説 (原書)レビューブログ

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The Next Competitor
Goodreads-icon.pngKeira Andrews

TheNextCompetitor.jpg★★☆ summary:
フィギュアスケートの男子シングル金メダルを獲るためにAlex Gradyはひたすらにスケートに捧げた生活を送っていた。
四回転サルコウはすでに跳べる。だがオリンピックまでにはルッツも跳べるようにならなければ。

集中した、ほとんど取り憑かれたような日々の中、友情などに割いている時間はない。
同じ練習場にいるほかのスケーターから嫌われたり、お高くとまっていると思われてもかまわない。勝利こそすべてだ。
四年に一度のチャンスを逃すわけにはいかないのだ。

だがいつしかAlexの目は、Matt Savelliに引き寄せられていく。おだやかで人当たりのいいペアの男性スケーター。
二人は水と油のように対立しあった。
事実、誰とでもうまくいくMattを唯一嫌い、そして唯一嫌われているのがAlexであった。それともそこには隠れた感情があるのだろうか。
.....



フィギュアスケートものです。
わりと練習風景なんかもよく描かれていて、フィギュア好きな人でもそこを織り込んで楽しめるのではないかと思います。

この本のセカンドエディションが出たのが2016年。で、オリジナルは2010年かな、に出ていまして、カナダで練習している若き日本の人気スケーターなんかも登場していたりしますが、作者いわく「あの時は羽生もカナダで練習していなかったからね…偶然なの…」て前書きに書いています。にしてもこの2018年にも色々ありましたよフィギュア、て再読していて思いました。うむ。すごいなこの変化。
なので、まだこの話の中では「四回転ジャンプ一種類じゃ…二種類ないと…」てやってます。そこはそれとして。

厳しい女コーチに鍛えられながらAlexは必死に頂点を目指す。
そんな中、一緒に練習している人々との仲間意識なんか育てるひまはない。そしてその中のMattとは、とにかくそりがあわない。優等生タイプで「みんな仲良く」なMattを見るたびになにか腹が立つし、Mattも妙にAlexにつっかかってくる。

Alexは決して冷たい男ではない…いやまあ冷たいところはあるか、でも若い頃から競技スポーツの中で上を目指して必死にやってきた者の、それはひたむきな献身の姿です。周囲から常に評価の目で値踏みされてきた若者の、ある種の防御反応でもあるかもしれない。
でも彼は、子犬みたいに慕ってくる日本のスケーターの男の子を無碍にはできずについ相手をしてしまうし、競技で失敗して泣いているスケーターがいればそこにレポーターが入らないように態度悪く追い返す。普段の顔はつんけんしていても根っこまでそういう子じゃないんだよ、といういい感じのツンデレ候補。

そんな彼とMattも、さすがにトレーニングの中で少しは打ちとけるようになっていきます。というかAlexは相手のことを知ってしまうとあんまり冷たい顔はできない子なんだろうな。だからあまり人に近づかないのだけれども、Mattは生来のナチュラルな押しの強さでその距離をつめる。
そんな時、Mattが競技中にパートナーの女性をリンクに落下させてしまいます。

自己嫌悪で落ち込んで八つ当たり気味のMattを、Alexはこっそり人気のいないリンクに引っぱり出して一緒に滑る。これは可愛いシーンです。
しかしほかのスケーターたちとの交流はAlexの練習の足をひっぱり、コーチはまた孤立を命じるのです。
このコーチはじつに苛烈な女性コーチですが、ラトビアのスケーターを家に下宿させて教えているとか、なかなかよいエピソードも持っていて、スケート界の紆余曲折をくぐってきたような風格を漂わせている。
スポーツもののコーチの存在感て本当に大事だ。

スケートはシーズンになると各国をめぐって試合に参加していきますが、その中で色々なことがおきる。体調を崩したり、航空会社が荷物をなくしたり。
そういう周囲のディテールもきちんと書きこまれていて、競技者としてのAlexの側面と人間的な弱さとを同時に描き出している。
好みとしてはもう少しAlexとMattが対立している時間が長くてもいいよね!とか思いますが(対立カプ好きなのでな)、二人の距離の縮まり方は自然な感じで可愛いし、氷の女王っぽいAlexがデレていくのを愛でる展開もよいものでした。

競技か、恋か。
それは選ばなければならないものなのか?
その上、Alexの言葉を選ばない物言いは時にトラブルを呼びよせてしまう。今はネットの炎上もおっかないからなー、大変だなー、と読みながらしみじみします。マスコミは本当にもう少し選手を大事にしてやらなきゃ駄目だよ。
勝利とはすべてを賭けるほどのものなのか。そうだとしても、4年に1度のオリンピックで金メダルをとれるのはたった一人です。
競技スポーツ好きの人なら、コーチのセリフ "Victory depends on four and a half minutes on ice. Life cannot."(勝利は氷の上の4分半だけで決まる。人生はそうではない)がぐっと胸に来るのではないかと思います。

フィギュア好きな人、競技スポーツ好きな人におすすめ。全体に甘くて読みやすいロマンスです。

★オリンピック
★喧嘩からはじまる恋












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