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M/M小説 (原書)レビューブログ

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The Magpie Lord
Goodreads-icon.pngK.J. Charles

TheMagpieLord.jpg★★★ summary:
Lucien Vaudreyには上海から戻ってくるつもりなどなかった。
だが父と兄の死によって、新たなLord Craneとして伯爵位を継いだ彼は、やむなく永遠に足を踏み入れたくなかった地に戻ってくる。イギリスへ。
そこで謎の自殺願望にとらえられ、追いつめられた彼は超常的な力の救いを求める。

術師であるStephen Dayは、Craneの家系に憎しみを抱いていた。暴君であったCraneの父の権力によってStephenの家族は破滅させられたのだ。
だが魔術を欲のために濫用している者がいるなら放置しておくわけにはいかない。
やむなくCraneの依頼を受けた彼は、Craneが自分の想像とまるで違う男であることに驚く。家族によって上海に追放され、そこで何も持たずに生きのびてきた男は、体にカササギのタトゥを入れ、傲慢ではあったが残酷ではなく、貴族の血を持ちながらそれを恵みとは思っていない。そしてStephenにはっきりと興味を示していた。

そのCraneを誰かが殺そうとしている。とても強力な力を持つ術師が。
罠と魔術の入り組む中を、二人は生きのびられるのか。その力をあわせて…
.....



レビューしたいと思っていて、ここまでのびてしまったMagpieのシリーズ、やっとレビューだ!A Charm of Magpiesシリーズ1。
最初の版が出たのは五年くらい前になりますが(表紙も変わってる…)当時とても話題をさらったシリーズで、K.J. Charlesさんもすっかり押しも押されぬ人気作家になりました。ヒストリカルやオカルトジャンルを広げてくれた作家さんだと言ってもいいでしょう。
その原点はやはりMagpieシリーズ三部作。

Magpie、つまりカササギは、イギリスでは数え歌に使われていて(作中にも出てくる)たいへんなじみの深い鳥なんだそうです。
主人公のひとり、Lord Craneの紋章はカササギ。そして上海にいる間に、Crane自身もカササギのタトゥを(五羽!)体に入れている。このタトゥがやんちゃ。

このCrane、一冊目の最初こそ呪いにやられてへろへろしてますが、お貴族様のくせにじつに食えない、傲慢かつしたたかで鋼のような強さを持った男です。魔術がとびかう中、彼自身にはなんら魔術の素養はないいわば「無力」な人間のはずなのに、そんな弱さや恐怖はみじんも感じさせない。
それもそのはず、父に上海へ追い出され(海で死ぬかのたれ死ぬかと)、着の身着のままたどりついた上海でただ一人の下男とともに(彼がまたいい味を出している)文字通り何でもして叩き上げてきた不屈の男なのです。
ただの貴族ではない。なかなか絵に描いたようなスーパー攻め様でもある。彼は魔術を恐れない。見きわめて、自分の手にある武器や有利を使って戦うだけです。金や地位も含めて。

彼を救うために雇われたStephenは、警察とはまた違う英国のもうひとつの秩序を守る組織に属して、魔術の濫用について調査や取締りをしている。
その仕事に身を捧げるように働いている彼は、金がなく、疲れきっていて、はじめはCraneを救うことにも気がすすまない。前のLord Craneに家族を破滅させられたのだから当然ですが。
しかし正義を信じるStephenは、純然たる義務感からCraneを救うために力を尽くすし、Craneはそんな彼の頑固な誠実さに惹かれます。
そしてStephenの中には、Craneの揺るぎない力を、その傲慢さをどうしようもなく求めてしまう部分がある。Stephenにとってそれは手をのばしていい欲望ではないけれども、イギリスの法や常識など歯牙にも欠けないCraneは欲望に正直なのですよ。上海仕込みだからね。そうじゃなくてもCraneはそういう男だった気がするけどね!

この作者さんはとてもビジュアルな世界を作り上げるのがうまくて、Magpieでもしっかりその魅力は発揮されています。とんでもないお値段の服に身をばりっと包んだ貴族のCraneとよれよれで小柄なStephenという図(そして魔術の世界ではStephenが圧倒的な力をもつという逆転)、Craneの体を舞うカササギのタトゥ、ロンドンのよどみながら活気溢れるスラムと荘厳で空虚で冷たい貴族の館。Craneが語るカオスで貪欲な上海の回想。上海は実際には出てきませんが、もうひとつの舞台と言っていいくらいの存在感があり、そのミステリアスさ、オリエンタルで超常的な雰囲気がシリーズ全体に広がりを与えている。
舞台の雰囲気自体がエロティックというか、猥雑さがあって、本当になんでも起こりそうな、したたるような人間の欲と闇を感じさせてくれるのがこのシリーズのよさでしょう。その絡み合った欲と魔術の中をCraneはあくまで頭を昂然と上げてしたたかに、Stephenは自分の無力に打ちのめされながらも誠実に、一歩ずつを切りひらいていく。

かなり血しぶきがとびますので苦手な人ご注意で。
オカルト、ヒストリカル好きなら鉄板!

★魔術
★タトゥ












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