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M/M小説 (原書)レビューブログ

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Where Death Meets the Devil
Goodreads-icon.pngL.J. Hayward

WhereDeathMeetstheDevil.jpg★★☆ summary:
Jack Reardon、SAS出身で今はオーストラリアの情報機関Meta-Stateの情報局員は、今、混乱していた。
潜入捜査の末にやっと犯罪組織のボスの信頼を得たと思ったら、砂漠の中のコンクリの部屋で椅子に縛られて、裏切者だと弾劾されている。
そして彼を処刑しに現われたのは伝説の殺し屋、Ethan Blade。
運命は尽きたのか。

だが気付けば彼はEthanに救い出されて二人で砂漠を逃げ出していた。
この男は死の使いなのか、救いの手なのか。無謀で良心というものを持たず、なににも執着しないEthanがJackにはまるで理解できない。

一年後。
やっと普段の人生を取り戻しつつあるJackだったが、そんな時、彼の働く情報局に客がやってくる。
客の名を聞いた瞬間、Jackは悟った。人生は決して元には戻らないのだと。
Ethan Bladeがふたたび目の前に現われた今は。
.....



情報局員と殺し屋とラクダの話。

二重の展開で進んでいく話で、一年前のJackの(そしてEthanとの)逃亡劇と、現在のJackとEthanとの再会からはじまる情報戦とが交互に語られます。
ちょっとクセのある展開だけれども、かつて二人の間に何があったのか、何故またEthanがわざわざ身柄を拘束される危険を冒して現われたのかが少しずつ明らかになっていくところは盛り上がります。

それにしても設定が憎い。目的を果たすためならJackを売り渡し、それでいて眉ひとつ動かさずにJackを救う殺し屋のEthan。この男にいつ裏切られるかと思いながら、その手に救われるしかないJack。
人を殺して生きてきたEthanのことがJackは理解できないし、理解したくもないし、彼に救われる自分自身のことが嫌で仕方ない。しかし砂漠でたよれるのはEthanだけ。あとEthanが飼っている(というか友達らしい)ラクダ。
熱砂の砂漠を、二人は逃げながら、同時に敵を狩っていく。彼らがそれぞれ立つ世界は、ひとつは「悪」でひとつは「正義」といわれる側にあるけれども、していることはもしかしたら同じようなことなのかもしれない。
でもJackはそのことにも気付きたくない。否定するJackに対して、Ethanは至ってのどかなものです。彼は他人に理解されなくともどうでもいい、ただ仕事を果たすだけ。

謎は主にふたつ。
1年前、砂漠で二人に何があったのか、彼らの関係はどうなったのか。これは回想で少しずつ語られていく。
そしてもう一つの大きな謎は、Ethanは何故今になってまたJackの前に現われたのか。Jackは「次に現われたらつかまえる」と言っているし、事実、Ethanが現われた瞬間に情報局の建物を封鎖してEthanを拘束させています。
そっちの謎は少しずつ、過去と現在の両方を使って紐解かれていく。

過去と現在を重ねた語り方はなかなか効果的ですが、もう少しスイッチの回数が少なくてもよかったかなという気はする。ちょっと後半が長いというか、過去と現在の切り替えがチカチカするんですよね。回数じゃなくて、何か現在と過去をつなぐような強いエピソードや物があればもっと統一感が出せたのかもなあ。
とはいえ、この野心的な語り口と、骨太のテーマは評価高いです。周囲のキャラも、類型をうまく使ってわかりやすいながらもきちんと書きこんである。
謎めいたEthanに振り回されてばかりのJack。しかしそんなJackにEthanが振り回される瞬間もあるわけで、普段本音を見せないだけに無防備な一瞬のEthanはなかなかぐっとくる。動物が好きで車が大好き。どこか子供のような部分がEthanの中にはあって、彼がその無防備さを見せられるのはJackだけ。Jackが誠実で、頭は堅いが決して人を裏切ったりする男ではないとわかっているから。
味方とは言いきれないまま、おかしな絆が二人をつないでいる。むしろEthanのほうがJackを無条件に信頼しているかのように見えるのがおもしろい。その無邪気さが、この殺し屋の深い孤独をうつしているようにも思える。

しかしこれ、シリーズ物のようなんだけど、次の話はどうするんだろうっていうくらいこの一話でいろいろ書ききっていて、次の話を勝手に心配しつつ楽しみです。この作者さんのことだからきっとひねった話を投げてきてくれるに違いないけども。
展開にもキャラにも文句なし、もうちょい無駄なくまとめてくれると素晴らしかったなというところだけが残念。
その分は、次作への期待値としておきたい。

いわゆる冒険小説、スパイもの、殺し屋ものが好きなら是非おすすめの一冊。ずっしり骨太に楽しめます。

★殺し屋
★砂漠の逃亡劇












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