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The Mermaid Murders
Goodreads-icon.pngJosh Lanyon

MermaidMurders.jpg★★★ summary:
FBI美術犯罪捜査班の捜査官、Jason Westは休暇から呼び戻されて、行動分析課BAUの悪名高きプロファイラーSam Kennedyの臨時パートナーとして田舎町の少女行方不明事件の捜査にあたる。
その町では16年前の夏、次々と少女が消え、その犯人をとらえたのがKennedyなのだった。
今回の誘拐者は模倣犯か?
それとも、Kennedyはまちがった犯人を逮捕して、今でも連続殺人犯は野放しなのだろうか?

ぶっきらぼうで冷たいKennedyに苛立ちを感じながら、Jasonはやむなく捜査に協力する。彼自身の問題を抱えたまま。
かつてJasonの家族は夏のバケーションにこの町に滞在したものだった。そう、16年前の事件の夏も…

そして、ふたたび殺人が始まる。
.....



The Art of Murder1巻。
美術捜査班所属のFBI捜査官と、華麗な経歴を持ちながら大きな事件で大失敗をしてキャリアがあやうい伝説のプロファイラー。
もっともKennedy自身は自分のキャリアのピンチを気にしているふしがない。ひたすらに無愛想で失礼なくらいの男です。
かつてFBIの「ヒーロー」であった男。今は「お荷物」である男。しかし彼には事件を解決する以外の興味はなさそうに思える。
Jasonに対する興味すら、かけらもないように思える。

Kennedyは有能なプロファイラーですが敵の多い男で(そしていかにも敵を作りそうな男だ…)、FBIの中にも彼を邪魔だと思っている面子がいます。
じつはJasonの上司もそのひとりで、JasonがKennedyの失敗を報告できないものかとパートナーとして送りこんだのだった。Jason自身はそのつもりはなかったが、Kennedyはそれを察知して二人の間に距離を置いているようでもあったり。Jason自身は板挟みな気分だがどうしようもない。
16年の歳月をおいて再開(?)された連続誘拐事件の中、捜査に当たる二人のFBI捜査官の間にはそんな大きな溝がある。でも勿論、事件は待ってはくれない。
町の人間も、Kennedyをかつてのヒーローとして歓迎するべきか、かつて間違った犯人を逮捕した男として見下すべきか、決めかねている。粘っこい膠着感が物語全体に流れています。

事件捜査の過程はきっちりと一段ずつ描かれており、それを通して町の人間模様も描き出されていく、ここは作者の筆致のうまさが光りますね。
こういう閉鎖的な空間を書かせるとLanyonさんは本当にうまい。

Jason自身にも、他人のことにかかわり合っている場合ではない事情があります。肩に銃弾を受けた体験から心がまだ回復しきっていない。
その弱みを上司やKennedyに見せまいとして意地を張りながら、彼はプロフェッショナルとしてのKennedyに対して尊敬の念を抱いていく。

だがKennedyは決して軽く近づいていい男ではない。アメリカ中をとびまわりながら人間の暗い闇をのぞきこみ、分析して、犯人と同じ闇の中に降りてその心を暴き出してきた男には、ふれがたい冷たさがある。
33歳のJasonと46歳のKennedy。年齢の差もあり、経験の差もあり、世の中に対するまなざしも大きく違う。
近づかないのが利口だと、Jasonもわかっている。近づいたところでその先に何かが生まれるわけでもないことも。
だからといって、すべて理性でわりきれるくらいなら誰も恋などしない。(その気持ちが恋なのかどうかは彼自身にもあやしいが!)
はたして二人の距離は縮まるのか。肉体的に、そして精神的にも。

事件にがっちり軸足を置きながら、その中で翻弄されつつ立ち向かう男たちの、意地と強さと、人には見せない弱さの物語。
作者の本領発揮の一冊ではないかと思います。じっくりゆっくり、行きつ戻りつしながら積み重なっていく二人の関係が味わい深い。
捜査もの、大人の男のじれったい関係が好きな人におすすめ。

★連続殺人
★プロファイラー

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