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Crossing Borders
Z. A. Maxfield
CrossingBorders★★ summary:
結局のところ、19歳になった時、Tristanは自分がゲイだと認めざるを得なかった。ガールフレンドに会いに行って、別れの最終通告を聞くよりもそれを伝えに出てきた彼女の兄弟の股間の方が気になるとなっては、もはや自分を誤魔化しようもない。
常に行動の早いTristanは、すぐさま誰か「自分を知らないゲイ」を引っかけて、行きずりのセックスを体験してみようと試みる。同性との関係というのがどういうものなのか、彼にはどうしても知る必要があった。

だがTristanの目の前に現れたのは「見ず知らずの相手」ではなく、何年も前からTristanにスケートボード中のヘルメット着用義務を言いきかせ、彼を追い回して罰金を取っていく警官──Tristanが呼ぶところの「ヘルメット巡査」であった。

Michaelは何年もTristanを追っていた。この怖いもの知らずで、アグレッシブな少年の安全を案じて。その感情がただ保護欲というには強すぎるものであることには気付いていたが、Michaelはこの年下の少年を距離をあけて見守りつづけていた。
Tristanがゲイであり、無謀にも自分の安全をかえりみることなく男と関係を持とうとしていることを知った時、Michaelはこの少年を放っておくことができなかった。Tristanは傷つくかもしれない。
それに、それは見ないふりをするには、大きすぎる誘惑だった。

MichaelはTristanに同性同士のセックスを教えることを申し出て、Tristanはそれにとびつく。
はじめは好奇心。だがその先にあるものが自分の一生を変えることを、MichaelもTristanもまだ気付いていなかった。
.....



Tristanは19歳なんですけど、それにしちゃ表紙はちょっとショタっぽすぎると思うですよ。
それはともかく、丁寧な心理描写に定評のあるZ. A. Maxfieldの話。これもまた、全編にわたって精緻に少年と年上の警官との関係、その心の変化を書いています。

Michaelは保護欲の強い人間で、だからこそ警官になったのですが、その一方で時おり自分自身をコントロールされることに喜びを覚える。
それがSlave/Masterのたぐいの欲望だと誤認した彼は、かつてもっと若い頃にSMのシーンに入りこみ、関係を破綻させ、今でもどこかにその影を持っている。
Tristanは若い、経験の浅い恋人ですが、Michaelの内側にある欲望を正確に感じとって、セックスの中で時おりMichaelを支配します。痛みではなく、愛情で。

Tristanは無謀なところもあるものの、理知的で、とても自己犠牲の強い少年です。父が死に、傷心の母が弟妹を育てるのを助けるため、行けた筈の大学をあきらめて近くの大学に通っている。
MichaelはそんなTristanの中にある輝きに、どうしようもなく恋に落ちていく。Tristanが好奇心を満たせばどこかに去っていくのではないか、19歳のTristanにはまだ愛情と欲望の区別がついていないのではないかと迷いながら、関係が深まっていくのをとめられない。

一方でTristanは幸福を感じながら、やがて現実に気付いていく。Michaelの警官という職業が危険をともなうものであること、警官の中でゲイとしてカミングアウトすることが危険をともないかねないこと。
自分はまだ、恋に落ちる準備ができていないのかもしれない。この先の人生をMichaelと生きていきたいが、それを決心して踏みこむだけの心がまえが、Tristanにはまだなかった。なにしろまだ19歳です。
だが物事は早く、時に残酷に動く。

どちらも優しい、豊かな情感をもったキャラクターです。無謀できかん気なようで心のきめこまかい、そして揺れ動きやすいTristanの少年らしさが、物語に躍動感を与えている。
ゲイであることを気付いた19歳の少年の目覚めと、はじめてで最後の恋。そして一方ではMichaelの静かな孤独(彼自身が気付いていない空白)が埋められていく、長いけれども丁寧で美しい物語です。
エロシーンも繊細で、関係の深まりとともに変化していきます。やはりエロにキャラクターとか物語が反映されているものは、読みごたえがあると思う。

※追記。
前半、Tristanがハロウィンパーティに「剣心」の格好をしていったりするシーンがありまして、それはとっても気恥ずかしいです。その格好でのエロシーンとかね!
でもそうだよね。「仮装」っちゃあ「仮装」だもんなー。コスプレは当然ありだとは思いますが…でもそれが日本の漫画キャラだってだけで、ものすごく恥ずかしいのは何故なのだ。


★エロ多め
★庇護欲












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