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In the Middle of Somewhere
Roan Parrish★★★ summary:
Middle of Somewhere1
Danielは理解のない父親と兄たちとの軋轢の中、自力で大学へ、そして大学院へ行き、アメリカ文学を学び、やっとのことで辺鄙な町での教職をつかむ。
決して理想の地でも理想の職でもなかったが、ひとまず次へのステップには充分だ。そう思った。
北ミシガンの、ホリデイという町。
その町で彼が思わぬ出会いをしたのが、朴訥でまっすぐな巨漢のRex。
緊張のあまりあれこれと失礼なことを口走るDanielにひるんだ様子もなく、彼は、Danielが防御としてまとう攻撃性の下を見抜いているようだった。
だが、Danielはいつも自分を自分で守ってきた。父親から。兄から。世界から。
一瞬でも気を緩めれば、必ず悪いことが起きる。必ず、その隙に何かに足をすくわれる。
その恐れのあまり踏み出せない、踏み込ませない自分を、いつか変えられるのだろうか…
.....
かなり読みごたえのある長編で、しかも結構ぐさぐさっとくる感じのお話です。
特にDanielの描写が非常に良くて、彼が身につけてきた攻撃性や、兄たちや父親から受けてきた仕打ちによる自己評価の低さ、世界に自分の居場所などないと感じているような根の深い孤独が、その行動や言葉を通して見えてくる。知識欲を笑われ、質問を笑われ、ゲイであることを憎まれてきた彼にとって、家族も世界も安心できる場所ではない。
ときに、決して「いい人」ではないDanielですが、彼の必死さと誠実さは(それをどこにどう向けたらいいのかわかっていないにしても)伝わってきて、それが話に厚みを与えています。
Rexのほうにも秘密があり、彼なりの深い傷がある。
傷を隠し合う二人は時にどえらくコミュニケーション不足ですが、それにしてもRexはまっすぐでいい男だな!その忍耐と、Danielに根っからぞっこん(まさにぞっこん、て感じ)な気持ちが、どんどんDanielを包み込んでいくのがまさにロマンス。
エロも濃厚で、最近こういう「濃い」ドラマ派みたいな一派が確実に勢力を強めてきている気がするんだけど、その中でもうまい書き手さんだと思う。
特に兄貴のとの軋轢がなー、兄ちゃん本当に痛々しいなっとしみじみしてしまった。
いろんな人間のいろんなドラマが織り込まれていて、一部はまだ解決していないのでこの先でもさらに何か起こるだろうなー。
人間は簡単には変えられない。たとえ恋に落ちても。でも、もしかしたら。
というわけで、ずぶずぶ濃い目に「浸りたい」時におすすめのシリーズ第1作。口の悪い人間がたくさん出てきてはしばしでニヤッとさせられます。
★家族との軋轢
★孤独