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Mark of Cain
Kate Sherwood
Mark of Cain★★☆ summary:
Mark Webberの弟は、バーでの喧嘩で、ギャング崩れの若者に殺された。
英国国教会の牧師であるMarkは、犯人への憎しみを受けとめようとしながらも、その犯人がわずか三年で刑務所を出てくると知って、心の平穏をかき乱されていた。
人を殺しておいて、三年で自由の身?

そんなMarkはある時、牧師館につれてこられた行き場のない若者と顔を合わせる。殴られ、痛めつけられたその若者は、Lucas Cain。
Markの弟を殺した男だった。

Lucasは、自分の罪が決して終わらないことを知っていた。三年は、ただ壁の中ですごした期間にすぎない。
これから一生、壁の外で、罪を背負いながら生きていくしかないのだ。

被害者の家族と、加害者。
ひとつの罪と失われた命をはさんで二人が向かい合う時、思わぬ感情が生まれ……。
.....



被害者感情と加害者をテーマに据えた話だと、Sloan ParkerさんのBreatheもありますが、こちらはもつれた、出口のない感情を書かせたら定評のあるKate Sherwoodさんのお話。

Markと、Lucas Cainの話ということでタイトルは「Mark of Cain」。カインの印、と意味がかけられています。カインの印は、弟殺しの印。LucasはMarkの弟を、三年前、酒場のいざこざで殺しています。
当時のLucasは未来のことなど考えない、考えなしで粗暴で、何もかも自分の思い通りになると考えている若者だった。
三年経ち、刑務所を後にした彼は、また同じ生き方には戻れない。だが彼の友人たち、親友、その誰もが「刑務所で償ったんだからもういいだろう」と言う。
だが三年経っても、被害者は死んだままで、被害者の家族は傷ついたままだ。Lucasはそれを知っています。もはや逃げ場などないことを。

Breatheもそうでしたが、被害者家族と加害者との心の葛藤もさることながら、被害者側、あるいは加害者側同士での心の齟齬が描かれているのは非常に深いし、興味深いですね。被害者側では、悲しみや痛みを共有しつつ、その狭い世界の中では時に忘却や許しの余地がない。思い出から抜け出すことはとても難しい。
Markは牧師ですし、罪を許さねばならないことはわかっている。わかっていても心の整理がつかないことが、Lucasとじかに顔を合わせたことでさらに乱れたり、そして思わぬ方向へと心が動いていく。その流れがゆっくりと、しっかりと書かれています。ここの骨太で説得力のある流れは、さすがにSherwoodさん。

一方、Lucasはかつてのような野放図な暮らしには戻れないが、自分を受け入れてくれる親友たちを切り捨てることもつらい。
しかし、友人たちはLucasが変わってしまったことを受け入れようとはしてくれない。ここにも大きな葛藤があります。

痛みというよりは、孤独を感じる物語だった。その中で、MarkとCainは寄り添うのだけれども、そこの葛藤は意外に小さかったな。私の好みとしてはそこがもうちょっとほしかった気もします。
逆に、彼らを囲む社会との葛藤の方が大きなウェイトを持っていて、読みごたえはあった。たとえば英国国教会(カトリックともプロテスタントとも違う)の中で、ゲイの権利を語ろうとするMarkと、それを認めない教会の人たちのような。
誰もが傷つき、誰もが苦しみをかかえている。そんなお話です。Lucasに背を向けた親友にも、人生の痛みがふりかかる。余談ですが、続編があるってことなのかなーと思った展開があったので、ちょっと期待してます。

じっくりとした人間ドラマが読みたい時におすすめ。そこまで息苦しくはないけれども、ゆっくりと浸ることができる罪と人生の物語です。

★贖罪
★過去との決別












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