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Slash(m/m小説) レビューブログ

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Slide
Garrett Leigh
slide.jpg★★☆ summary:
Ashはホームレスとして路上で絵を描いて小銭を稼いでいるところを金持ちの娘に見いだされ、今はタトゥアーティストとしてシカゴで生計を立てている。
内に引きこもり、他人との接触を嫌がり、時おり心ここにあらずといった様子で意識がとんでしまう。
繊細で、難しい青年だった。

Peteはシカゴの救急救命士で、忙しい日々を送っている。
ルームメイトとしてPeteと一緒に住むことになったAshは、長い間彼のことも避けていたが、Peteの包容力はAshの壁をも溶かしていく。
だが悪夢はやまない──どれほどPeteとAshの絆が深くなっても、世界はまだ闇ばかりだった。

何か、Peteには理解できない、そしてAsh自身にもわからない何かをきっかけにしてAshはまた闇の中へ落ちていってしまう。
彼を救えないかと、Peteは苦しむのだったが……
.....



繊細で痛々しいトラウマもの。
今年わりと話題になった小説で、実際本当に痛々しくよく書けている傷と回復の物語です。

Ashの繊細さはとても難しいもので、他人の多くがそれを扱いかねるし、Ash本人も自分自身を扱いかねている。Ashは自分が悪夢に囲まれていることはわかっているけれども、その理由も、その向こうにあるものもわかっていないし、悪夢を抜けるべきかどうかの判断もつかない。
Peteが彼の手を引っぱるまで。

二人の関係がゆっくりと築かれていく過程の描写がとてもこまやかで、そこがメインだといってもいいでしょう。多くのトラウマ小説が「回復期」のようなものをメインに据えていくのに対して、これはちょっと珍しいかな。静かに苦しむAshと、次第によりそって彼を支えるようになるPete。
痛々しくも、ほほえましいくらいお互いを必要としているカプです。

語り口は淡々としていて、攻撃的なところはなく、それだけにしんしんと痛々しい感じ。
両方の一人称で進んでいくんだけど、私はAshの一人称が好きだなあ。Ashから見たPeteの、すべてを受けとめてくれる包容力が半端ない。
そんなPeteも時には限界に達してしまうのですが。そりゃそうだよ、っていうぐらい大変なふたり。

シリーズ物だということなんですが(Roadsシリーズの第一作なんだとか)、どうここからシリーズになっていくのかはよくわからない。中に出てきたJoeの話とかかなあ。複雑そうな背景がありそうなキャラだったんだけど、特に説明されなかったので気になっている。多分シークエンス的に物語が続いていくのではないかと思います。

痛いものが読みたい、ひたりたい気分の時にぴったりの読み物です。特にこの作者さんはそういう、「心が壊れたりどこか欠損しているひとたち(当人談)」のお話を書き続けているそうで、いずれほかのものも読んでみようと思います。
愛がすべてを癒す、というタイプの話ではなく、愛の上にさらに様々なものを築いてやっとそこから第一歩を踏み出そう、という話。

★トラウマ

じっくりと2人の繋がりが強くなっていくことを感じられるお話でした。

Peteいい人すぎる(涙)
最初は包容力攻なのかと思いきや、フトコロ大きすぎてほとんど受けに回ってるし

あと、チャプターの8割くらいが朝目覚めるシーンで始まってましたね(笑)
ベッドとソファのシーンが多いお話でした(エロではなく(^^;))

Pete母うっかり閉め出された→Ash出奔
の流れはPeteの焦燥が伝わってきて辛かったですね・・・

最後のフィラデルフィアでのAshの選択も、大団円というわけではなく、「ああ、このキャラならこうだよなあ」と納得のいく余韻のあるものでした。

たまたまJosh Lanyonの"White Night"と続けて読んだので、精神的不安定キャラとそのパートナーの関係性も色々あるなあ、と思いました。
ものっっすごい包容力ですよね、Pete……私は包容攻め(受けてるけど!w)は大変好きなのですが、心がズキズキと痛む展開が多くて胃薬飲みたくなりましたよ。
トラウマもののなかでは屈指の「不安定さ」だと思います。魔法のようによくなったりしないんだよ、というところはとてもリアルですね。

そうそう、起きるシーンすごく多いですよね(笑)
あれ意図的なのかもしれないですね。映画の色々なチャプターが同じシーンやアングルでくり返されるような。
何かこう、お互い50とか60になった頃に幸せにすごしてくれればそれでいいです、この二人は(涙)。。











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