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The Ghost Wore Yellow Socks
Josh Lanyon
The Ghost Wore Yellow Socks★★ summary:
傷心をかかえてサンフランシスコの旅行から帰ってきたPerry Fosterが自分の部屋で見たのは、空のバスタブに入っている死体だった。穴のあいた靴、黄色い靴下。見知らぬ顔。
愕然として、Perryは部屋の外へとびだす。
彼の住むAlton Estateは古い建物で、今は各部屋ごとに住人がいる。Perryと同じ3階には、元海軍のSEALに所属していたNick Renoが住んでいた。
Nickは不承不承ながらも部屋をチェックしてくれる。だが死体はどこにもなかった。

Alton Estateに住む誰もが、そして警官たちも、死体はPerryの思いこみだと判断する。
だがNickだけは少しちがった。彼はPerryの部屋をチェックした時、床に落ちていた古ぼけた靴の片方を、何気なく窓際に置いたのだ。警官が来た時にはその靴は消え、かわりにPerryの靴が置いてあった。
Nickは死体は見ていない。それを信じればいいのかはわからない。だが、この部屋で何かがおこっている。それはたしかだ。

Perryは自分の見たものが幽霊だったとも、幻だったとも思っていなかった。誰かが彼の部屋に死体を隠したのだ。だがPerryが部屋の外に出てからNickが見にいくまでに、一体どうやって廊下を通ることなく死体を運び出したのだろう。Perryは事件を自分で調べようとする。
警告、新たな死体、建物にまつわる古い物語、遠い昔に恋人を奪おうとして死んだ男の伝説。住人たちは皆挙動不審になり、重苦しい空気の中で、彼らが秘めてきた隠された顔があらわにされていく。逃亡者、覗き屋、昔の持ち主の子孫…

その中で、殺人者の顔を持つのは誰なのか。
.....



Perryはゲイであることが原因で親元を離れ、画家を目指している23歳の童顔の青年です。喘息がちで、失恋したばかりで、今月の家賃まで旅費に使いこんでしまった上、とぼとぼと家に戻ってきたら死体が待っていた、と、もう踏んだり蹴ったり。
Nickはそんな彼に巻きこまれることを避けようとします。だがPerryは彼が思っていたような「ドラマクイーンタイプ」ではなく、じつのところは快活で賢く、粘り強い。最初こそじめじめ落ちこんでいますが、すぐに気をとりなおして、根っこにあるポジティブな気性を見せ、自分で建物の謎を調べはじめる。

Nickは軍をやめて仕事を探している最中で、LAの友人のところで職をもらえればバーモントを離れるつもりなので、なるべくPerryに近づきたくはないのですが、少しずつPerryの新たな一面を発見しながら段々と惹かれていくのをとめられない。
その経過はゆっくりで、まるで似たところのない2人が互いの距離をつめていく様子が、物語のもうひとつの核となっています。ものすごくドラマティックなことがおこるわけではありませんが、Nickが「駄目だ」とか「馬鹿げてる」とか思いながらちょっとずつ傾いていくのがおもしろい。Perryに対する庇護欲がどこからわいてくるのかわからなくて、自分でとまどっている。そしてNickが思っているほどPerryは子供でもなかった。
彼らは互いに惹かれるが、たとえ今はうまくいっても、Nickはバーモントへ行ってしまう。続くわけのない関係です。
だからといって踏みとどまれるものでもない。Perryもまた後からくる喪失をわかっていて、一歩踏みこむ。「ただのセックスでいい」と言うPerryに、Nickはたじろぐ。「お前に、そんな言い方は似合わない」

自分がこの場所を去る前に、Nickは死体の一件を解決したいと思う。何だかわからないものの中にPerryを残していくのは気がすすまない。
2人は一緒にこの事件に取り組むことになります。その先にある謎を、彼らは無事解くことができるのか?
そして謎を解いた先には、別れが待っている。


Josh Lanyonはおもしろいのがわかっているので、わざといくらか読み残してあって、その一冊。やはりおもしろいです。
こう、Lanyonの特徴でもある強烈に凝縮された感じはあまりないのですが、その分読みやすいとも思う。ミステリとしての核ははっきりとしているし、NickがぶすっとしながらPerryの面倒をついつい見てしまう様子がほほえましく、Perryは若々しくてかわいい。「こんなガキにかかわりたくない」と思いながらくらっとするNickがいい味を出してます。
甘くはない、さりとて苦くもない、映画のような陰影のくっきりした話です。話自体がおもしろく、雰囲気も楽しめますので、小説全体を楽しみたい人に特におすすめ。

★ミステリ(消えた死体)












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