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Object of His Desire
Ava March
ObjectOfHisDesire★★ summary:
1821年8月、イギリスのダーハム。
22歳のHenry Shawは、10歳以上年上のSomervilleの侯爵、Arsen Greyに恋をしていた。ロンドンで出会い、彼を所領へ招いたこの男は傲慢で、美しく、倦怠感を身にまとってなお優雅な男だった。
だがその恋は不可能なものだった。Arsenは領地を継ぐための跡継ぎが必要だし、いずれ妻を迎える。何より彼は、己の屋敷で連日ひらかれている淫蕩なパーティに訪れる魅惑的な高級娼婦にその目を向け、男に興味を見せなかった。

彼の屋敷にはさまざまな貴族たちが招かれ、口に出すこともはばかるような様々な欲望を満たしていく。Shawもそれらの女性たちに誘惑されつづけるが、パーティが続く一週間の間、彼は女たちにとりあおうとはしない。できなかった。彼が望むのはArsenだけで、それは決して手に入れられないものであった。

退廃のパーティ、女たち、ArsenのShawに対する無関心、無意味な嫉妬、苛立ち、無表情の下に覆った己の欲望──すべてのものに疲れきって、ShawはArsenのもとを離れようと決心する。
だがその時、Arsenが彼を寝室へといざなった。

ただ一度、この一度きり。気持ちと体を満たして、それで終わりにしようとShawは決める。Arsenのそばにはいたい。だが彼の秘められた愛人になって、ただ道具のように彼に使われていくことはできない。それをすれば、自分が自分でなくなってしまう。Shawにはそれがよくわかっていた。
.....



19世紀のイギリス、退廃の館とその主の話です。
中編なのであまり複雑な話ではありませんが、人の心の動きがよく書かれています。Shawは田舎の出で、大柄で、他の貴族たちのように洗練された美はないが、その館に集う人間の中でただ一人、Arsenに対する揺るぎのない忠誠心を持っている。
Arsenはそれを知っていて、Shawをくりかえしためします。

Arsenは富と身分をもち、美しい男ですが、傲慢で、その傲慢さとShawのまっすぐな心根が、一夜の情交を通じてぶつかりあう。Arsenの傲慢さは、本当に大事なものを失いかねないほどに強いものでもあり、Shawはその向こうにあるものを見なければならない。そしてShawもまた、プライドの低い男ではない。身分や名前ではなく、彼は自分自身でありつづけることによって背をのばして立つ、誠実で潔い男です。
Arsenに性の道具として使われるくらいなら、どれほど愛していてもArsenの元を離れた方がましだと思っているし、それを実行しようとする。
一方のArsenはShawの中にある誠実さを求め、自分が他の愛人たちから得られなかったものをすべてShawが与えてくれることを知っている。金では買えない、手に入らないものをShawがArsenに感じさせてくれることを知っている。
それぞれの心の動きと、求めるものがきちんと描き出されているので、読んでいて物語が心に入ってきます。

傲慢な年上の貴族、純朴でまっすぐな田舎出の青年──。
青年は貴族に恋をし、望みがないと思っているが、じつは青年にめろめろなのは貴族の方だった、というテンプレ鉄板。でも楽しいぞ!
そういう話が好きな人だったら絶対におすすめ。良質に楽しめる一編です。

★短編
★ヒストリカル(貴族)












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