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With Caution
J. L. Langley
WithCaution★★ summary:
兄弟としての誓い。恋人としての約束。どちらも守るのは命懸けとなる。

Remington Lassiterは命を落とすところを人狼の血によって救われ、その結果人狼となってしまう。新しい生活に慣れるのに必死の彼に、弟から助けを求める電話がかかってくる。
年の離れた弟は、Remiにとって唯一の「家族」のようなものだった。子供を束縛し母やRemiを殴る父親と、その父親から離れられず言いなりになる母に、彼は愛情を感じられない。
だが弟を守るためなら、Remiは父の言うことすべてに従った。まだ14歳の弟がどうにか無事に大人になるまで、Remiは何でも耐える覚悟だった。

探偵事務所を営むJake Romeroは、Remiを助けようと決心する。
Remiは気付いていないが、彼を人狼に変えたのはJakeの血であった。その時にもう、彼はRemiは彼のmate(運命の相手)だと知っていた。だがそのことをRemiには言えない。Remiは人狼になったばかりで、しかもストレートで、友人のChayが男の恋人を持った時に口をきわめて罵った「ホモ嫌い」である。そして今や、弟と父親についてのトラブルもかかえている。
やむなく自分の欲望を押しこめ、JakeはRemiを守ろうとする。
Remiの父親の過去を調べはじめた彼は、やがて暗いRemiの過去と、そこにある殺人事件に行きあたる。

その一方で、RemiはどんどんとJakeに惹かれていく自分を抑えきれなくなってきていた。また、人狼としてのRemiにも奇妙な現象がおこりはじめ…
.....



Without Reservations」の続編です。Without..に出ていたChayの友人のRemiと、群れの仲間のJakeの話。
前作のネタバレ含むので、ご注意。


Remiは前作でKeatonを「おかま野郎」と罵倒したほどのhomophobia(恐怖症というより、homohaterって感じですが…)です。なので、Jakeが彼のmateであることは皆で「しばらくRemiには伏せておこうか」ということになっている。
しかしそれを知らないまま、RemiはJakeに惹かれて、あれだけ拒否反応を示したにしちゃJakeに近づくことに対してあまり葛藤がない。
Remiが何故そうなのか、何故あれほどKeatonをののしったのか、何故前作であれほど「嫌なやつ」でありながらChayの長年の友人だったのか、そういうことがこの作品できちんと語られていきます。
彼が何から自分を、そして年の離れた弟を守らなければならなかったのか。守るために多くを捨て、自分を覆い隠し、攻撃的な態度を身にまとった、そんなRemiの人生が次第に浮き上がってくる。

自分自身を犠牲にして弟を守ってきたRemiは、Jakeと出会ってはじめて弟と同じほど──あるいは弟以上に大切な存在を見つける。そのことが彼に戦う勇気を与えますが、過去の恐怖をのりこえることは簡単ではない。
それでも手遅れになる前に、彼は弟を父親の手から救い出そうとする。

この弟(Sterling)がかわいいんですよ。まあよくしゃべるよくしゃべる。明るくてこまっしゃくれてて、勘がよく、たじろがない。
Remiが彼をかわいがるのもよくわかります。SterlingにとってもRemiは父親がわりのようなもので、RemiがJakeやその友人と会っていることを知ったSterlingは(兄に友人ができたことを喜びつつ)、彼らを見定めにかかります。14歳ながらも、Remiのことを守ろうとするんですね。
だがその彼もまた、この戦いの中で無傷ではいられない。

一方で、Remiは狼として「オメガ」であり、Jakeは彼の「アルファ」であるということがわかる。それは彼らの属する群れを2つに割る結果となり、彼らは元の群れを離れて自分たちの群れを持たねばならない。
なかなか大変です。はたしてRemiはSterlingを守りきれるのか、そしてJakeはRemiを守りきれるのか。

補足すると、人狼もののスラにはよく「アルファ」「ベータ」、そしてたまに「オメガ」が出てきます。
動物学上、群れのリーダーをアルファ、そしてそのアルファをサポートする副官的存在がベータ、さらに群れで最弱の個体をオメガと言う。オメガはどうしてもみそっかすにされたりいじめられたりするのですが、群れという全体を構成する上で必要な存在らしい。
スラの場合、大抵オメガは珍重されます。オメガは弱いが、オメガを手に入れるということは名誉であり、オメガを自分のものにするということは自分が群れのアルファになるということを意味する。
で、何か元ネタがあるんじゃないかと思うけど、「オメガは戦いには向かないが、特殊能力がある」という設定がとても多いです。いわゆる超能力レベルのものから、群れをまとめるための何らかのシンパシー的能力まで色々ありますが。また一般に人狼のオメガは「オメガとして生まれる」存在で、オメガでなかった者がオメガになったりすることはない。
このへんの「お約束」はどこからはじまったんだろうなあ。


Remiの印象が前作とあまりにちがってくるのでとまどいましたが、次第にそれも納得いくし(もうちょっと変化の過程がほしい気もしましたが)ドラマティックでおもしろい話でした。
SterlingとRhysの話がまた後に引いてますけど、これはそのうち書くそうです。本当に愛らしいぞSterling。彼らの短編がJ.L.Langleyのサイトにのっていますので、本編読了後にどうぞ(下部の「free story」のところから)。
何かゴージャスで手に負えない男になりそうだなあ、Sterling…

ボリュームが結構あるんですが、スピード感もあり、バランスのとてもいい話です。
前作の「Without Reservations」を楽しんだ人なら絶対におすすめ。

★人狼もの
★運命の相手












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