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Match Maker
Alan Chin
Match Maker★★☆ summary:
4年前、Daniel Bottegaは、プロテニス選手Jared Stoderlingのコーチとして名誉と勝利に向かって戦っていた。
だが彼らはともにゲイであること、そして恋人同士であることを知られ、大会から締め出されてしまう。
二人は今でもパートナーだったが、その傷はJaredに深く刻まれ、いまだに立ち直ることができずに酒に溺れていた。

テニスクラブのコーチとして暮らしているDanielの元に、Connor Linという18歳の若者がコーチを頼みに来る。彼には才能があったが、Danielはかつての「ゲイ」としての烙印を持ったままプロテニス界に戻るのは気が進まなかった。
もし彼がコーチするConnorが、彼との関わりからゲイの疑惑を受ければ、それだけで様々な不利益を受けるだろう。
テニスで審判を敵に回せば、試合はそこで崩壊する。不利なラインコールはプレーヤーの精神を削り、追い込んでしまう。4年前、彼らがJaredを追い込み、追いつめて、テニス界から消してしまったように。

だが、DanielはConnorとともに、ふたたびプロテニスの世界に戻る。JaredもまたConnorのダブルスのパートナーとしてテニスに復帰した。
彼らの道は険しく、勝利の栄光と、その裏腹に、彼らに向かって投げかけられる憎しみに満ちていた。

そして、憎しみは一発の弾丸となってDanielの未来を粉々に砕く。
.....



これはとてもいい話で、テニスが好きだと倍面白い。テニスが分からなくてもスポーツ好きなら萌えますが、4大メジャー大会とATPツアーについてくらいは何となく知っておいた方がわかりやすいと思う。「ローランギャロス」はメジャーのひとつ全仏オープンのコートで、赤土(クレー)コートである、とか。
私はわりとテニス好きなので萌え萌えして読みました。現役のプレーヤーのことは名前を変えて書いていますが、「この人のモデルは○○っぽい」とか、結構想像できます。

かつて「ゲイであること」で未来を奪われたカップル、DanielとJared。彼らは新しいプレーヤーConnorに導かれるようにしてプロテニスの世界に戻る。
そこで巻き起こるさまざまな苦しみや、それを乗り越えるための彼らの戦いが書かれています。結構、半端なくシビアです。
彼ら3人だけでなく、周囲にいる人々の感情や愛憎が入りまじって、大きな運命のうねりのようなものに全員が翻弄されている感じ。

個人的に気が散る点が多少あって、Connor Linの一家というのがアメリカにいる中国人一家なのですが、日本人に対する憎しみやうらみつらみがところどころに出てきます。作者当人が特に政治的に偏っているとは感じませんが(名前からして中華系だとは思うが)、そのへんがスラとしては集中できないのはたしかだったり。
チャイナっぽいと言えば、非常にチャイナっぽい一族ではあった。恐喝まがいに取引を自分に有利にしようとするところとか、時期的なものもあってこっちも遠い目になってしまいました。わがままを言ってしまえば、もうちょっと純粋に楽しみたいかなーという気持ちもあります。

しかし、そのへんを置いても、非常に緻密に彼らの戦いの様子が描かれていて、スポーツスラとして秀逸です。テニスの駆け引きと言うものをよくわかっている人なのだと思う。コーチングも具体的でおもしろい。
「ちょっと順調に勝ちすぎ」とかは感じないこともないですが、そこはスポ根ものみたいなものだと思えば納得。
何より、Danielのパートナー、Jaredのキャラが格好いい。「戦う男」である彼は、かつて戦う舞台を奪われて酒に溺れた。そこからまた戦う世界に戻り、別人のように生き生きと戦いますが、また巨大な敵に打ちのめされてしまいます。彼が、新たな傷の中で迷い、時にDanielにつらいことを言いながら、戦いつづけようとする姿は美しい。
絶望や、後悔の中から、人がどうやって希望を取り戻すのか。この話には、テニスという部分をこえて人が「戦う」姿があると思います。

かなりつらいシーンも含まれます。エロは描写少なしで、ほぼ直接描写なし。雰囲気あるから楽しいですが。
スポーツスラと、「ゲイの権利」を中心にした戦いをよく絡めた良作。深刻だけど勢いのある話を読みたい人におすすめ。
個人的なイメージだと、プレイスタイルはJaredはフェデラー、Connorはデルポトロっぽいと思う。

★テニス
★ゲイへのヘイト・クライム












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