Slash×Slash

Slash(m/m小説) レビューブログ

※万人向けの内容ではないのでご注意ください
→このブログについて

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Jacob's Ladder
Z.A. Maxfield
Jacob's Ladder★★★ summary:
Jacob “Yasha” Livingstonは、ほぼ人生最悪の日を迎えていた。
まず、風邪で具合が悪い。そして家に戻った彼は複数の男が恋人のベッドにいるのを見る。
恋人はもともと口より手が先に出るような男で、だがかつてイスラエルで従軍したこともあるJacobは自分の身は自分で守ってきた。その日までは。

散々叩きのめされて血の海に残された彼は、病院を出てすぐに兄のところへ行こうと長距離バスに乗る。だがバスの運転手はJacobの咳を嫌がり、彼を途中で放り出した。
モーテルにまではどうにか行きついたが、意識を失ってしまったJacobは救急に搬送される。意識を取り戻して、迎えにきてくれと兄に電話したが、週末までは行けないという返事だった。

そんなふうに、JacobのSt. Nacho'sでの暮らしが始まった。
そこには、彼を運んだ救急隊員の男、JTがいた。JacobとJTはどちらもユダヤ人だが、Jacobはユダヤ教徒であることとゲイであることの折り合いをとうの昔につけていた。
明らかに、JTはそうではない。彼はJacobに惹かれる自分を恥じている。

ストレートであろうともがく男、ゲイであることを認められない男との関係に未来はあるだろうか?
それともそれは、Jacobの新しい傷になって残るだけなのだろうか。
.....


St.Nacho'sシリーズ3。
Jacobのイディッシュ語(移民のユダヤ人が使うらしい)での愛称が “Yasha” なんだそうです。何で?と思ったけど、Jacobは読み方によっては「ヤコブ」ですね。多分アメリカでは普通に「ジェイコブ」と発音して構わないと思うんだけど。
タイトルの「Jacob's Ladder」は日本語ではヤコブの梯子、天使が上り下りする、天と下界をつなぐ梯子のことです。

JTはさわやかで魅力的でやさしい男だけれども、いざ己のセクシュアリティのことになるとひどく混乱しています。
Jacobを求めながらも、彼は日の当たる場所ではそのことを自分自身に対してすら否定しようとする。そしてその否定がJacobを傷つけたのを見て、自分も傷つき、さらに混乱する。

JacobにはJacobの問題があり、彼は暴力のある場所に惹かれる自分をどうにかしたいと思っている。彼と兄は暴力的な父親の元で育ち、力を合わせて母親を守ろうとした。兄は結婚しながら、「自分が父親のようにはならない」ことを証明しようとし、Jacob自身はどこか母親のように暴力の被害者としての立場に入りこんでしまう。
実際に殴られたことがあるかどうかではなく、それは自分に対してどこかしら投げやりになってしまう彼の生き方の問題なのです。

そんなふうに複雑なものをかかえた2人の男の人生が、このSt. Nacho'sで交錯する。
St. Nacho'sは不思議な場所で、ここに来た人に自分の人生を立ちどまって見つめるための「隙間」を与えます。シリーズの1、2でそうしてこの町にとらえられたCooperやJordanの近況がかいま見えるのもいいですね。
Jacobを雇うことになるパイの店の女主人は、Jordanのお母さんです。彼女も多くのものをくぐりぬけて、St. Nacho'sで人生を取り戻した。

相変わらずなごやかな町の様子もいいし、今回はサブキャラがなかなか立っています。兄とか、JTの同僚とか。
Z.A. Maxfieldはここんところ書く物が今いちハマらなかったんですけど、やっぱりこのシリーズはいいな。
静謐な描写が重なり合っていく感じの小説で、静かでいながらおだやかに賑わっている町の背景と、2人の心の交錯がうまくとけこんでいます。交わされるのは愛情や情熱だけでなく、傷や痛みでもある。

これ単独で読めますが、St. Nacho'sという場所の特別感を味わいたい人は1から読むのがおすすめ。いいシリーズです。
心理描写を読むのが好きな人におすすめ。

★家庭内暴力
★立ち直り












管理者宛の投稿

★Three-Star rating system★


[カテゴリ]View ALL
レビュー (310)
★★★ (88)
★★ (188)
★ (34)
モノクローム・ロマンス (10)
電子ブックリーダー (23)
iPodTouch・Stanza (19)
nook (4)
雑談 (84)
英語 (29)
文法 (4)
読書日記 (11)
…このブログについて (8)
…書店情報 (2)
[タグリスト]

05 | 2017/06 [GO]| 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

カテゴリ一覧 最近の記事一覧 プロフィール リンク一覧 メールを送る
[カテゴリ]


モノクロームロマンス(M/M翻訳)


■公式サイト■

・2017年
・7月 ヘルハイ3巻
・夏 雑誌短編
・後半 王子二巻
・12月 アドリアンXmas
・冬 雑誌短編
・ほかにも出るかも
・不甲斐なくてごめん

*発行済*
・フェア・ゲーム
・フェア・プレイ
・ドント・ルック・バック
・恋のしっぽをつかまえて
・狼を狩る法則
・狼の遠き目覚め
・狼の見る夢は
・天使の影(アドリアン・イングリッシュ1)
・死者の囁き(アドリアン2)
・悪魔の聖餐(アドリアン3)
・海賊王の死(アドリアン4)
・瞑き流れ(アドリアン5)
・幽霊狩り(ヘルハイ1)
・不在の痕(ヘルハイ2)
・還流

*他訳者さん*
・わが愛しのホームズ
・ロング・ゲイン
・恋人までのA to Z
・マイ・ディア・マスター

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。