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Finding Zach
Rowan Speedwell
Finding Zach★★★ summary:
Zach Tylerは5年の間行方不明だった。
救出された時、彼は犬として誘拐犯に飼われ、人に口をきこうとしなかった。

精神的にも肉体的にもひどいダメージを負ったZachは、それから2年の治療がすぎてもなお不安定な日々をすごしていた。
恵まれているのはわかっている。裕福な両親とともに毎日セラピストと話しあい、家族ぐるみでZachのための出口を探している。
だがZachは、自分の苦しみが愛する家族の心に重い負担をかけていることに耐えられなかった。
もしかしたら、彼は戻ってくるべきではなかったのかもしれない。あのまま、ベネズエラの森の奥で死んでいた方が、皆のためだったのかもしれない。

そんなある日、Davidが町に戻ってきた。
Zachの少し年上の幼なじみで、Zachの初恋。だが2年前、救出されたZachにDavidが会いに来た時、Zachは取り乱し、叫んだ。
それ以来DavidはZachに近づかず、NYに去った。彼は何故Zachにそこまで憎まれるのか理解できず、深く傷ついていた。

Zachは、Davidとの再会にどうしていいのかわからない。
誘拐され虐待を受けていた間、Davidは唯一のZachの聖域だった。
今、のばせばふれられる距離にいながら、Zachはどうしても動けない。心も体も傷だらけの彼を、誰が望むだろう。
Davidの知らない暗い秘密を山ほどかかえた彼が、どうしてDavidを望めるだろう。
.....



かなり痛々しいトラウマの話です。
が、Zachの痛々しさとともに、彼の生来のたくましさ、生きようとした意志、彼がかつて持っていたユーモアのセンスなどがあちこちにかいま見えて、強さに満ちた話でもあります。
もっともそのユーモアや強さは、誘拐される前の彼がどれほど溌剌として希望にあふれた少年だったのかも浮かび上がらせて、それがまた痛いのですが。それは、永遠に失われてしまった少年の姿です。

Davidは、Zachが誘拐されて半狂乱になり、助け出されたと聞いて歓喜する。でも会いに行った彼を迎えたのはZachの心の底からの恐怖の悲鳴で、それは彼をうちのめします。
その恐怖がDavidに向けられたものではないことを、Zach以外の誰も知らない。

そうしてZachに背を向け、去ったDavidですが、それでも彼はZachの元に戻る。
彼とZachの間に生まれる関係は、脆く、痛みと混乱に満ちていて、Zachのねじれた気持ちは彼にねじれた言葉を吐かせる。DavidはZachを守りたいのですが、Zachはそれを望んでいるわけではないし、そもそも何から守ったらいいのかわからない。
手探りで、ぶつかりあいながら、2人は関係を築いていかねばなりません。
Zachのトラウマだけでなく、Davidの混乱や怒りもあらわで、相手の気持ちを探りそこねて迷える2人の様子は、シンプルで根本的なラブストーリーでもある。
愛はある。でもそれで充分なのか。それで足りるのか。

少しずつ追憶を織りまぜていく話の展開が練れた感じでうまいですね。深刻な話なんだけれども、痛々しさばかりに焦点を当てず、動きのある話の展開になっています。
Zachの気持ちの揺れ、同じところをぐるぐる回ってしまう彼の逡巡や自己嫌悪、心の奥に植え付けられた恐怖──そういうものが、Davidの存在によってひとつずつ薄らいでいく(魔法のようになくなったりはしないわけですが)、その様がきちんと描き出されている。

凄惨な描写がある話なので、痛いのが苦手な人は要注意。文章は "matter of fact" という感じでそれほど湿っていません。笑えるエピソードも織りまぜられていて、テンションのめりはりがきいている。
トラウマもの、立ち直っていく話が読みたい人におすすめ。

★人質
★初恋












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