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In and Out
L.B. Gregg
※出版社の問題で一時的にリンクを外してます。
In and Out★★★ summary:
Men of Smithfieldシリーズ4。

作家、探検家、有名テレビ番組のナビゲーターであった Holden Worthingtonは、今や自分の家から一歩も外に出ることができなかった。
二年前、彼の名声をすべて滅ぼしたあの一件から。
豪華な家に1人で住み、金にも仕事にも困らなかったが、彼は家の囚人だった。

打ち捨てられた庭の手入れのために、1人の若者が働き出した時、Holdenの世界はふたたび動きはじめる。

Adam Morganは謎めいた若者だった。Holdenのジョークに笑わず、常に警戒を崩さず、黙々と働く彼の姿は、Holdenの中に久々の感情を呼びさます。不器用でピュアなAdamの姿を眺める時間はHoldenにとってかけがえのない息抜きだった。
だが、Adamが裏庭から掘り出した一体の死体が、Holdenの世界の安定を脅かす。静かだった暮らしに警官が立ち入り、ふたたびニュースとゴシップのネタにされ、彼は追いつめられていく。

そんな中、二年間家から出たことのないHoldenを、Adamは車に乗せて表に連れ出し…
.....



Men of Smithfieldシリーズですが、どれも独立して読めます。シリーズ全体に出ているのはresident trooperのTony。(resident trooperって、コネチカット州の一部で保安官の代わりに使われている駐在システムのようです)
ユーモアとテンポがよく絡み合ったスピーディな展開のシリーズですが、今回はいつもより真面目。あちこちおかしいけど。
広場恐怖症の40歳Holden Worthingtonと、24歳の庭師Adam Morganの話。

2人とも、それぞれに影を持つ。
Holdenの影はかつての栄光とそこから落下した痛み、それによって彼が陥った恐怖症。
彼はきわめて陽気でユーモアにあふれ、現状をそれほど嘆いているわけではない。
とは言え、世界からひきこもった彼の時間はとまっていて、そのユーモアは緊張やネガティブな感情の裏返しであることも多い。一種のヒステリーというか。
どこか強迫観念に追いかけられているところがあって、世界を回って集めたレシピをアルファベット順に毎日作り、家の中でワークアウトを行う。

一方のAdamは、人の感情や言葉の裏を読むのが苦手です。
それは病のたぐいではなく、何かで手ひどく傷ついてから人と距離を離し、その裏にあるものをできるだけ見ないようにしているAdamの立ち位置であるようです。なにしろ段々とHoldenに気持ちを許すにつれ、Adamは誰よりもよくHoldenの内面を読むようになるからです。
そして彼は、Holdenを守ろうとするようになる。
HoldenもAdamの存在で変わりはじめるけれども、AdamもまたHoldenの存在によって変わりつつある、それが行間から見えてくるのがいい。

そんな2人の世界を揺らすのが、裏庭から出てきた死体。
町の勝手な噂ではそれはHoldenを2年前に陥れた前の恋人で、Holdenが彼を殺して埋めたのだと言う。
家から出られない自分がどうやって?とHoldenはうんざりしつつその元恋人にコンタクトをとり、町の人間に姿を見せるようたのむけれども、現れた元恋人の様子がおかしいし、しまいには姿を消してしまう。
しかも、離婚協議中でHoldenの家にころがりこんでいる兄も、何故かいなくなる。

Holdenの家はたくさん部屋があって、普段は静かなのに、殺人事件をきっかけに人が入り乱れます。なのに、Holdenが必要とする時には誰もその姿を見せてくれない。
事件はまるでHoldenを犯人と指し示しているようだけれども、勿論Holdenは自分でないことはわかっている。
では、誰が?

Holdenが家の中から見る自然の描写──傾いた陽の光や夜の霧、花の色や芝生にあたる陽の反射などが本当に美しくて、失われた外界への憧憬が鮮やかに描き出されています。
Adamに対する彼の強い気持ちもそうで、彼はAdamから土の香りや太陽のぬくもりを感じる。ふれて、味わってみたい。それはほとんど本能的な衝動です。
広場恐怖症の人間が庭師に恋に落ちると言うのは、なかなか深いものがあります。

テンポが速く、軽いユーモアがあちこちにちりばめられていて、読んでいて楽しい一冊。ほぼ家だけに舞台が限られているのですが、それをうまく逆手にとって、5日間でおこる変化がつづられています。

エロもあるけどエロばかりじゃないよ、という話が読みたい人におすすめ。
テーマは重いようですが、この作者独特の軽みとキャラのしぶとさがあって、読んでいる感じも読後感も軽やかです。

★広場恐怖症












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