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Hemovore
Jordan Castillo Price
Hemovore★★☆ summary:
およそ10年前、「Human Hemovore Virus」が世界に大感染を巻き起こした。感染すると生き残る者はまれで、生き残った者は日光にアレルギーをおこし、栄養源として血液を求めるようになる。

非感染者Mark Hansenは、感染者の画家Jonathan Vargaに雇われて働いていた。非接触、手袋、消毒。Jonathanは自分のアトリエにこもり、Markはそこへは足を踏み入れない。
あらゆる潔癖な手段を使いながら、2人は決して近づくことも、ふれあうこともない。

Jonathanのため、Markは猫の血液を売る女から血を買い、絵の売買の交渉を行った。
Jonathanの絵は、Markには真っ黒なカンバスにしか見えない。だが感染者たちの闇に慣れた鋭敏な視覚には、そのカンバスに塗りこめられた様々な色や形が見えるのだった。非感染者には決して理解できない絵。
その絵を高値で買い取ろうと言う申し出がふってわき、Jonathanは顧客に会いに彼のスタジオから外へと踏み出す。

だが彼らを待ち受けていたのは、Jonathanの過去からの追手であった。
.....



Jordan Castillo Priceらしい、とても独特なスタイリッシュさを持った吸血鬼ものです。
ウイルス名の「Human Hemovore Virus」の「Hemovore」というのは、血液嗜好の人間のことをさすようで、その点からいくと感染ポジティブの人はあくまで「感染者」であって「吸血鬼」ではないのかもしれませんが、ストーリーとしては吸血鬼ものに分類しちゃってまちがいないでしょう。

現代物で、後天的吸血鬼化の小説は色々ありますが、この話では完全に「病気」として扱われ、感染者と非感染者が互いに互いを隔離しながら生きている、その孤独が味わい深い。
幾度も消毒するMarkの手の神経質さ、何重にもする手袋、感染者用と非感染者用に別々に売られる飲み物、Jonathanの飲む不思議なフレーバーのついた水──そんなふうな、色々なディテールから孤独が色濃く浮き上がってきます。
Markは非常に潔癖にJonathanを避け、JonathanもMarkを避ける。
彼らは、やむなく2人での逃亡生活に出るのですが、その先で出会った人々は彼らなりの「感染者・非感染者」の壁を持っている。それはMarkとJonathanのものより薄い壁ですが、そこに厳然として存在する。
距離はいくら近づいても、孤独はなくならない。
Markはその「近づいた距離」を見ますが、Jonathanはそこに残ってしまう「孤独」を見る。どうやってもMarkにふれることはできないのだと。

そして、その「孤独さ」こそが物語の鍵でもあります。MarkとJonathanだけでなく、追ってくる者の根にあったものも、拭いがたい孤独であり、その孤独から生まれた残酷さであった。
Jonathanの後悔が鮮やかにくつがえされる、あのオチはいいですね。

何しろ、感染してしまうと最後のステージまでたどりついて生きのびる人間はとても少ない。ふれたが最後、きっとその先にはMarkの死が待つ。
MarkとJonathanの間にあるテンションは無視できないものですが、そこには常に死の匂いがつきまとう。
ダークでクールな雰囲気が、とても独特。静かですが、緊張感に満ちている。表紙のスタイリッシュさがそのまま最後まで書ききられる感じです。

変わった吸血鬼物を読みたい人におすすめ。

★吸血鬼感染
★逃亡












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