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The Dickens with Love
Josh Lanyon
The Dickens with Love★★ summary:
3年前のスキャンダルによって、ブックハンターのJames Winterはすべてを失った。
名声、職、恋人、彼とともに暮らした家、そして自分自身への誇り。

だが何とか裕福で傲慢な顧客を1人つかみ、彼は食いつないでいた。
本を見る目には自信がある。
彼が自分を疑っているのは、人を見る目だった。それさえあれば、こんなふうに人生から転落することもなくすんだ筈だ。

顧客は、ディケンズの未発表のクリスマス作品がオークションにかけられる前に、それが本物であるか確かめ、本物であればどんな手を使っても入手しろとJamesに命じる。
その仕事をやり遂げなければ、彼に先はない。

だが本の持ち主の教授は、Jamesの過去を知っていた。彼はJamesに疑いの目を向ける。
過去はいつまでJamesの足を引っぱるのだろう。彼を、誰が信じてくれるというのだろう。
.....



クリスマス・キャロルの作者として有名なディケンズですが、彼には「クリスマス・ブックス」と呼ばれるクリスマスシリーズがあって、5編、発表されているそうです。
その6編目を誰かが持っていて、オークションにかけようとしている?という話。

35歳のブックハンターJamesは、本の持ち主である42歳の大学教授Sedgwick Crisparkleと顔を合わせ、彼の持つディケンズを見て、一目でそれが本物だと確信します。
Jamesの、本に対する、そしてディケンズに対する愛情がその時の興奮にあらわれていて、だからこそ過去のスキャンダルに足をすくわれる彼の姿がいたましい。

彼は本がほしい。それと同時に、持ち主にも惹かれてしまう。
雇い主が誰なのか、Sedgwickに告げることは禁止されていて、Jamesは罪の意識を感じながらも彼と近づいていく。物事を隠したまま仕事と私的感情が入り乱れてしまう、そりゃ大抵行き詰まるものと相場が決まっています。
案の定、Jamesも失敗する。クリスマスなのに。

ディケンズに愛着を持っている方が面白く読めるとは思いますが、ブックハンターの内情がかいま見えるのが楽しい。
教授はちょっとキャラが薄い気もするんですが(紳士的で素敵な人だが)、その分を補って余りあるのがJamesの痛みでしょう。彼は傷つき、人生を見失い、それでも本を愛してもがいている。明日の食事もあやしいのに、狭いアパートの自分の本棚を眺めている。
そんな彼が、孤独なクリスマスシーズン、傲慢な顧客と頑固な大学教授や幻のディケンズの本の間をさまよう姿には独特の切なさが漂っています。強気で、シニカルで、独立心が強く、でも孤独で繊細。

ディケンズのクリスマスストーリーをめぐりつつ、これ自体がひとつのクリスマスストーリーという構成になっています。
現実のほろ苦さと、クリスマスならではのおとぎ話的な美しさが絡み合って、後味はさらりときれい。

小粋なクリスマスストーリーを読みたい人、古書萌えの人におすすめ。

★クリスマスプレゼント
★雪












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