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Zero at the Bone
Jane Seville
Zero at the Bone★★★ summary:
外科医のJack Franciscoは、病院の地下駐車場で女性が殺される現場を目撃してしまう。

裁判の証人として保護された彼を、「D」という名の殺し屋が殺しに来た。
しかし彼はJackを殺さなかった。

そもそもDは、この依頼を受けたくなどなかった。だが誰かが彼の正体をつかみ、依頼を受けるよう脅迫してきたのだ。
Dはたしかに殺し屋だ。だが、彼は彼なりの線を自分の中で引いていた。殺すのは、殺されるべき理由がある相手だけ。そしてJackに理由はない。彼はただタイミングが悪い時にそこに居合わせただけだ。
彼にはJackは殺せない。
だがもしDがここで逃げても、誰かがこの不運な外科医を殺しに来るだろう。誰かがJackを殺そうと決心していて、彼に安全な場所はないのだ。

Dはやむなく、Jackとともに、彼を守りながら逃亡をはじめる。
感情を深く埋めた殺し屋と、外科医。
彼らは生きのびられるだろうか。そして2人の間に何かの感情が生まれたとして、そこに未来はあるのだろうか?

しかも、狙われているのはJackだけでない。Dを執拗に狙い、苦しめようとするのは誰なのだろう。
.....



去年話題になった本らしいです。なかなかよく書けていて、骨太な話です。
Dは孤独で、すべての過去と自分の中の人間らしい部分を葬った殺し屋。彼には殺しをはじめた理由があるのですが、それも含め、感情を遠いところに沈めてしまっている。自分がもう、人間だという気すらしない。

Jackと思わぬ形で逃亡生活を始めてから、それが少しずつ変わっていく。
Jackはなかなかおもしろい男です。人並みに怖がったり、混乱したりするけれども、好奇心が強くて、癇癪をおこすとなかなかすごい。非日常のストレスが彼に無茶をさせている面もあるのですが、彼はほとんど義務感のようにDの中にあるものを見いだそうとする。
それは一種、医者としての本能なのかもしれません。傷を見ると放ってはおけない、みたいな。
誠実にしつこい。

Dの中で絡まって固着したものは、そう簡単にほぐせるものではない。そしてまた、彼の人生は人の命を奪ってきた道でもある。
Jackは彼と対立し、自分の価値観を揺さぶられて混乱し、時おりDのために心底悲しむ。いい人です。そしてそんなJackに、Dは惹かれていく。
2人はもう後戻りできませんが、先に何があるのかもわからない。

逃亡生活の中での緊張や対立、感情の揺れが強く描き出されています。
Dを助ける謎の存在「X」とか、裏の話も面白い。
個人的にはDがもうちょっとニヒルなままでもいいかなーと思いますが、Jackに転んでからのDの、世界の中でJackだけが安全な場所であるかのような切迫した情熱も読みごたえがあります。何だか色々自分が剥き出しになっちゃって、どうしようもなくなってる感じが切ない。

JackはDの過去をそのまま許すことはできないし、Dは自分がJackにふさわしい男だとは思えない。
彼らは色々な痛みをのりこえて、自分たちでどこか妥協点を探し出さなければならない。そういう、もがく様子にリアリティがある。

結構Dのしゃべり方が崩れているので、会話文を読み慣れた人向けかも。D視点になると地の文も同じように崩れるし。

“Usedta do, ya mean.”


とか(Used to do, you mean.)。全体がこんな感じ。
この言葉づかいの差というのは、JackとDがまるで違う世界の人間であるということを強調しているのだと思う。あくまで正しい文法でしゃべるJackをDがからかうシーンもある。

「殺し屋とターゲット」とか聞くだけで萌える人、正反対の世界のカプ、骨太な話が好きな人におすすめ。長いし密度が濃いのでたっぷり楽しめます。エロも多し。
作者のサイトでは後日談の短編が出ています。色々と困難を乗り越えつつがんばっていて、そのうち続編とか出るかもしれないなーと思ったり。

★殺し屋
★証人保護プログラム












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