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Lynx Woods
P. A. Brown
Lynx Woods★★ summary:
Tyler McKayは環境工学のエンジニアである。
今回の仕事は、荒れ果てた土地のゴミを片付け、治水をし、木を植えてその場所を再生させることだった。
もっとも彼自身は途中まで仕事をするだけで、後は自然が自ら回復していくのだ。

クライアントは、その場所の絵を画家に描いてもらおうと考えていた。彼が選んだのが、自然を描くことにかけて定評のある、最近名の上がっている画家、Charlie Reid。
TylerはCharlieに初めて会った瞬間から、強く惹かれるものを感じていたが、Charlieがゲイなのかどうか彼にはわからなかった。

Charlieがゲイなのかどうか──
それがわからないのはTylerだけではない。Charlie自身、それをわかっていなかった。認めようとしていなかった。
Charlieの人生は、己の半分を否定するような人生でもあった。

強烈に互いを求めながら、Tylerは手をさしのべ、Charlieはそこから逃げ出す。
逃げ出そうとして逃げられない、だが認めることもできない。
Charlieの迷いと混乱はTylerをも傷つけ、2人の強情な男たちはどちらも苦しみながら、出口を探していた。
.....



自分がゲイであることを否定している男と恋に落ちた話。

舞台はカナダ。Tylerが木の高さを「6メートルくらいかな」と言うと、アメリカ人のCharlieが「メートル?」と混ぜっ返し、Tylerが「お前のために言うなら20フィートだよ」と言い返すシーンがあったりしておもしろいです。
2人とも、従属的なタイプではなく、典型的な「アルファ」タイプですが、互いに対してその支配欲を振りかざしたりはしない。それより何より、彼らの間に立ちはだかるのはもっと大きな問題なのです。

Charlieの中には恐れがある。彼は学生の時に傷つき、それ以来ひたすらにゲイであることを隠してきた。
家族にも知らせていない。
どれほどTylerに惹かれていても、Charlieの中にはまだ迷いがある。そしてTylerは嘘をつくこと、隠れた関係を続けることに耐えられない。たとえ自分自身が耐えたとしても、それはいつかCharlieへの気持ちを殺してしまうのではないかと思う。

結局のところ、Charlieの敵はCharlieなんですが、1番厄介な敵とも言えます。
Charlieがもがき、Tylerが巻きこまれて何度も苦しむ。強い、自立した男たちが、仕事をしながらがつがつとぶつかっている感じが読みどころです。真っ正面からぶつかり、時に手が出たりする。
一瞬の情熱に流され、我に返って離れ、離れていられずに戻ろうとする。
どれほど好きでも、何度もそんなことをくりかえしてはいられない。
そういう情熱と苦しみが、たたみかけるように書かれています。

んでもってTylerにはもっと受けタイプ(というかクイーンというか)の恋人がいて、途中で別れますが、この恋人がすごくかわいいですね。
最初はまさに頭がからっぽのビッチちゃんに見えますし、実際ビッチちゃんですが、段々と複雑な物をかかえこんだ内側や彼の強さが見えてくる。恋人としてより、友人となった後の方がずっと2人の関係が豊かだというのがおもしろいです。
いい友達だ。そしてそんな彼が絶大な信頼を寄せる、Tylerというのはそういう男なのだなと読んでいるうちにわかっていきます。

強い男同士が惹かれあう話がツボの人に。
荒れ地を再生させていく過程もきちんと書かれていて、それもまた彼らの関係のメタファーになっているので、「仕事をする男」が好きな人にもおすすめ。

★カミングアウト












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