Slash×Slash

Slash(m/m小説) レビューブログ

※万人向けの内容ではないのでご注意ください
→このブログについて

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

From Afar
Ava March
From Afar★★ summary:
1817年、ロンドン。
Raphael Laurentはいつも孤独だった。吸血鬼に変えられたこの36年というもの、ロンドンにいるほかの吸血鬼達との交流も拒み、彼はただ孤独だった。
Aleric Vane、公爵の息子に出会うまでは。

それから3年、RaphaelはいつもAlericを見ていた。彼の生活のサイクルを知り、彼が好む娼館、好む娼婦、好むプレイまでも知っていたが、決してAlericに近づくことはなかった。
心の底から求めているが、あきらめていた。AlericがRaphaelの手の届くところにくることはない。
孤独にも痛みにももう慣れきっていた。

公爵の息子Alericは何かを求め、家族の制止をふりきってロンドンへ来たが、3年のロンドン暮らしも彼の中にある虚無を埋めることはなかった。
何を求めてきたのだろう。もう金がつきれば、道がない。父親の許しを得に戻ることは考えられなかった。

そんな夜、Alericは暴漢に襲われる。駆けつけたRaphaelが暴漢たちから彼を救い出すが、Alericの傷は命にかかわるものだった。

Raphaelは、Alericを救うことができる。吸血鬼に変えさえすれば。だがそれはおきて破りだ。
それに、こんな形で救われてAlericは彼をどう思うだろう? 化け物だと思われて、この先の長い孤独を生きていけるだろうか──
.....



19世紀のロンドンでの、貴族の若者と、彼に恋した吸血鬼の話。

吸血鬼と彼に変化させられた相手、と吸血鬼ものとしてはわりとよくあるパターンですが、なかなかその「吸血鬼」っぷりがよく書けています。吸血鬼になったAlericは五感が研ぎ澄まされ、その中でも一番情欲がもろに影響を受ける。つまり欲情しやすい。うーん、おいしい。

Raphaelは長い間Alericを見ていて(ほとんどストーカーのようだ…)、思わぬ形で彼はAlericを手に入れてしまう。
それは彼にとっての幸福であるけれども同時に恐怖で、いつか失うかもしれない、このおきて破りが自分とAlericにはね返ってくるかもしれないと、彼は心の深くで怯えている。

Alericは状況の変化に驚くし、とまどいますが、元々彼は人生に行き詰まっていたのでわりと正面からRaphaelの存在を受けとめます。
彼はやや傲慢で支配的な公爵の息子だけれども、繊細でやさしいところがあって、Raphaelの孤独にすぐ気付く。Raphaelの住む屋敷を見て、その暮らしぶりを見て、Raphaelがどれほどひとりで孤独なのか、どれほどAlericを必要としているのか感じとる。
そういう優しさ、気持ちの大きさと、激した時の強さのコントラストが実に魅力的です。

Raphaelは吸血鬼だけれども、ほとんど迷える若者のようで(多分彼はずっとそうだったんでしょう)、Alericの強さに惹きつけられる。
彼の中にある痛み、孤独が物語の中から透けてくる様は、Alericならずとも痛々しい。あきらめるようにして時をすごしてきた、そんな彼はAlericに出会ってしまって望みを持つ。

Alericは、男色が罪の社会から一気にふたつのボーダー(男色と吸血鬼化と)をとびこえたわけで、そこのところはもうちょっと葛藤がほしい気もするけど、でもそれもAlericの強さのあらわれではあるのかも。
こういう、傲慢さの入りこんだ貴族のたたずまいを書かせると、この作者はやはりうまいし、萌える。
ロンドンの吸血鬼組織の様子も暗く陰惨で、あそこにもドラマがありそうですね。

特に表記がないんですが、これは続き物なのかなあ。
一本ものだとすると、ちょっと唐突な終わり方のような気がします。ちゃんと完結はしているけれども。続きがあるといいな。

吸血鬼ものというよりは、やっぱりヒストリカル貴族ものという雰囲気の方が強いです。
貴族と吸血鬼は雰囲気が合うし、両方好きな人においしい一冊。勿論色気たっぷりで、濃密です。
ストーリーとドラマとエロがバランスよくちりばめられていて、味わいのある吸血鬼ものになっています。

★吸血鬼化
★おきて破り












管理者宛の投稿

★Three-Star rating system★


[カテゴリ]View ALL
レビュー (310)
★★★ (88)
★★ (188)
★ (34)
モノクローム・ロマンス (10)
電子ブックリーダー (23)
iPodTouch・Stanza (19)
nook (4)
雑談 (84)
英語 (29)
文法 (4)
読書日記 (11)
…このブログについて (8)
…書店情報 (2)
[タグリスト]

05 | 2017/06 [GO]| 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

カテゴリ一覧 最近の記事一覧 プロフィール リンク一覧 メールを送る
[カテゴリ]


モノクロームロマンス(M/M翻訳)


■公式サイト■

・2017年
・7月 ヘルハイ3巻
・夏 雑誌短編
・後半 王子二巻
・12月 アドリアンXmas
・冬 雑誌短編
・ほかにも出るかも
・不甲斐なくてごめん

*発行済*
・フェア・ゲーム
・フェア・プレイ
・ドント・ルック・バック
・恋のしっぽをつかまえて
・狼を狩る法則
・狼の遠き目覚め
・狼の見る夢は
・天使の影(アドリアン・イングリッシュ1)
・死者の囁き(アドリアン2)
・悪魔の聖餐(アドリアン3)
・海賊王の死(アドリアン4)
・瞑き流れ(アドリアン5)
・幽霊狩り(ヘルハイ1)
・不在の痕(ヘルハイ2)
・還流

*他訳者さん*
・わが愛しのホームズ
・ロング・ゲイン
・恋人までのA to Z
・マイ・ディア・マスター

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。