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Home Of His Own
T.A. Chase
HomeOfHisOwn★★★ summary:
Tony Romanosはプロのロデオライダーとして各地を旅しながら、友人のRandyとLesが暮らす牧場にたびたび転がりこむ。彼らはTonyを家族のように迎え、家族のように愛した。そこはほとんど、Tonyにとって「家」と呼べる唯一の存在だった。

Tonyは15の時、家族にカミングアウトしたがそれは悲惨な結果におわり、家族が決して自分を受け入れないことを悟った彼は家を出ていく。ひとりで生きていくことを学び、ひとりで生き抜いてブルライダーとなった彼は、RandyやLesのような友人を得て幸福だったが、彼自身の家──彼だけの居場所はいまだにどこにもなかった。
そんなある日、縁を切った、彼を嫌悪している筈の家から手紙が来る。Tonyの甥にあたるJuanがどうやらカミングアウトして、実家は大騒ぎになっているらしい。来てほしいと姉に乞われるが、Tonyは一体自分に何を求められているのか、どうしていいのかよくわからない。自分が自分でありつづけるために家族を捨ててきた彼が、今さら甥に何を言えるだろう。

Brody MacCaffertyは、弟と2人で身をよせあうように暮らしていたが、ギャングの犯罪行為に関ったことからついに殺すか殺されるかというところまで追いつめられ、弟を残して故郷を去る。
LAでボディガードとして身をたて、やがて自分の警備会社を持つまでになった彼は「必ず迎えにいく」と約束した弟を探し出そうとする。だがたぐった糸は、奇妙なところでTonyと彼とを結びつけていた。

どちらも一夜の関係(one-night stand)だと思っていた。もう一度会うとは思っていなかった。
どちらも自分にとっての「家」を持たずに生きてきた。互いが互いの帰る場所になることなど、想像もしていなかった。
.....


No Going Homeに出てきたブル・ロデオのカウボーイTonyの物語です。No Going HomeはRandyとLesの話でしたが、この話では彼らが脇役になります。
この「Home of his own」は本当にとても大好きな話です。話もいいし、キャラもいい。
Tonyはしたたかでシニカルな大人ですが(煙草を吸っている様子が非常に格好いい)、ユーモアに満ちた男です。RandyやLesなどの心を許した相手のそばにいると子供のような面も見せ、Randyとは特に兄弟のようで、何かあるととっくみあったりしてもう大変。
その一方、Tonyは家族を捨ててきたことによる深い孤独の影も持っている。自分の内側に空虚な場所があることを知っていて、それが埋められる日を心のどこかで待っているが、そういう日がこないだろうとも思っている。
多分、自分の中にある影ゆえに、彼はどこか無邪気なRandyが好きなのだと思う。そしてTonyはLesにも惹かれ、LesもTonyに惹かれているが、RandyとLesの間にあるものはTonyにとって手をのばせないものだった。多分、出会うのが少し遅かった。
Randyたちと一緒にいる時間はTonyにとって楽しい時間ですが、ほろ苦くもある。

人生を生き抜くことを知り、その苦さも知りながら、煙草を吸って自分自身ごと笑いとばす──Tonyはそんな男で、BrodyはそんなTonyに強く惹かれていきますが、その一方でTonyが命がけで牛に乗っていることにも向き合わなければならない。馬のロデオ以上に牛のロデオは危険で、いつ大怪我をするか、もしかしたら命を落とすことすらあるかもしれない。
ある日ロデオサーキットで事故を目のあたりにしたBrodyは、その悲惨さを恐れる。だがそれはTonyの生き方で、Tonyと関係する限り受け入れなければならないものでもある。
一方のTonyは甥の問題に力を貸してあげたいと思うが、実家のほとんどの人間はTonyを相変わらず蛇蝎のように忌み嫌い、そこに戻る場所はもうない。Tonyがかつて一度は「Home」だと思った場所は、もはやこの地上のどこにもない。

どちらも強く、自分の力で生きてきた男たちが、よりかかるのではなくよりそうように、恋以上のものを育てていく。その日々は濃密で、ドラマティックで、時にユーモアに満ちている。
彼らは自分の「Home」を手に入れることができるのか。人にとって「Home」や「Family」というものが何であるのか、それはただ場所や血のつながりのことを言うのか。

ちなみにTonyが加わっている「PBR」はブル・ライド専門のロデオ組織で、PRCA(プロフェッショナル・ロデオ・カウボーイズ協会)におけるブル・ライドの地位の低さに不満を持った選手が設立した協会です。プロとして加わるにはいくつかの条件が必要ですが、賞金が高いことで知られ、アメリカ1のロデオ組織です(対抗組織としてCBRというのもあります)。ロデオ、それも牛を使ったブル・ライドは今アメリカでビッグビジネスになりつつあるようで、その牛の競りもすごく盛り上がるらしい。
前作の「No Going Home」ではTonyはまだPBRに加わってなかったので、その次の年に条件を満たして参加し、ブルライダーとして順調にやってきたようです。

あと、おまけとしてRandyとLesのクリスマスストーリー「Where His Home Lies」がついています。これはひたすらに甘い! 作者のT.Aは男性ですが、スラ読んでると男の人の方がロマンティックな話を書く気がします。

★エロ度高












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