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The Elegant Corpse
A.M. Riley
The Elegant Corpse★★☆ summary:
Roger Corsoは警官として働きながら、ゲイであることは隠していなかった。
だが、彼がBDSMのシーンに深く関わっていること、根っからの「Master」であることまでは明かしていなかった。

長年のパートナーを失い、馴染んだクラブの相手とたまの楽しみを共有する日々が続く中、誰かがRogerの秘密に土足で踏み込む。
何者かが、美しく布に包まれた死体を、Rogerの家のソファに安置したのだ。その死体は革の鞭を手にしていた。
明らかに、Roger個人に当ててのメッセージ。
誰が、何のために?

殺人事件として捜査にかかったRogerは、被害者の弟に会う。
Sean。どこか落ちつかない若者は何かを隠していたが、Rogerに話そうとはしない。

Seanの何かが、Rogerをひどく苛立たせた。青年の中にある混沌、ためらい、怒り。欲望。
彼は自分が何者か、何を求めているかわかっていない。
Rogerは自分ならその答えを彼に与えられると知っていた。だが、Seanはそれを望むだろうか?
そしてRoger自身は?
.....



BDSMシーンを中心としておこる連続殺人事件と、その中で翻弄される、迷えるDomとSubの話。
警官のRogerは愛したパートナーを失い、迷っている。
被害者の弟Seanは自分の中にあるものを凝視できず、無視もできず、揺れている。

彼らは相手の中に、今の自分に欠けているものを見るけれども、どちらも最後の最後まで迷いを振り切れていない。
その迷いどころ、支配しながらためらうRogerと、反発し、怒りを見せながら切迫した欲望に揺らぐSeanとの、切れ切れの交錯が鮮やかに書かれています。

捜査はBDSMのシーンにも深く入りこみ、Rogerの知り合いたちが大勢顔を見せる。クラブで働いている友人、Domとして高名だが今は車椅子で闘病生活を送る男(でも根っからの「主人」。Rogerですら頭を低くしなければならないほどに)、道具のコレクター。
アングラな社会が、都市の日常に薄くかぶさるように、すぐそこに横たわっている。そのあたりの雰囲気もおもしろいと思う。

ちょいっと捜査の部分は冗長かなーと思わないでもないんですが、実はこの作者はどの作品もそういうきらいがあるので、作者的萌えなのでしょう。それはもう仕方ないな。つまらないわけじゃないんですが、個人的にはバランスがもうちょっと。
その一方で、2人の人間が見つめあう時の、いびつで濃密なテンションの高さはさすがです。一瞬の温度がすごく高い。誰でもいい相手を好きになったわけではない。この相手でなければ駄目で、それゆえにそこには純粋な痛みがある。

迷い、憤るSeanと、彼に揺さぶられるRogerの対比は強烈で、何回か再読するにつれ、そこにある感情の駆け引きがより深く見えてくるのがおもしろい。噛めば噛むだけ味が出てくる話でもある。
Seanは誰かに支配されたいのだけれども、そんな自分が異常ではないかと思い、もがいている。自分を否定するのも、認めるのも苦しい。その苦しみにRogerは惹きつけられ、動揺する。
彼らの痛みはもつれあっていて、それが複雑な感情の形を描き出す。

最後の最後、彼らが自分たちの壁を越えようと2人でもがく、そのシーンは本当に美しかった。
2人で鏡をのぞきこみ、そこにふたつ頭のある怪物──自分たちの姿──を見る瞬間は、BDSMものの中でも屈指の印象的なシーン。

BDSMというシーンの裏にあるもの、そこで己の存在を模索する人と人の心のかかわりの形。そういったものがシャープに書かれています。
このジャンルに興味のある人や、強気な態度と裏腹に心が揺れ動く、口の悪い受けが好きな人におすすめ。攻めもパワフルでいい男です。

★シリアルキラー
★支配的な攻め×強気受け












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