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Death of a Pirate King
Josh Lanyon
Death of a Pirate King★★★ summary:
Adrien English Mysteriesシリーズ4。

ミステリ書店を営むAdrien Englishは趣味でミステリを書いていたが、デビュー作がハリウッド俳優Paul Kaneの目に留まり、映画化の話まで舞い込んできた。
Adrienは招待されたパーティに出かけて、ハリウッドの人間を映画化の味方につけようとする。

だがそこで殺人事件が起こり、その捜査にやってきたのはJake Riordan──Adrienの昔の恋人だった。
2年ぶりの再会は、Adrienの気持ちをかき乱す。

Adrienをパーティに招待した俳優Paul Kaneは、どうやらJakeと古い知り合いらしい。Adrienが事件に首をつっこんできた話も知っている様子の彼は、Adrienにこの殺人事件を調査してくれないかと依頼してきた。
驚いたことに、Jakeまでそれに同意したのだった。かつて、Adrienが事件に関わることを何より嫌がった男が。
Adrienは気が進まないが、Paulは映画化の話を彼の鼻先にちらつかせ、仕方なくAdrienはJakeと協力して事件を調べ始める。

それはいい考えではなかった。2年たってもAdrienとJakeの間にあるものは何も変わっていなかった。
そしてAdrienは、JakeとPaul Kaneの間に秘密があることを知る。ずっと前、まだAdrienがJakeに出会う前からの暗く深い秘密は、Adrienへ闇のようにしのびよって‥‥
.....



Adrien Englishミステリシリーズ4作目(3冊目だけど)。
Adrienは相変わらずシニカルで、独特のユーモアセンスから世の中を斜めに見ていますが、「Jakeと別れてからますます孤独に、ますますきつくなった」と母親やみんなに言われてうんざりしている。
新しい恋人とはなじんでいて、特に相手に不満はない。だが何かが足りないような気がしてならず、どこか決定的なものが欠けたまま、そんな日々の中で彼はJakeに再会します。

この話はとてもきつい話で、読んでいる途中に何度か読みすすめられなくなったりしました。Adrienは傷つくだろう、という予感がひしひしと物語の中から押し寄せてきて、つらい。彼は勇気があるけれども、とても繊細で孤独です。人にたやすく心をひらくたちではない。
かつてJakeだけはAdrienの深いところまで入りこんできた。だが彼らの関係は、かなり衝撃的な形で、前作で終わっています。

その傷がまだAdrienの中に生々しく残っている。そのことを自分からも隠すように、Adrienはシニカルに振る舞ってJakeと捜査を進めるけれども、すぐそばに奈落が口を開けているようなひやひやする展開です。
Jakeが苦しんでいるのもわかる。まだAdrienを求めていることも。それはわかるが、この男は本当に困ったもんだと思います。「また友達になれないか」とかさ。
ゲイであることを隠し、「ノーマル」な生活の為に色々なものを犠牲にして、心に多くを抱えこんだ本当にいい男なんだけど。つらい。

もっともAdrienも傷ついてばかりではなく、人を傷つけたり、まちがった判断をしたりする。彼には彼の弱さがあります。
誰もが弱さをかかえ、誰もがもがいている。

捜査は、古い時代の不審死まで遡り、Adrienは犯人にたどりつくのです。
ラストの方でAdrienが犯人に仕掛ける罠はちょっと陳腐で無茶じゃないかと思いますが、それもAdrienがJakeを守ろうとするからの無謀で、それが切なくもある。ドラマティックで、最後の最後に裏切られたと感じるAdrienの痛みが鮮やかです。
痛みと恋と、AdrienとJakeの人生の交錯が見事に描き出されていて、時おり息苦しくなるほどの緊張感が味わえます。
恋は人の価値観を、その人間がしがみついて守ってきたものを変えることができるのか。Jakeは、Adrienのために変われるのか。彼らの人生はどこへ向かって行くのか。

やっぱりこのシリーズは名作だと思う。この中には人生がある。
というわけで、「小説」をがっつり読みたい人におすすめ。シリーズの頭から読まないとなりませんが。
気楽な読書ではありませんが、プラスにもマイナスにも気持ちを揺さぶられる、それは読書のひとつの醍醐味だと思います。

★病弱
★再会












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