Slash×Slash

Slash(m/m小説) レビューブログ

※万人向けの内容ではないのでご注意ください
→このブログについて

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Pale as a Ghost
Stephen Osborne
PaleGhostLG.jpg★★★ summary:
A Duncan Andrews Thriller1

Duncan Andrewsは私立探偵だ。
だが、普通の探偵ではない。彼の恋人Robbieは十年前、19歳の時に交通事故で死に、それ以来十年間、幽霊としてDuncanと一緒に暮らしている。
親友のGinaは何百歳かわからない魔女であり、飼い犬はゾンビだ。

Duncanは、子供の時から幽霊が見えた。
この世の中には、ほかにも人間以外の色々な存在が生きているのだ。

恋人、Robbieを今でも愛しているが、それにしても十年、セックスなしというのは厳しい。
人間とのふれあいも恋しい。ちょっとデートしてみようか、とDuncanは考え始めるのだが、Robbieに可哀相な気もしてならない。

だが根本的に明るい、永遠の19歳・Robbieには別の考えがあった。
もしDuncanのデート相手に霊感があるならば、ちょっとのりうつって──できないだろうか、その体を使って、セックスが?
.....



設定がトンデモ系ですが展開自体は地に足がついている感じの、探偵ものシリーズ。
多分、全四冊で完結したのかなと思うんですが、はっきりとはわからない。でもとてもかわいくて切ない、楽しいお話です。
DuncanとRobbieはかつてとても愛らしいカップルだったんだろうなと思います。今、幽霊になって十年一緒に暮らしながら、気持ちは衰えていないけれども、十年は長い。十年たてばDuncanも三十歳くらいになるわけで、Robbieが永遠の19歳なのに対して自分ばかりが年を取っていくことに悩み始めている。

幽霊についてのルールもかなりはっきりしていておもしろい。
幽霊は、死ぬまでに行ったところにしか行けない。死ぬまでに着た服しか着られない。エネルギーを集めて、少し存在感を出すことはできるけれども、わずかでも実体化した時に消費されるエネルギー量は半端ではない。
それでも、Robbieがすべてのエネルギーを振り絞って一瞬のキスをして、そのまますうっと消えていくところとか、なんてけなげでかわいいんだ!
まあ「お前のデート相手にのりうつれないかな?そしたらデキるかな?」とか言い出しますけどね、Robbie。Duncanも「それって厳密には3Pなのかどうか……」とか悩んでる場合じゃないから!
結果どうなったかは、読んでのお楽しみということで。

さて、探偵仕事も真面目にやっています。今回は人捜しとか、妙な心霊現象がおきる家に出向くとか。
町では次々とストリッパーが殺され、内臓を持ち去られている。
果たしてそれは何か、人ならぬものの仕業なのか?

なにしろ幽霊相手なのでエロなしですが、すっごく!かわいいし、エロが難しいだけに時おりのキスとかが本当に萌える。
人間の恐怖をエネルギーにして動く悪霊を目にして、Duncanは魔女のGinaに問う。「じゃあ、Robbieは何をエネルギーにして存在してるんだ?」
「もちろん、あなたの愛よ」
もちろんね!!!!でも本当に人間と幽霊はずっと恋人でいられるのか?Duncanのセックスレスライフも問題だが、ほとんど誰からも見えないRobbieもまた、実は孤独です。彼にはいくべきところがあるのか、幽霊がまだこの世にとどまっていることは本当に正しいのか。
愛だけで、本当に十分か?

シリーズまとめてオススメです。

★人間×幽霊
★ゴーストバスターズ

スポンサーサイト

Training Season
Leta Blake
training season★★☆ summary:
Matty Marcusはすべてを犠牲にして──自分のすべてを、そして家族のすべてを──オリンピックの夢にかけてきた。
だがその夢はかなわず、負傷によってフィギュアスケート選手としてのキャリアすら終わりかねないところにいた。

支援者の好意により、Mattyはモンタナの牧場で冬をすごすことになる。だがMatty当人は不満で一杯だった。何故、なにもないモンタナなどに彼が行かねばならないのか。

だが行ってみると意外と居心地がいい。そして、隣の牧場主Rob Lovelyはまさに理想のカウボーイという様子だった。

そう時間のたたないうちに、二人はベッドを共にするようになる。その中でRobはMattyを導き、感情をコントロールしてそこから力を得るすべを教えてくれる。
二人の関係は完璧なものに見えたが、Mattyはたとえ恋のためでもスケートをあきらめることなどできず…
.....



フィギュアスケートもの。
Mattyのキャラに好き嫌いが分かれるかな、と思います。こう、非常に自分中心でひけらかし系で、リップ塗ったらグロス塗らなきゃ!と騒ぐタイプ(文字通り)。
私も最初ちょっと腰が引けたのですが、この作者は筆が巧みで、そのMattyの態度が己の自身の中を隠す鎧であることや、Mattyの奥底に弱さが隠れていることをRobとの関係の中から暴き出していきます。
そうなると、かわいいやつじゃないか。やっぱり服とか化粧に小うるさいのはどうかと思うけど、でもまあ美を競う競技だしな、フィギュア。

Mattyの家族は疲れ切っている。フィギュアはとても金のかかるスポーツで、夢だけでは続けていけないのです。Mattyの親はすべての金や引退後のたくわえを切り崩し、弟たちの大学へ行く金も使い果たしている。
その夢を背負いながら、Mattyは挫折できない。彼はわがままに、一人よがりに夢を追っているように見えますが、実は芯のところで家族の期待を背負って、それに心を折られまいとあんなに生意気な態度で世界へ挑んでいるのではないかと思うのです。ほんとに生意気だけど!
そのあたりを読んでいくとフィギュア好きはなんかそれだけで泣けるぞ!!ほんと!

Robがまた、いい奴。いい奴!彼もまたあきらめてきた夢がある。挫折がある。でもすべてを受け入れる、まさにモンタナの自然のような包容力の深さがあります。
それと同時に彼はセックスに関しては強い支配欲があり、Mattyを甘やかしながらどんどんとセックスの中で新たな主従関係を築いていく。
BDSMシーンはなかなか濃い。普通のマスター/サブともちょっと違いますが、支配の中でMattyを支え、弱さを暴きたてて、解放していく様子はドラマティックです。
プレイも一部マニアックでな。窒息プレイとか、トイレプレイ(軽めです)とかあって、びっくりしたよ正直。

そんなわけで、全体におもしろかったし、Mattyが傷だらけになりながら夢を追っていく様子は痛々しくて本当につらかった。いくつか私の趣味からそれた部分もあるんですが、それがちゃんとこの物語を構成する要素として成り立っているのもわかるので、マイナスがプラスを相殺しない感じの、希有なお話です。
フィギュア好きな人は特に、実にあちこち痛いので、心が元気な時に読むように。オリンピックのシーンとか本当に涙が出たよ。
Mattyの夢はどうなるのか。Robもまた、一度は手放した夢を取り戻せるのか。

ちょっと変わったBDSM好き、生意気な受けがひとつずつ落ちていくような話が好きな人にオススメ。

★フィギュアスケート
★包容×小生意気

The Bucket List
Douglas Black
db_thebucketlist.jpg★★ summary:
Kade Dohertyは恋人にこっぴどく振られ、「お前は退屈だ」と言われる。
それを友人に泣きつきにいったが、そこでも近いことを言われてしまい、己に絶望していた。
そんな彼に、友人が「Bucket List」を押しつけてきた。「死ぬまでにしたいことリスト」だ。そのリストはめちゃくちゃだった。サメと泳ぐとか、スカイダイビングとか……

だがKadeはしぶしぶと、リストをこなしていく。「アジアの食材専門スーパーで買物をする」。
ドキドキしながら店内に入ると、オーストラリア訛りの実にいい男がいた。
そのBlakeは、Kadeを魅力的と感じているようで、Kadeは驚くが、彼もまたBlakeと一緒にいるのが楽しかった。

Blakeは活動的な男で、まさにアウトドアタイプ。そんな彼がKadeの「リスト」を見つけて「こりゃ凄い!」と感心し、Kadeは咄嗟にそのリストを自分が作ったものだと、そしてリストのほとんどをこなしてきたと言ってしまう。
どうしてそんなふりをしたのか。だが、もしKadeが本当はとても退屈な人間なのだと悟ったら、Blakeはもう彼を相手にしてくれないだろう……。
.....



振られた男がもっといい男と出会って人生の楽しみを発見する話。
意外性はあまりありませんが、展開は気持ちがよく、特に途中のアウトドアシーンがとても楽しそう!
さて、Kadeは自分でも「おもしろみのない男」だと自分を思っていますが、それにしても長年の恋人から手ひどく捨てられたのはショックだった。
自信を完全に失った彼は、ある時出会ったBlakeののびのびとした、あけっぴろげに生きているその自由さに惹かれていく。

この「bucket list」というのは前述のように「死ぬまでにしたいことリスト」です。スラングでは「kick the bucket」というと死ぬことで、これは首を吊る時に踏み台にしているバケツを蹴飛ばすところからきているブラックなスラングですが、その派生としてこの手のリストをbucket listと呼ぶようになりました。2007年の映画で有名になったようですね。ネットでもよく見かけるスラングなので、もうすっかり一般化した言葉だと言っていいでしょう。
最近では「死」というイメージはあまりなく、とにかく「一度でいいからこれやってみたいよね」くらいの軽い感じで使われています。

Blakeはアウトドアの指導員で、どうも過去にちょっとした傷のありそうな男です。彼に引きずられるように、Kadeはそれまでやろうと思ったことのないカヌーなど、自然の中に出ていく。自分にできるともやりたいとも思っていなかったけれども、Blakeといると出来そうな気がしてくるし、とても楽しいのです。
Kadeがいわれのない劣等感から解放されていく様子は読んでいてかわいいし、応援したくなります。いちいち自己評価が低くなってしまうKadeは、自分の中で囁く「お前なんか……」という声を振り払いながら、せっせと自然の中へとびこんでいくのです。萌えるというより、「がんばれ!」という気持ちにさせられる。

かわいい話なのですが、いくらか校正が甘くて、キャラ名の逆転などが数ヶ所見られたのが残念かなー。LooseIDは校正ちゃんとしている方だと思ってたんだけど。
それと、Kadeを振った彼氏が嫌な奴すぎる……「元彼が嫌な奴」ってよくあるパターンですが、やりすぎると「何でこんな奴とつき合ってたんだ」という気持ちになるので、さじ加減が難しいところです。まあロマンスの文法的にはまちがってないんだけど、ほんとに、本当に!嫌な男だったよ……

中編くらいでさらっと楽しく読めるので、気軽に楽しみたい時におすすめ。自然もきれいだし、キャラの性格も裏表がなくて(元彼以外は)、ほのぼのしてます。

★したいことリスト
★劣等感

The Blinding Light
Renae Kaye
BlindingLight.jpg★★☆ summary:
Jake Manningは黙ってられない、利口になれない性格だった。いつも余計なこと、正しいことを言ってはクビになる。
ツキにも見放され、彼はひとつの職にとどまれないでいた。
だがアル中の母親と三人の妹たちの面倒を見るには職がいる。

必死でつかんだハウスキーパーの職は、その派遣会社の誰もがさじを投げた案件だった。
Jakeは最初の訪問で、その理由を悟る。
ぶっきらぼうなメモであれをしろ、これをしろと命じてくる、非常に細かい雇い主。皆、それに耐えきれずに辞めていくのだ。
だがJakeは辞めるわけにはいかない。言いつけをこなしながら、彼は持ち前の余計な精神を発揮して、「Please」と書くようにと相手にメモを返す。二人の静かな応酬が始まった。

家の主人、Patrick Stanfordは全盲であった。Jakeはある日、たまたま彼と顔を合わせる。
てっきり陰気な老人を想像していたが、まさに意表を突かれた。そこにいたのは傲慢な、だが実に美しい男だったのだ。
.....



全盲で孤独な男と、世話焼きの男の物語。

まず物語はJakeの側だけで展開していきます。Patrickの姿は見えないし、指示を書きつらねたメモだけが残されている。あれをしろ、これをしろ、掃除をきちんとしろ、ラベルはまともに貼れ、大量の買物(メーカーも指定)、お前の香水は気に入らない……などなど。
なんだこいつは、と思いながら(大体香水はつけてないし)Jakeはひとつずつ仕事に取り組んで片付けていくのですが、後から、Patrickの指示に理由があることも段々と明かされていきます。
目の見えない男には、様々なルールで世界を構築していくほかに、その中を快適に生きていくすべがないのです。

全体におもしろい話で、中でもいいのはこの導入部。メモでの二人のやり取りから、それぞれの性格の違いも見えてくるし、二人の関係性の変化も出てくる。メモのやり取りが笑えるし、スリリングですらある。
そこできちんと描きこまれた陰影が、最後までこの二人の物語をしっかり支えていて、話に厚みを出しています。

やがてJakeはPatrickを外の世界へつれていくことになるのだけれども、家の中であれだけ帝王のようにふるまっているPatrickが「僕が何かこぼしたら恥ずかしくないか?人に笑われてもいいのか?」などとJakeに確認を取るあたりがとても切ない。Jakeは勿論、もちまえの正義感で「そんなもの笑う奴を殴り倒してやるから、保釈金よろしく」と言うわけですが。よいコンビ。

Jakeは家族の面倒を見ながらも自分の人生はずっと犠牲になってきた。Patrickは生活に困ることはないけれども、一人の世界だけにとじこもってきた。
お互いが、相手との出会いによって新たな扉を開いていく。その感じがとてもかわいい。

惜しむらくは、Patrickのツンデレが、もうちょっと長かったらな……!好きになるとすぐデレるタイプだった。いやいいんだけど、個人的にはもうちょっとツン成分を!たのみたかった!
ところどころ出来すぎな感じもあるんですが、そのあたりは現実を舞台にしたフェアリーテール的なものとして読むと楽しい。
ほどほどに重さのある、気持ちのよい現代物を読みたい人におすすめ。

★全盲
★ハウスキーパー

★Three-Star rating system★


[カテゴリ]View ALL
レビュー (310)
★★★ (88)
★★ (188)
★ (34)
モノクローム・ロマンス (10)
電子ブックリーダー (23)
iPodTouch・Stanza (19)
nook (4)
雑談 (84)
英語 (29)
文法 (4)
読書日記 (11)
…このブログについて (8)
…書店情報 (2)
[タグリスト]

09 | 2014/10 [GO]| 11
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

カテゴリ一覧 最近の記事一覧 プロフィール リンク一覧 メールを送る
[カテゴリ]


モノクロームロマンス(M/M翻訳)


■公式サイト■

・2017年
・7月 ヘルハイ3巻
・夏 雑誌短編
・後半 王子二巻
・12月 アドリアンXmas
・冬 雑誌短編
・ほかにも出るかも
・不甲斐なくてごめん

*発行済*
・フェア・ゲーム
・フェア・プレイ
・ドント・ルック・バック
・恋のしっぽをつかまえて
・狼を狩る法則
・狼の遠き目覚め
・狼の見る夢は
・天使の影(アドリアン・イングリッシュ1)
・死者の囁き(アドリアン2)
・悪魔の聖餐(アドリアン3)
・海賊王の死(アドリアン4)
・瞑き流れ(アドリアン5)
・幽霊狩り(ヘルハイ1)
・不在の痕(ヘルハイ2)
・還流

*他訳者さん*
・わが愛しのホームズ
・ロング・ゲイン
・恋人までのA to Z
・マイ・ディア・マスター

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。