Slash×Slash

Slash(m/m小説) レビューブログ

※万人向けの内容ではないのでご注意ください
→このブログについて

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

遅くなりましたが、8月にアドリアンの3巻「悪魔の聖餐」出ました〜。
今回は色々もつれてますのでよろしくお願いします!
(実は4巻のスケジュールが経ってなかったんだけど、3巻の校正の段階で「次を最速で出さねば!」と4巻の2月発売が決定したのでした。事前の説明だけじゃあの展開のヤバさが伝わってなかったようで、私もまだまだだ!)

今年はもうちょっと動きがあるかなー。まだいくらかグレーですが、少しずつ動きの範囲が広がってきた感じもあります。これも読者の方々のおかげです。本当に、ありがとうございます。

スポンサーサイト

Mark of Cain
Kate Sherwood
Mark of Cain★★☆ summary:
Mark Webberの弟は、バーでの喧嘩で、ギャング崩れの若者に殺された。
英国国教会の牧師であるMarkは、犯人への憎しみを受けとめようとしながらも、その犯人がわずか三年で刑務所を出てくると知って、心の平穏をかき乱されていた。
人を殺しておいて、三年で自由の身?

そんなMarkはある時、牧師館につれてこられた行き場のない若者と顔を合わせる。殴られ、痛めつけられたその若者は、Lucas Cain。
Markの弟を殺した男だった。

Lucasは、自分の罪が決して終わらないことを知っていた。三年は、ただ壁の中ですごした期間にすぎない。
これから一生、壁の外で、罪を背負いながら生きていくしかないのだ。

被害者の家族と、加害者。
ひとつの罪と失われた命をはさんで二人が向かい合う時、思わぬ感情が生まれ……。
.....



被害者感情と加害者をテーマに据えた話だと、Sloan ParkerさんのBreatheもありますが、こちらはもつれた、出口のない感情を書かせたら定評のあるKate Sherwoodさんのお話。

Markと、Lucas Cainの話ということでタイトルは「Mark of Cain」。カインの印、と意味がかけられています。カインの印は、弟殺しの印。LucasはMarkの弟を、三年前、酒場のいざこざで殺しています。
当時のLucasは未来のことなど考えない、考えなしで粗暴で、何もかも自分の思い通りになると考えている若者だった。
三年経ち、刑務所を後にした彼は、また同じ生き方には戻れない。だが彼の友人たち、親友、その誰もが「刑務所で償ったんだからもういいだろう」と言う。
だが三年経っても、被害者は死んだままで、被害者の家族は傷ついたままだ。Lucasはそれを知っています。もはや逃げ場などないことを。

Breatheもそうでしたが、被害者家族と加害者との心の葛藤もさることながら、被害者側、あるいは加害者側同士での心の齟齬が描かれているのは非常に深いし、興味深いですね。被害者側では、悲しみや痛みを共有しつつ、その狭い世界の中では時に忘却や許しの余地がない。思い出から抜け出すことはとても難しい。
Markは牧師ですし、罪を許さねばならないことはわかっている。わかっていても心の整理がつかないことが、Lucasとじかに顔を合わせたことでさらに乱れたり、そして思わぬ方向へと心が動いていく。その流れがゆっくりと、しっかりと書かれています。ここの骨太で説得力のある流れは、さすがにSherwoodさん。

一方、Lucasはかつてのような野放図な暮らしには戻れないが、自分を受け入れてくれる親友たちを切り捨てることもつらい。
しかし、友人たちはLucasが変わってしまったことを受け入れようとはしてくれない。ここにも大きな葛藤があります。

痛みというよりは、孤独を感じる物語だった。その中で、MarkとCainは寄り添うのだけれども、そこの葛藤は意外に小さかったな。私の好みとしてはそこがもうちょっとほしかった気もします。
逆に、彼らを囲む社会との葛藤の方が大きなウェイトを持っていて、読みごたえはあった。たとえば英国国教会(カトリックともプロテスタントとも違う)の中で、ゲイの権利を語ろうとするMarkと、それを認めない教会の人たちのような。
誰もが傷つき、誰もが苦しみをかかえている。そんなお話です。Lucasに背を向けた親友にも、人生の痛みがふりかかる。余談ですが、続編があるってことなのかなーと思った展開があったので、ちょっと期待してます。

じっくりとした人間ドラマが読みたい時におすすめ。そこまで息苦しくはないけれども、ゆっくりと浸ることができる罪と人生の物語です。

★贖罪
★過去との決別

Stranger on the Shore
Josh Lanyon
Stranger on the shore★★★ summary:
20年前、幼かったBrian ArlingtonはArlington家の邸宅から忽然と姿を消した。
やがて身代金要求の手紙が届き、差出人は逮捕されたが、Brianは戻らなかった。
よく知られた、大富豪のArlington家の悲劇である。

その悲劇はずっと眠ったままであったが、何故かArlington家の当主がジャーナリストのGriff Hadleyを邸宅に招き、その事件をテーマにした本を書いてほしいという。
滅多にない幸運に、Griffはとびついた。

家族たちの多くは、Brianの悲劇を忘れたがっている。だが年老いた当主はGriffを温かく歓迎し、自由に調査する許可を与えた。
一方、弁護士のPierce MatherはGriffに対して、敵意もあらわな態度を取る。

20年前、幼い子供の身になにがあったのか。犯人は今、獄中にいる男ではないのか?
調べていくGriffの身に、不穏な出来事がふりかかり……。
.....



古い、子供の誘拐事件を追うジャーナリストと、それを眉をひそめて見張っている弁護士。
昔の事件、掘り起こされる敵意、対立する二人、とLanyonさんの得意技がそろってますよ!

いくつもの謎がストーリーの中にちりばめられてます。子供をさらったのは、本当に逮捕された男なのか? そうなら子供はどうなったのか? 殺されたのか? 死体はどこに隠されたのか?
もしほかに犯人がいるのなら、それは誰なのか。その人物はまだ、この壮大な邸宅に、富を蜜のように吸いながら、暮らしているのか……。その謎とGriffの疑心が絡み合って、緊張感が増していく流れがさすがです。

Griffはそれほど名のないジャーナリストですが、「この事件を調べて本を書いてくれ」という誘いにとびつき、これを自分の未来を変える大きな飛躍にしたいと思っている。とても有名な事件だが、Arlington家はその金と権力で自分たちを守り、これまで取材などに応じたことがなかった。
それが何故、20年も経って? そして何故、Griffが選ばれたのか?
その謎をかかえながらも、彼はできるかぎり誠実に、そして果敢に事件の糸をときほぐそうとしていきます。時に自分を疑い、時に家族たちから向けられる敵意にたじろぎ、時に自分の過去に刻まれた傷を隠そうとして必死になる。
迷いながら、それでもあきらめない。派手なキャラではありませんが、けなげさにぐっときます。

一方、Arlington家の弁護士Pierceは、一家に対して何らかの不利益が生じることを案じ、Griffに対して刺々しい態度を取る。
鉄板だな!
いやいや、この人たちの対立と、その一方でPierceが時おり見せる動揺とかひび割れとか、実に萌える。勿論(勿論!)二人は対立しつつも惹かれ合うのですが、惹かれながらも互いに相手を信用できない、そこがまたいい具合に陰影を落としています。

ミステリ部分の構成も美しくて、Lanyonさんは過去への郷愁を書かせると特に手腕を発揮する作家さんですが、今回のこの「20年前の誘拐」というテーマも彼の個性を非常によく生かしていると思う。
派手ではないけれども、隙のない、いい雰囲気のミステリに仕上がってます。

Lanyonさんファンなら鉄板だし、ミステリが読みたい、骨格のしっかりした話が読みたい時にお勧め。

★20年前の事件
★敏腕弁護士

★Three-Star rating system★


[カテゴリ]View ALL
レビュー (310)
★★★ (88)
★★ (188)
★ (34)
モノクローム・ロマンス (10)
電子ブックリーダー (23)
iPodTouch・Stanza (19)
nook (4)
雑談 (84)
英語 (29)
文法 (4)
読書日記 (11)
…このブログについて (8)
…書店情報 (2)
[タグリスト]

07 | 2014/08 [GO]| 09
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -

カテゴリ一覧 最近の記事一覧 プロフィール リンク一覧 メールを送る
[カテゴリ]


モノクロームロマンス(M/M翻訳)


■公式サイト■

・2017年
・7月 ヘルハイ3巻
・夏 雑誌短編
・後半 王子二巻
・12月 アドリアンXmas
・冬 雑誌短編
・ほかにも出るかも
・不甲斐なくてごめん

*発行済*
・フェア・ゲーム
・フェア・プレイ
・ドント・ルック・バック
・恋のしっぽをつかまえて
・狼を狩る法則
・狼の遠き目覚め
・狼の見る夢は
・天使の影(アドリアン・イングリッシュ1)
・死者の囁き(アドリアン2)
・悪魔の聖餐(アドリアン3)
・海賊王の死(アドリアン4)
・瞑き流れ(アドリアン5)
・幽霊狩り(ヘルハイ1)
・不在の痕(ヘルハイ2)
・還流

*他訳者さん*
・わが愛しのホームズ
・ロング・ゲイン
・恋人までのA to Z
・マイ・ディア・マスター

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。