Slash×Slash

Slash(m/m小説) レビューブログ

※万人向けの内容ではないのでご注意ください
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Control
Cardeno C. & Mary Calmes
Control.jpg★★ summary:
Vy Aleknosは鷹のシフターであり、群れのリーダーだった。独立心が強く、群れを守るためならどんなこともいとわない。
そんな彼はある日、メイトの匂いを嗅ぎつける。

Robert Ciminoはあちこちを旅して自然の調査を行いながら、小さな町でとても心引かれる相手に出会う。
彼はグリズリーのシフターだったが、熊の野生の力を恐れて自分に変身を禁じてきた。
獣の部分を押し殺したRobertには、Vyが自分のメイトであることは感じ取れない。だがこの、気の強い、面倒な男にどんどんと惹きつけられていく。

Vyたちの群れと人狼の群れとの不和、鷹たちがグリズリーのRobertに向ける恐れと非難のまなざし。
Vy自身がRobertに向けて覚えてしまう疑い。
様々なものをのりこえながら、二人は絆を深めていく。
.....



シフターものも色々ありますが、これはなんと鷹のシフターとグリズリーのシフターのカップリングです。
鳥ではあるけれどもなんせ肉食の鷹だから、しかも群れのリーダーだから、Vyはとても鼻っ柱が強い。そんな彼と、動ぜずに彼を愛でていく熊のお話。熊さんが鷹さんをもふもふするよ!(変身後でのエロはないです。おっかけっこはしてますが)
熊のRobertはほんともう包容力の塊で、どんだけVyが荒れても「かわいいなあ」「手がかかって最高」と溺愛していくあたりが実にツボでありました。包容×強気、てもうMary Calmesさんの鉄板でしょう。

あんまりVyがキツいんで、最初のうちは読んでいてもちょっと入り込めなかったんだけど、Robertと何やらうまいこといき始めてからは強気なVyの裏も見えるし、そのがんばりっぷりがけなげに見えてきた。Robertの影響ですね……。こいつがあんまりかわいいかわいい言うから、読んでいる方にもかわいく見えてきます。
群れを守ろうとして、Vyは必死だけれども、その強さは彼を孤立させてもいる。Robertの出現によってそんな立ち位置がかわっていく、その流れがとても甘くて、幸せで、やっぱりかわいいです。

「シフターであること」が話のひとつの柱になっているあたりも読みどころで、熊の野生を押し殺しているRobertと、「獣の半分を否定したままではシフターとして欠けたままだ。永遠に本物のメイトにはなれない」と絶望的な気持ちになるVyとか、おもしろい観点です。
色々と萌えどころがちりばめてあるので、気楽に、楽しく読める一本。

ちょっと変わったシフターものが読みたい人、包容攻めととことん強情な受けが好きな人におすすめ。

★熊×鷹
★溺愛

The Ghost on My Couch
L.A. Gilbert
GhostonMyCouch.jpg★★☆ summary:
27歳の看護師、Alex Tannerは病院での仕事で疲れきって帰ってきた。カウチに座ってテレビをつける。
それが彼の日常だ。仕事と、テレビ。そして空想の恋人。
だがその日は、テレビを見ながらの独り言に、誰かが答えた──カウチで、彼の隣に座る見知らぬ男が。

仰天して見やると、相手の男も仰天していた。
「俺が見えてる?」

相手の男は昨夜からずっとこの部屋にいて、ずっとAlexに話しかけようとしていたという。眼鏡で、だらしないTシャツに、でかいウサギのスリッパ。
そして彼は、自分が幽霊だと言った。

最初はパニックに陥ったAlexだったが、相手の男、Sidのおずおずとした様子についほだされていく。
Sidがこの世に残っている理由はわからない。何故か、Alexが自分の部屋にいる時だけ、同じ部屋に出現できるのだという。途方に暮れた幽霊と、Alexは奇妙な共同生活を始める。

だが段々と、Sidの身に変化が起き始め……
.....



ゴーストストーリー。
ロマンティックで、可愛らしいお話です。読んだのはかなり前ですが、今再読してもやはりキャラクターの繊細さ、やわらかさがとても読んでいて気持ちのいい話。

舞台はロンドン、Alexはある日幽霊を部屋に見つけて仰天するのですが、相手も仰天し、一晩冷蔵庫の中に隠れてしまう。遠慮深いと言えば遠慮深い彼です。寒いらしいが。さすがに冷蔵庫の中。
二人とも、静かに孤独に生きてきた、地味な人間で、幽霊と生きた人間ではあるけれども、「相手のいる暮らし」の気安さに心を開いていく過程がおだやかに、少しドラマもまじえつつ描かれていきます。

Alexが、Sidの飼い猫を引き取りにいくところがとても可愛い。SidはとてもおずおずとAlexに猫のことをたのむし、猫は飼えないと思うAlexは、保護センターにつれていくつもりでいるのですが、ほだされてしまって家に連れ帰ってくる。
Sidは心の底から感動し、Alexは喜びを覚える。かわいいなあ二人。

ほのぼのとしつつ、笑えるところもあって、Alexの元彼(今のセフレ)が居座ってなかなか帰らず、AlexとSidがそれについて喧嘩を始めるシーンとか。Sidの姿はセフレには見えないので、彼はAlexがどうかしたと思ってこそこそと帰っていくのです。

二人は互いに恋に落ちるけれども、お互いにさわれもしないし、Sidがいつこの世から消えてしまうかもわからない。甘酸っぱい!
そしてついに、その日はきます。

最後にはさみこまれる視点の変化がちょっと唐突なんですが、でもそれもいいかなと。全体に本当に愛らしく、あちこち切なく、そしてちゃんとハッピーになれるゴーストストーリーです。
おだやかなロマンスが読みたい時におすすめ。決して声高ではないけれども、誠実で、丁寧な話です。

★幽霊
★再会

ご無沙汰している内に、J.L.ラングレーさんの「With Caution」が「狼の遠き目覚め」として翻訳発売されました。5/10くらいかな。表紙のレミが本当に得意げでかわいい!
次は6月の雑誌と、8月に多分アドリアンの3の予定です。

モノクローム・ロマンス文庫の公式サイトができました。試し読みもできるので、お気軽にどうぞ。

In Plain Sight
Josh Lanyon
InPlainSight.jpg★★★ summary:
FBI捜査官、Nashは一目ぼれなど信じていない。恋を信じているかどうかもわからない。
だが、地方の警察の研修にきて一週間、Glenとすごした日々は彼の心に深くくいこんでいた。
さよならを言うのなど簡単な筈だったのに。

それでも無理だ、と思う。Nashは自分のFBIのキャリアが大事だし、Glenにも捨てられないものがある。
二人に未来はない。

Glenと別れて飛行機に乗ったNashだったが、気持ちは後ろに残っている。
彼らしくもなく、電話をかけてみたがGlenは出なかった。
Glenは、行方不明になっていた。
.....



Lanyonさんの、ほぼ一万語の短編ですが、実にうまく構成されています。短編といいつつ、しばしばまるで長編の外伝とか一部になっちゃいがちなのですが、彼はさすがによく圧縮して、長編とはまるで別の書き方をしてくるのが凄い。
今回の主人公も、Lanyonさんお得意の意地っ張り型、言葉の足りない大人の男の物語。

Glenに一目ぼれして(当人は認めないけどね)、それでもこの恋に(恋とは認めないけどね)未来はないと、どうしようもないとGlenのことをあきらめて自分の普段の暮らしに戻ろうとしたNashだが、Glenが消えたと聞いてそのまま仕事を放り出し、町にとんぼ返りします。
Glenは何故消えたのか。この地方の町で、彼がどんなふうに生きてきたのか。調べる内に、Nashは段々とGlenのことを知っていく。
特に何か秘密が明かされるとか、知らなかった顔が!というものではなく、ただ真摯に生きてきた男の姿をあらためて目にしていくお話なのですが、大人の男の不器用さはやっぱり萌えますね。

段々と、自分の気持ちを見つめ直すNash。でもGlenはもういません。
どこに消えたのか、探し出せるのか。もう遅いのか。

大人の短編です。分別をわきまえ、人生に奇跡などないことを知ってしまった大人。でもそれでも恋は人を変える。
ラストの方で、「You are...raining.」とちょっと変わったセリフがあって、あれが大好きだなあ。

★追憶

Long Time Gone
SE Jakes
LongTimeGone.jpg★★★ summary:
Hell or High Water2。

Tomは己の凶運を恐れてProphetから離れ、別のパートナーと組んで仕事をこなす。
Prophetは姿を消していた。Tomはくりかえし、返事のないメールを出す。

誘拐された少女を救い出したProphetは、新たな仕事を受ける寸前、Tomからのメールを読む。
それが彼をこの世に引き止め、引き戻す。Tomのいる世界へ。

ルイジアナの、Tomの故郷にハリケーンが近づいていた。Tomが任務で戻ってこれないのを知っていたProphetは、Tomの叔母のところへ様子を見に行く。
ハリケーンのさなか、誰かがその家にしのびこもうとして──Prophetが雨の中へ倒した男はTomだった。

二人の再会は、激しい感情を呼び覚ます。彼らのどちらもまだ、受けとめきれていない感情と迷いを。
そしてTomの故郷には、Tomが今でもまだ捨てられない、幽霊のように彼をさいなむ過去があった……
.....



SE Jakesさん節全開というか、本当に熱くて荒い、湿度も温度も高いお話。
今回はTomの過去に主に焦点があたっていますが、1からProphetがトムを「ケイジャン」と茶化して呼ぶように、ニューオーリンズの湿地帯近辺はケイジャンの入植地で、今でも独自の文化を誇っています。ケイジャンというのは、元々フランスからカナダへ移住した人たちで、住んでいた場所がイギリス領になった時に住み処を失って長年の放浪の末、スペインの好意(というか打算)があってニューオーリンズに入植した人々です。今でも、ケイジャン・フレンチと呼ばれるフランス語の方言を話すし、独自の文化を持っている。
そんな沼地の町で、Tomはつらい少年時代をすごした。

ハリケーンのさなかに再会する二人、というのがまず象徴的で、いいシーンです。彼らを取り巻く状況は嵐のようだし、彼ら自身も内側に嵐をかかえていて、決して自分自身とうまくつきあえているとも言えない。
いびつな男たちの、どうしようもない恋なのです。

Tomの昔の同級生たちが殺され、そのことはTomの過去と密接に関係している。
Prophetは彼を守りたいが、Tomはおとなしく守られようともせず、二人は争い、ぶつかりあう。相変わらずな二人。
人のことなどどうでもいいようでいて、実は保護者タイプのProphetが実にかわいいと思うのです。Tomもおとなしく守られてればいいと思うんだけど、そんな男だったら始めからProphetと恋に落ちるわけもなく。

話自体は一段落つきますが、全体としては続きものなので、読むなら1から。
強い男、傷だらけの男の話が好きなら鉄板だと思います。

★ハリケーン
★再会

★Three-Star rating system★


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