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Slash(m/m小説) レビューブログ

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Captive Prince 1
S.U. Pacat
CaptivePrince.jpg★★★ summary:
Akielosの世継ぎの王子Damenは、腹違いの兄に裏切られ、父王を殺され、自分は奴隷として隣国のVereに売られる。
王子Damenはすでに死んだものとされ、彼はただの奴隷として鎖をかけられ、貢ぎものとして海を渡った。

AkielosとVereの二国の間には深い因縁があった。Damen自身、かつて二国の戦場で敵国Vereの王子を一騎打ちの末に倒したことがある。
その死はVereを大きくゆさぶり、まだ幼かった第二王子が第一継承者となり、その叔父が摂政としてそれ以来Vereの実権を握っていた。

Damenの新しい主人は、その第二王子──次のVereの王となる若きLaurent。
兄を殺したAkielosの人間を心の底から憎む男。氷のような王子。

尊厳を奪われた一人の奴隷として、Damenは退廃したVereの王宮で生きのびようとする。いつか国へ戻る日のために。
だが、Vereの王宮に渦巻く陰謀が彼をも巻きこみはじめ……
.....



ブログに連載されていたものがペンギンに買われてメジャーから出版されることになり、今年ちょっとしたセンセーションを巻き起こしたファンタジーシリーズです。今2まで出ていて、来年出る3で完結予定。
ペンギンから出たら変わると思うんですが、とりあえずアマゾンキンドルのリンク貼ってあります。1と2で表紙が同じなのでせめてナンバリングをっ……(キンドルの上で見分けがつかぬのです)

国を奪われて奴隷として売られた王子様、というのは箇条書きにするとよくある設定ですが、この設定を実によくこなしています。
Damenの誇り高く、国を離れても自分の民を守ろうとする男の心意気が格好いいんですよ。

Damenの主人となったLaurentは謎めいている。ひどく冷たい、残酷なだけの男にも見えるし、摂政の叔父に対して子供っぽい反抗心を剥き出しにしているだけのようにも見える。21歳かな、老成した雰囲気も漂わせるし、策略家でもある。
Damenは、はからずもそんなLaurentを誰よりも近くから見ることになる。

二人の間にある緊張感が実に冷たく、時にお互いの憤怒に満ちていて、読みごたえがあります。彼らは敵国(今は同盟を結んでいますが)の者同士としての敵意と、主人と奴隷としてのいびつな関係の中で、最初は互いの姿がまるで見えない。
ただ支配しようとし、ただ抗おうとする。それはパワーゲームです。
そこから少しずつ、互いを一人の人間として見るようになっていく。
キャラクターの描写がとても丁寧で、それぞれのエピソードに基づいているので、その変化にも説得力があって読んでいると実にじれったく萌え萌えできます。
二国の文化差もおもしろい。体の美を重んじるAkielos(ここは古代ギリシアがモデルになっているのではないかと)と、王族は肌を見せずに過剰に装い、退廃した宮殿文化を誇るVere(古代ローマの饗宴がモデル?)。読み進むにつれ、それぞれの国の雰囲気が段々とわかってくる。


1巻では二人の出会いから、Vereの宮殿内の力のバランスを描き、Damenの立ち位置を明確にしていきます。そんな中で後々重要になっていきそうないくつかの物事もあって、先が楽しみな展開。
非常によく練られた話で、ファンタジー好きでもそれほどでなくとも楽しめる一冊になっています。
続き物ですが話にゆるみがなく、2巻になると一気に人間関係も展開も怒濤の展開を見せます。1の段階だとほぼエロはなしに近いのですが、二人の間にある緊張感は充分エロいぞ。

それぞれの立場で、それぞれの敵と戦っている二人の男が、立場の差を越えて相手の中に尊敬できる「男」を見つけ出していくのです。しかし見つけたところで未来はない!というのも大変おいしい。
ファンタジー好きなら鉄板の一冊、敵からほだされていく展開や、身分差(ちょっと複雑だけど)好きならやはり鉄板です。おすすめ。

★本格ファンタジー
★敵同士

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Maybe This Time
Eva Clancy
maybe this time★★ summary:
始まりは1992年、イギリスのナイトクラブでの高校最後の飲み会──いや、それより前から始まっていたのだろう。
高校を出て、この小さな町から抜け出して大学に行けば自由になれる。自由になってゲイとして胸を張って生きていける。Willはそれが待ちきれなかったが、Rob Cunninghamと二度と会えないだろうと思うと胸は痛んだ。
ラグビー部のエース。女の子たちの憧れ。ストレートの男。
Robは決してWillにとっては手に入らない存在だった。

だがその夜、RobはWillに話しかけてきて、Willはふと二人の間に何か濃密なものがあるのではないかと感じる。
それを確かめることはできずに、二人の道は分かれた。

再会は9年後、友達の結婚式で。
そこで初めて、二人の距離は近づいたように見えた。だが……

彼らはすれ違いつづけるしかないのか。
それとも、いつか──?
.....



15000ワード程度と短めの、なかなかに読んでいて楽しい短編。
イギリスが舞台なんだけどまあそこはそんなに特徴なし、ただ後半で「サンフランシスコに行った」子の話が出てくる時にちょっとニヤッとできるくらい。

読みやすくてさらっとしている方ですが、ゲイであることを隠して息詰まっている故郷を離れたがっている少年や、カミングアウトしていじめられている子、ゲイであることを告白して父親と対立した少年とか、読み解けるテーマは色々あって、そのあたりが支えになっているのかな、という安定感のある読後感です。
ひねりはあんまりありませんが、どちらの気持ちの動きもかなり自然で、無理なく話が展開していくあたりも好印象。(短編だからあんまり書くとそのままネタバレにっ)

友達ものとか同級生だけど憧れてたとか、再会ものとか好きな人なら楽しめます。後味よく、さっと読めるものがほしい時にもおすすめの一本。

★ゲイ×ストレート?
★再会

★Three-Star rating system★


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