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Slash(m/m小説) レビューブログ

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Prisoner
Megan Derr
Prisoner★★☆ summary:
その世界では三国が戦いをくりひろげていた。

Kria。質実剛健の剣と戦士の国。
Salhara。剣も魔法も用い、名前を大事にする国。
Illusor。魔術に長けた魔導師たちの国。

Dieter von AdolwulfはKriaという国の将軍で、その勇猛さと苛烈さで皆に恐れられた。
彼が鍛え上げたSkerlet Armyの部隊の兵を、手だれの暗殺者が殺して回っている。数百の兵が殺されて、やっととらえた相手はSalharanの名無し男だった。
Dieterはその殺人者に、Kiriaの名を無理矢理与えた。名を重んじるSalharanにはそれが最大の屈辱となる。敵にもらった名など。

名無しを捕虜として帰国しようとした時、何故か突如として普段は現れないIllussorの軍が現れ、秘術を用いてDieterの隊を皆殺しにする。Illussorの生き残りもほとんどいないほどの、捨て身の禁術だった。
この名無しの男は何者なのか? 何故Illussorがそこまで彼を必死で探すのか?
Dieterは答えを狩るための旅に出たが、それは魔術の歴史を根底から変えてしまう旅でもあった。
.....



ファンタジーです。それもかなりごっつい、本格的なファンタジー。
三つの国がいがみ合う世界での話。DieterのKiriaは剣の国で、戦士は己の剣に名前を付けて戦う。彼らは魔術を操るものを「軟弱もの」「arcenの中毒者」と呼んで馬鹿にする。
arcenは魔術を使うための薬。それを飲むと人の瞳の色が変わり、強い魔術を使うためには強いarcenを使う必要があります。やがて中毒と化した者の目は赤々と変わっていき、その目が黒くなった時には破滅の道が待つという。
いやもうファンタジー好きなら萌えるしかないでしょう!

人間関係も濃いですよ。
Dieterは狼のように荒々しい将軍で、王に憎まれている。Dieterの父親は名のある剣鍛冶で、父の打った名剣がDieterに与えられたのが、王は我慢ならなかった。実は、王とDieterの父は恋人同士であったから。
「彼の剣をもらえる筈だった。その剣は俺のものだ」という王に、Dieterは返す。「違う、王よ。この剣は俺のものだ。父が貴様にやろうとしたのは別の剣だ。俺だよ」
Dieterの父親は、恋人に贈るために息子を剣の名手に育て、名剣を与えて、王の元へとよこしたのだ。息子を「王の剣となれ」と育てた。(ちらっとですが、夜の仕込みもすませてあるかもとか書いてあった……)
しかし王はDieterを憎み、Dieterは世界を憎んだ。

かなり色々なキャラが入り組んでいますし、複数の名を使い分けている裏切り者がいたりして、あっさり読める話ではありませんがその価値はあります。
目をえぐりとられたIllusorの生き残りとか、Dieterに無理矢理名前を押しつけられ、名前を撤回させようと(Salharaのものには名前こそ本質)必死にあがく囚人のBerahtが中心となって物語がひろがっていく。
このBerahtは、物語の終盤で自分につけられた名前の本当の意味を知ることになります。

さまざまな文化やしきたりがきっちり描き分けられていて、重厚ファンタジー好きならとてもおいしい。
カプもあるんですが、そっちが主体の話ではないのであくまで「ファンタジー大好き」な人向け。非常に力強い筆力で最後までしっかりと書き上げられています。
設定倒れに終わらないところが凄い。

とにかくファンタジーが、それも設定ががっちりした本格ファンタジーものが読みたい人にオススメ。
この作家さんはファンタジーをよく書いているようなので、他の作品も楽しみです。

★本格ファンタジー
★将軍と名無しの囚人

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Skybound
Aleksandr Voinov
Skybound.jpg★★★ summary:
1945年、ベルリン。
すでにロシアの砲火はベルリンのすぐ外に迫り、ドイツは連合軍による空爆にさらされて町は焼け、敗戦は目前まで迫っていた。

だがそれでも兵士は戦い続けた。
ドイツの空を守る戦闘機のパイロットたちも、昼夜を問わず飛び立ち続ける。

整備兵のFelixはエースパイロットのBardurにずっと恋をしていた。一言も交わさず、ただ彼のメッサーシュミットを心を込めて整備するだけの恋であったが。
ある日、Bardurは煙を上げる飛行機でやっと基地に帰りつき、Felixは煙の中から彼を引っぱり出す。
その後、体を休めるために数日の休暇を得たBardurは、何故かFelixをつれて家に帰る。

Felixは、何故Bardurが自分をつれてきたのかわからない。このエースパイロットと自分に何か共通したものがあるとは思えない。
だが、敗戦がもはや避けられない今、二人には明日などないかもしれない。この一日、それだけしか、彼らにはないかもしれない。
.....



メッサーシュミットを操るエースパイロットとその少尉にあこがれる整備兵の短いお話。ベルリン陥落寸前。誰もが敗北を予期しながらそれでもパイロットは空に飛び立っていき、整備兵は必死で戦闘機を整備し続ける。
もう設定だけで萌えますね!

Aleksandr Voinovさんは業界では知られた作家さんですが、レビューするのは初めてですね。Special Forcesという大河小説シリーズが代表作ですが、出版社(Riptide Publishing)をを立ち上げたりとか結構活発にM/M業界に関わっておられます。
もともとドイツ語で小説を書いていた人が英語でも書き始めたそうなんですが、そのせいかどうか、独特の乾いた、無機質な感じが漂う文章です。それと敗北寸前のドイツの絶望的な空気とが相まって、実にいい雰囲気。硬派なんですがロマンス。

BuldurはFelixにとって憧れの相手です。その彼の方から近づいてきてくれたのに、どうしたらいいのかわからず少しつっけんどんな感じに接してしまうFelixもかわいいですよ。
秘密にしなければならない恋だし、どっちにしてももうドイツは負ける。民間人は基地から逃げ出していきますが、Buldurは、パイロットたちは最後の一人まで戦い続けるだろうとFelixにはわかっている。最後の一人が倒れるまで。
それに怒りを感じながら、Felixはメッサーシュミットを整備する。最後の日まで、生きて帰ってきてくれと。

どこにも出口のない恋なのです。その切羽詰まった感じが読みどころ。
二人がどうなったのかは、短いお話ですし、是非読んでもらえれば。

戦闘機パイロット、大戦もの、ドイツ、あたりが萌えワードの人に強くオススメ。

★第二次世界大戦
★パイロット×整備兵

★Three-Star rating system★


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