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Slash(m/m小説) レビューブログ

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韻は、「rhyme(ライム)」と言われます。頭を合わせる頭韻とか最後を合わせる脚韻などがありますね。
ちなみにだじゃれは「pun」。アメリカ人はpun好きだよね…それ親父ギャグとどう違うの、といつもちょっとたじろぐのですが、もしかしたらrhymeの長い伝統があるから、音合わせが好きな文化なのかもしれません(←でまかせだけど、一理あるんじゃないかと思う)

さて、シェイクスピアのrhyme。今回も「マクベス」から引いていきます。マクベスしか習ってないからね。。
マクベスには、三人の魔女が出てきます。この魔女がマクベスに「お前はいずれ王になるが、バンクォーの息子とその血統が王位を受け継いでく」(バンクォーは仲間)と予言したことから、マクベスの運命が狂っていくのです。
この魔女たちは、出てくるたびに「きれいは汚い、汚いはきれい」など謎かけのようなセリフをまきちらすのですが、彼らのセリフは何と、すべてrhymeで作られています。
劇の冒頭、一番最初のセリフは魔女からですが、それからしてコレ。

When shall we three meet again   
In thunder, lightning, or in rain?

(我ら三人、またいつ再会なるか。雷の中、稲妻の内、雨の下?)

文末を見ると、「again」と「rain」で韻になっているのがわかります。
魔女のセリフはすべて、こうして二行ずつのrhymeになっているのです。(二行のrhyme・一行休憩・またrhyme…という変則もあり)

「きれいは汚い、汚いはきれい」のセリフも、

Fair is foul, and foul is fair
Hover through the fog and filthy air


と二行で脚韻になっています。その上で、「fair」と「foul」が「きれい」と「汚い」と意味が正反対の言葉の取り合わせにもかかわらず「f」の発音で頭韻を踏むrhymeになっている、というおもしろさも加わっています。
★fairとfoulの訳し方は色々あって、先人の苦労がしのばれます…

大釜にトカゲの目玉だの犬の舌だの色々入れて煮込むシーンも。

Fillet of a fenny snake,
In the cauldron boil and bake;
Eye of newt and toe of frog,
Wool of bat and tongue of dog,

Adder's fork and blind-worm's sting,
Lizard's leg and howlet's wing,
For a charm of powerful trouble,
Like a hell-broth boil and bubble.


意味はともかく、文末を見て下さい。二行ずつ見事に対になっています。こんなのがもっとずーっと続いていきます。長ゼリフだけど凄いので、よかったら検索して見て下さい。(上に書いた一行をぐぐれば出てくると思うので)
つまり、彼らのセリフはすべてrhymeであるために、英語で言うと謎めいた呪文のように響き、「通常の人ではない」感も高まっています。内容よりも響きが大事なセリフなんですね。

さらに、シェイクスピアが「弱強5歩格」という「弱→強」のリズムを使っていたことは前の記事で書きましたが、このシーンは実は逆になっています。
釜でぐつぐつとあやしげな秘薬を煮立てる魔女たちのセリフは、rhymeである上に、「強→弱」と強が先にきています。
こんな感じに。

Fillet of a fenny snake,
In the cauldron boil and bake;


マクベスは英語上演を見る機会をいただいたのですが、このへんは耳で聞くと、本当に呪文のようなんですよ。
特に "In the cauldron boil and bake" は何度もくり返される不気味なセリフで、boilとbakeも頭韻になっており、独特の雰囲気があります。
ちなみにrhymeは魔女の専売特許と言うわけでもなく、シーンが変わるところの最後のセリフは必ずrhymeになっています。そうすることで「ここでシーンが変わるよ」と観客にお知らせしているらしいです。二幕のマクベスの退場シーンも、最後の二行が

Hear it not, Duncan; for it is a knell
That summons thee to heaven or to hell.

(聞くな、ダンカン、この音はお前を天国へと誘う鐘の音。あるいは地獄へと)

と、マクベスのセリフなのに行末にrhymeがあります。

さて、魔女たちの呪文のように、文頭が強い「強→弱」のリズムを駆使しているのが、「マザーグース」。
「ハンプティダンプティ」をあげてみましょう。
まず「Humpty Dumpty 」と名前からして頭が強い(その上名前自体がrhyme)。

Humpty Dumpty sat on a wall.
Humpty Dumpty had a great fall.
All the king's horses and all the king's men
Couldn't put Humpty together again.

   
これ全部頭の出だしが強くて、あとはリズムになっているのですが、見ればわかるように、「wall」「fall」、「men」「again」と語尾でrhymeにもなっています(二番、三番も同様です)。マザーグースってそういうもんなわけです。
YouTubeで「Humpty Dumpty」で検索すると歌や朗読が出てきますので、強弱の感じがよくわかりますよー。このへんとかこの歌とかおもしろいです。

ちなみに、ハンプティダンプティのオリジナルだと言われているものでは後ろの二行が違っていて、
Threescore men and threescore more,

Cannot place Humpty dumpty as he was before.

となっていますが、やはり「more」と「before」がrhymeです。
そもそも、童謡や、特にマザーグースのことを「Nursery rhyme」と言いますので、もう前提からしてrhymeばりばりですね。マザーグースの朗読でも買おうかな…

スラでも、「Adrien English」シリーズの1の「Fatal Shadows」では、主人公のAdrienに謎めいた手紙が送られてきました。これはシェイクスピアと同年代の作家の書いた戯曲からの抜粋ですが、これもまた、よく見ると文末がrhymeになっているんですね。

Man is his own star; and the soul that can
Render an honest and a perfect man
Commands all light, all influence, all fate.
Nothing to him falls early, or too late.
Our acts our angels are, or good or ill, 
Our fatal shadows that walk by us still.


rhymeは今でもしばしば、新聞のタイトルなどにもよく見られます。英語は、日本語より音の響きに対して敏感なのではないかという印象があります。
小説を読んでて、何だか「おもしろいことを言った雰囲気」なんだけどわからない!という時は、実はrhymeになってないか、駄洒落のpunになっていないかどうか、「音」をチェックするのもおすすめです。とか言っておいてなんだけど、苦手なんだよねえ…

ルイス・キャロルの詩なんかも、日本語で読むと難解ですが、原文で見るとrhymeで構成されていたりして、「何のことはない、そーいうもんだったんだ」と腑に落ちたりします。
読んで意味がわかる、というだけではなく、見て音を楽しむという面も英語にはあるんですね。ポップスの歌詞なんかもさりげにrhymeになってたりします。なかなかすぐには呑み込めませんが、とにかくそういうものが「ある」と覚えておくと、楽しいことがあるかもしれません。

★次からはまた、スラレビューに戻るよ!

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「勉強しないで読む」を続けてきましたが、今年はちょっと力を入れて英語の勉強をしてみています。そんなわけで、今月は、シェイクスピアの読み方をさわりだけ教わってみました。シェイクスピアに興味があったわけではないが、引用されてることもよくあるので読み方だけでも抑えられればと。
そしたら意外に(失礼)おもしろかった! 特に目からウロコだったのが「声に出して読む英語」です。
シェイクスピアは劇なので、当然、「声に出して読む」ことを前提にされて作られており、そこを読み解かないとよくわからないのですよ。(学生時代、訳本を読んでも全然おもしろさがわからなかったのですが、それでか!)
私の英語は読書だけなので、「発音」の方はとても弱いんだけど(読み方間違えて覚えてる単語とか絶対いっぱいあるし)、できたらそのあたりも意識していきたいなーと痛感した次第。

前置きはともかく、教わってきた「シェイクスピアの読み方」。
忘れないうちに記事にしてみるとします。(まちがってるところがあったら誰か教えてね!)
これを知って読むと、シェイクスピアってなかなかに凄いんだ、と実感できます。何故シェイクスピアだけがかくも愛されるのか、その理由の一端も「音」にあるのではないでしょうか。

シェイクスピアが使っていた音の手法は「弱強5歩格」(iambic pentameter)と言われ、これは何かと言うと、「弱→強→弱→強→弱→強→弱→強→弱→強」と、「弱→強」の音のつながりが5回くり返されて一行を為しているというもの。シェイクスピアの戯曲は(詩も)、ほぼこの手法を駆使して書かれています。たまに最後が「強」ではなく「弱」で終わったり、逆に「強→弱」といくこともありますが、それはシーンに合わせてシェイクスピアがアレンジを行っているからで、うっかりではないです。
この「弱強5歩格」のため、シェイクスピアの言葉はとてもリズムがいい。

たとえば、「マクベスは眠りを殺したのだ」の名ゼリフ。

Shall sleep no more; Macbeth shall sleep no more.
(もう眠れない。マクベスはもう眠れはしない)

「Macbeth」は日本語では「マクベス」と平坦な感じで発音しますが、実際には「マクベース」、それも「マクベース」という感じで後ろにイントネーションが入ります。
このMacはマクドナルドとかのMacと同じ、スコットランド人の名前の頭について「son(息子)」を表すもの。マクドナルドは「ドナルドさんの息子」。英語で、「ジョンの息子」がジョンソンになったみたいなもんです。最近、昔のテニスプレーヤーのマッケンローも「McEnroe」で、Mac(の省略形)がついていたのだということに気が付いてビックリ。

さて、話を「弱強5歩格」に戻します。
強を赤、弱を青にして(まあフィーリングです)上のセリフをもう一度表記。

Shall sleep no more; Macbeth shall sleep no more.

きれいに「弱強5歩格」になっていて、口にするとなかなか気持ちがいいです。
こんな感じで大体のセリフが書かれています。
マクベスが幻覚の短剣を見るシーン(「おお、短剣が見える」とか「この手につかませてくれ」「つかめない、幻影なのか?」などなど)では(強:赤のみ明示)

Is this a dagger which I see before me,
The handle toward my hand? Come, let me clutch thee.
I have thee not, and yet I see thee still
Art thou not, fatal vision, sensible
To feeling as to sight? or art thou but
A dagger of the mind, a false creation,


(thee→「you(目的格)」 thou→「you(主格)」の古い形。発音は「ジー」「ザウ」のように濁る。thをカタカナで書くのは邪道だがっ
*最後が「弱」で終わる行があります(青で表記)が、それについては後述。

さて、シェイクスピアはこうして意図的にリズムを作ってある言葉なので、「音として」まず気持ちがいい、シェイクスピアの戯曲の大きな特徴です。それゆえに人の記憶に残りやすく、今でも引用に使われたりするのでしょう。

ロミオとジュリエットの「ロミオ、ロミオ、どうしてあなたはロミオなの」は
O Romeo, Romeo! wherefore art thou Romeo?

で、これ数えてくと、「弱強5歩格」の最後にひとつ弱い音が余りますね。で、この「最後に弱い音が何故か余る」手法にも実は名前があって、「フェミニンエンディング(弱い語尾)」と言います。
これはマクベスの中でも、マクベスが不安に襲われた独白のシーンなどでも使われた手法で、普段と違って最後を弱い音で引くことで不安感などを演出したのではないかと言われているのです。(私はこれ、日本語で言うなら破調とか、意識的な字余りに近いのではないかと思っていますが…)
つまり、上の「俺の目の前にあるのは短剣か?」の最初の2行(や最後の一行)の独白がフェミニンエンディングなのは、マクベスの心の不安を表しているためです。
ちなみにこの行も、「弱→弱→強→強」と解釈して、マクベスの錯乱ぶりを表しているという説もあるようです。(下記)
Art thou not, fatal vision, sensible

Shall sleep no more; Macbeth shall sleep no more.
とか
O Romeo, Romeo! wherefore art thou Romeo?
とか、口に出してリズム取ってみると、非常に抑揚のいい言葉であるのがわかります。
シェイクスピアは「声に出して読みたい英語」だったんだなー、と。

さらにシェイクスピアの作品では多くの「韻」が駆使されており、この韻は現代英語を読む上でも大事な要素なのですが、長くなったのでそれは次の記事。

Special Delivery
Heidi Cullinan
SpecialDeliveryLG.jpg★★ summary:
Sam Kellerは母が死んでから、叔父夫婦に引き取られて彼らの店で働きながら、ゲイであることを隠し、自分の性的なファンタジーを押し込め、ひどく息苦しい思いをしていた。
そんなある日、店の倉庫に荷物を届けにきたトラック運転手、Mitchと出会う。二人は即座に惹かれて体の関係を持つが、Mitchは常に街から街へ荷物を運ぶ根無し草だ。

だが、追いつめられてついに家出したSamの声に答えて、Mitchは彼を助手席にすくい上げてくれた。
二人はそのまま旅に──Mitchにとっては仕事の移動だが──出る。

Mitchとの関係を深めながら、Samは自分自身のことを前より深く知っていく。自分の中にある欲望、恐れ。
彼はMitchのことも知りたいと思うのだが、Mitchには語りたがらない過去のシーンがあり…
.....



性の目覚めというか、自立や自分探しのお話です。基本はBDSMで、3Pとかもあり。
迷える青年Samと、自由なようでいて過去に影を持つトラック野郎Mitchの話です。

なかなか味わい深い部分がある話で、Samが母の遺灰を持って家出したり、母親のために美しい景色のところに灰を少しずつまきながら旅をする部分など、彼の繊細さを映していていいシーンだと思います。
性を通した自己発見の話でもあるので、かなりエロだく。
心理描写と性描写を細かく絡ませた、一風変わった話でもあります。

私は、話の前半部分では何だかのれなかったんですが、二人がラスベガスにいってからの後半はかなりおもしろかったですね。もう一人メインキャラがそこでくわわるんだけど、彼が思いの外によかった。
のれなかったのはおもしろくないからというより、個人的にSamの視点にどうにも同調できない感じがあったからだと思う。とにかく迷える青年なので、彼は至るところで迷います。Mitchの手ほどきでかなりディープな世界に踏みこみつつ、一歩ずつ迷う。
で、その感じがちょっと苦手でした。あんまりびくびくしてるから、読んでて居心地悪いと言うか。ただ、それだけ迷っていたSamが後半に成長しているところは、逆に見ごたえがあったので、物語の陰影としてはよかったと思う。ちょっと評価が難しい気分です。気持ちを動かされるシーンもあったし、Mitchとの人間関係は濃密で読みごたえもあり、読んでよかった一冊ですが。

アメリカの広大な景色や、ひとつの家のように設備が整ったトラックを何日も走らせていくその「広さ」の感覚は、よく描き込まれていて充分に味わえます。広い広い、ほんとに広い!
旅ものが好きな人、年上の男にほにゃららと陥落していく迷える青年シチュが好きな人におすすめ。
キャラクターにリアリティがあって、それとセックスシーンがよく絡んでるので、「エロはあった方がいいけどエロだけじゃ」という時にも。何だかんだ言いましたが、読後感はかなり充実していて爽やかです。

★BDSM・3P(ライト)
★トラック野郎

★Three-Star rating system★


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