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Slash(m/m小説) レビューブログ

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Christmas Wishes
J.P. Bowie
Christmas Wishes★★ summary:
1922年、イギリス、ヨークシャー。

オックスフォードの音楽の教師Christopher Fieldingは、クリスマスの休暇に家に戻って祝日を祝っていた。両親、兄夫婦、甥と姪、姉夫婦。姉にはもうじき出産の予定がある。
だが楽しい筈のこの日、彼の心には影があった。
同僚の生物教師、William MacPhersonとともにこのクリスマスをすごすことができないことに。

William MacPhersonは予定よりも1日遅れてオックスフォードを発たねばならなかったせいで、予定の変更を迫られていた。雪はふりつもりつづけ、彼の乗った電車は乗り換え予定の駅まで行くことができない。しかも、彼の親が待つスコットランドへの国境線は封鎖された可能性もあるという。

ヨークの駅で降りることになった彼は、Christopherの家へと向かう。
思いもかけずに、彼らは一緒のクリスマスをすごすこととなり…
.....



イギリスのヒストリカルもので大学教授ものったら「Lesson」シリーズが有名で、実は私も何作か読んでいますが、かなり回りくどいイギリスヒストリカル英語(長くて説明が多くて単語が独特!)なのでレビューするには至っていません。そのうちね。あれはケンブリッジだったかな?

さて、こちらは1922年、オックスフォードで教鞭をとるふたりの若い教師の物語。
ChristopherとWilliamは出会ってすぐに恋に落ちて、隠れた恋人になる。
そしてこのクリスマス、ChristopherはWilliamと一緒にすごしたいのだけれども、恋人は家族の元へ帰らねばなりません。
でも会いたいなあ…と、クリスマスに願いをかけるChristopher。それがタイトルの「Christmas Wishes」の意味です。Wishesなのでほかにもいくつか望みをかけております。

ちょっとした盛り上がりと、ほのぼのした展開で、クリスマスらしい愛らしい話。恋に落ちてる2人の感じはよく出てて、読んでいると気持ちがあたたまる。甥っ子たちとの雪合戦とか、姪が生まれるシーンとか、色々と織り込まれてるエピソードも過不足なく、のんびり楽しめる。
やや古風な感じの言い回しもありますが("Yes."ですむところを"Indeed."と相づちを打ったりとか)、それほどわかりにくいところもなく、ととのった文章です。

同性愛は犯罪と見なされた時代ですので、Christopherは勿論彼らの関係は隠しているのですが、これ、両親は知っている気がしますね。そのへんをさりげなく匂わせる感じも、あたたかく描写されていて、クリスマスっぽいハッピーさが漂っています。

ヒストリカル好きで、シンプルで素敵なクリスマスストーリーを読みたい人に。
暖炉の周囲に皆が集まる、由緒正しい、古き良きクリスマスの景色が描かれています。

★ほのぼの

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What Can Be
Mary Calmes
What Can Be★★ summary:
13年前の夏、子供だったEliは母親と共に家を離れた。それはちょっとした夏の旅行になるはずだった。
だが、彼はそのまま家族と離れて、13年、帰らなかった。

今、「Jacob Somerville」となった彼は、シカゴの恋人を去って故郷へと向かう。
あまりにも重い記憶と傷を引きずりながら。

家族は彼を見て驚き、喜び、母がどうしているのか知りたがる。
だが、語れるだろうか。ずっと抱えこんできた秘密を、このクリスマスシーズンに、待ちつづけていた家族に?
.....



クリスマスの帰還ストーリー。
色々な意味で、とってもMary Calmesらしい短編。

主人公が活発で愛され姫タイプ、人の言うことを聞かない頑固なはねっかえり。そして彼にめろめろの攻め(今回はAppleに追随するIT会社を持つ大金持ちだ!)。
その主人公が感情のおもむくままに巻き起こしてしまう一騒動と、その決着。
いやあ、この人のステレオタイプはほんと楽しいです。ワンパターンと言えばワンパターンですが、いいパターンだと思う。読んでて安心するというか。可愛い受けと強いけど受けにめろめろな攻めがいて、愛されハッピーエンドって、ある意味やっぱり究極の形だな。

Eliはずっと過去から逃げていましたが、今回、恋人から逃げ出して故郷へ足を向けてしまう。かといって、まだ過去と向き合う決心がついたわけではありません。
13年前、彼と母親の上におこったひとつの悲惨な出来事を、彼は語れる気がしない。そのプレッシャーは重くのしかかってくる。
実際彼の心は救いをもとめ、そこに現れたのは──まあもちろん、ちゃんと彼氏が助けに来るわけですよ。正しいロマンス。

そんなこんなで、色々な感情の交錯があるんだけど、そのへんはそれほど重きを置かない感じで流れていきます。テンポも早いし、電話の向こうには「とにかくお前が好きなんだ」モードの恋人もいて、根っこは明るく、にぎやかな話です。
会話基本で話がかんかんっと進んでいくので、読みやすさとしてもおすすめの1本。

★過去のトラウマ
★帰還

Draconian Measures
J.C. Owens
Draconian Measures★★☆ summary:
Finnarianは、不死身の種族だ。彼らは結界によって守られた国に住むが、人間の王との契約によってFinnarianの兵士は人の戦争に加わってきた。彼らは人との快楽を食い、血を飲んでそのエネルギーとする。

Draconianは、長命の竜族だ。鱗と尾を持ち、翼をそなえている。
勇猛で知られる彼らは、閉ざされた世界に住んでいたが、遠い昔の契約で人の王に軍隊を送った。
Draconianの兵士達は戦場で人やFinnarianと入り混じって戦いながら、数百年と言う長い時間の間にひとりずつ命を落とし、今ではGraitaanが最後の生き残りだった。

FinnarianのリーダーSadanは、DraconianのGraitaanを見た瞬間に、彼こそが自分の運命の相手ではないかと感じた。Finnarian種は、長い一生の中でひとりだけ、運命の相手と出会う。
だがGraitaanは孤独で、頑固で、Sadanを信頼していない。
Sadanは何年もかけ、Graitaanを自分の部下として配置させると、距離をつめようとするのだが…
.....



Gavenシリーズの3。1と2は人間の少年GavenがFinnarian種の戦士と恋に落ちて、自分の存在を確立していく話でしたが、今回は両方人外だ!
シリーズ2巻でSadanが「父親」としてちょっと顔を見せた時、Draconian種が恋人であること、「ベッドで毎回命を落とさないかって心配が」みたいな冗談を言ってたので、相当に大変な恋人であることもわかってました。
期待通り、3では彼らの出会い編。

Graitaanは勇猛果敢なDraconian種、ではありますが、この竜がむっちゃ可愛い。予想外に可愛い。頑固で後ろ向きで深く殻にこもったシャイ。Sadanに誘惑された最初の時のことは「夢だったんだろ」と思い、その後でSadanの体に自分の匂いが残っていることに気付いて愕然と凍りつく。
で、Sadanは「まあどうせそんなことだろう」と思って、あえて洗わずに匂いを残しておくわけです。こいつも相当悪い。

さらに何か(不埒なこと)をされるとGraitaanは「恥ずかしくて死ぬ、でもその前にあいつを殺す!」となり、メイトの印として首にSadanの牙の痕を残されれば、「誰かに笑われたらそいつをバラバラにしてやる!」となり、あちこちに牙を剥きながら、がんばる。
もーほんと可愛い。でもSadanに誘惑されるとめろめろっとなっちゃうわけですが。

種としての習慣の差に目を白黒させるところもおもしろい。Finnarian種というのは男女が分かれて暮らしています。メイトになれば多分一緒に暮らすんだけど。男も強いが女も強く、女は「子供がほしいな」と思うとやってきて、男に子作りを要求し、妊娠すると去っていく。産まれた子供が女だったら自分で育て、男だったら10まで育てて、後は父親のところに送る。
彼らの慣習としてはうまく働いているのですが、それを聞いたGraitaanは「子供によくないだろう」とか、色々心配しちゃったりして、気の回る竜です。
Sadanに息子がいるということにもショックを受け、子供が全部で「157人」いると聞いて卒倒せんばかりになる。「ひゃくごじゅうななにん?」がぐるぐると頭に回っているGraitaan。
でも自分にくってかかる幼い少年の姿にほだされて、Finnarianの子育てもうまくいってるんだなーと思い直したり。

GraitaanはSadanとの「運命の絆」を受け入れる気はさらさらない。
Sadanは、Graitaanとの距離を時間をかけてつめていこうと思う。傲慢で自信たっぷりなのですが、あまりにもGraitaanに拒否されるとちょっとへこんだりして、そのへんも何ともいい味出してます。

ファンタジー好きで人外好きなら鉄板。傲慢×意地っ張りとしてもかなりいいです。
1と2を読まなくても3だけでもいけます。

★人外(吸血系×ドラゴン族)
★不老不死

Joy of the Season
T.A. Chase
The Joy of the Season★★☆ summary:
Hal Simsにとって、クリスマスは楽しい季節ではなかった。
それは兄のRupertが死んだ季節であり、それから15年間、彼は兄の言葉を守って行き場のない患者のためのホスピスを経営してきた。
私生活に費やす時間の余裕も、気持ちの余裕もなかった。

Tavis Komenは、Halのホスピスへ毎年巨額の寄付をしてきた。
この年、彼はホスピスでのボランティアを申し出る。彼はただ金を費やすだけでなく、何かをして自分の人生を変える必要を感じていた。

HalはTavisに惹かれるものを感じたが、そこに何かを期待はしなかった。年上で人生にくたびれた男に、Tavisのような社交界の寵児が心を動かすとは思えない。
Tavisのボランティアの申し出はありがたい。だが、死にゆくもののそばにいることが、多くの者たちにとってあまりにもつらく、心を削るものであるのも知っていたから、Tavisが長く続くとも思わなかった。

Hal自身、すでに限界が近づいている。このクリスマスに、また誰かを失うことに…
.....



HalはAIDS患者のためのホスピスを経営している男です。寄付によってまかなわれた無償のホスピスは、行くあてのない者たちの最期を安らかに看取るための場所。
彼がそれをはじめたのは、仲のよかった兄がAIDSで死に、その遺言を守っているからです。兄は最後の瞬間まで楽しく、前向きに生きた。そんなふうに最期の日をすごせる場所をと願って、Halはホスピスを続けているが、人を見送っていく日々は彼の心を大きく削っている。

そして、そこに現れた、社交界のゴールデンボーイ、Tavis。
自分の人生を変えて、何か実際に社会のためになることをしてみたいと願った彼は、Halのホスピスでのボランティアを申し出る。

クリスマスストーリーにしてはヘビーな背景で、実際、胸をつかまれるようなシーンがいくつかあります。
この話の中心は、死期が近づいているひとりのホスピスの患者でもあって、この子がまたいい子なんですよ。Tavisと仲良くなった彼は、自分がもうすぐ死ぬことをわかっていて、Halに「自分が死んだらTavisのことをよろしく」と言い残す。死者の看取りは、つらいものだし、衝撃的なものなのです。特に1番最初は。
T.A.Chaseは根本的に明るい文章を書く人なので、湿っぽさはあまりないのですが、それだけに何だかいじらしいというか、何とも切ない気持ちになります。

Halは、45歳の疲れた中年男で、頭も薄くなっている。彼の心はもうぼろぼろで、今年のクリスマスは誰を見送ることもできない。それは弱さではなく、ひとりずつを心をこめて見送ってきた、彼の優しさなのでしょう。
若いTavisはそんな彼の、静かな優しさや、重荷を背負ってきた強さ、傷に惹かれる。見た目の釣り合いなんか彼にとっては問題ではない。

なかなかに味わい深い、切ないクリスマスストーリー。読後感は温かい。
しみじみとした読書がしたい時におすすめ。短編なので、そんなに負担もないです。

MLRプレスの2011のクリスマスストーリーの1本。

★ホスピス
★看取り

★Three-Star rating system★


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