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Slash(m/m小説) レビューブログ

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Promises
Marie Sexton
Promises★★☆ summary:
大学に行く時だけ故郷を離れたが、Jared Thomasは今ではほかで暮らすことは考えられなかった。コロラドの小さな町、Codaで親の店を継いで働きながら、彼は日々にそれなりに満足していた。
小さな町で、ゲイとして生きるのは簡単ではない。誰かに嫌がらせなどをされるわけではなくとも、視線や暗黙の距離がいつも立ちはだかる。
トラブルをおこさないように、静かに暮らしながら、このまま生きていくのだろうと思っていた。

そんな時、Matt Richardsが彼の目の前に現れる。新しく町に越してきた彼は、警官で、ストレートで、そしてJaredとほとんど一瞬で気が合った。
彼らはお互いにとってかけがえのない友人になる。Jaredは、ゲイの友人を持ったことでMattが警官仲間からあてこすられているのは知っていたが、Matt本人が気にする様子はなかった。

JaredとMattの距離は次第に近くなり、Jaredは自分たちが友人としてのラインを踏み越えようとしているのを感じる。
だが、Mattはストレートだ。
それともそこには望みがあるのだろうか? ないとしても、彼らは友人のままでいられるのだろうか?
.....



Codaという小さな町を中心にしたシークエンスシリーズの、第一作目。

Jaredは町でほとんど唯一のゲイの男で(ずっと年上にもうひとりいますが守備範囲外)、そのことを受けとめてはいるけれども、「受け入れられている」というよりは町の人たちと微妙な距離を取ることでお互いに暗黙の了解があるような感じです。
兄や母、兄嫁は彼のことをサポートしてくれるし、家族の距離も近いし、愛されているのはわかっている。でもJaredは孤独です。
「ゲイ」というラベルの下で色々な視線を受けることに、慣れてはいるようだけれども、やっぱりそのたびに傷ついている。でも強がっている。

Codaの新しい住人となったMattは、そんな彼とあっというまに親友になり、マウンテンバイクで出かけたり、フットボールを見たりと楽しい時間をすごすようになる。その時間がどれほどJaredにとってかけがえのないものなのかが、細かな描写からつたわってきます。
その時間の中で、JaredはMattに恋に落ちてしまい、望みがないとその気持ちをどこかに押し込もうとする。これがちょっといじらしい。

だから、どうやらMattも自分に惹かれてるらしい(性的な意味で)と気付き始めた時、Jaredはどうするべきかわからない。Mattはあきらかに「自分はゲイではない」と強く決め込んでいるし、それを変える気はなさそうだし、でもこのままだと2人の間には「何か」がおこりそうで、それをとめる方法もわからない。とめたいのかどうかも。
もし「何か」がおこったら、それは自分とMattの友情を終わらせる、破滅的なインパクトになるかもしれない。そうなったらまたJaredは孤独な生活に戻らなければならない。それには耐えられる気がしない。
さあ、どうする。

Jaredの視点から書かれた話ですが、細かなイベントや会話から、Mattの置かれた立場や彼の考え方などもつたわってきます。この作者は小さなエピソードやセリフを使うのがとても上手で、キャラの性格や振る舞い方が自然と話の中から浮かんでくる。かなりうまいですね。
設定や話のはじまりもひねってあって、最初から最後まで「次はどうなるんだろう」という楽しみが続くのがポイント高い。きめこまかい気持ちの描写や設定のひねり方でL.A.Wittを思い出しましたが、こっちのMarie Sextonの方が話のトーンが明るくて読みやすいかな。深刻なテーマも入っているんだけど、キャラが不屈で、ちょっとコミカルな面もあります。

傷ついたり、怒ったり、足元を踏み間違えたりしながら、小さな町Codaで、2人はどうにかして道を探そうともがく。友達でいられるか、友達でいたいのか。できないのなら、どうなってしまうのか。
ゲイとストレートの話が好きならともかくおすすめの1冊。2人だけでなく、周囲のキャラもよく書けてて、色々なドラマが折り重なっていて楽しいです。

★ストレート
★親友

英語の教材アプリの「興味がある内容だからヒアリング学習もバッチリ!」みたいな文句を見ていて、ふと魔が差したわけですね。
そのアプリの中身は世界の有名人のインタビューとかで、食指は動きませんが、この「興味があるジャンルだから」という言葉には身に覚えがあります。スラがなければ英文読解なんて覚えられなかったにちがいない。

というわけで、スラのオーディオブック買ってみましたよ。3ドルちょっとなり。

アメリカってオーディオブック好きなので、やっぱり山ほどありました。スラも。
アマゾンのオーディオブック部門なのか提携会社なのか今いちよく知りませんが、Audibie.comで買ってみた。Amazon.comのアカウントがそのまま使えます。
買ったのはCarol Lynneの「Dalton's Awakening」。この人のならきっと聞きやすくて適度にエロであろう!
長さも1時間ちょっとくらいなので、お手ごろのような気がする。8時間のとか、もう、最後にたどり着いた時には最初を忘れてそうだよ…
はじめだけちょっと聞いてみた感じだと、文章がしっかり聞きとれるかどうかはあやしいけど、何とか話の流れはつかめそう。
エロシーンにさしかかるのが、楽しみかつ怖い。聞き終わったらレポします。

落としてきたファイルはダブルクリックで自動的にiTunesに入りますが、iTunesからTouchに同期するには、Touchをつないで同期の設定内の「ブック」の項目から、下の方にある「オーディオブックを同期」にチェック入れないと入らないので注意。

スラもぼちぼち読むかたわら、最近洋書見ながら編み物始めまして、これがおもしろいんですよ。元々編み物やらないんですが、本をたよりに靴下編んでます。欧米には、方眼に記号をびっしり書き込んだようなあの「編み図」がなくて全部略語と文章で説明になりますが、わかってみると機能的です。編み図が最高に苦手なのでこれはうれしいぞ。
日本の編み方だと靴下はやたら複雑だけど、欧米にある爪先編み方式だと簡単にできるので、日本にももっと靴下編みがひろまればいいのに!
私は男女ものの洋書は読みませんが、やっぱり「手編みのマフラー」とかはロマンス定番の小道具だったりするのかなあ。

Wild & Wicked Cowboysというブログで、J.L.Langleyが「Who's your Daddy?」というポストを書いてます。
前半は彼女の「His Convenient Husband」の抜粋なんですが、大事なのは、このAJという若者が頭に来てまくしたてるシーンで父親にたしなめられると “But, Daddy―” と父親に理解を求めようとするラストのセリフ。
これについて作者のLangleyが解説してます。

まず、このセリフひとつで、AJが、頭にきてる時ですら父親に対して自分を説明しようとする、父親を尊敬している男であること、父親の意見が彼にとって大事であること。
そしてAJが南部の男でありカウボーイであること、などがわかるのだと。

作者のLangley自身も南部の生まれ育ちのようなんですが、そのあたりでは父親を"Daddy"と呼ぶことは普通なんだそうです。北部の子供たちが7歳前後で"Daddy"という呼び名から卒業するのに対して、南部では大部分が最後まで"Daddy"を使いつづける。
だからウェスタンもの、カウボーイものを読む時は、そうした呼びかけに注意してみると、登場人物が古く南部に根ざした人間で、父親に対して尊敬の念を抱いているのかどうかとかが、"Daddy"からわかる(ことがある)と。

そう言えば普通見るのは"dad"とかですねえ。daddyはたしかに子供っぽい気がするけど、南部ではそうじゃないってことみたい。

これを呼んでいて思い出したのですが、ディック・フランシスの小説を日本語で読んだ時に、シリーズのどれだったかで登場人物が母親のことを「マザー」と呼ぶシーンがあります。それを見ていた主人公が、子供のころ父親に「マザーとだけは呼ぶな」と教えられたことを思い出す。ママ、マミー、くそばばあ、何と呼んでもいいがマザーはだめだ、と父は言っていた。マザーと言うのは支配的な呼びかけであるからだ、と。
実際、その「マザー」と呼ぶ女性と、母親との間はぎすぎすしていて、支配的な娘とそれを愛しながら悲しい思いをしている母、という親子関係でした。
あれも呼びかけがそのキャラクター、そして人間関係を象徴しているシーンだった。舞台はイギリスだったけど。

で、昨日は「Chasing Smoke」を呼んでいたのですが、そこでもDannyが自分の母親について"Motherが" と言及するシーンがあって、それを聞いた昔なじみのTreyが「この家はいつもそうやってお互いに礼儀正しい距離を保っているが、人間同士のふれあいには薄い家庭だった」とか何とかそんなようなことを思い返すのです。
やっぱり「マザー」は冷たく、形式張った言い方で、あまり親しみがないらしい。
日本語でも態度や言葉遣いから「お里が知れる」みたいなことをいいますが、呼びかけひとつにキャラクターの色々なものが凝縮されてるんだろうなあ。

余談ですが、このポストのタイトルの"Who's your Daddy?" というのは直訳すると「お前の親父は誰だ」という意味ですけど、裏の意味があることがあって、「自分を何様だと思ってるんだ?」という意味のセリフになります。意訳すると「つけあがるなよ」ってなひびきがあることも。
2004年のメジャーリーグのポストシーズン(日本シリーズみたいなもん)の時、ヤンキース対レッドソックスの試合では「Who's your daddy?」というプラカードやらかけ声やらが球場にあふれ返ってて凄かった。この時のターゲットはペドロ・マルティネスというレッドソックスのピッチャーで(かなり強気で大口をたたくことで有名、そしてまたこの頃のペドロは嫌になるほどヤンキースに強かった…)、この人がその前の記者会見で「今回は負けたよ。帽子を脱いで、ヤンキースを俺の"daddy"と呼んでやるさ」と言ったものだから、それ以来ペドロ対ヤンキースの試合ではヤンキースファンが "Who's your daddy?" と大声ではやしたてるようになったのでした。球場中が割れるようだった。この時は松井がヤンキースに在籍していたので、見ていた人も結構いるんじゃないでしょうか。
"Who's your daddy? It's me!" とかの馬鹿プラカードも見たなあ。
その後も、ペドロに"Who's your daddy" はついて回って、メッツに移籍した後もヤンキース戦でははやしたてられてた記憶があります。ニューヨーカーにとっては"Daddy"は南部とはちがうひびきを持つんだろうし、Daddyなんて父親を呼ぶこともあまりないんだろうし、そういうこともあの"Who's your daddy?"の大合唱と関係あるのかなあ。
凄かったんですよ、ほんと…

★Three-Star rating system★


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