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The Trap
Indigo Wren
TheTrap★★☆ summary:
3年前、大学の親友であるDavidとEthanの将来は輝いているように思えた。彼らが作り上げようとしている新たなビジネスは莫大な富を約束していた。
何ひとつ、それを揺るがすものはない。その筈だった。

だが、Davidはそんな未来から逃げ出したのだ。Ethanから、彼らの会社から、ふたりで得られたかも知れない未来から。
そして3年間、2度と振り返らなかった。
悪夢や不眠症、神経症に悩まされながら、彼は決して振り返るまいとしていた。振り返ってはいけないものだった。まさか、Ethanに対して友人以上の気持ちと欲望を持つようになっていたなどと。

それなのに、3年たって、DavidはEthanと顔をつきあわせていた。
孤島で。

島から出る手段もなく、彼ら2人きりしかいない。Ethanの罠に、彼ははまりこんだのだ。
それともこの3年間、Davidが自分で自分をとじこめていた罠から、Ethanが彼を救い出そうとしているのだろうか…
.....



スラには珍しく、わりと正面きっての監禁物(おお~!)。
もちろん、無理矢理の監禁。いや、前に監禁物を読んだら最後の最後で「実は同意でした♪」というオチのものがあったもんで…

DavidとEthanはとても仲のいい友人で、大学時代に意気投合してビジネスを始める。未来は美しく輝いていた筈なのに、Davidは、Ethanへの欲望に気付き、そしてそのことをEthanに知られたと思って全力で逃げ出した。後ろも見ずに。
そのDavidを3年ごしにとっつかまえたEthanは、島を丸ごと買い切って、恐ろしいほどの執念と根性でDavidを罠にはめる。あんまり根性入っているので、ちょっと引くくらい怖い。完全に犯罪者だと思います。いい男だけど。
逃れようとするDavidと、それを許さないEthan。島から出ようとするDavidと、残酷なまでにそれを阻止するEthan。色気があると言うより、ほとんどこの段階ではストーカーと監禁被害者って感じです。いや読んでて楽しいんだけどね。
逃げようとして逃げられない、悪夢にもパニック障害にも追いつめられているDavidの痛々しさと、彼を覆う殻を無理矢理打ち砕こうとするEthanの静かな情熱は、なかなかに読みごたえがあります。

DavidはEthanが自分(の失踪)をうらんでいて、仕返しにそんなことをしているのだと思っている。でもEthanは明らかにDavidを求めていて、お互いに両思いになってもよさそうなものですが、Davidは絶対にEthanに対する気持ちや欲望を認めようとはしない。ほとんどパニック状態になっても拒否にしがみつく。
そんな中で、EthanはDavidに取引を持ちかける。島から出たければ、短い期間だけでいいから、自分のものになれと。

スラは「無理矢理」ものが少ない(特に商業は)ジャンルですが、今回も、無理に孤島に監禁してかなり手ひどく追いつめて、逃げ場はないと思い知らせるくせに、無理矢理エロはないです。まあ無理矢理ちっくはあるけど。
そこまで無理矢理監禁しといて、「してもいいよね」ってエロはやっぱり同意求めるのかよ!とツッコミ入れてしまった。

その他、あまりにも念の入った監禁システムとかツッコミどころは満載ですが、濃厚な感情のやり取りや、彼らの痛みは読んでいて鮮やかで、無茶苦茶な設定をきめ細かい描写でよく引っぱっていっていると思います。力技だけど、うまくあちこちにヒネリがきいてる。
キャラの陰影が鮮やかなのがいいし、ところどころのユーモアも楽しくて、彼らが本当はものすごくお似合いのカップルだということがつたわってくる。意地や、時間や、様々なものがそれを妨げているのだけれども。展開も、ひとひねり以上あってドラマチック。

BDSM絡みなので、BDSM好きな人、他人の支配を必死で拒もうとする意地っ張りな男、監禁もの(愛あり)に萌える人におすすめ。

★再会
★監禁

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ちょっとご無沙汰になってしまいました。
たてこんでいたこともあるんですが、新作よりも読み返しにハマっていたりして、色々読み返しました。やっぱ好きな「Cover Me」とか「All She Wrote」とか「A Matter of Time」とか「Rain」とか。読み返しも楽しいな!
英国海軍シリーズの新作が出てるので(…去年だけど)読む前に前のを読み直ししたいし。
3月にはJ.L.LangleyのWith or Withoutシリーズの新作が出るので楽しみっす。
レビュー書くものも溜まってるんだけどね! ぼちぼちです。ちょっとお待ちを~。

さて、こんな本も読みました。

英語の発想
安西 徹雄

タイトルの通り、英語と日本語の「発想」の差を解説したもので、対訳を並べながらどうやれば自然な日本語になるかの解説をした本です。
しかしただの英訳教習の本ではなくて、「何故そうなるのか」「どういう発想の転換が必要なのか」について細かく体系づけられているのが凄い。

普段、洋書を読む時に頭の中で日本語訳を作ることはありませんが(込み入ってる文章はやりますが…)、この本は「訳すため」ではなく「英語の意味を受け取るため」の解釈方法を書いてあるので、英文読解にすごく役立つと思う。
英文を訳したものだけでなく、日本の小説を海外で訳されたものを例に示しているのも「こんなふうに訳すんだ」という驚きがあって楽しかった。

特に、英語が「もの」に集約していく傾向があるのに対し、日本語は「こと」に集約されているとか、英語は主語と述語が対応関係にあるけれども、日本語は述語こそがすべてで、主語や目的語は述語の中から随時取り出されて示されているにすぎないとか、そのへんは目からウロコでした。
たとえば、

A slight slip of the doctor's hand meant instant death for the patient.


という例文は、「医者の手のわずかなすべり(slip)」が「患者の死(death for the patient)」を意味している、という文章で、「名詞→名詞」という構成になっています。色々な表現を「もの」として名詞化するのが英語の癖。
この例文に対する日本語の自然な訳として

医者の手がほんのわずかに滑っても、患者はたちどころに死んでいたであろう


という訳例が示されています。
「手のすべり」や「患者の死」と名詞のまま(「もの」として)訳すのではなく、「滑っても」とか「死んでいたであろう」のように「こと」として解釈した方が日本語としては自然な形になりやすい。
というのがざっくりまとめた「もの」「こと」話です。

英語と比較するために、日本語という言語の構成についても詳細に分析されていて、そこのところも大変おもしろかったです。こういうのは、日本語だけや英語だけを論じるより、対比して論じた方がわかりやすいですね。日本語に興味のある人にもすごく役立つ本だと思います。
英語論も含め、すべてが理解できたとは言えませんが、非常に得るところがあった一冊でした。小説読みながら何となく感じていたものを、言葉にして明確に示される爽快さもあったし。
今は同じ著者の「英文翻訳術」を読んでいますが、この2冊は「英語の発想」から読んでいった方がいいと思う。おすすめ。

どっちも30年以上前に刊行されたもので、それがまた凄い…

★Three-Star rating system★


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