Slash×Slash

Slash(m/m小説) レビューブログ

※万人向けの内容ではないのでご注意ください
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SWITCHING GEARS
Claire Thompson
SWITCHING GEARS★★☆ summary:
THE SOLITARY KNIGHTS OF PELHAM BAYシリーズ3。

高級車のメンテナンスショップを営むJackは、自分の中にある怒りを扱いかねていた。
特に顧客のMarcosの顔を見るたび、わずかな抑制もそのたがをはじきとばして、怒りは彼を完全に支配してしまうようだった。
Marcos──傲慢で、不遜で、人を見下すあのいけすかない男。

問題をどうにか解決するために、Jackはかつて自分を導いた男、Alexeiに20年ぶりに連絡をとる。
彼が背を向けた男。そして、背を向けた世界。
BDSMの世界に、答えのひとつがあるのではないかと思って。

だがAlexeiに説得されてある館を訪れた夜、裸のJackに引き合わされたのは、この世でもっとも見たくない相手の顔で…
.....



THE SOLITARY KNIGHTS OF PELHAM BAYシリーズ3。
と言っても1や2は読んでないのですが、やや自虐的に「独り者クラブ」を作った男たちのそれぞれの話で、シークエンスのようなシリーズらしいです。PokerNightシリーズみたいな感じかな。

JackもMarcosもそのクラブの一員で、顔見知りではあるけれども、顔を合わせれば毛を逆立てた犬のように相手に噛みつかずにはいられない。
どちらも相手を嫌っていると思っていて、嫌われていると思っていて、でもそれは心の奥底にあるものをお互いにきちんと受けとめていないからではないのか?という話。

Jackの中には、自分や相手を滅ぼしかねないほどの怒りがある。彼は常に自分の存在を誇示するように生きてきた。ほしいものは手に入れてきた。だけれども、人生に安らいだことはない。
彼がかつて安らぎを感じたのは、年上のDom、Alexeiに導かれていたわずかな間だけ。だが、BDSMは自分のシーンではないと感じて、Jackはすべてに背を向けてきた。
今でもD/sのクラブが自分の属するところだとは思えない。だけれども、人生の何かの答えがあるのではないかと思い、JackはAlexeiにアドバイスを乞いにいくのです。完全に追いつめられている。

このAlexeiが、もう年を取っているのだけれども大変にいい「先輩」って感じで、多くの人々を導いてきたのだろうなあという「賢者」のようなご主人様です。
Jackが自分を、自分の芯にあるものを拒否しつづけていること、そのことがずっと彼を苦しめていることを感じたAlexeiは、Jackにひとつの「お願い」をする。一夜だけ、誰かに膝を折って従属すること。
しぶしぶ承知したJackですが、そこに顔を見せた相手は何と!(…ご想像通りなわけです)

楽しみのためのBDSMではなく、自分自身を解放する手段としてのBDSMのシーンが、緊張感を持って、緻密に書かれています。
短めですけど、JackやMarcosのキャラクターがしっかりと描かれているので、一夜のお楽しみシーンというだけでなく「彼らの人生の一部」という重みがちゃんと感じられます。
ほかのシリーズも読んでみようかな。

ホットなBDSMシーンが読みたい人、相手が気になるあまりに敵意をむき出しにしてしまう素直じゃない男たちに萌える人におすすめ。

★BDSM
★嫌いあう2人

One Good Favor
J.L. Langley
Dick D.
One Good Favor★★★ summary:
ロープ競技のカウボーイEvanは、長い間苦楽を共にしてきた馬を失った。
その傷心が癒える間もない内に、彼は次の馬を探さなければならなかった。競技を続けて金を得るには新しい馬が必要だった。

馬を求めて訪れた牧場で、彼は奇妙な馬に出会う。頭がよく美しいその黒馬は、Evanが彼を選ぶ前にまるで彼のほうからEvanを選んでいたようだった。
美しく、誇り高く、支配的なその馬をEvanはすぐ気に入ったが、困ったことに馬はEvanの携帯電話を目の敵にして、隙さえあればそれを奪って投げ飛ばしたり水の中に放りこんだりするのだった。

競技に復帰したある夜、Evanはバーでひどく印象的な背の高い男に出会う。
彼とEvanはまるで長年の知り合いであるかのようにしっくりとなじむのだが、いつも肝心の話をする前にその男は姿を消してしまい、Evanは彼が妻帯者か何かではないのかと不安を覚え…
.....



The Ties That Bind アンソロジーの中に入ってる1本がスタンドアローンで出版されているもののようです。
元々はMLRプレスから出てるんですが、この1Place Romanceで軽くて甘々のものを探してる時に見つけました。ここは色々な出版社から委託で電子出版してるようで、あちこちから色々な毛色のものが集まってるのが楽しいです(シリーズ物の一部しかなかったりするから注意要ですが…)。

J.L. Langleyなので、甘々!楽しい!濃厚!と色々そろってます。合作相手のDick D.は私はよく知らないんですが、とにかく楽しくかわいくドラマありで最後まで一気に読める1作に仕上がってます。
馬のGusがかわいい。「自分を犬だと思ってる」とか「まるで猫だ」と皆が評するこのでかい馬は、Evanが大好きで、彼に顔をなすりつけて頭をなでてくれと要求したり、Evanの顔をなめ回したり、Evanの携帯電話をライバル視したりします。自分だけをEvanの中心にしておきたい、どうしようもなくわがままで俺様な馬です。

カウボーイのロープ競技というのは、馬に乗って子牛にロープをかけたり、同じように馬に乗った相手と互いにロープをかけあうもののようです。
カウボーイもののスラと言うと大体ロデオ(馬のロデオか、ブル・ライド)なので、ちょっと珍しいですね。でもロープを使うカウボーイってのはとてもエロいよね!と思ったり。
Evanが練習する際に、旅の同伴者でありロープ競技者のMarkが自分の馬に鞍を付ける描写があるので、多分基本的に相手にロープをかけあうものっぽい感じがします。

途中から姿を見せ、Evanの心をつかむミステリアスな男、Aaron。
Evanの危機を救ってはどこかへ消え、また現れてはホットな一夜をすごして消える。その謎めいた男の様子にやきもきするEvanが楽しい。
この正体不明の男も、やたらと「俺様」の雰囲気を漂わせているのですよ。

短めでかわいくてホットで幸せな話です。馬の可愛さにほんとにテンションあがるし!
俺様×カウボーイの甘々な話を読みたい人におすすめ。
Evanは一生、新しい携帯電話を買い直しながら暮らしていく気がする…

★わがままな馬

Fawnskin2: Frenzied
A. J. Llewellyn
D. J. Manly
Fawnskin2: Frenzied★★☆ summary:
Fawnskinシリーズ2。

死者を見張る仕事をしていたKnoxが目を離したことから、Harold Herxhiemerの魂はFawnskinの町へさまよい出し、事件ははじまる。
死者の願いは何なのだろう?
Knoxは、恋人のRallusを死の淵から引き戻してくれた死者に借りがあった。すべてが終わるまで彼はFawnskinを離れることはできない。

そのKnoxへと、過去からの暗い記憶がしのびよってくる。かつて、あるミュージシャンの奴隷として暮らしていた日々──そこから逃れてきたKnoxだったが、今度こそ「Daddy」に見つけられてしまうのではないかという嫌な予感が日々強まっていく。

バーの改装中、壁からとてつもない大金を見つけ出したMelは、それ以来、恋人のAdrianの奇妙な態度に悩んでいた。妹はその金を自分たちのために使おうと言うが、Melは警察に届けたい。
だが、警察が彼と銀行強盗の関わりを疑ったらどうしよう? 事実、彼の昔の恋人が強盗の実行犯なのだ。

Knoxへとせまる暗い影、さらに増える死者の数…そして、どうやらその背後には、人々を殺して回っている見えない殺人者がいるようだった。
.....



Fawnskinシリーズ2。
3で完結するそうですが、まだ出てません。2011年に発行予定。

2は、1が持っていたちょっとほのぼのした雰囲気はほとんどなく、追う者と追われる者たちの緊迫の展開になっていきます。
まー、言ってはなんだけど、なかなかにエグいです。誘拐された恋人を取り戻すために、死者と取引して死人と(別の体に取りついてるけど)セックスしたりする。

今回の新しい登場人物はKnoxの昔の「主人」であるAtlasで、実は1に出ていた登場人物の肉親でもあります。Atlasは人を操る能力に長けていて、かつてKnoxの主人として君臨した。
彼は、逃げ出したKnoxを取り戻しにかかります。

そして、魂となって町をうろついている死者Haroldの望みも、やっと見えてくる。彼は自分を殺した人間をとらえたいのです。
まあ、生きていた間に決してほめられた人間ではなかったようで、非常にわがまま勝手で嫌な死者ですけどね。いいこともたまにはするけど、全体にはKnoxに嫌がらせをしたり、好きな男とセックス三昧しようと姑息な考えをめぐらせたり、死にかかった老人の体に入っていいように引き回したりする。えげつなくも嫌な感じに、ちょっと笑ってしまいます。

1での重要登場人物も死んでしまったりして、物事はますますカオスです。
一応、ラストで何となくちょっとは片づいているんだけど、うろつく死者の魂が増えているので(しかもかなりヤバい死人がうろついてる)、全然平穏にはほど遠い予感。
次で幸せになれるのかなあ…

拷問とかハードSMとかありますが、描写はそんなに露骨ではないので、無茶苦茶苦手な人以外は問題ないかと。
ちょっと今回は全体にダークです。スラ色は薄めだけど(エロシーンは結構あるんだけど)、ばたばたと話と人が動き回る感じが楽しい。1を楽しんだ人におすすめ。

★群衆ドラマ
★愛なしのSMシーン

Fawnskin
A. J. Llewellyn
D. J. Manly
Fawnskin★★ summary:
Knoxはそれまでの人生を変えるために、Fawnskinの町にたどりついた。葬儀社が募集している仕事を、得なければならない。この職を得られなければ、また車上での暮らしで、ほとんど何の金もない。
彼にはその仕事が必要だった。
たとえ、それが四六時中「死者の魂が逃げ出さないように」死体を見張る仕事だったとしても。

だが、一瞬の不注意で、どうやら死者の魂は逃げ出してしまったらしかった。Mr. Harold Hoxheimerの魂は何かを求めて、Fawnskinの町にさまよい出す。
それを追おうとするKnoxは、Rallusという謎めいた男に出会う。彼は何者なのだろう。だが何者かわからないまま、Knoxは彼と恋に落ちていく。

Melは自分の秘密を握るあやしげな占い師の女に大金を払いつづけてきた。
もう払うものなど何もない。彼の夢だったバーの経営ももはや続けていけない。
AdrianはそんなMelを調査するために近づきながら、この疲れたバーのオーナーに惹かれるものを感じていた。だがAdrianには決してMelには話せない秘密があった。

そして、死者は何故か幼い子供の体をのっとり…
.....



Fawnskinシリーズ1。
タイトルからなんとなーく「シフターものかなあ」と思っていたら、シフターはいませんでしたが、パラノーマルものではありました。死者が生きている人間に取りついたり、人をあやつる力を持った女が出てきたり。

ドラマみたいな話でした。とあるアメリカの小さな町で、少しずつ色々なことがおこって、人々の人生が交錯しながら、その中で敵対や恋が生まれる。思わぬ事件が起こったり、幽霊の狙いがわからなくて、先を読み進むのが楽しい話です。
人数は多いけどキャラがうまく書き分けられているので、名前さえ覚えればかなり楽に読み解けるのがポイント高い。テンポもいいですし。
しかし展開は思ったよりエグい!
最初の内は「死人が皆を結びつけました、めでたし」的な、何かほのぼのとしたオチが付くんだろうなーと思っていたんですけど、どんどん人間関係(死者含む)が込み入っていって、どえらい感じになっていきます。しかも完結してなくて、2に続いてますが、2でも完結してなかったり。。(死者の数がどんどんふえてる…)
最後がどうなるのかもう気になる気になる。

大勢いて話が色々とクロスしていますが、とりあえずカプはふたつ。メインキャラはまあKnox。
登場人物の誰もが秘密を持っている。その秘密から逃げているものもいれば、他人に弱みとして握られているものも、人生を変えたいと願いつづけているものもいる。

ちょっとひねりが効いた話が読みたい人とか、集団ドラマが好きな人におすすめ。

★複数カプ
★超常現象

All She Wrote
Josh Lanyon
All She Wrote★★★ summary:
Holmes & Moriarityシリーズ2

古典的なミステリ作家であるChristopher Holmesは、巻きこまれた殺人事件の渦中で、5歳年下のベストセラー作家J.X. Moriarityと再会したのだった。
3ヶ月たって、彼らの関係はまだ続いていたが、Christopherはぎこちない思いをしつづけていた。長年の恋人は、彼を捨てて年下の男と逃げた。J.X.がいつか、Chrisが様々な面倒に値しないと気付いて、同じように彼の前から姿を消さないとは限らない。

だから、かつての恩師であるAnna Hitchcockからかかってきた助けを求める電話はChrisにとって渡りに船だった。階段から転落して足を折った彼女の代わりに、作家の卵たちのセミナーの講師役をつとめることは、週末のJ.X.との予定をキャンセルするいい口実だった。

だが、それはただの口実ではすまず、J.X.との関係に決定的な亀裂を入れてしまう。
そして、家を訪れたChrisに、Anna Hitchcockは思わぬことを告げるのだった。自分の命が狙われていると。その犯人をChrisに探し出してほしいと。
.....



前作「Somebody Killed His Editor」でじたばたしながら殺人に巻きこまれて右往左往していた落ち目の作家、Chrisふたたびの1冊。

Chrisは、何とか出版業界で生き残っているけれども、いささか先のあやしい作家です。恋人のJ.X.は元警官で、書くものはなんでもベストセラーリスト入りする。
そんな恋人に、Chrisは引け目を感じているし、年の差が気になるし、お互いの釣り合いが取れてない気がして仕方ない。彼は及び腰で、J.X.はそこにどう踏み入っていいのかわからない。

Chrisは猫と植物学者の女性を探偵役にした古典的ミステリのシリーズを長いこと書いています。今やそんなに売れてはいない。そのことも彼の悩みの種で、J.X.も彼のそのシリーズに対して「現実味がない」と手厳しい。
おもしろいのは、J.X.が決してChrisの作家としての技量を低く見ているわけではないところ。前作でもそうでしたが、J.X.は「Chrisはもっと自分をさらけ出して書くべきだ」と思っている。「お前は俺よりいい作家なんだから、自分をさらけ出すことを恐れずに、自分の体験に基づいたことを書くべきだ」と。
それをコンスタントに言われるのもChrisにとっては重荷で、苛立ちの元なんですが、果たしていつか彼はJ.X.の忠告に従うんだろうか。意地っ張りだから簡単には従わないと思うけど、楽しみ。

Chrisは頑固で、ちょっと天然が入っていて、皮肉屋。でも見た目以上に実は繊細で、クールに見えるのはシャイなだけで、長年の恋人の裏切りに今もまだひどく傷ついています。
でも今回、Chrisの回想によれば、彼らはどっちもTopを好んで、義務感からBottom役をかわりがわりにやっていたけれどもそれを楽しんだことはなかったし、何となくぼんやりして2人ですごす時に手を握りあうこともなかった。彼と元彼の関係が、愛情や情熱に満ちた甘いものだったようには見えません。
シャイなあまり、そういう不器用な人間関係しか結べないのがChrisで、今回、J.X.はひとつずつ彼の防御を壊しにかかります。そしてChrisはJ.X.にそれを許す。
ただの週末の関係から、恋人同士になっていく、そのステップが小さいながらもドラマティックで、はらはらします。
J.X.は優しくて、Chrisに首ったけだけれども、何か言う時はまじで容赦なく本音。実際Chrisはめんどくさい人間なので、そういう人とまっすぐ向き合うには相当の体力や誠実さを要すると思うのですが、惚れた弱みとは言え、J.X.もよくがんばるなあ。探偵ごっこにもちゃんとつきあって、彼をどこまでも守ろうとする。

ぎこちない作家が、5歳年下の作家仲間に追いつめられて、逃げ場を探しながら落ちてく感じが可愛い。恋にちょっとおろおろしながら、探偵役もやろうとして右往左往している。頑固で、誠実に。でもそんな彼が最後に対面する真実は残酷なものでもあります。

ミステリの軸もしっかりしていて、読みやすいです。前回の舞台も外界から切り離された館で、古典的なミステリの形式を踏襲してましたが、今回もほぼ館内で物事が進みます。物理的に隔絶されているわけではありませんが、やはり古典的な雰囲気の残るミステリに仕上がっています。
作者のLanyonは、Adrien Englishシリーズを完結させた後はこれを主軸にしたいのかな。今回Chrisが旅の間に読もうと思って持って行った本に「Adrien Englishシリーズ」の本が入っていたのはご愛嬌。

肉食系×草食系のカプが好きな人、古典的ミステリの雰囲気が好きな人におすすめ。ユーモアと恋愛模様とミステリのバランスがよく取れてて、読みやすい1冊に仕上がってると思います。

★古典ミステリ

あけましておめでとうございます♪
レビューブログをはじめて1年と9ヶ月、結構世の中にはスラを読む人がいるんだ!ということを知れたのがうれしいです。みんな、仲間は結構いるぞ~!
というわけで、今年もよろしくお願いします。

そんなわけで、2010年の個人的ベストリーディング!
とりあえず上から軽いもので、下になればなるほど重いもの。

あと、英語記事ですが色々な「2010年おすすめリーディング」の記事も書評ブログがあるので、ネイティブさんのおすすめもここで読めます。
・Readers’ Top Books in 2010 *コメント欄に読者が好きな本を書き込んでます
・My Top 10 Books for 2010 and Honourable Mentions
・Guest Reviewers Top Picks for 2010

【ベストリーディング2010】

Take My Picture Giselle Ellis
もう笑うしかないような一冊。
お互いベタ惚れで変わり者のふたりがぶつかりあい、お互いを愛しつつ、周囲を巻きこんでじたばたしているの図。

Trust Me If You Dare LB Gregg
Romano And Albrightシリーズ第二作。
これはもう主人公のCaesarがかわいくてかわいそうで楽しい一冊!
テンション上がるしほんとに楽しい気持ちになれます。

A Matter of Time 1 Mary Calmes
Matter of Timeシリーズは3、4とちょっと尻すぼみになっちゃうのが残念ですが、やっぱりそれでもおもしろい!ので、しぶとく強気で誰にも負けない、愛される万能姫受けに萌える人は是非!

Resistance L.M. Turner
「恋なんか絶対しない、セックスだけで充分、二度は同じ相手と寝ない」と呪いのように誓いつづけている男が恋に落ちてしまったらしいという話。シリアスなようでギャグあり?ほほえましくもあり、楽しいし、切ない。

Wolf's Survival T. A. Chase
孤独な人狼と、人間の男の出会い。ロマンティックで、ちょっとニヤリとさせるようなユーモアもこめられたバランスのいい一冊。

The Dark Tide Josh Lanyon
Adrien Englishシリーズ最終巻。
去年のベストリーディングにも入れましたが、やはりAdrien Englishのシリーズはおすすめ。シリーズの最終巻としても美しい終わり方をしたと思う。このシリーズは、Adrienの物語であると同時に、Jakeの人生の物語でもあります。
ミステリ部分がついているので、英語に慣れないとちょっと長く感じるシリーズですが、興味のある方は是非トライをおすすめします。

Anchors Aweigh Janey Chapel
軍隊を舞台にした物語。訓練を積む間の男と男の絆なども、乾いた文体でくっきりと描かれていて、ミリタリー萌えなら鉄板!男臭さ(ガチムチって意味じゃなくて)が実にツボなのです。

Zero at the Bone Jane Seville
殺し屋と医者の奇妙な逃避行。骨太の描写がぐいぐいと読ませる感じで、長いのに映画のようなスピード感があります。何とも言えない澱のようなものが心に残る、ちょっと黄昏な感じも好きです。

Finding Zach Rowan Speedwell
誘拐されて戻ってきた少年は、監禁生活の凄まじい傷を体にも心にも残していた…という、重く切ない話。ひとつひとつのシーンや、人との対決が妥協しない筆致で書かれています。

A Red-Tainted Silence Carolyn Gray
長くつらい苦しみの話。主人公たちの痛々しい交錯に気持ちが引き込まれます。
描写のどんでん返しなども用意されているので、是非読んでみてほしい一作です。

The Dark Tide
Josh Lanyon
The Dark Tide★★★ summary:
Adrien Englishの人生は、やっと平穏の時を向かえたかのように思えた。
銃で撃たれ、心臓の手術を受け、生き延びた彼の前には、ついに新しい人生がひらけているはずだった。
彼が愛したかつての恋人、Jake Riordanはカミングアウトを果たし、Adrienと生きて行きたいと告げる。それはAdrienの望みでもある筈だった。

だが、Adrienには未来も希望も見えてこない。
Jakeとの関係を取り戻すことすら怖く、Adrienは彼を遠ざけながら、彼のことを考え続けている。
Jakeと一緒にいた10ヶ月、離れていた2年間、そして再会の時に得た、心臓が引き裂かれるような心の痛みを。

そんなある日、Adrienが本屋を広げようとして買い取った建物から古い骸骨が見つかり、彼はその調査をJakeに依頼するのだが…
.....



Adrien Englishシリーズ最終巻。Lanyonは「ぐずぐずシリーズを続けるのは作家の最大の失敗のひとつ」とか言ってる人なので、多分潔く最後だろうなあ。残念。
とは言え、最後らしく読みごたえのある一冊です。表面的には穏やかだけれども、頑固で意地っ張りで人を一定以上よせつけないAdrienと、ゲイである自分自身に苦しみ、憎しみを抱えこんでいたJakeのたどりついた、人生の1ページが鮮やかに描かれています。

前作でJakeがカミングアウトし、彼らのハッピーエンドは約束されたかのようでしたが、果たして、そんなにうまくいくものではありません。Adrienは傷ついた痛みを忘れることはできないし、Jakeをどこかで信じ切れていない。
それは愛しているがゆえの痛みですが、深い痛みを知ったAdrienは怖じ気付いている。

今回の読みどころは、Adrienの痛みや迷いとともに、Jakeの変化でしょう。Adrienは、不可抗力のもとでカミングアウトをせまられたJakeが怒りや後悔を抱え込んでいるのではないかと恐れるのですが、Jakeは落ちついている。それどころか、これまで彼が抱え込んでいた刺々しい攻撃的な態度もなくなって、彼はきわめて穏やかで、平穏です。
JakeがAdrienに「カミングアウトはお前だけが原因ではない」というシーンがあります。Adrienの存在は一因でありきっかけで、ですがJakeはこれまであらゆる道を探したのだと。女とつきあい、結婚して家庭を作ろうとし、欲望は表から見えない形で吐き出してすませようとした。勝手ではありますが、それは彼にとって血のにじむような模索の結果だったわけです。自分ではないものになろうと。
そのすべてに失敗し、彼は、自分が生きるにはもはや偽りのない人生しかないと知る。そこまでもがきつづけ、自分を否定しつづけた──そんな壮絶な苦しみが文章の間から見えてくるような一冊です。

相変わらず、Adrienの皮肉っぽいユーモアや、斜めすぎる視点は健在です。つうかますます磨きがかってますね。物腰柔らかそうでキツい男なのですが、彼がJakeのそばにいると自分のガードを自然におろせる様子がほほえましい。
ミステリの部分もおもしろかったし、切なかった。チャンドラーのセリフや映画があちこちにちりばめられていて、Lanyonのチャンドラーに対する憧憬も見える。チャンドラーが舞台にした時代(ほぼ)を今回のミステリの背景にしたのは、偶然ではないでしょう。

上質の読書なので、じっくりと何かを読みたいときにおすすめ。あちこちに味わい深いシーンがあります。
中で言及される "Joan of Arc" はジャンヌ・ダルクのこと。
これだけを読んでもわからないので、シリーズまとめておすすめです。

★50年前の殺人

★Three-Star rating system★


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・幽霊狩り(ヘルハイ1)
・不在の痕(ヘルハイ2)
・還流
・夜が明けるなら(ヘルハイ3)

*他訳者さん*
・わが愛しのホームズ
・ロング・ゲイン
・恋人までのA to Z
・マイ・ディア・マスター