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Slash(m/m小説) レビューブログ

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Icecapade
Josh Lanyon
Icecapade★★★ summary:
2000年の1月1日、Noel Snowはベッドの中で目を覚まし、横にいるRobert Cuffeの姿を眺めた。
それは記憶に残る一夜だった。

そしてそのまま、Noelは脱兎のごとく逃げ出したのだった。
RobertはFBIの捜査官で、Noelは宝石泥棒だ。どれだけRobertに追われる瞬間を楽しんでいたとしても、Noelは牢屋に入るつもりはなかった。

その後10年たち、足を洗ったNoelは、犯罪の経験を元にしてベストセラー作家になっていた。
だがそのことがはからずもRobertのキャリアとプライドに傷をつけていることを知り、深く後悔した彼はクリスマスの夜に毎年Robertの電話にメッセージを残したが、男が電話を取ることも、コールを返してくることもなかった。

贖罪は無理なのだろう。Noelはシリーズ最後の本にRobertへのメッセージを込めたが、そもそも彼がNoelの本を読んでいるかどうかもわからない。

だが、2010年のクリスマスの夜、Noelの扉口には、10年ぶりに見るRobertが立っていた。
最近起こっている宝石の窃盗について、Noelに疑いが向けられていると彼は言い…
.....



HisForTheHolidays.jpg4人の作家によるクリスマスアンソロジーの一編。「His for the Holidays」でまとめ買いするとちょっとお得。

この一編は、ロシアのマフィア家族の中で育ち、家族の犯罪の片棒を担ぐ代わりに一人で宝石泥棒になった男と、彼を追い続けてきた男のロマンス。
洒落てて、ちょっと映画みたいです。Noelって「泥棒」というより「怪盗」という感じだし。


たった一夜、二人はベッドをともにしたことがある。Robertを酔わせてNoelが仕組んだ様子なのですが、実際にRobertが本当に前後不覚になるほど酔っていたのかどうかは謎で、想像がひろがる10年前のエピソードです。

Noelは犯罪から引退し、人里離れた牧場で馬たちと一緒に暮らしている。
そんな静かなクリスマスの夜は、Robertの訪れとともによって崩れる。さらに近隣住民が次々と助けを求めて訪問し、地面の割れ目に落ちたラマを救ったり、動かない発電機を救おうとしたり、忙しいクリスマスとなるのです。

Robertは頑固で、口数が少なく、感情を自分の中に押し込めるのが上手な男ですが、彼が尋問するためにNoelを訪問したのではないことはすぐにわかる。
Noelを逃がしたくないからと言いながら、彼は隣人の手助けに行くNoelから目を離さずにそばについて回り、Noelがどんな暮らしぶりなのか、すべてを見ようとします。Noelが隠そうとしている弱さすら、Robertは見抜いてしまう。

NoelはRobertの訪問の理由を探りながら、「もしかしたら」という望みを持ったり、そんな自分をいましめたりする。
犯罪一家の中で育ち、そこから逃れるために個人で犯罪を重ね、Noelには他人ときちんとした人間関係を築けたことがない。やり方を知らない。
でももしかしたら、Robertなら、と彼は思う。Noelを誰よりもよく知るこの男なら。
たとえ、かつて追う者と追われる者であったとしても。

傷つきたくないけど望みは持ちたい。そんなNoelの様子が微笑ましいし、切ない。

まあやっぱり猫とネズミの恋物語は萌えるよね!ってことで。
大体のことは笑って流してしまえそうなNoelが、Robertには毎年クリスマスの贖罪の電話をかけずにいられないというところも切ないですね。許されたいと思っているのか、つかまってもいいと思っているのか。
短めですが、Lanyonらしく切れ味がよく、ロマンティックで余韻のあるクリスマスストーリーです。

★FBI×宝石泥棒
★再会

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I Heard Him Exclaim
Z.A. Maxfield
I Heard Him Exclaim★☆ summary:
Chandler Traceyは、両親の家に向かって車を運転しながら、クリスマス気分などみじんも感じていなかった。弟夫婦が交通事故に巻きこまれて死に、彼の肩には残された5歳の姪に対する責任がのしかかっていたのだ。
子供から目を離さないようにしながら、Chandlerは必死に自分の務めを果たそうとするが、その責任は彼を押しつぶしかかっていた。

Steve Adamsは、いつも家族ぐるみで派手に飾り付けるクリスマスを離れ、気晴らしと楽しみを求めてラスベガスへ向けて車を走らせていた。
今年は彼はクリスマスを祝う気持ちにはなれなかった。

彼らの運命は路上で絡み合い、SteveはChandlerと姪を自分たちの家族ぐるみのクリスマスに招待する。

姪っ子は何故だか、Steveのことをサンタと信じて疑わない。痩せたサンタであっても、彼女にとってSteveは「サンタクロースの目をしている」のだった。
そしてChandlerにとっても、Steveはまるで奇跡をおこすサンタのような存在だった。おだやかで、ごく自然に人の求めに応じ、人を助ける。
.....



HisForTheHolidays.jpg
4人の作家によるクリスマスアンソロジーの一編。
His for the Holidays」でまとめ買いできます(ちょっとお得)

この話は、子連れでくたくたに疲れた男と、本能的に彼を保護してしまう年上の男のクリスマスストーリー。

2人のロマンスである以上に、これは5歳の姪っ子の物語でもある気がします。両親が死んだ事故の時に車に乗り合わせていた彼女は、すべてを理解しているわけではないけれども、どこかで苦しんでいる。

Steveの家族が飾り付けるクリスマス!ってのがまたなかなかすごくて、家族が住んでいる家が集まる一帯が、まるでクリスマスの夢物語のようです。
子供から一瞬も目が離せずにガチガチに緊張していたChandlerは、やっとSteveの家でその責任感を手放すことができる。でもSteveによりかかってしまう自分に対しても後ろめたさを覚えていて、彼は結局、色々な罪悪感と責任感でがんじがらめになっています。

Steveはそれを助けてあげたいけれども、深く踏み込んでいいものかどうかためらっている。
大人同士が、惹かれあいながらもたじろぎ、立ちすくむ、そんな中でクリスマスを一番楽しんでいる様子の姪が可愛い。

Z.A. Maxfieldはわりとよく子連れの話を書くんだけれども、登場人物の子供に対する保護責任感がものすごく強い。過保護というか、一種の強迫観念と言っていいくらい、子供から目を離すことができなかったり、その責任感を真正面から受けとめようともがいていたり。
読んでいるとどうも、男性じゃなく「子連れのママ」を代わりに据えても違和感がないんじゃないかという瞬間があるのが、個人的には少しマイナスポイント。
子供の存在ががっつり話に絡んでくるので(責任感とか、子供を抱えた将来への不安とか)「子連れの男」に萌える人だとまた別のツボだと思うのです。

クリスマス、家族、子連れと、アットホーム感満載なので、クリスマス雰囲気に浸りたい時におすすめ。

★クリスマス
★サンタクロース

Nine Lights Over Edinburgh
Harper Fox
Nine Lights Over Edinburgh★★ summary:
刑事のJames McBrideは、もう少しのところまで人身売買の組織を追いつめてきた手応えを感じていた。

だが、彼の生活はすでにほとんど破綻していた。離婚、別れた妻からの娘への面会の禁止、上司の引退とともにやってきた新しい上司とはそりがあわず、仕事の上でぶつかり続けていた。
仕事のパートナーは若く、だが考えなしで、McBrideとの一度のあやまちがいつまでも二人の間に横たわっている。

上司に言わず、一人で勝手な捜査を続けながら、McBrideはイスラエル大使の警備業務を命じられる。
彼らは襲撃を受け、McBrideを銃口から救ったのは、大使についているイスラエルの護衛チームの中にいるTobias Leitnerという男だった。モサドの男。

救われる価値などない、とMcBrideは思う。すり減ったこの人生に意味など残っているだろうか。
だがクリスマスの直前、彼の幼い娘が行方不明になり、McBrideには何よりもクリスマスの奇跡が必要だった。ただこの1度だけでも。
.....



クリスマスものの企画アンソロジーの一編なので、ハッピーな感じのものを想像したら結構ハードでびっくりしました。
ハードってのはエロじゃなくて、話が。

人生に疲れてすり減っていて、頑固で、奈落の淵すれすれにいるような男、McBride。彼は人身売買の組織について執念深く捜査を続けているけれども、それは正義感からと言うよりもほとんど、自分の存在意義だからすがりついているような捜査の仕方です。
そんな彼を、誰もが少しずつ見離し始めている。誰よりもMcBride自身がすでに自分を見離している。
唯一の救いは幼い娘の訪問だけれども、それすら奪われかかっている。
そんな彼の日常が息苦しくて、重苦しい。ちょっと英語が硬質で(ハードボイルド系の硬質さがある)読むのに少し時間がかかったのですが、全体の雰囲気がうまく閉塞感を描き出していると思います。

Tobias LeitnerはそんなMcBrideを銃弾から救うのですが、Leitner自身も様々なものをかかえこんでアメリカへやってきた男です。かつてのパートナーを失い、傷ついている。
果たして二人にクリスマスの奇跡は訪れるのか。

大人の男とか親父とか、そのへんが好きな人ならこの「重さ」がツボだと思います。
しかし、新しい女上司の使えなさ具合がちょっと映画版の「踊る大捜査線2」みたいで、ここは読んでてかなり苛つきますね。上昇志向が強すぎて下がおろそかになるって、やっぱりひとつのステレオタイプなんだろうか。

疲れた親父のMcBrideと、傷ついたいい男のLeitnerの組み合わせはロマンティックで、重いながらも、最後はちゃんとクリスマス。
親父同士の、人生背負った重いロマンスが好きな人におすすめ。

★親父×親父

HisForTheHolidays.jpg
4人の作家によるクリスマスアンソロジーの一編なので、バラで買うほかにこちらで4編まとめ買いできます(ちょっとお得)

LB Greggの「Trust Me If You Dare」から、 "That's what he said" というジョークについての覚書き。

Caesarが自分で傷にテーピングしたのを見て、Danが「ひどいな」というシーンがあるのですが、「がんばったんだよ(I tried)」というCaesarの反論がDanのジョークで一蹴されます。
その時の会話がこれ。


"Hey, I tried. It was hard."
"That's what he said."


この "That's what he said" はお決まりのジョークで、実際には普通 "That's what she said" が使われます。今回はお互いゲイなのでheを使った模様。
そういう意図はないのにエロフレーズが出た時に "That's what she said"、「彼女もそう言ってたよ」と茶化す言い回し。

この場合は、「がんばったけど、難しくて(It was hard.)」とCaesarが言ったのに対して、Danが "That's what he said." つまり「彼も(固いって)言ってたな」とエロフレーズで茶化したわけです。
hardとかcome当たりの言葉がよくつっこまれそうな予感。

オヤジギャグな気がひしひしとするんだけど、実際どう受けとめられるもんなんだろうなあ…

Trust Me If You Dare
LB Gregg
Trust Me If You Dare★★★ summary:
Romano and Albrightシリーズ2

美術商のアシスタントからケータリングビジネスに転身したCaesar Romanoは、新しい恋人Dan Albrightとの関係にどこかまだ慣れることができないでいた。

そんな中、依頼されたパーティまで3日の猶予しかなく、しかも依頼主はCaesarの元恋人。
やむなく仕事を引き受けるCaesarだが、それは騒がしい日々の始まりだった。うっかり試乗した車で別の車に突っ込んでしまったのを皮切りに、Caesarは何故か誰かに後をつけられ、パーティに出られるようなウェイターはなかなか見つからず、元恋人の話を聞こうとするパパラッチに追い回され、しまいにはゴシップ誌に写真がでかでかとのってしまう。

右へ左へと走り回る日々の中で、彼は自分が追いつめられているのを感じる。仕事にか、それとも彼の周囲をかぎ回る何者かにだろうか?
それともCaesarが本当に怖がっているのは、彼の気持ちをつかんで離さない恋人のDanと、深い恋に落ちていくことなのだろうか。
.....



Catch Me If You Can」の続編。
年末にこのシリーズの新作が出ると聞いた時からすっごく楽しみにしてました。トラブルマグネットで無自覚天然ボケでうろたえ受けのCaesarが滅茶苦茶かわいいシリーズです。
彼がトラブルにつきあたるのを恋人で私立探偵のDanが救い出すのですが、いつもいつも優しい救い方ではないところもツボ。
Caesarは28歳、Danは40歳。年の差で抱擁攻めなんだけど(だからちょっと表紙のイメージはちがうなあ…)、「大人」って言うほど聞き分けがよくないDanだったりする。独占欲は強いし、強引だし、でもCaesarにめろめろ。

今回もCaesarはのっけから大きなトラブルに突っ込み、そしてトラブルはさらに彼を追い掛け回します。休む暇もなく駆けずり回りながら右往左往し、愚痴をこぼすCaesarですが、ただのドジっ子というわけではなく、芯はしっかりとしているし責任感もある。
ただ、トラブルの方が彼を決して放っておいてくれないのです。Danが溜息をついて「ニューヨークの警官はお前を四六時中張り込んでいる方が事件を解決できそうな気がする」と言う由縁です。

周囲もにぎやかで、世話焼きで過保護なイタリア人ファミリーがCaesarの面倒をみようとして、Caesarが天井を仰ぐの図もいつもの通り。
走り回るCaesarを見てるだけで楽しい一冊なのですが、事件に巻きこまれてじたばたするさなかでも、Danと彼は愛情と信頼の綱引きをしていて、その様子も今回の読みどころです。DanはCaesarが関係の変化を怖がっているのを知っているけれども、Caesarがほしい。
CaesarはDanに対して本気だけれども、一歩を踏み出すのは、いつも彼には大変なのです。
愛情以上に、その一歩のためには信頼が必要で、Danはさりげなく、色々な形でそれをCaesarに示そうとしています。決してCaesarを失望させたり傷つけたりしないと。

コメディとロマンスの入り混じったハイスピードな一冊。最後までテンションも勢いも下がらないのがさすが。
それにしても、前作からあんまりまともなところでするエロがない。今回も試着室とか路地とかあれこれ。盛り上がっちゃうと引き下がれない二人なのです。

楽しい読書がしたい時に、シリーズ第一作と合わせておすすめ。テンションあがります。

★トラブルメーカー

こちらの本読みブログで行われているRainbow Awards(人気投票か…?)の結果に対して、DreamSpinnerPressが12/18までエントリー作品の25%オフを行うそうです。

対象作は以下。その他の受賞作のまとめはこの記事から
ざっくり見た感じだと結構選出にクセがありますが、人のチョイスを見るのはおもしろいですね。

Hero by Heidi Cullinan(Fantasy 2010)

Miles and the Magic Flute by Heidi Cullinan(Fantasy1位)

Special Delivery by Heidi Cullinan(Erotica Contemporary1位)

Summer Song by Louise Blaydon(Coming of Age/Young Adult1位)

Strawberries for Dessert by Marie Sexton(Contemporary Romance2位)

Our Sacred Balance by Marguerite Labb(Paranormal/Horror3位)

Counterpoint: Dylan's Story by Ruth Sims(Historical 候補作)

Cutting Cords by Mickie B. Ashling(Contemporary Romance 候補作)

Haunted by Your Soul by Marguerite Labbe(Paranormal/Horror 候補作)

Lotus in the Wild by Fae Sutherland & Marguerite Labbe(Historical 候補作)

Loving Edits by Mickie B. Ashling(Contemporary Romance 候補作)

Rules of Engagement by L.A. Witt(Erotica Contemporary候補作)→レビューあり

Tapestry for Love by Rayne Auster(Fantasy候補作)

「Hero」と「Cutting Cords」は買おうかどうか考えて保留中の本だなあ。今回買ってみようかしらん。
「Strawberries for Dessert」も意味あり気なタイトルで気になる。。

The First Real Thing
Cat Grant
The First Real Thing★★☆ summary:
Cameronはフリーで働いている男性エスコート──つまりは、男娼だった。
ある日、彼はバーで待っていた顧客に声をかけ、一緒にベッドに入るが、その後になってから自分が人違いをしていたことに気付く。相手は客でも何でもない、無関係な男だったのだ。
この5年間の商売の中で、そんな失敗は初めてだった。

何より最悪なことは、その相手、Trevor Barclayが彼にまた連絡を取ってきたことだった。
会いたいと。

Trevorは、Cameronが何故自分に近づいてきたのか知らない。何故彼を誘惑しようとしたのか知らない。Cameronが何をして生きてきたのか知らない。

2度と会うべきではない相手だった。だが、CameronはTrevorにノーという答えを返すことができず…
.....



男娼とビジネスマンの恋。
いいですね!もう字面だけでぐっと来ます。

物語は、Cameronの書くブログからはじまります。何故彼がこの物語をブログに記しているのか、ブログを誰のために書いているのかは後から明らかになります。
彼が語る物語の中から、Cameronが30歳になってそろそろ今の仕事から足を洗おうかと考えていて、少し人生に疲れている男性エスコートであること、彼が決していい加減な人間ではないこと、じつは友達思いであることなどがわかってきます。

舞台はマンハッタン。Trevorはトロントのビジネスマンで、出張でマンハッタンを訪れている。
勘違いから始まった関係は、その距離のせいですぐに終わるだろうとCameronは思うのですが、TrevorはCameronの方へ人生の舵を大きく切ってきます。ゲイであることをずっと否定して生きてきた彼は、Cameronによって人生の新しい輝きを見つけたと思っている。
迷わず手をのばしてくるTrevorに、Cameronはたじろぎ、頭を抱える。その図が、深刻ながらにちょっと笑えます。商売なら誰でも誘惑できるけれども、そこを離れてしまうとCameronにはもうどうふるまっていいのかわからない。

踏み込んでくるTrevorを恐れながら、Cameronはどうしても彼を拒否することができない。
それは恋なのですが、そのこともなかなか認められないのでした。彼は、こんな生き方をしてきた自分に恋など似合わないと思っているのです。強気で健気だ。
そして勿論、Cameronは自分が体を売っているということもTrevorに告げられず、その秘密をかかえたまま袋小路に行き当たる。

あちこちにスパイスの利いたいいロマンスです。さりげに脇キャラもよくできてて、最初はムカついてたぽん引きの元締めも、最後にはちょっとほろりとさせてくれました。

男娼とビジネスマンという組み合わせによろめいてしまう人なら鉄板。

★人違い

Mistletoe at Midnight
L.B. Gregg
MistletoeAtMidnight.jpg★★★ summary:
獣医のOwen McKenzieは、恋人と別れ、家族の住む場所に近いVermontに住まいと仕事場を移すことにした。
家族とのクリスマスパーティが行われるロッジに出向きながら、彼は、母親が息子のための「気づかい」を用意していないことを願っていた。どの集まりでも、どのパーティの時も、彼の母はOwenに誰か「いい人」を引き合わせようとしてきた。

だが今年のクリスマス、彼を待っていたのはこれまでとは比べものにならない驚きだった。

Caleb Black。高校の同級生。彼の初恋。そして何も言わずに彼の前から消えていった少年。
そのCalebが、15年たった今、ロッジの部屋に立っている。

久々に会った父親は病で具合が悪そうで、Owenは罪悪感と心配とで心が揺れる。さらに、Owenを捨てた筈の恋人までもが何故かクリスマスパーティに招待されていたことが判明し、このクリスマスは彼にとって史上最悪のクリスマスとなりつつあった。
.....



HisForTheHolidays.jpg今年できた電子出版社Carina Press(大きな出版社のスピンオフらしい)の、「最初のクリスマス」を記念して出されたクリスマスストーリーのひとつです。ほかにもJosh LanyonやZ.A. Maxfield、Harper Fox(この人は私は初読み)といった有名作家をそろえています。
ばらでも買えますが、4人全員のストーリーがそろったアンソロジーとして「His for the Holidays」でまとめ買いできます。

←こっちの方がちょっとお得。

Owenは、ちょっと不器用で、シャイで、非社交的な獣医。ただのシャイというより、「あーもう、くそう!」と内心のたうち回るタイプの、気持ちが活発なシャイです。外側から見てると楽しそう。
彼の家族、特に母と兄は活発でおせっかいで、お母さんはどうしようもないくらいのずば抜けたおせっかいママ。彼女があけすけに色々なことに口を出すたびに、Owenは内心のたうち回ったり、テーブルの下に隠れたくなるのです。

その家族、さらに15年前に見失った筈の初恋の男、そしてちょっと前に彼を捨てた男と一緒にロッジでクリスマスをすごすことになって、Owenは自分の立ち位置がもうわけわからなくなっちゃっている。
でも、病気がちな父親のために、「いいクリスマスにしなくちゃ」という決心はしている。そうでなければ逃げ出していそうです。30すぎた男に何ですが、実に可愛い。

彼の気持ちはいまだにCalebにあるし、Calebだって彼に色々な誘いを仕掛けてくるのですが、Owenはどうしても一歩が踏み出せないのです。
彼がその壁を破るには、やはりクリスマスの魔法とおせっかいな家族が必要なのかもしれません。

15年前の彼とCalebの恋の情景が入り混じりつつ、Owenの気持ちや妄想の暴走も入り混じって、なかなかにカラフルな話です。楽しいし、笑えるし、ロマンティック。ホリデーストーリーとして三拍子そろっています。
最後のちょっとしたひねりもよく効いていて、クリスマスの読書におすすめ。気持ちが明るくなります。

★クリスマス
★再会(初恋)

The Beach House
Shawn Lane
The Beach House★★ summary:
若い美貌のモデルMason Adamsは、パーティやセックス、ドラッグまみれの生活にぼろぼろになり、すんでのところで命をとりとめた。
エージェントはリハビリとして、海岸そばのビーチハウスで一夏すごすように手配する。テレビもなし、車もなし、電話もなし。のどかすぎる田舎での暮らしに、Masonははじめる前から退屈していた。
隣の家に住むJohn Hardingと顔を合わせるまでは。

John Hardingは、兵士としての人生を足の負傷で失ってから、犯罪ものの小説を書いて生計を立てていた。生活に不自由はなかったが、心のどこかが満たされていない。
隣のビーチハウスにやってきた都会的で美しい男に目を奪われたのは、そんな日のことであった。

だが、この夏が終わればMasonは去っていく。
一夏だけの、わずかな楽しみ。
夏が終わって2人に残る物は何だろう。
思い出か、心の傷か、それとも…
.....



20代前半の若くて美形のモデルMasonと元兵士のクライムノベル作家Johnの、出会いと、夏の恋の話。
Masonのどこか投げやりなはかなさと、Johnの保護者的な愛情が読んでいて楽しい一冊です。

Masonはとにかく美しい。JohnははじめてMasonを見た時、「あんなにきれいだと人生大変そうだな」と思うのですが、それくらいきれいで、顔のおかげでMasonは誰かにちやほやされて生きてきました。
その一方で、Masonはそのことに浮かれ騒いでいるわけではない。いや、多分浮かれ騒いで日々をすごしてきたんだろうけど、彼の奥深くには暗い孤独感がある。周囲の人間が、Masonの金やコネ、またはMasonとのセックスを求めて群がっているだけで、本当の友人ではないことを彼はよく知っている。
その孤独感は、彼を打ちのめし、命までもをおびやかします。
傷つき、打ちひしがれて、ビーチハウスへやってきた。Masonはそういう若者です。

Johnは、そんなMasonの見た目にも惹かれる一方で、彼の中にあるピュアさや、素直さに惹かれていく。
人との関係を欲得ずくかセックスかでしか割り切れないMasonに、Johnは一夏を通してそれ以外の人間関係を教えます。デートに連れ出し、何でもない日常を一緒に楽しむ。相手とのセックスだけではなく、相手を好きになることを教える。

2人が互いに惹かれて相手になじんでいく様子が丁寧に書かれていて、読みやすく、読んでいて心地いい。お互いが相手によって少しずつ変えられていく感じが、いかにも「恋に落ちてる」って感じでほほえましいです。
ほのぼのとした読みどころがある、素直なラブストーリーです。

海やのどかな町の情景も美しく、なごみたい時におすすめの読書。

★リハビリ

色々読んではいますが、あと数日手が空かない…
ので、とりあえず日本の電子書籍の状況について。
なかなか方向性が見えませんが、動きがはじまったこと自体は歓迎したいところ。Touchが新型になったら日本語もすっかり読みやすくなりました。

http://d.hatena.ne.jp/moto_maka/20101130/1291059740
ますます乱立していく国内の電子書籍の配信プラットフォームについてのまとめ

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/101201/biz1012011211013-n1.htm
google、日本でも電子書籍の販売開始?(海外では来年の3月から開始)


あと、Josh LanyonによるM/M小説の書き方本をついアマゾンでぽちってしまいました。久々に紙本の洋書買った。レビューよかったし。
まだ届いてませんが、楽しみ!

★Three-Star rating system★


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