Slash×Slash

Slash(m/m小説) レビューブログ

※万人向けの内容ではないのでご注意ください
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Out of Bounds
Viki Lyn
Out of Bounds★★☆ summary:
Titan Douglasは元アメフトのスター選手で、膝の故障で引退後は故郷の小さな町に戻り、地元の高校でアメフトのチームを教える日々に満足していた。
だが、彼は町の人々と少し離れた場所に1人で住み、家族にも誰にも言えない秘密を抱えていた。

彼はゲイだった。そしてそのことは、このまま墓場まで持っていく秘密になるはずだった。

Chandler Stoweは、長年の恋人の裏切りと破局に傷ついて、両親の残した土地がある故郷の町に戻ってきた。
ひとまず、高校の時間外授業で美術を教えながら、作品展に向けて作品を作ることにする。

そんなふうにして、2人は教師同士として出会った。
Chandlerは、深くクローゼットに入った男と関係を持つつもりはなかったし、Titanは、町の人間と関係を持つつもりはなかった。
それでも、彼らのどちらも互いに深く落ちていく。

だが、自分がゲイであることをオープンにするChandlerには、地域の人々からの偏見や憎しみのまなざしが向けられて…
.....



2010年の「Coming Out Day」を記念した、LooseIDの「カミングアウト企画」の1作です。

かつて一度、自分の人生をめちゃめちゃにしかかったTitanは、アメフトを引退し、その後の放浪からも身を引いて、今は故郷でのんびり暮らしている。彼は地元ではまさに「スター」で、「男の中の男」でもある。
アメフトのスター選手というのは、ある意味アメリカの男社会の頂点みたいなもんです。

Titanの9歳下のアーティスト、Chandlerは胸を張ってゲイとして生きてきた。彼は年上の恋人との破局で傷ついていますが、フェアで、芯の強い男です。

彼らは互いに惹かれて肉体関係をもちはじめますが、Titanは用心しようとしながらも、自分を抑制することができず、どんどんChandlerとの距離を詰めてしまう。
ゲイ嫌いの町の人に「ゲイとそんなに仲良くするのはやめた方がいい」と言われ、それをはねのけようとしながら、同時にTitanは「ゲイではないか」という疑いの目が自分に向くことも恐れています。恐怖や自己嫌悪、Chandlerへの気持ちが彼の中で完全に絡み合ってしまっていて、息苦しいほど。

ずっと年上の恋人の言いなりだったChandlerは、帰ってきた故郷でTitanと出会い、土地を買って自分の望むような工房を建てます。
今度こそここに腰を据えて生きていけるかもしれないと思う彼を、だが思わぬ災難が襲う。その災難は人の憎しみや偏見から出たもので、Chandlerは戦おうとするし、そんな彼をTitanは守りたいと願いながら、表立ってChandlerをバックアップするだけの決心ができない。

2人がそれぞれの人生の痛みや、今の状況に苦しんでいることが行間からよくあらわれてきます。
町の「スター」であるTitanがカミングアウトすれば、彼はこれまで築いてきたすべてを失ってしまう。Chandlerはそれは望まない。でも、そのままの状態で関係を続けていくことは、そんな「秘密の汚い存在」のように扱われるのは、Chandlerを深く傷つけています。

ラストシーンは鮮やかで、美しい。
カミングアウト物としてはバランスもよく、彼らを最後につないだ物がTitanのおじいさんの描いた風景画だったというのもひねりが効いています。
「アメフト選手とアーティスト」という組み合わせも萌え萌えで、カミングアウトに苦しむアメフト選手の図に萌える人におすすめ。

★カミングアウト
★差別

10/29~31までサンフランシスコでYaoi-conがひらかれてます。
公式サイトはここ
出版社によってはブースに行けば作家さんに会えるらしい。
日本の漫画家や声優もゲストに呼ばれてるんですねえ。

公式サイトの「やおいとは何?」がおもしろい。

What is yaoi?

Yaoi is a woman's genre of manga (comic books) and short stories, produced by female artists and writers for the enjoyment of female readers. It's a fantasy form which focuses on the romantic, emotional and above all sexual relationships of guys together.


これでいくと、やおいとは「女性が女性の読者のために描く男同士の恋愛漫画(および短編小説)・かなりファンタジー成分入り」って感じになってますね。
「リアルではありませんよ」っていうカテ付けも興味深いですが、二次かどうかは関係なしなんだな。

「BLとは何であるか」もあって、

Japanese Boy's Love Publishing Industry
by Emi

In Japan, the commercial genre known as Boy's Love (BL) consists mainly of books and a rapidly expanding number of drama CDs and computer games. Boy's Love books can be divided into manga (comics) and novels. Although they are equally popular in Japan, manga have been much more popular in the US due to the language barrier.


ふーむ。「小説と漫画のどちらも日本では隆盛であるが、アメリカでは漫画メインで認知されている」と、まあそうですね。てか向こうの人はBL漫画こそ「yaoi」って読んでる気がするけど、このふたつをどう分けて認識してるんだろう。

この間読んだスラでは、作者紹介で「yaoi漫画に触発されてスラを書くようになった」とありまして、段々文化が入り混じってるなあ…と。
日本にもスラが翻訳されて出てきたりしないかな。エロシーンとか超難しいか。

過去形(I did)現在完了(I have done)の使い分けについて。

現在完了形は、現在より少し前のことについて語ります。
過去形との差は、とにかく「現在につながる出来事」であること。過去形よりも現在に近いニュアンス(最近あったこと、新しいニュース性)を持ちます。


He has lost his key.
「彼は鍵をなくした」→鍵をなくして、現在も見つかっていない。なくしたまま
He lost his key.
「彼は鍵をなくした」→現在持っているかどうかは関係なく、過去に「なくした」という出来事を表すだけ


最初に「鍵がない!」と気付いてポケットを探している間は
He has lost his key.
の状態で、「鞄のポケットに鍵を見つけた!これで家に入れる」という時には
He lost his key.
の状態に移行します。

鍵を見つけた時の例文がとてもわかりやすいので引用すると


(現在の状態:彼は鍵をなくしたが、10分探して見つけ出した)

・Has he lost his key? No, he has found it.
・Did he lose his key? Yes, he did.

現在の状態:He lost his key (過去形), but now he has found it. (現在完了形)


という状態になっています。

またそのほかに、現在完了形は「最近のニュースや出来事(相手が知らない、新しい物事)」についても語ります。「彼女はロトに当たったんだって!」とか。
つねに「現在」へのつながりがあるのが特徴。
なので、「yesterday」とか「last week」とか、過去の時間を示す言葉が入る時には過去形を用います。(「It didn't rain yesterday.」昨日は雨ではなかった)
「since」を使うと、「It hasn't rained since yesterday.」(昨日から雨が降ってない)のように、その時点から現在までの状況を完了形で表すことができます。

ネイティブらしい解説だーと感心したのが、「新しい物事を語る」時に、言い出しっぺは現在完了を使いますが、話題を進める時には過去形になるという点。
"I've burnt myself."(火傷しちゃったよ)←現在完了形で直近の物事を表す
"How did you do that?"(何をやったの)←過去形で話を進める
楽だからかな?


現在完了は会話の中でがんがん出てきますが、そこには「こんなことになっちゃってさ」とか「こんなことがあったんだよ」という、現在につながる「最近」感があるんですね。
成程~。
ぼんやりと感覚的に読んでいたものが、はっきり解説されて腑に落ちるのは気持ちがいいなあ。

Blood Heat
Josh Lanyon
Blood Heat★★★ summary:
Dangerous Groundシリーズ3。

外交安全局の捜査官Taylor MacAllisterとWill Brandtは、長年仕事上のパートナーであり、パートナーとしては互いの呼吸をよくわかっていた。
だが、5ヶ月前にTaylorが撃たれて瀕死の傷を負い、3ヶ月前、彼らは恋人同士になった。

この新しい関係に、2人のどちらも確信が持てずにいた。関係が明るみに出れば、彼らはパートナーではいられない。TaylorはWillがいつか彼の手を離すのではないかと不安だったし、Willはその不安をどうしたらいいのかわからなかった。

そして、Willにはパリへの昇進の話が持ち上がっていた。
行け、とTaylorは言う。彼はその昇進がどれほどWillにとって大切なものか知っていた。
行くなとは言えなかった。
だが、Willが行けば彼らの関係は終わるだろう。Willがどう言おうと、2年の時間は長い。

Taylorの信頼を得られないことに、Willは苛立つ。
2人はニューメキシコに容疑者の女性を引き取りにいくが、女性は逃げ出し、賞金稼ぎやロシアマフィアを巻きこんだチェイスが始まって…
.....



Dangerous Groundシリーズ3。
Lanyonは「シリーズ物はだらだら続けず、適切なところで幕を引くべき」という考えの持ち主なので、実はこれはもう2で終わったと思ってた。好きなシリーズなので、3が出てすごくうれしい!

相変わらずのTaylorとWill。気持ちが先走ってまっすぐで無謀なTaylor、物事をあらゆる角度から見て冷静にコントロールするWill。
直情型×思慮型で、直情型は相手がとにかくただ大好き(わんこか)、思慮型はどんどん相手にはまっていながら、いつものごとく冷静。でも一皮剥くと、自分で思ってるほど冷静じゃない。
2人は色々な物事を互いの間にぶら下げたまま容疑者の女性を追いかけ、洪水に襲われたり、山の中をはいずり回ったりする。

Taylorはとにかく、Willのパリ昇進のことを受け入れようともがいている。あまりに努力しているので、WillがそんなTaylorの様子を見て心を痛めているほど。
Willにとっては「2年経ったら帰ってくる」なのですが、Taylorはそのことをどうしても信じられない。離れてしまえば終わったも同然だと思っている。「大丈夫、うまくいく」と言われれば「そうだな」とWillに笑顔で返しますが、その目の中にあるものは、深いあきらめです。
Willにはもうどうしたらいいのかわからない。行かない、という選択肢はない。でもこんな状態のTaylorを置いていくことは望まない。

Willがこれまでの2作を経て、この3作目でずずいっとTaylorに傾いているのが楽しいです。
元々彼はTaylorと関係を持つことに乗り気ではなくて(仕事とプライベートがややこしくなるから)、そのことが今でもTaylorの「俺がWillを好きなほど、Willは俺を好きではない」という頑固な判断の元になってしまっているのですが、実はもうWillの方が抜けられなくなっているんじゃないかなあ。
Taylorが眠っている時だけ、ものすごい優しいキスをしたりとか、割とWillも不器用です。

2人がごつごつとぶつかりあいながら、事件の中で翻弄されていく。
Taylorが人質に取られた時のWillの反応と、Willが人質に取られた時のTaylorの反応の差が笑えます。Taylor、やっぱり頭より先に手!なんだな。こいつほんと可愛い。
アクションも小気味よく、容疑者の女性や賞金稼ぎのキャラもさりげなく練り込まれてます。
ラストは…これは次作出るよなあ。出ないとすごく困る…
この1冊で完結はしてますけどね。シリーズ続行希望。

文章がハードボイルドっぽくてとても男臭い話なので、そういう話や、アクション絡みが好きな人におすすめ。
シリーズ1から読まないとかなりわからないので、1から行きましょう。

★パートナー

以前、同じ写真素材を使った表紙をたまに見るという記事を書きましたが、またもや。
この記事の二段目の写真と同じ少年がここにも~

DudleyTown
これで私が見ただけで3枚目の表紙だ。
今回はL.B.Greggが10/29に出す新刊の表紙なんですが、この少年は本当にどこの誰で、これはどこの素材写真なんだろうか。
たしかに、表紙として使いたい感じの写真ではあるけども。

L.B.Greggは大好きな作家なので、新刊はすごい楽しみ~!この人も、J.L.Langleyほどじゃないけど筆が遅いんだよねえ(Langleyはノマカプも書いてるからそっちの仕事もあるけど)
12月にはまた別の新刊も出るらしい。やった!

The Manituw
Lisbeth Jenkins
The Manituw★★ summary:
イギリスから、水質汚染と生態系の調査にカナダの小さな町を訪れたRobert Silsburyは、予約した筈の船の船長が町の留置場にいるのを見て、初日から後悔していた。

July Cyrは、カナダ先住民と白人との非嫡出子であった。彼を憎んだり、嫌がらせをしてくる男たちは絶えない。顔なじみの警察官は、トラブルを避けるために、彼が飲みすぎると留置場に引きとって酔いが醒めるまで置いてくれるのだった。
深酒のせいで日にちをまちがえて、客を留置場で出迎える羽目になった彼は、相手の科学者が彼を解雇しないよう願うのみだった。
今年は船客も少なく、蓄えも底をつきかけ、しかも前金はとうに使い込んでしまっていたのだ。

Robertはこの船長を信用し切れないまま、結局Julyの船 "Manituw" に乗りこんで海洋調査に出る。
2人が互いに感じている磁力は、船の上で互いをつなぐ情熱に変わる。
ただのセックスではなく、もっと強い、心の結びつきへ。

だが彼らのどちらも、自分の過去を許し切れておらず、特にJulyは互いの情熱を信じるだけの希望を持てなかった。
調査が終わればRobertはイギリスに戻る。その先に何があるだろう? 2人の関係がこの瞬間以上のものに発展できる望みが、どこにあるだろう。
.....



過去の自分を許し切れていないまま、投げやりに暮らしている船長と、大切なものを守れなかった重さをかかえこんでいる科学者。
彼らがそれぞれに背負ったものは重く、彼らはそれを相手に見せる勇気を持てずにいる。

船長Julyの複雑なキャラが、物語に深い陰影をつけています。彼はRobertが「大丈夫、うまくいく」と言ってもそれを信じ切れず、プライドが邪魔をしてRobertにたよることもできず、"Do you love me?" とずばりと聞かれても、"No." と嘘をつく。
彼は、みじめといってもいいような底辺の暮らしをしているけれども(彼の住む家は美しく、快適に保たれてはいますが)、その暮らしから抜け出そうとはしていない。酒や、人々からの嫌がらせ。明日の約束のない日々。
彼は、そこから抜け出すのが怖いのかもしれません。

Julyの友達であるベストセラー作家のPhillipsが、また脇役としていい味を出しています。彼はJulyの人生を本に書いて大金を稼いでいる、シニカルで毒舌家な作家です。その一方で、「リアルな世界」を感じたいと言ってJulyと大げんかしては殴り合いになるような不思議な男でもある。
ただシニカルなだけではなく、彼は彼で切羽詰ったものをかかえこんでいるようにも見えます。それが何だかはわかりませんが、人の人生を書くばかりのPhillipsの中にはもしかしたら「自分の人生」というものが欠けているのかもしれないと、読みながらうがったことを想像してしまいました。

そのあたりのキャラの強烈な陰影にくらべてしまうと、Robertはちょっと無個性というか、全体にキャラとしてのまとまりが今一つだったかも。おとなしく見える一方で、内側に怒りや激情をかかえているのはわかるんだけど、そのあたりがスムーズに見えてこないのが惜しい。
エロの時にいきなり支配的になるのもなんだか唐突で、そこに何かあるのかと思ったら特にフォローもなかったので、そのへんは肩透かしだった。うむ。普段おとなしくてエロの時に強気な科学者!というのは萌えるんですけど、あんまりいきなりだったのでびっくりしたさ。

船の上での2人の気持ちのつながりあいとか、望みを持つまい、Robertにも持たせまいとするJulyの葛藤は、描写が強くて、読んでいて引き込まれます。
ラストの方は少し唐突にまとめられた感はあるけれども、このくらいの短さだと、先に想像の余地をたっぷり残したそういうまとめ方もありかなあ。

強い傷や過去をかかえた2人の話が好きな人におすすめ。ろくでなしっぽい船長にときめく人にも。
表紙がじつにエロくていいと思うのです。

★過去あり

時制

現在時制を簡単に総括するとこんな感じ。例外ご容赦、って感じで。


I work at the bookstore. (普段、本屋で働いている)
I am working at the bookstore. (今、本屋で仕事してる真っ最中)
Have you worked at a bookstore ever? (本屋で働いたことある?)
I have been working at the bookstore for two years. (本屋で働き始めて2年になる)


乱暴にまとめると、現在形は「普段のこと」、現在進行形は「今現在していること」、現在完了形は「これまでの経験の話」、現在完了進行形は「過去から現在まで継続してきたこと」の話。

特に"I am doing" と "I have been doing" の差が私にはおもしろかったです。
現在完了進行形(I have been doing)は、「現在」がついているだけに「現在につながっている物事」を語ります。"Where have you been?" と言うと、今までどこにいたんだよ~になる。"I have been looking for you everywhere." お前をあちこち探したんだよ!とか。
「今この瞬間」はここにいるし、質問者は相手をもう探してませんが、現在完了形を使うことによって「今」の寸前の出来事をたずねたり、語ったりしています。

現在進行形が「その瞬間におこっている物事」に視点を固定しているのに対して、現在完了進行形は「過去から現在」の流れを重視する。


"It is raining." (雨が降っている) 「現在」雨降り中
"It has been raining for two hours." (雨が2時間前から降っている)「現在」は雨はまだ降っているか、寸前にあがっている。どちらでもいい。
"It has been raining." (さっきまで雨が降っていたが、今は上がっている)



しかし完了形って「perfect」って言うんですね。現在完了形で「present perfect」、現在完了進行形で「present perfect continuous」。
Oxford College Dictionaryでperfectを引いてみたら、「absolute;complete」という説明もあって、つまりは「完成した」→完了形ってことか?

English Grammar in Use」は初心者向けの英語で書かれた英語の文法書で、非常に平易なところから文法を説明してくれます。色々あって、リンク先より安いのもあります。。正直どれが何だか今いち…
私はとりあえずこないだから青い表紙(中級?)のをやっているのですが、ものすごい基礎のところを丁寧に説明してあって、目からウロコ!のことも多し。やっぱり日本語で英語の文法の説明してあるより、英語で英語の文法の説明してある方が納得行きますね。おすすめの本です。
「成程!」と思ったことをぼちぼち落としていこうと思います。

・現在進行形(←すごい基礎だ!)

be ~ing の形で表される進行形。「今やっていること」を表す。


こんな基本のところから深々と納得したのが、「一時的に行っていること」も現在進行形で表すという点。
現在形との違いを示す例文としてのっているのが

・I'm living with some friends until I find a place of my own.

・My parents live in London. They have lived there all their lives.


の2つ。
おもしろいのが、両方「現在のこと」を表しているのに、「一時的に友達のところに住んでいる」という話である最初の文章が現在進行形になっていて、「これまでの人生ずっと(そしてきっとこれからも)」という長いスパンの話をしている次の文章の "My parents live in London." がただの現在形なことです。

この文法書によれば通常の現在形は「一般的なこと、くりかえしおきること、普段していること」を表します。それに対して、現在進行形は「今現在行われていて・終了していないこと」を表します。
逆を返せば、現在進行形=「いつかは終了する物事」を表しているわけです。

現在進行形には感覚的に時間の「範囲」が必要なんだなー、と納得しました。時間の「一点」じゃなくて、時間の「線」なんですね。
まあ「It's getting dark.」みたいに、終わりがあるというよりは「現在の変化」を表す進行形もありますけど、この場合は時間の「矢印」というイメージ。少なくとも「スタート地点」が必要なんだなっと。


さらに、「I always do」と「I'm always doing」の差が例文で出ていまして、これもおもしろかった。

・I always go to work by car.
 (いつも車で出勤する)←普段の習慣の話

・I've lost my pen again. I'm always losing things.
 (ペンがない。いつも物をなくしてばっかりなんだ)←「そんなことばっかりしている」的、ネガティブなニュアンスを含む


「I'm always ~ing」「毎回そんなことしてばっかり」というニュアンスが入るんだそうです。
"You're always watching television." と言えば「テレビをいつも見てるね」という意味ではなく、「テレビばっかり見て、見過ぎなんじゃないの?」という意味合いになります。"You watch television too often." と同義。
なるほど~。
"You're always saying ~" ってよく歌の歌詞にある気がするけど、あれもそういう「何度も何度も何度も」的なニュアンスがついてるのか。「お前そればっかり言ってるよ」みたいな。

興味深いのは、この文法書でのっけに出てくるのが「現在進行形」であって、その次に「現在形」が出てくることです。進行形の方が身近なんですかね。
すごい初歩のところから「成程!」をくり返していて、なかなか本が進まない私です。
でも、「簡単な単語ほど辞書を引け」とも言うしな。簡単で基礎のところを徹底して叩くと言うのは、正しいのかも。いや多分正しい。

Not Seeing Is Believing
T.A. Chase
Not Seeing Is Believing★★ summary:
Strange Hollowは安息の地であった。

行き所のない者たちはここに集い、お互いを煩らわせることなく静かに暮らしていく。
ほかでは暮らせない者たち。
たとえばBarry。視力を失ったヴァンパイア。
大きすぎるハムスターのシフターや、変身したら耳が狼のまま戻れなくなってしまった人狼の男。
人間の世界でも異質であり、仲間たちの中でも異質な者たちの住み処、それがStrange Hollowだ。

Barryは新たなStrange Hollowの住人、Anthonyからデートの誘いを受ける。
目が見えない彼には、Anthonyが何者であるのか、何故町の人間までもが彼を避けるのかはわからない。それでもおだやかに、2人は気持ちを通わせていく。
.....



Barryはかつて、銀のスプーンで眼球をえぐりだされたヴァンパイアです。いつもはサングラスで目を隠しているものの、闇の中で傷がぼうっと光るらしい。
盲導犬のふりをしている生意気なヘルハウンドと一緒に暮らしながら、彼は久々のデートに少し浮き浮きしている。この犬がちょっとかわいいんですよ。犬扱いされるのが大嫌いな、プライドが高い地獄の番犬。

Barryをデートに誘い出したAnthonyは、かつて自分の傲慢さのつけを払い、家族から見捨てられて、最近やっとこの町へやってきた。
おだやかな男だけれども、その孤独と傷は深い。

色々と酸鼻な設定にもかかわらず、ほのぼのとした話です。デートをして、ベッドに一緒に入って、セックスして、Barryはヴァンパイアだから夜明けになるとほとんど気絶するように眠ってしまう。
「デート」がそのまま何となくほのぼのと「おつきあい」に変化していくのが可愛いです。
Anthonyは、自分の見た目に対して大きなコンプレックスを持っていますが、Barryといるうちにその問題ともおだやかに向き合えるようになっていく。

作者のT.A.Chaseは、この間も盲目のヴァンパイアの話を書いていて、マイブームなのかな?しかし2作で、かなり味わいは違っています。こっちのヴァンパイアは大変に呑気でおだやかだし、ちょっとユーモラスです。
やがてAnthonyの抱える問題を知ったBarryは、最初にデートに誘ってきた理由が「自分が目が見えないからか」とAnthonyに問います。この問いすらも、おだやか。

ほのぼのとパラノーマル物を楽しみたい人におすすめ。
設定はごっついのに、ふつーにデートを重ねて、うきうきと関係を深めてる感じがかわいいです。両方ともさりげに恋に不慣れな感じも。
短めなのであっさり楽しめます。

★盲目のヴァンパイア
★ヘルハウンド

Touch Me Gently
J.R. Loveless
Touch Me Gently★★☆ summary:
心と体に消えない過去の傷を抱き、Kaden Jamesは下を向いて生きていた。
大柄な男に近づかれると身がすくみ、パニックの発作が起こる。仕事は次々と解雇され、友達もいない。
そんな彼に、仕事紹介所の親切な男は「いとこが牧場をやっているから」とモンタナの牧場での食事係の仕事を紹介してくれた。

3ヶ月だけの臨時の仕事だ。ニューヨークを離れるのもいいかもしれない。
思い切ってモンタナに行ったKadenは、だがすぐにそれを後悔することになる。牧場には臨時雇いも含めて大柄な男たちが20人もいたのだ。
牧場の持ち主であるLogan Michaelsは親切でおだやかな男だったが、Kadenは反射的な恐怖を抑えることが出来なかった。

Loganは、新しくやってきた物静かな食事係が気に入ったが、怖がられていることもわかっていた。Kadenが何か、心理的なトラブルを抱えていることも。
どうにか助けてやりたいと思いながら、ある日彼は、Kadenが恐怖を抑えるために手首に傷をつけていることに気付き…
.....



やさしいカウボーイ(28歳)×トラウマ持ちの青年(19歳)。
かなりBLっぽくて、「トラウマを抱えた繊細な受け」が好きな人なら鉄板。

Kadenは、過去に虐待を受け、そこからのがれでた今も、悪夢や罪の意識に押しつぶされそうになっている。そんな彼がたまたま臨時で働くことになった牧場には、牧場主の男と、その活発な妹がいて、彼ら兄妹によってKadenは段々と心の闇を手放していきます。
しかし物事はそううまくは行かない。

とにかくKadenにこれでもかとばかりに、トラウマや新たな不幸がふりかかるので、「かわいそうな受け」好みの人に。
Loganはちょっと型にはまった感じの「やさしい大男のカウボーイ」なんですが、やっぱり抱擁攻めが傷だらけの受けを闇から救い出そうとしている図は萌えます。彼はこれまでゲイではなかったので、Kadenに向かっていく保護欲や、それ以上の欲望にとまどっています。それも萌えるね!
活発な妹がかわいいけど、「兄ちゃんと早くくっついちゃいなさいよ」的な妹ってどうなんでしょう。兄ちゃんゲイじゃなかったのに。まあこれもパターンだからよしとすべしか。
心をとざした馬とKadenとのふれあいや、時々Loganが心配の余り大声を出して逆にKadenを脅えさせてしまうじれったさなんか、いい感じにスパイスが利いています。

ある程度の王道を踏みつつ、Kadenの気持ちの変化や、トラウマの重さがよく書かれている話です。後ろ向きで、傷だらけで、繊細だけど、最後の最後には強い一面も見せてくれる子です。
エロに入るまで大変慎重~にKadenを愛でようとするLoganの気づかいにも萌える。

不幸な過去を持つ受けが無条件で愛でられるの図、が好きな人におすすめの一作。
結構、痛いです。

★トラウマ持ち
★児童虐待

iDaily Pro ※iTunesリンク

Voice of America(アメリカ合衆国ラジオ放送)を使った英語リスニング教材。
iPhone/iPodTouch用アプリレビューです。



続き...

10月11日はアメリカの「National Coming Out Day」でした。あちこちでパレードなどがあった筈。
何故にこの日が?と思って、National Coming Out Dayの歴史を簡単にのぞいてみた。

はじまりは1987年の10月11日に5000人で行われたパレード(というか行進?)だったらしい。これはワシントンにおける2度目のこうしたイベントで、その時、エイズで亡くなった人々へのメモリアルイベントである「NAMES Project Quilt」も同時にスタート。これってキルトを思い出の人の数だけつなげていくやつだったと思う。
運動の勢いが収まらず、続けて100回以上もの行進が行われ、ワシントンにゲイの人たちが終結しはじめた。ゲイとアンチ・ゲイの構図になりそうになったので、ワシントン側が記念日を設定することを提案、2度目のイベントがあった日を「National Coming Out Day」に決めた。

それが、「National Coming Out Day」のスタートなんだそうです。

あっちは「権利」に関する運動が盛んですよね。権利は自分で守るもの!(あるいはつかむもの)という感覚が強いためでしょうか。
今年はレディ・ガガがMVA(ミュージックビデオアワード、だったと思う。生肉ドレス着てきた時)に、軍をやめさせられたというゲイの軍人の人をつれてきてました。


この間読んだ「Match Maker」というテニスのスラに、Renée Richardsというテニス選手のエピソードが出ていて、「性転換した男性が女性選手として全米オープンを戦った」という話が史実かフィクションか判断できなかったので確認してみたら、本当にあった話でした。
元は男子選手(Richard Raskindという名で)だったのですが(子供もひとりいる)、1975年に性転換手術を受けて女性になった。1976年に全米オープンに女性としてエントリーしようとして出場禁止となり、裁判でその決定をひっくり返して1977年には出場。
彼女の全米出場というのは、性転換者の権利におけるひとつのマイルストーンなんだそうです。

1981年までプレイしましたが、最高ランクが20位というのが意外な感じ。
男性なみの筋肉持ってればベスト10くらいいけるだろ!と思いますが、女子結構強いんだな…(※再確認したら性転換時で41歳でした。そっちが問題か?)

彼女は、後にナブラチロワのコーチとなった、というのが何とも象徴的でもあります。
ナブラチロワは1981年にバイセクシュアルであるということをカミングアウトしてます(プレスに迫られた結果でしたが)。当人は後に、アメリカの市民権を得るまでカミングアウトできなかったと告白。カミングアウトの結果として、彼女はあれほど強かったにもかかわらず、スポンサー契約の少ないトッププレイヤーであった。

ナブラチロワがゲイ、あるいはバイであるのではないかということは、見ていた人は当時から薄々感じていたのではないかと思いますが(口さがない言葉で「男おんな」とよく言われていた)、しかし公式にカミングアウトしていたとは最近まで知らなんだ。


スラを読んでいると、BLとはまたちがって、そうした「ゲイの権利」というものについて考えさせられることが多くあります。
こっちは萌えで読んでるだけなので、いささか申し訳ないですが。
その一方、外野の人間としては「もうちょっとファンタジー的でもいいのでは」と思うこともあるわけです。前にLiveJournalで「スラを書くのは楽しみのため」と言った作者の人に、「ゲイの人たちのことも考えろ」とほかのスラ作家が凄まじい勢いで噛みついたこともあったしな。
あの時は、周囲を巻きこんで怖いくらいに荒れてしまって、しかも私はその「噛みついている」方の作品のファンだったので、すごく遠い目になりました。男女物のエロを「楽しみのために書く」と言っても叩かれまいに、何だか難しい気持ちになったものです。
まあ日本のやおいやJuneやBLは全然成り立ちが違うからなあ…

Devlin And Garrick
Cameron Dane
Devlin And Garrick★★★ summary:
少年のころからの夢だった消防士として働きながら、Devlin Morganは5年前にサンフランシスコですごした週末を忘れることができなかった。
自分が暮らす静かな町を離れて、はじめてゲイバーへ足を踏み入れた夜。
場違いなとまどいから去ろうとした彼に声をかけたのは、スキンヘッドをタトゥで覆ったバイカー、Gradyn Connell。

一夜の遊びのつもりが、甘い週末をすごした2人は、それからもメールと電話を交わし、まるで離れた場所に住む恋人のような日々をすごした。
Gradynが唐突に冷たく別れを宣言するまでは。
それから5年。Devlinはどうしてもそのことを乗り越えられずにいた。

ある日、妹の働くガレージに足を踏み入れたDevlinは、そこにGradynがいるのを見て愕然とする。
Gradynはすっかり変わっていた。スキンヘッドだった髪は長くのばし、緑だった目は青い色に。盛り上がるような筋肉がついていた体はすっかり絞られいる。

しかも、GradynはDevlinを知らない顔をして、名を「Garrick Langley」だと名乗った。

一体この男は何者なのだろう。そして、何を隠しているのだろう。
ひとつだけ、Devlinにははっきりとわかっていることがあった。
Gradynだろうと、Garrickだろうと、今度こそすべてがはっきりするまで目の前の男を逃がすつもりはない。
.....



Aidan And Ethan」の続編です。あれもティーン独特の純粋さと、大人の男の苦悶とかが絡み合ってて情熱的な話でした。
そのAidenの弟で、ちょっとこまっしゃくれた顔を見せていたDevlinと、彼の恋の話です。

Devlinは突然戻ってきた兄(前回の話で)との和解も終わり、夢だった消防士になり、幸せに暮らしている。でも彼は、誰とデートしてもときめくものがない。
いつまでも、5年前のサンフランシスコの週末のことを忘れられない。
そんな彼の前に、名前を変えた「Garrick」という謎の男が現れて、もう大変です。
お前あいつだろ!とか、何で知らない顔するんだよ!とか、今度こそ逃がさないぞ!とか。

一方のGarrickは、色々な状況に追いつめられてDevlinの住む町にきてしまったことを、今さら後悔していた。
5年前、一方的に酷いことを言ってDevlinとの連絡を絶ったのは彼自身です。だけれども、彼は自分の命が危険にさらされた時、何も考えずにDevlinのいるところへと走り出してしまった。
サンフランシスコの週末を忘れられないのは、彼も同じです。

2人の現在と、5年前の追憶が重なり合うように構成されていて、物語運びはなかなか巧みです。
そして何より、Cameron Dane独特のほとばしるような情熱と迫力が凄い。わりと、情熱に流されすぎてエロ過剰になりがちな人なのですが、今回はそのへんのバランスもよく、話とエロがうまい具合に絡み合ってると思います。
Devlinがまた若いから、情熱のままに走って勢いが余る感じが鮮やか。その勢いにたじたじと、年上のGarrickは呑まれてしまうわけです。
周囲の人たちもそれぞれのドラマを持っていて、かわいい。前の話の主人公たちだったAidenとEthanがもうちょっと出てくるとうれしいんだけど。

情熱的な話が読みたい時におすすめ。とにかく気持ちの描写がこってりと濃厚です。
前シリーズの「Aidan And Ethan」は読んでなくてもこれ単独で読めますが、ネタバレがあるので、後から「Aidan And Ethan」を読むつもりなら順番に読んだ方がいいです。あっちは基本、おっさんですが。

★再会
★死んだ筈の男

Scenic Route
Chrissy Munder
Scenic Route★☆ summary:
Ed Baldwinはシャイで、引っ込み思案で、人に自分の意見を言うことがほとんどできない男だった。
その彼が、ついに両親に恋人を紹介するために、恋人と二人で車の旅をしている。

ついナーバスになって恋人に当たってしまう彼を、Joe Suttonは時に意地悪に、時に優しく受けとめていた。
Joeには、Edが緊張のはけ口を求めているだけだとわかっていたのだ。
だが、ついにいささかうんざりしたJoeは、Edの反対を押し切ってさびれたモーテルの前に車を止める。そこで一晩頭を冷やそうと。

そのモーテル全体が、まるで営業していないかのようであった。
だがカウンターに現れた男からキーをもらって、二人は部屋に入る。
その夜、部屋に奇妙な電話がかかってきて…
.....



短いゴーストストーリー。
「Midsummer's Nightmare」という30の短編がおさめられたアンソロの一編ですが、この話だけでも買えます。正直この表紙はどうよと思いますが、Chrissy Munder 好きなので買ってみた。

ほんとに短いし、わりとありがちなオチだとも思うんですが、EdとJoeのカプの感じが好きです。
ナーバスで、ついつい八つ当たりしがちなEdと、彼にきついことを言ったりうんざりしながらも愛しているJoe。
短い話の中で、シャイなEdを相手にここまでの関係を作るのにJoeが結構苦労したこと、Edが両親に対して賛成されないのではないか(もしかしたらゲイであることを)と不安に思っていること、でも最後には何があろうと「その先」に二人で進むつもりであること、などが浮き上がってきます。

決して感情的に強調された話ではないんですが、この作家は抑えた表現でさりげない人の心の機微を書くのがうまいと思うのです。地味ではあるけど、その地味さが好きさ。

読書の目先を変えたい人や、ちょっとしたゴーストストーリーを読みたい人におすすめ。
主人公が決して「できた男」ではない感じがかわいい。
表紙はアンソロ全体の表紙なので、こういうシーンはないです。いいのか悪いのか…

★里帰り

Match Maker
Alan Chin
Match Maker★★☆ summary:
4年前、Daniel Bottegaは、プロテニス選手Jared Stoderlingのコーチとして名誉と勝利に向かって戦っていた。
だが彼らはともにゲイであること、そして恋人同士であることを知られ、大会から締め出されてしまう。
二人は今でもパートナーだったが、その傷はJaredに深く刻まれ、いまだに立ち直ることができずに酒に溺れていた。

テニスクラブのコーチとして暮らしているDanielの元に、Connor Linという18歳の若者がコーチを頼みに来る。彼には才能があったが、Danielはかつての「ゲイ」としての烙印を持ったままプロテニス界に戻るのは気が進まなかった。
もし彼がコーチするConnorが、彼との関わりからゲイの疑惑を受ければ、それだけで様々な不利益を受けるだろう。
テニスで審判を敵に回せば、試合はそこで崩壊する。不利なラインコールはプレーヤーの精神を削り、追い込んでしまう。4年前、彼らがJaredを追い込み、追いつめて、テニス界から消してしまったように。

だが、DanielはConnorとともに、ふたたびプロテニスの世界に戻る。JaredもまたConnorのダブルスのパートナーとしてテニスに復帰した。
彼らの道は険しく、勝利の栄光と、その裏腹に、彼らに向かって投げかけられる憎しみに満ちていた。

そして、憎しみは一発の弾丸となってDanielの未来を粉々に砕く。
.....



これはとてもいい話で、テニスが好きだと倍面白い。テニスが分からなくてもスポーツ好きなら萌えますが、4大メジャー大会とATPツアーについてくらいは何となく知っておいた方がわかりやすいと思う。「ローランギャロス」はメジャーのひとつ全仏オープンのコートで、赤土(クレー)コートである、とか。
私はわりとテニス好きなので萌え萌えして読みました。現役のプレーヤーのことは名前を変えて書いていますが、「この人のモデルは○○っぽい」とか、結構想像できます。

かつて「ゲイであること」で未来を奪われたカップル、DanielとJared。彼らは新しいプレーヤーConnorに導かれるようにしてプロテニスの世界に戻る。
そこで巻き起こるさまざまな苦しみや、それを乗り越えるための彼らの戦いが書かれています。結構、半端なくシビアです。
彼ら3人だけでなく、周囲にいる人々の感情や愛憎が入りまじって、大きな運命のうねりのようなものに全員が翻弄されている感じ。

個人的に気が散る点が多少あって、Connor Linの一家というのがアメリカにいる中国人一家なのですが、日本人に対する憎しみやうらみつらみがところどころに出てきます。作者当人が特に政治的に偏っているとは感じませんが(名前からして中華系だとは思うが)、そのへんがスラとしては集中できないのはたしかだったり。
チャイナっぽいと言えば、非常にチャイナっぽい一族ではあった。恐喝まがいに取引を自分に有利にしようとするところとか、時期的なものもあってこっちも遠い目になってしまいました。わがままを言ってしまえば、もうちょっと純粋に楽しみたいかなーという気持ちもあります。

しかし、そのへんを置いても、非常に緻密に彼らの戦いの様子が描かれていて、スポーツスラとして秀逸です。テニスの駆け引きと言うものをよくわかっている人なのだと思う。コーチングも具体的でおもしろい。
「ちょっと順調に勝ちすぎ」とかは感じないこともないですが、そこはスポ根ものみたいなものだと思えば納得。
何より、Danielのパートナー、Jaredのキャラが格好いい。「戦う男」である彼は、かつて戦う舞台を奪われて酒に溺れた。そこからまた戦う世界に戻り、別人のように生き生きと戦いますが、また巨大な敵に打ちのめされてしまいます。彼が、新たな傷の中で迷い、時にDanielにつらいことを言いながら、戦いつづけようとする姿は美しい。
絶望や、後悔の中から、人がどうやって希望を取り戻すのか。この話には、テニスという部分をこえて人が「戦う」姿があると思います。

かなりつらいシーンも含まれます。エロは描写少なしで、ほぼ直接描写なし。雰囲気あるから楽しいですが。
スポーツスラと、「ゲイの権利」を中心にした戦いをよく絡めた良作。深刻だけど勢いのある話を読みたい人におすすめ。
個人的なイメージだと、プレイスタイルはJaredはフェデラー、Connorはデルポトロっぽいと思う。

★テニス
★ゲイへのヘイト・クライム

Out of Light into Darkness
T.A. Chase
Out of Light into Darkness★★ summary:
その世界では、吸血鬼がすべての権力を握り、人はそのなわばりの中で彼らの「餌」として生きつづけていた。

Andorはもう何百年以上もの齢を重ねた、強大な力を持つ吸血鬼であった。
だが、いつのまにか彼の屋敷にいる「餌」の群れは何者かの手によって汚染され、その汚染は彼の視力を奪いはじめる。

ひとりだけ、汚染されていない、ビュアな血を持つ人間がいた。
Sven。Andorが幼い頃から目をかけてきた青年。
そのSvenはAndorの屋敷を脱走して姿を消していた。

Svenは、Andorの「餌」のひとりであることにもはや耐えられなかった。
彼はAndorを敬慕していたが、「餌」以上のものとして自分を見てくれないAndorに失望し、逃げ出したのだ。

Andorは、Svenの血だけでなく、Svenの存在そのものを必要としている。だが誇り高い吸血鬼が人間に弱みを見せることなどできるだろうか?
それともこのまま、Svenを拒否し、すべての光を失うのが彼の運命なのだろうか?
.....



とりあえず舞台は現代と考えていいようです。現代パラレルと言うか。
吸血鬼が支配する世界で、Andorはサンフランシスコ一帯を領地に持つ強大な吸血鬼。

Svenは、かつてAndorがまだ人間だった時に愛した女の子孫です。吸血鬼と化して、Andorは彼女との未来を諦める。
かわりに彼女は、Andorのために「群れ」となる子供たちを生んだ。彼女の血を引く一族が、現代までAndorの「餌」として飼われつづけています。だから、Andorはほかの吸血鬼のように「餌」たちを非情に扱ったりはしませんが、いささかいびつな状況です。

Svenはまっすぐだけれども少し直情的すぎるところもある若者で、Andorの素っ気ない態度に傷ついて姿を消そうとする。
やがて連れ戻されてしまうのですが、それからも反発したり逆らったりと、主人である吸血鬼を前にして気骨のあるところを見せてくれます。
彼を支配しようとしつつ、Svenの率直さにとまどい、どうするべきか迷うAndorが、段々と自分の気持ちをひらいてSvenを受け入れていくあたりが読みどころです。しかし、Andorが「人間」であったのはもう何百年も前のことで(バイキングの戦士だったと言うので、12世紀ぐらいの人かしらん…)、うまくふるまえないAndorは、時にあまりにも冷たくSvenを傷つけてしまうのです。

不器用と言えば不器用な人(吸血鬼)なんですが。
Andorは、視力を失いながらそのことを恐れ、傷ついている。でもあまりにも誇り高い彼は、Svenを心底必要としているのに、そのことを伝えられない。
脆さをかかえながら、あまりに長い間人間であることを捨ててきた彼は、自分の脆さにすら気付いていない。
彼には、Svenの助けが必要なのです。

引いたり、押したり。うろたえたり(主にSvenが)、怒ったり(主にSvenが)、傷ついたり(主に…)。
さらに、Andorを害そうとして「餌」たちを汚染させた敵の存在もある。もしその敵がこのなわばりを奪えば、Addorの「餌」たちは皆殺しにされてしまいます。
色々な要素が入り混じってテンポよく進んでいく話で、気をそらさずに最後まで読めます。

変わったバンパイア物が読みたい人、「主人と餌」みたいなねじれた関係の恋が好きな人におすすめ。

★吸血鬼×餌
★現代パラレル

Warrior's Cross
Madeleine Urban
Abigail Roux
Warrior's Cross★★ summary:
「Tuesdays」というレストランでウェイターをしているCameron Jacobsは、きわめて平凡で平和な生活を送っていた。
彼の生活の中でもっとも危険なことは、家でいつも彼を待ち受けている4頭の子犬と遊ぶことくらいだった。

Julian Crossが彼の生活に姿を現すまでは。

それは、火曜日に姿を見せる男だった。決まった時間に、高そうなスーツをまとって決まった席に座る。
ハンサムで、どこか危険な匂いのする男。

1年近く、ただの客とウェイターとしての距離を保っていた二人は、だがある冬の日を境に急速に近づきはじめる。
CameronはたちまちJulianに恋に落ちたが、Julianは謎めいた男だった。どこに住んでいるのか、何を仕事にしているのか。
彼はCameronを愛していると言いながら、何一つ自分のことをCameronと分け合おうとはしない。
それはCameronを危険から守るためなのだと、Julianは言うのだが…

Julianへの気持ちと、迷いやためらいがCameronの世界をかき乱す。そして、Julianの言葉にもかかわらず、危険はすぐそこまでせまっていた。
.....



殺し屋×ウェイター。
Madeleine Urbanは、一人で書いているよりも合作ものの方が安定している気がします。

平凡な暮らしをしてきた平凡なウェイター、Cameronを中心にして話が進みます。つきあうようになってから、意外なJulianの素顔を見つけては喜ぶCameron、色々なことを聞きたいと思いながらも距離を開けられるのが怖くて聞けないでいるCameron。
そんな彼を、Julianは愛しているけれども、彼は長年の間にたくさんの敵を作ってきた男で、Cameronを自分の弱みにするわけにはいかない。Cameronを守ろうとする、彼の秘密主義や自分の回りにめぐらせた壁が、Cameronを傷つけていきます。

そんな二人の状態がきめ細かく書かれています。
いつ物事がバランスを失ってしまうのか、そうした緊張感がある一方で、いつもクールなJulianが怪我をするととにかく不機嫌で子供みたいになったりとか、ギャップもとてもかわいい。てゆーか注射嫌いすぎだろう、Julian。
ところどころに自然なユーモアがちりばめられてて、Cameronの子犬とか、Julianの飼ってるわがままな猫にも萌え萌えします。

少し気になるのは、それまでCameronとJulianの視点だけで話が進んでたのに、後半にレストランの従業員とかオーナー(Julianの友達だけど)の視点が入ってくるのが唐突に感じられる点。
それまでふたりだけの視点で物語を読んでいるので、あまりに唐突でちょっとびっくりします。あれは別の形で処理できただろうに。
Julianについての細かな正体とか、そのへんの締めもやや甘い感じですね。アクションはあるけど、気持ちのドラマに焦点が置かれていて、ロマンス系の話です。

殺し屋の苦悩と、純情な青年の苦しみと、彼らを追ってくる敵と。その間で交錯する気持ちの物語。
悩む部分が長いので、心理描写が好きな人におすすめ。ほぼ10万語なので結構ボリュームあります。
Julianの執事がクールでむっちゃ格好良いので、「主従」が好きでもいけると思うよ!

★殺し屋×平凡

http://www.publickey1.jp/blog/10/epub5.html

このブログ記事によると、EPUBの日本語化(縦書きルール)のタイムテーブルがかなりしっかり出ているようで、来年の5月には最終仕様が出るようです。

EPUB3.0のフォーマットをつめているワーキンググループの中のサブグループが、台北で「台北 EPUB EGLS 会議」というのを10月の5、6日に開きます。ここでまた、どの程度詰められるか対面会議で話してくるとのこと。
日本語化チームも、かなり手弁当に近い活動になってしまっているようで、尽力して下さる方々には頭が下がります。できればtwitterなどでツイートして、微力ながらも皆でサポートしていければいいなっと思います。

国はサポートしてくれないのかと言うと、


また、政府は日本の「文字文化の独自性、固有性を発揮できるフォーマット」としてシャープの「XMDF」とボイジャーの「ドットブック」を基にした中間フォーマットを国際標準規格にすべく推進すると決定しているので、EPUBの日本語対応への支援は考えていないのでしょう


…だそうです。
今から国際標準規格参入って、日本と違って欧米はもう「標準規格」をある程度さだめちゃってるしな。日本が固有のフォーマットを作ったところで海外の電子書籍端末が今からそれを取り入れてくれる可能性は低いと思うんだけどなあ。

新型のiPodTouchは解像度が「印刷物並み」になっています。iPhone4のディスプレイより一段、質は落ちると思われますが(iPhoneがIPSで、多分TouchはVAかTNT。斜めから見ると色が狂いやすい)、解像度は一緒。

新しいTouchがほしいなーとまだぼやぼやしているのですが、先日兄が遊びに来たので、解像度だけでも体験しようと思って奴の持っているiPhone4を見せてもらいました。
いやこれほんときれいですね…
字が完全ににじみなくくっきりと見えます。
この解像度は素晴らしい。ああ、ほしいなあ。

その兄から、「新型Kindleもあるよ♪」と、新型のKindleも見せてもらいました。ガジェットオタクめ。
やはり画面のしっとり感と言うか、目にやさしいのはダントツですね。目にかかる負担は紙とかわらないんじゃないかな?バックライトがないので、暗いところでは読めません。
最新にもなると、やはり最初のKindleの「20年前のSFガジェットか」とつっこみたくなるようなゴツさとかダサさはなくなってきて、かなり洗練されてます。
兄いわく、「操作性は最悪だけど」だそうですが。

あと、かえられるのかもしれないけど、英文表示のフォントがちょっと野暮ったいなあ。ドット荒めでいかにも「電子書籍」感が漂うのは否めない。
でも今アメリカから買うと送料込みで200ドルくらいなんだそうで、円高考えると相当お買い得です。

そして、兄からの情報なんですけど、「アメリカから買ったKindleは、日本で買えない洋書も買える」とのこと。
結構、日本からKindleやKindleアプリで洋書買おうとすると、「それはアジア圏は駄目」とか言われるんですよね。何のための電子書籍だよ!と思いますが。
アメリカ製のKindleはそういう場所の縛りがないらしい。兄は「住所貸し」のサービス(あるんだね)を使ってアメリカの住所をユーザー登録しているので、Amazon的には「アメリカ在住の人」になってます。クレカは日本のものを登録しちゃってるそうだが、そこまでチェックしてないみたい。

そのアカウントとアメリカ生まれのKindleを使うと、日本には売ってくれない洋書も買える!そうですよ。
ただし、IPでどこから接続してるのかはチェックしている模様で、無理矢理日本から買うと、Amazonから「住所変更をお忘れですか?」というメールが来るそうな(笑)
くり返していると、アカウントがとめられちゃうのかもしれません。うーん、怖い。

ああ、あと、「ケースは買うな」と言われました。Amazonで売ってるKindleケースが本体と同じくらい重いんだって。
まあしばらくKindleを買う予定はないですが…

Wolf's Survival
T. A. Chase
Wolf's Survival★★ summary:
アメリカ内務省で野生生物保護の仕事をしているOliver Wingateは、Red Criffの町を訪れる。
絶滅した狼の回復活動の一環として、内務省は狼のペアをRed Criffに接する野生の保護地域に離すことを決定したのだった。
それは狼の種としての回復とともに、野生の動物の生態系のバランスを取り戻すための試みでもあった。

小さな町の保守的な牧場主たちは、狼と役人の両方を毛嫌いして、激しく反発する。
かつてこの地には狼たちの群れがいたが、人々はそこを開拓し、狼を絶滅させてこの町を作ったのだった。

だが、彼らの知らないところで、狼は生きのびていた。
ただ一頭の生き残り。群れを失った狼は、人と関わりをほとんど持たずに孤独に暮らしていた。
家族を失い、最後の一頭となった人狼。
Jacob Tasker。

Oliverに出会ったJacobは、長い年月の中ではじめて誰かに心を許しはじめる。
だがJacobの秘密と長すぎた孤独は、彼を最後のところで押しとどめる。

果たして二人は、Jacobの心の中の壁をこえてお互いに手を差し伸べることができるのか。
.....



今回ぐぐってみて知ったのですが、「狼の再導入」と呼ばれる回復計画は1970年代から行われていたんですね。
人狼の末裔のJacobは、故郷を離れているうちにすべての一族を失い、残っていた妹までも人間のせいで見失った。彼は人を信じていない。
牧場の犬たちだけが、孤独な彼の友です。

Oliverは狼を愛し、人を信じている。
彼は5年前に恋人をイラクで失ってから、その喪失をかかえていきています。前向きだけれども、繊細でシャイな男。

彼らは、出会った時から相手に対して大きな磁力を感じる。けれどもJacobの気難しさや、彼のかかえる秘密が二人の間にたちはだかる。
「狼をこの地に呼び戻したい」とJacobの協力を求めるOliverに、Jacobは「彼らはその時がきたら人の力を借りずに戻ってくる」と冷淡に答えます。彼はもう、人を信じていない。

とは言え、T.A.Chaseのカプらしく、相手に対して純粋な気持ちを向ける様子は愛らしくて、苦しみをかかえたそれぞれの様子もそんなにダークなものではありません。
甥っ子の教育のために「毒づかない」と決めているOliverの口調がかわいくて、「shit」とか「fuck」とか「damn」とか言えないものだから、色々な形で何か言ってます。何故か食べ物が多い。"swedish fishes" とか "duck farts" とか。
あんまりバリエーションがあるんで、今度リストにしてみようかと思います。

Oliverに強い支配欲を覚えつつ、人間不信や自分が抱えた秘密の重さに葛藤するJacobの姿が、物語にいい具合の陰影を付けています。
Jacobが満月の夜、死んだ一族の毛皮を保管している秘密の部屋で、ひとりずつの毛皮の匂いを嗅いで孤独を噛みしめるシーンは深くて、味わい深い。

元々ブログで連載していたストーリーですが、エピローグやシーンをいくつか足していますね。特に追加されたラストは、Jacobの言った「狼たちは、その時がきたら戻ってくる」という言葉に呼応していて、希望に満ちています。
孤独な狼と、シャイだけど強気な男のカプに萌える人におすすめ。Oliverに対する自分の保護欲の強さにとまどっているJacobの様子なんか、とても愛らしいです。でかくてゴツくて、支配的なのに、肝心なところでたまにたどたどしいんですよ。

★最後の狼

★Three-Star rating system★


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・2017年
・後半 王子二巻
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・王子とか何か売れてくれ〜(色々軽くピンチ)
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*他訳者さん*
・わが愛しのホームズ
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