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Slash(m/m小説) レビューブログ

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No Rest for the Wicked
A. M. Riley
No Rest for the Wicked★★★ summary:
Immortality is the Suckの続編。

元殺人課の刑事で、誰かの牙で吸血鬼とされたAdamは、今は社会的には存在していない。彼は死んだことになっていて、そしてAdam自身、自分が生きていると言えるのかどうかわからなかった。
一度は死んだ。今は吸血鬼として生きている。
だがそれは「生きている」と言っていいのか?

Adamにとって、この世界で唯一意味があるのはPeterの存在だった。元同僚であり、恋人であり、Adamが吸血鬼になってからも彼らの関係は続いていた。
PeterはAdamのためにパック詰めの血液を調達し、Adamに家の鍵を渡した。
だがAdamはいつからか、彼ら2人の現状にも疑問を感じていた。
自分の存在はPeterにとってなにももたらさない。
そしてPeterに近づき、Adamに立ち向かう若い男の出現が、Adamの気持ちに重くのしかかる。
PeterはAdamを選んだ。だがいつまでだろう。そしてそれは正しいのだろうか。

天才ネットワーク技術者の死の真相を追いながら、Adamは事件の深みにはまっていく。
そしてPeterが己を限界まで追いつめて働き続ける、その理由がAdam自身の存在であると知った時、彼の中で何かが崩れた。
.....



A. M. Rileyは独特のテンションといびつな情熱や痛みを書くのがうまくて、大好きな作家ですが、いつも小説として少しバランスが悪いところがあると思っていた。それが読む気持ちを削ぐわけではないんだけど。
今回は、そういう観点からすると非常にバランスはよく取れた話になっていると思います。うれしいな。

元悪徳警官で性格の歪んだ吸血鬼のAdamと、エリートコースまっしぐらでモラリストの警官Peterという異色の組み合わせで、一見AdamにPeterが振り回されているかのようですが、Peterも実際にはかなりの力を握っている。
そりゃ、吸血鬼になった恋人のために血液パックを冷蔵庫にストックしておくような心臓の持ち主です。モラリストで義務感旺盛だけれども、キレたら怖いに決まっている。

彼らの、どこか身勝手で純粋な愛情が積み重なっていく様子が、美しくもいびつです。
AdamはPeterの生活を振り回しつつ、彼自身も深い罪悪感と絶望をかかえていて、Peterはそんな彼の行く末を案じている。Adamは年を取らない。ならばいつかPeterと離れる日が来る。
それが明日か、それとも30年後かはわからない。
でもいつか必ずAdamはひとりになってしまう。
Adamの中にある絶望が彼を食い尽くさないように、Peterは解決法を探している。

独特の湿ったテンションで事件が展開していきます。Adamの吸血鬼仲間との奇妙な関係や、吸血鬼たちがのさばるLAのアンダーグラウンド。
PeterとAdamが互いに向ける情熱は激しいけれども、暗い。
その暗さや絶望をのりこえて、時おり訪れる調和が切ないです。いつもどこか崩壊の予感を感じさせながら、どちらももがいている。

少し変わった吸血鬼ものが読みたい人、愛情がありながら緊張感の漂うカプが好きな人におすすめ。
前作を読まないとかなりわかりにくいと思います。

★吸血鬼×人間

Charlie Cochpaneの「Lessons in Discovery」読了したので、LooseIDに行って5冊ばかり仕入れてきました。
My Bookstoreがまだ20%セールしてるんだけど(いつまでやるんだ?)、大体ここでほしいもの買っちゃったしな。男女ものの大御所で超人気作家のMaya Banksは気になってますが。ほんとにいつ見ても売れてるもんで、どんなんなんだろうと‥‥(でも洋書の男女ものって、女性の押しが強すぎてあまり趣味にあわないのですよ)

今回のお買い物リストは
・No Rest for the Wicked
・Duty and Devotion
・Survival Instinct
・Winner Takes All
・Steel Sleet
上2冊が好きなシリーズ続編で、次の2冊がレビューサイトで高評価だったもので、最後の1冊が理由不明だけどWishListに入ってたから買ってみた。
楽しみです。

読了した「Lessons in Discovery」はこのLessonシリーズの3冊目で、100年くらい前のケンブリッジ大学を舞台にしたヒストリカルものです。毎回事件が起こってそれを謎解きする、融通の利かない堅物数学教師と同僚で恋人の明るい教師(そういやJontyって何の教師だったっけ…化学?)のお話。
人気もあるし、キャラも可愛いし、おもしろいんですが、いわゆる「一般のイギリスヒストリカルもの」によく見る、ものすごく回りくどい比喩と上品なユーモアがちりばめられていて、慣用句も多く、シェイクスピアなんかの引用もありそうで、正直かなりの部分が理解不能だ~!
スラじゃないけど「執事ジーヴス」シリーズとか、昔の貴族ものってすごく文章が回りくどくて、あれが味なんですが、英語で読むのにえらい手間がかかるのでした。文章づかいも「けだし見事であろうかと思われたのであった」みたいな、ひとつ回った感じ。
読了できただけでひとつ「やったぜ」な気持ち。ちゃんと読めるのはいつのことか。ほんとにキャラかわいいから、続編も買うけど、そのうちだそのうち。

Duncan's World
T. A. Chase
Duncan's World★★ summary:
20歳のKyle MacDonaldは、つねに頭を低くして怒りっぽい父親の逆鱗にふれるのを避け、人の視線を引かないようにしてきた。
ブル・ロデオのツアーに参加する父親に同道して、父と兄の身の回りの面倒を見ながら、父親の虫の居所が悪い時には殴られる。酒を飲まなければ悪い父親ではなかったが、最近では飲んでいない時の方が少なかった。
勿論Kyleは、自分がゲイであることもひた隠しにしていなければならなかった。

そんなある日、人気のロデオカウボーイDuncan HornsbyがKyleに話しかける。

DuncanはKyleの父親のライバルでもあり、Kyleよりも17歳年上の男だったが、KyleはずっとDuncanに憧れていた。
ロデオのスターであり、何でも手に入れられる、何ひとつ不自由しない筈のDuncanが自分に近づく理由はわからず、そして父親の不興を買うことも恐れながら、Kyleは急速にDuncanとの距離をつめていく。

シャイで控えめなKyleは、Duncanの内側の保護欲を強く刺激した。
これまでDuncanはロデオサーキット周りでゲイであることを悟られないようにしてきた。だが、今回ばかりはリスクに値するかもしれない。
Kyleが自分の殻を破って、自由に歩き出す姿を見てみたい。

たとえそうして世界に対して目をひらいたKyleが、Duncan以外の誰かを選ぶとしても。
.....



英文のあらすじに「Kyleより14歳年上のDuncan」ってあるけど、本文に17歳差とあるのでそっちを優先。17歳差の方が萌えるし!
カウボーイものは最初「カウボーイジャンルがあるなんて変なの」と思ってましたが、今ではかなり要チェックジャンルになっています。大抵、保守的でマッチョな社会でのカミングアウトの重さか、ホームドラマ要素が色濃く入ってくるのが特徴。
今回はその両方。

頑迷で乱暴な父親と、そのミニコピーのような兄に従い、ひたすら頭を低くして暮らしているKyle。
Duncanはそんな彼の中の繊細さに惹かれ、縛りつけられている若さを解放してやろうとする。
それで結局、目が覚めたKyleが俺を去っていくとしてもそれはその時のことさ、と余裕っぽく構えるのがいかにも大人のカウボーイ。まあ内心、そんなことになったら相当傷つくだろうことは覚悟の上ですが。
誠実なDuncanと、シャイなKyle。愛らしい組み合わせです。ふたりとも互いに誠実で、ちょっととまどいつつ、道を探そうとする様子がかわいい。

若いKyleが段々と世界と自分の可能性に目覚めていく過程が書かれています。もともと独立心がないわけでもなく、ただ抑え込まれていただけなので、1度気付いてしまうと頭を低くし続けていることには耐えられない。
怯えて下を向いていたKyleが生き生きと人生を楽しみはじめる様子は、読んでいても気持ちいい。
家族の葛藤もあり、エロもあり、カウボーイは大量に出没し、全体にテンポよくたのしく読める一作となっています。つうか誰かあの兄貴を一発殴ってやってくれんかな。

年の差ものが好きな人におすすめ。

★年の差
★父親からの自立

The Dickens with Love
Josh Lanyon
The Dickens with Love★★ summary:
3年前のスキャンダルによって、ブックハンターのJames Winterはすべてを失った。
名声、職、恋人、彼とともに暮らした家、そして自分自身への誇り。

だが何とか裕福で傲慢な顧客を1人つかみ、彼は食いつないでいた。
本を見る目には自信がある。
彼が自分を疑っているのは、人を見る目だった。それさえあれば、こんなふうに人生から転落することもなくすんだ筈だ。

顧客は、ディケンズの未発表のクリスマス作品がオークションにかけられる前に、それが本物であるか確かめ、本物であればどんな手を使っても入手しろとJamesに命じる。
その仕事をやり遂げなければ、彼に先はない。

だが本の持ち主の教授は、Jamesの過去を知っていた。彼はJamesに疑いの目を向ける。
過去はいつまでJamesの足を引っぱるのだろう。彼を、誰が信じてくれるというのだろう。
.....



クリスマス・キャロルの作者として有名なディケンズですが、彼には「クリスマス・ブックス」と呼ばれるクリスマスシリーズがあって、5編、発表されているそうです。
その6編目を誰かが持っていて、オークションにかけようとしている?という話。

35歳のブックハンターJamesは、本の持ち主である42歳の大学教授Sedgwick Crisparkleと顔を合わせ、彼の持つディケンズを見て、一目でそれが本物だと確信します。
Jamesの、本に対する、そしてディケンズに対する愛情がその時の興奮にあらわれていて、だからこそ過去のスキャンダルに足をすくわれる彼の姿がいたましい。

彼は本がほしい。それと同時に、持ち主にも惹かれてしまう。
雇い主が誰なのか、Sedgwickに告げることは禁止されていて、Jamesは罪の意識を感じながらも彼と近づいていく。物事を隠したまま仕事と私的感情が入り乱れてしまう、そりゃ大抵行き詰まるものと相場が決まっています。
案の定、Jamesも失敗する。クリスマスなのに。

ディケンズに愛着を持っている方が面白く読めるとは思いますが、ブックハンターの内情がかいま見えるのが楽しい。
教授はちょっとキャラが薄い気もするんですが(紳士的で素敵な人だが)、その分を補って余りあるのがJamesの痛みでしょう。彼は傷つき、人生を見失い、それでも本を愛してもがいている。明日の食事もあやしいのに、狭いアパートの自分の本棚を眺めている。
そんな彼が、孤独なクリスマスシーズン、傲慢な顧客と頑固な大学教授や幻のディケンズの本の間をさまよう姿には独特の切なさが漂っています。強気で、シニカルで、独立心が強く、でも孤独で繊細。

ディケンズのクリスマスストーリーをめぐりつつ、これ自体がひとつのクリスマスストーリーという構成になっています。
現実のほろ苦さと、クリスマスならではのおとぎ話的な美しさが絡み合って、後味はさらりときれい。

小粋なクリスマスストーリーを読みたい人、古書萌えの人におすすめ。

★クリスマスプレゼント
★雪

Anchors Aweigh
Janey Chapel
Anchors Aweigh★★☆ summary:
Maritime Menの続編

海軍特殊部隊SEALの訓練を、Cooper FitchはEli Jonesとともにくぐりぬけた。
Eliは同じ班のすべてのメンバーをまとめ、励まし、奇跡的に全員が訓練をやりとげたのだ。誰もがEliに心酔し、彼の背を追い、地獄のような日々をやりとげた。
だが、それは次のステップの訪れでもあった。彼らが同じところに配属される可能性はきわめて低い。離れ離れになる、それが決められた道だ。

CooperはEliと離れたくはなかった。肉体的な結びつきだけでなく、Eliに支えられている自分を知っていた。
彼らの誰もがEliのためなら地獄まで行くだろう。
それに、Eliにだって限界はある。その限界を彼が踏み越えようとした時、誰がEliの背中を見張り、誰がEliを守るのだろう?

Eliと離れる痛みや不安。
さらにCooperの肩には、配属先での訓練での上官への対応や、落伍しそうな仲間のフォローものしかかってくる。
彼はEliのようなリーダーにはなれない。だがそれでも、何とかしてやりとげなければならない。
Eliがいないその場所で、本当にCooperにはやりとげられるのだろうか? Eliの力があってこそ、Cooperはここまで来れたのではないだろうか?
.....



前作Maritime Menは訓練中に体の関係を持つことになるCooperとEliの話でしたが、この続編では離れて別々の訓練をくぐり抜けなければならない彼らの話です。
相変わらず何か「軍人」らしさ、男臭さのような雰囲気が漂う話で、その感じがなかなかたまらない。

前作もそうでしたが、どちらも別にゲイではなかったのにお互いにそういう関係になってから迷わないんですよね。ただ2人は、体と直感のさししめすほうにいく。相手は男だ、それがどうした、みたいな。
Eliが作中で「It works.」と言うように、彼らにとってそれはその状態でうまくいっている。だから、それでかまわないじゃないか──そんな潔さと現実主義の入り混じりが独特です。

何より彼らは、恋人同士である以前に「仲間」で、何にも揺らがない強固な信頼関係がそこにはある。体の関係は2人の仲をさらに深めるけれども、彼らの関係の根本ではない。
特に互いへの思いを語るでもないんですが(前作よりは語ってますが)、相手へ向ける信頼が半端ではなくて、軍人とか仲間とか好きだったらそこに無茶苦茶萌えます。そんなに言葉を費やさないのに、気持ちが相手に対してむき出しになってる感じがいい。

Eliはともかく格好いい。言葉は少なく、だが語る時は物事の確信を語り、背中で道を示す。ほんと、こんなリーダーがいたら絶対みんな地獄までついてくと思うな。
勿論それは、Eliが一番先頭で地獄につっこむだろうことを疑わないからですが。
彼の背中を見て、彼がどうするか見つめてきたCooperは、Eliと離れてからずっとそのことを考え、窮地に陥ると「Eliならどうする」と答えを探します。自分はEliにはなれない。でもEliがどうするか、Eliならどうやってリーダーとしてふるまうか、その思いは彼の強い指針になります。
CooperがEliにまず「男として惚れている」のがすごくよくわかる。
そしてそのことは、Cooperを成長させていく。

作中に「Ain't no sunshine when he's gone」とCooperが思い浮かべるシーンがありますが、これは「Ain't no sunshine」という歌の一節ですね。元歌の歌詞は「when she's gone」ですが。
それをEliを思いながら「when he's gone」と頭の中で呟く、Cooperは隠れたロマンチストのようです。

軍人好き、男同士のごつごつした信頼関係が好きな人におすすめ。
これだけでも読めることは読めると思うけど、やっぱり前作から入る方がいいかな。

★訓練
★リーダーシップ

Dragon's Kiss
Ally Blue
Dragon's Kiss★★ summary:
マザーアースの物語。

海面の上昇で文明が破壊された後、世界は迷信と恐れが支配していた。
生き残った人々はあちこちにより集まって野生の世界の危機を避け、Pack-Brother’sと呼ばれる一部の男たちが狩りをし、部族を守った。
Pack-Brother’sは互いに強く結びついている。心と体と。その結びつきのため、Packのメンバー以外と寝ることは許されない。
ましてや、部族の外側からきた男とは。
それは死の制裁を意味した。

Packの1人、Bearは、部族の領域の中で裸でさまよっていた1人の男をとらえる。
その男はDragonと名乗る──それはPackの男たちだけに与えられる、獣の名。

Bearは強くDragonに惹かれ、自分の気持ちに動揺した。部族内のPackの兄弟以外と寝ることは、そのまま死の罰につながる。
しかもDragonは、彼の部族から追放されてきた身だ。武器も服も水も持たされず、その追放はゆるやかな苦しみと死だけをもたらすものだった。
それほどの大罪が何であるのか、Dragonは言おうとせず‥‥
.....



ファンタジーの短編。
かなり短い、長編のプロローグ!という風味までありますが、世界観が練られているので楽しめます。

文明の滅んだ、野生が牙を剥く世界。その中で独特の掟を生み出しながら生きのびてきた部族たち。
人間は世界に散らばり、恐れの中を生きている。
がんじがらめの掟、数多くのタブー。

過去の人々の「邪悪」について知ることは、そうしたタブーのひとつとされていた。
だがBearは──誰にも言わなかったが──過去についての好奇心を抑えられない。過去の文明とは何であったのか。さまざまに遺跡に残った文明の遺産が気になって仕方がない。
禁忌を犯すことは、この世界では死を意味する。人々は部族を離れては生きていけないし、部族は掟破りを決して受け入れない。
そういう世界。

雰囲気がある設定です。その中で、BearとDragonの惹かれあう気持ちが描かれる。
Bearの、部族の価値観に根ざした、ちょっと動物的な視点がおもしろい。個人的にファンタジーって「異世界に棲んでいる人」っぽさ、現代人との価値観の相違のようなものが重要だと思うのですが、そういう「ぽさ」がよく出ています。

決してかなわない気持ち、満たされることのない疑問。そんな中で心ばかりがさまよう戦士。
ファンタジー好きなら読んで楽しい短編です。もっと先も読みたい!とは思いますが。
Bearの友人のRabbitももしかしたら何かを求めて姿を消したのかも、とか妄想のネタも転がっているのがいいですね。

★滅んだ後の世界
★追放

DABWAHA Tournament 2010という読者投票のアワードが開催されていたのですが、GLBT部門トップだった「Zero at the Bone」が全体の二位になりましたね!
おめでとう!
決勝は一票入れたんだけどなー。
優勝したのはLarissa Ioneの「Ecstasy Unveiled」。パラノーマルものらしいけど、読んでみようかなあ。

64冊の電子書籍の候補をトーナメント方式で一冊ずつ戦わせて、勝った方が次のトーナメントに進む方式。結構シビアですよね
ジャンルが8つ(現代物、ヒストリカル、SFやパラノーマル、ヤングアダルト、ロマンス、シリーズもの、GLBT(スラ)、ファンタジー)で、それぞれ8冊ずつ。
GLBTジャンルの候補はこれ。

Zero at the Bone by Jane Seville (Dreamspinner)
Force of Law by Jez Morrow (Torquere)
Shades of Gray by Brooke McKinley (Dreamspinner)
ePistols at Dawn by by Z.A. Maxfield (Samhain)
False Colors by Alex Beecroft (Running Press)
Hard Fall by James Buchanan
Remastering Jerna by Ann Somerville
Tigers & Devils by Sean Kennedy
レビュー書いた物はリンクを張ってあります

この中で読んでないのは「False Colors by Alex Beecroft」と「Force of Law by Jez Morrow」。残りは読んだ! 結構押さえてるんだぜ~
Ann Somervilleの「Remastering Jerna」は彼女がHPで公開してる時に読んだのですが(この人が私がオリスラに入ったきっかけでした)。そのうち売ってる版を買ってレビューしたいけど、BDSMの名作です。
「False Colors」の作者Alex Beecroftの本は別のを読んだことがあって、それが個人的にはトンデモ系分類だったので(ヒストリカルもので、海軍のキャプテンが難破して原住民に結婚申し込まれたりする)、この人を避けているのですが、これはチャレンジしてみようかなあ。大好きな「Shades of Gray」とぶつかって勝っているのですよ。
「ePistols at Dawn」はゲイロマンス作家と女のファンのふりをしてファンメールを送る男、というシチュがちょっときつかった。作品について長文でことこまかに語り合うのとかが、何だかピンと来なかったなあ。そういう書簡ものが好きならいいかも。
「Hard Fall」は書評の評価も高く、中も濃密だったけど、英語が難しくて呑み込めていない部分多し(文法が何か独特なんだよね…)なのでレビューできない。モルモン教徒であることとゲイであることなどの心の葛藤を描いてもいるので、テーマ的にぴんとこないというのもありそう。そのうちまたチャレンジして、ちゃんと読めたらいつかレビューしたいです。

DABWAHAというのは、Dear Author Bitchery Writing Award for Hellagood Authors! の略だそうです。
Hellagoodというのは「すっげえ」みたいな感じらしい。Hella cool!とか、若者言葉なのかなあ。
ノミネート作品はここから買えます。アマゾンからペーパーバッグで買う場合はこちら

Fighting Dragons
T. A. Chase
Fighting Dragons★★☆ summary:
Here Be DragonsDreaming of Dragonsの続編

世界の境目を破って現れはじめたドラゴン。だがその騒動は、討伐隊の働きと、破れ目をとじたエルフと聖騎士の働きで鎮静しつつあった。

ドラゴン討伐隊のメンバー、下士官Bailey Stevensonと隊長David Wellmineは、出会ってからずっと互いに惹かれるものを感じていた。
BaileyはできることならDavidとの関係を深いものにしたかったが、Davidにはどうしても振り切れないためらいがあった。

仲間たちは彼らの様子を心配し、そしてアイルランド最大の休日である聖パトリックの日、魔力が最大になるその日に、おせっかいなエルフのたくらみが動き出す。
彼らに恋の魔法が投げかけられたのだ。
その魔法は2人の中にあるためらいを突き崩す。

だが魔法は一日しか続かない。この情熱と欲望が消えた時、2人はどうなるのだろう。
Davidは家族に対する体面と責任を振り切って、Baileyの手をつかんだままでいられるのだろうか。それとも彼は、Baileyに背を向けるのだろうか。
.....



前二作の続編ですが、スピンオフと言うかちょっとおまけっぽい感じになっています。
竜はもう出てこないし、世界はわりと平和。段々と、皆が戦いが収束した後の人生におさまりつつあります。

そんな中で、もうじき役目を失うドラゴン討伐隊。そこにいる2人の男の物語。

Baileyは戦争で重傷を負い、今でも後遺症に苦しんでいる。そのことが、彼の中にためらいとなって巣喰っています。誰が傷の残った兵士を恋人としたいと思うだろうか?
一方のDavidは、Baileyに惹かれてはいるものの、議員の父親からの期待とプレッシャーの中から一歩を踏み出すことができない。
がんじがらめにされ、跡継ぎとして父親の描いた絵図通りの人生を送ってきた彼の、唯一の反抗は、軍隊に加わったことだった。
彼は誇り高く、強靭な男ですが、父親の期待に応えたいという長年の願いは根深い。たとえ何をしたとしても、父親は息子を一人前としては認めないのに、息子は「いつか」という望みをかけて父の言葉に従い続けているのです。

そんな彼らの様子を見かねて、よせばいいのにおせっかいをするのがエルフのMordred。彼は今、自分の力を使えませんが、友人のエルフに頼んで聖パトリックの日に恋の魔法を投じてもらう。
「人の人生に手を出すのがいいことだとは思わない」とMordredの恋人のGeorgeは眉をひそめるけれども、エルフの単純な「好意」を責めることも出来ない。
果たして物事はどう転がるか。あんまりオッズはよくない。

ぎりぎり三万語という短さで、あっさりと読めますが、小道具も効いているし、きちんとドラマ部分は押さえています。何より愛らしくていいな、この2人と周囲の様子が。
第一作のカプ、KealとHughもいるし、第二作のMordredとGeorgeもいる。色々な心配事がなくなった今、彼らの関心は仲間に向いている。
おせっかいと言ってしまえばそれまでだけど、愛情と好奇心がいりまじってテンションが上がっている姿がほほえましい。Mordredは相変わらず衝動には逆らえないし、子供っぽい安易さで物事に乗り出してしまう。
彼らがみんなで楽しくやっている様子を読めるのが、この話のもうひとつの楽しみ。

楽しく読めて、気持ちのいい一冊。
前作を楽しんだ人に。
これ一冊でスタンドアローンではあるのだけど(きちんとキャラの説明などは書いてあって、これだけでも読み解ける)、やっぱりシリーズ第一作から読んだ方がいいと思います。

★聖パトリックの日
★恋の魔法

Regularly Scheduled Life
K. A. Mitchell
Regularly Scheduled Life★★ summary:
SeanとKyleは、6年の間、友人から冷やかされるほど甘く幸せな関係を続けていた。
だが、10月のある晴れた火曜日の朝の出来事が、彼らのすべてを崩してしまう。

理科の教師であるSeanは、校内にひびく銃声を聞いたのだ。
駆けつけた彼は発砲者を取り押さえたが、足を打たれて傷を負った。

傷はいずれ治る。だがSeanの中には治せない物が残った。救えなかった生徒。彼がもしもっと早く走っていたら、あの生徒は死なずにすんだのではないだろうか?

Kyleはその事件をラジオで聴いてから、Seanが無事であるとわかるまで、生きた心地がしなかった。
無事ならいい。
ほかのことは2人ですべて乗り越えていける。その筈だった。

何もかも、元には戻れない。Seanの罪悪感は彼をさいなみ、自分の中に生まれた虚無を埋めるように、彼はさまざまな活動を始める。公的な場所に顔を出し、演説をし、エージェントを雇い、マスコミのインタビューに応じた。
突然、自分たちが人々の目にさらされはじめたことに当惑しながら、Kyleはできる限りSeanをサポートしようとした。だが、それは正しい恋人同士の形だろうか? 1人の心に巣くった罪悪感に振り回され、ほかのことはすべて後回しになってしまう。
Seanの「一番」はもうKyleではない。
そのことに傷つくのは、あまりにも自分勝手なことだろうか?
.....



これは読んでいてとにかく気持ちのおさまりが悪い話で、何だかうまく言えませんが「気持ちの悪い」話でした。ほめてるんだが。

学校での銃乱射事件と、その時犠牲になった生徒に衝撃を受けたSeanは、とにかく「世の中をかえたい」という気持ちで「正義の人」になるわけです。Kyleはそのことに反対しているわけではない。でも自分たちの時間もほしいし、プライバシーもほしい。
ある種の「ヒーロー」となったSeanにはエージェントがつき、そのエージェントが2人の生活の中にまで入りこんでくるけれども、Seanはそのことに対しても鷹揚。でもKyleには耐えられない。
耐えられないが、笑顔で「大丈夫」と請け負ったりする。Seanのためだから。Seanはさすがに恋人の中にある不満に気付くけれども、「ほかにどうしようもないし、Kyleはわかってくれている」と自分の気持ちをKyleの気持ちの上に置いてしまう。

それでも彼らの生活はうまくいかず、Kyleは元のような2人に戻りたいと思う。Seanにとってはすべてはもう変わってしまったことで、戻りたいと言われてもわからない。
そして彼は何故、Kyleが今の状況を理解してくれないのかわからない。
Kyleが言うのは「2人」のことばかりで、でもSeanには今や、自分たちより優先されるべきことがある。それが正義だと思うから。
でも愛は前の通りそこにあるし、Seanはそれでいいと思っている。

KyleはSeanの新しい生き方に添ってみようとしたり、耐えられなくなって態度が悪くなったり、Seanとぎくしゃくしたりします。「お前は自分中心すぎる」とSeanは言うけれども、Kyleは「自分を大切にしてほしい」のではなく(それもあるけど)「2人を大切にしてほしい」のです。
2人の認識のずれがものすごく詳細に書かれていて、これ結構怖い話だと思います。些細な言葉、些細な態度から色々なものが溜まっていく。ほんとに些細なことで、些細だから口に出してみると馬鹿馬鹿しく、それだけに気持ちの持って行きどころがない。
ほんとは、もっと根本的なところで彼らの立ち位置は間違っているのです。

優しくて判断力にあふれたSeanはいい男で、癇癪もあるが活発なKyleとは本当にいいカップルです。
その2人が、大きな一瞬の暴力によって、これまで築いてきたすべてが危険にさらされる。2人の愛情がはっきり書かれているだけに、彼らの関係がいびつになっていく様子がつらい。
派手なエピソードもありますが、大半が暮らしの中のリアルな物事を通して描かれていて、ディテールがすごくしっかりしています。
またK. A. Mitchellが日常の繰り返しの中で歯車が狂っていく様子を書くのがうまいので、読んでいてとても面白いし、気持ちがざわざわします。

心理描写や日常描写の詳細な話が好きな人におすすめ。

★発砲事件
★ヒーロー

Zero at the Bone
Jane Seville
Zero at the Bone★★★ summary:
外科医のJack Franciscoは、病院の地下駐車場で女性が殺される現場を目撃してしまう。

裁判の証人として保護された彼を、「D」という名の殺し屋が殺しに来た。
しかし彼はJackを殺さなかった。

そもそもDは、この依頼を受けたくなどなかった。だが誰かが彼の正体をつかみ、依頼を受けるよう脅迫してきたのだ。
Dはたしかに殺し屋だ。だが、彼は彼なりの線を自分の中で引いていた。殺すのは、殺されるべき理由がある相手だけ。そしてJackに理由はない。彼はただタイミングが悪い時にそこに居合わせただけだ。
彼にはJackは殺せない。
だがもしDがここで逃げても、誰かがこの不運な外科医を殺しに来るだろう。誰かがJackを殺そうと決心していて、彼に安全な場所はないのだ。

Dはやむなく、Jackとともに、彼を守りながら逃亡をはじめる。
感情を深く埋めた殺し屋と、外科医。
彼らは生きのびられるだろうか。そして2人の間に何かの感情が生まれたとして、そこに未来はあるのだろうか?

しかも、狙われているのはJackだけでない。Dを執拗に狙い、苦しめようとするのは誰なのだろう。
.....



去年話題になった本らしいです。なかなかよく書けていて、骨太な話です。
Dは孤独で、すべての過去と自分の中の人間らしい部分を葬った殺し屋。彼には殺しをはじめた理由があるのですが、それも含め、感情を遠いところに沈めてしまっている。自分がもう、人間だという気すらしない。

Jackと思わぬ形で逃亡生活を始めてから、それが少しずつ変わっていく。
Jackはなかなかおもしろい男です。人並みに怖がったり、混乱したりするけれども、好奇心が強くて、癇癪をおこすとなかなかすごい。非日常のストレスが彼に無茶をさせている面もあるのですが、彼はほとんど義務感のようにDの中にあるものを見いだそうとする。
それは一種、医者としての本能なのかもしれません。傷を見ると放ってはおけない、みたいな。
誠実にしつこい。

Dの中で絡まって固着したものは、そう簡単にほぐせるものではない。そしてまた、彼の人生は人の命を奪ってきた道でもある。
Jackは彼と対立し、自分の価値観を揺さぶられて混乱し、時おりDのために心底悲しむ。いい人です。そしてそんなJackに、Dは惹かれていく。
2人はもう後戻りできませんが、先に何があるのかもわからない。

逃亡生活の中での緊張や対立、感情の揺れが強く描き出されています。
Dを助ける謎の存在「X」とか、裏の話も面白い。
個人的にはDがもうちょっとニヒルなままでもいいかなーと思いますが、Jackに転んでからのDの、世界の中でJackだけが安全な場所であるかのような切迫した情熱も読みごたえがあります。何だか色々自分が剥き出しになっちゃって、どうしようもなくなってる感じが切ない。

JackはDの過去をそのまま許すことはできないし、Dは自分がJackにふさわしい男だとは思えない。
彼らは色々な痛みをのりこえて、自分たちでどこか妥協点を探し出さなければならない。そういう、もがく様子にリアリティがある。

結構Dのしゃべり方が崩れているので、会話文を読み慣れた人向けかも。D視点になると地の文も同じように崩れるし。

“Usedta do, ya mean.”


とか(Used to do, you mean.)。全体がこんな感じ。
この言葉づかいの差というのは、JackとDがまるで違う世界の人間であるということを強調しているのだと思う。あくまで正しい文法でしゃべるJackをDがからかうシーンもある。

「殺し屋とターゲット」とか聞くだけで萌える人、正反対の世界のカプ、骨太な話が好きな人におすすめ。長いし密度が濃いのでたっぷり楽しめます。エロも多し。
作者のサイトでは後日談の短編が出ています。色々と困難を乗り越えつつがんばっていて、そのうち続編とか出るかもしれないなーと思ったり。

★殺し屋
★証人保護プログラム

Lynx Woods
P. A. Brown
Lynx Woods★★ summary:
Tyler McKayは環境工学のエンジニアである。
今回の仕事は、荒れ果てた土地のゴミを片付け、治水をし、木を植えてその場所を再生させることだった。
もっとも彼自身は途中まで仕事をするだけで、後は自然が自ら回復していくのだ。

クライアントは、その場所の絵を画家に描いてもらおうと考えていた。彼が選んだのが、自然を描くことにかけて定評のある、最近名の上がっている画家、Charlie Reid。
TylerはCharlieに初めて会った瞬間から、強く惹かれるものを感じていたが、Charlieがゲイなのかどうか彼にはわからなかった。

Charlieがゲイなのかどうか──
それがわからないのはTylerだけではない。Charlie自身、それをわかっていなかった。認めようとしていなかった。
Charlieの人生は、己の半分を否定するような人生でもあった。

強烈に互いを求めながら、Tylerは手をさしのべ、Charlieはそこから逃げ出す。
逃げ出そうとして逃げられない、だが認めることもできない。
Charlieの迷いと混乱はTylerをも傷つけ、2人の強情な男たちはどちらも苦しみながら、出口を探していた。
.....



自分がゲイであることを否定している男と恋に落ちた話。

舞台はカナダ。Tylerが木の高さを「6メートルくらいかな」と言うと、アメリカ人のCharlieが「メートル?」と混ぜっ返し、Tylerが「お前のために言うなら20フィートだよ」と言い返すシーンがあったりしておもしろいです。
2人とも、従属的なタイプではなく、典型的な「アルファ」タイプですが、互いに対してその支配欲を振りかざしたりはしない。それより何より、彼らの間に立ちはだかるのはもっと大きな問題なのです。

Charlieの中には恐れがある。彼は学生の時に傷つき、それ以来ひたすらにゲイであることを隠してきた。
家族にも知らせていない。
どれほどTylerに惹かれていても、Charlieの中にはまだ迷いがある。そしてTylerは嘘をつくこと、隠れた関係を続けることに耐えられない。たとえ自分自身が耐えたとしても、それはいつかCharlieへの気持ちを殺してしまうのではないかと思う。

結局のところ、Charlieの敵はCharlieなんですが、1番厄介な敵とも言えます。
Charlieがもがき、Tylerが巻きこまれて何度も苦しむ。強い、自立した男たちが、仕事をしながらがつがつとぶつかっている感じが読みどころです。真っ正面からぶつかり、時に手が出たりする。
一瞬の情熱に流され、我に返って離れ、離れていられずに戻ろうとする。
どれほど好きでも、何度もそんなことをくりかえしてはいられない。
そういう情熱と苦しみが、たたみかけるように書かれています。

んでもってTylerにはもっと受けタイプ(というかクイーンというか)の恋人がいて、途中で別れますが、この恋人がすごくかわいいですね。
最初はまさに頭がからっぽのビッチちゃんに見えますし、実際ビッチちゃんですが、段々と複雑な物をかかえこんだ内側や彼の強さが見えてくる。恋人としてより、友人となった後の方がずっと2人の関係が豊かだというのがおもしろいです。
いい友達だ。そしてそんな彼が絶大な信頼を寄せる、Tylerというのはそういう男なのだなと読んでいるうちにわかっていきます。

強い男同士が惹かれあう話がツボの人に。
荒れ地を再生させていく過程もきちんと書かれていて、それもまた彼らの関係のメタファーになっているので、「仕事をする男」が好きな人にもおすすめ。

★カミングアウト

Angel's Evolution
T.A. Chase
Angel's Evolution★★☆ summary:
彼はモンスターだった。
父親は彼を鎖でつなぎ、鞭で打ち、彼の中のモンスターを殺そうとした。

恐怖と憎しみの檻の中で育ちながら、彼は父に連れられ、社交界へと一歩を踏み出す。父親の後継者である彼には、身分のある子女と結婚する義務があった。
だが人を恐れ、女性に惹かれない彼に、そんな未来は何の意味もない。
生き続けることは、痛みと恐れに支配され続けることだけを意味した。

そんなある夜、彼は美しい金髪碧眼の男に出会う。
その男は彼を「Angel」と呼び、彼にくちづけた──
何よりも美しいものを見るように、彼を見つめた。

もしかしたら彼は、父親が言うような怪物ではないのだろうか?

この痛みをこえて生きのびてきたことには意味があるのだろうか。父親の言葉と鞭から逃れたとして、未来には何かがあるのだろうか?
信じるほどの価値のあるものが、まだこの世にはあるのだろうか。
.....



イギリスを舞台にしたヒストリカル貴族物。
父親から「怪物」と折檻をうけつづけ、一度は命を絶とうとした青年、「Angel」の話です。
勿論本名は別なのですが(一度だけ本編内で言及されます)、Angelと謎の男が呼んでから、彼はAngelとしてだけ語られていきます。

父親は色々な過去の事情から、Angelが男を好きなのではないかと恐れ、彼がまだ子供の頃からとじこめ、罰を与えてきた。
Angelは実際に男性に惹かれているのだけれども、その意味をまるで知らない。あらゆるものからへだてられてきたので、ある意味非常に無垢で、純粋で、欲望の意味も快楽の存在も知らないのです。
そんな彼を導こうとするのはNorthampton公爵、国王の腹心でもある男、Grayson。
GraysonはAngelを見た瞬間に運命を感じますが、Angelは恐怖に目がくらんでいて、なかなかそこにある真実を見ることができない。
そしてGraysonの愛情を知ってからも、それが続くものだとは信じられない。

打ちのめされ、望みを失っているAngelを年上の男が導いていく話ですが、闇から這い上がらなければならないのはAngel自身で、彼はGraysonにもたよらず、自分の足で立つ方法を探さなければなりません。
Angelのもがく様子、彼の中にあった独立心の目覚めなどが細やかに書かれていて、ドラマティックな感情描写がちりばめられた一冊。

その裏で、Angelに対してさりげないサポートをしてきた叔父と、その叔父が持つ過去の痛み、Graysonがかつて送ってきた愛のない結婚生活とその報いの後悔、かつて失った恋の痛みを抱えてAngelに近づく謎の男など、周囲の様子も濃密です。
「怪物」と罵られ、己が怪物ではないか、自分の行く道は悪魔の道ではないかと闇の中でさまよっていたAngelが、最後の最後に、己の望みや意志を解放するシーンが鮮やか。
T.A. Chaseにしては珍しいほど文章が大仰だったりするのも楽しいです。やっぱり貴族ものはこうでないと!

虐げられてきた受けが救われる話が好きな人、ヒストリカル貴族ものが好きな人におすすめ。

★虐待
★エロ多め

★Three-Star rating system★


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