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Slash(m/m小説) レビューブログ

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Timing
Mary Calmes
Timing★★☆ summary:
Stefan Jossは、1番の友人で大学時代のルームメイトだったCharlotteの結婚式のため、テキサスへ向かった。

本当なら休暇の筈だったのに、上司の強引な要望で、テキサスの牧場の土地を買い取る交渉の仕事もしなければならない。
計算違いだったのはそれだけではない。
Stefanの前にRand Hollowayが現れたのだ。Charlotteの兄、10年前に会った時からStefanと気が合わず、彼を「fag」と読んで侮辱した男。それ以来、彼らは顔を合わせるたびにお互いにきつい言葉を投げかけあってきた。

だがRandの態度はいつの間にかわっていた。まるで友人になろうというような態度に、Stefanは驚き、警戒する。
同時に、Randとの間にこれまで誰にも感じたことのなかった調和のようなものを感じてもいた。
そんな馬鹿なことがあるだろうか。Randはストレートだ。

結婚式のために続々と家族友人たちが集まり、4日間にわたる週末の騒ぎが始まった。
喧嘩、準備の不手際、花嫁の秘密告白、ストレス、めまぐるしい結婚式前の日々の中で動き回りながら、Stefanはこの10年まるで知らなかったRandの新しい面を発見していく。

同時に、何故か自分が大きな危険にさらされていることにも気付いていた。恋に落ちる危険、そして何より──何故だか──自分自身の、身の危険。
.....



Stefanの仕事は"acquisitions manager"だそうで、よくわからないんですが投資部門のマネージャーってことかなあ。
口がよく回り、気が強く、実は腕っぷしも強く、人好きのする、美形で金髪の、ちょっと絵に描いたような男。
彼と、テキサスで牧場を経営するRand Hollowayの話です。

しかし結婚式の前って凄い目まぐるしい。いろいろなトラブルが起き、Stefanは新婦のためにそれを解決しに駆けずり回っています。
ユーモアにあふれ、生き生きと走り回る彼の様子は見ていて楽しい。Mary Calmesの受けは半端じゃなく活発です。
彼とカウボーイのRandは、10年もの間、相性は最悪。
誰とでもすぐ友人になるStefanは、じつのところ誰とでもあっさり距離を取る。誰かを嫌うほど人に執着しない。そんな彼が顔も見たくないほど嫌い、顔を見ればありとあらゆることを言ってしまう相手が、カウボーイのRandなのです。
それがどういうことなのか、Stefanはまだ自分で気付いていないわけですが。

2人の緊張感、笑える言い争い、近づいてくるRandに猫のように警戒するStefan。その警戒を押しきろうとしてうまくいかず、苛々するRand。
うーん、楽しい。

とにかく全体に生き生きしていて、結婚式のための4日間(+α)を全力で駆け抜けていくような、色鮮やかな話です。
主人公はやたら愛されてあがめられるので、そういう愛され受け(でも二皮くらい剥いてみると根本的に孤独)が好きな人向け。
Mary Calmesの受けはLB Greggの受けと同じような笑えるほどの活発さがありますが、こちらの受けの方が世渡り上手で社交的で誰からも愛されてるハイパーな受け、という感じです。どっちもすごく可愛いんだが。
そして、そんな受けを、強い攻めがベタ惚れになりつつ守ろうとする話。

親友のCharlotteと主人公の結びつきがすごく強くて、そこも読みどころのひとつとして書かれています。強気でお騒がせでおしゃべりな女の子なので、女の子がばんばんしゃしゃり出てくる話が苦手な人は注意。可愛いし、えぐくないけどあくは強い。まあやっぱ結婚式は新婦が主役。
彼女が、Stefanとだけわけあっていた自分の秘密を新郎に話し、Stefanはそれをサポートするんだけれども、その後「もうCharlotteは夫が支えてくれる」とすっと距離を取ろうとするあたりなんか、Stefanが根本的にどこかに孤独をかかえていることを匂わせて、なかなか憎いと思います。

語り口がかろやかで楽しい読書です。一箇所エロで「himself」を「myself」と書いちゃってどえらいことになってるエロシーンがありますが、気にしないぜ!
活発受け、愛され受け好き、ユーモア系の読書が好きな人におすすめ。

★仲たがい(10年)
★カウボーイ×ビジネスマン

Bound by Nature
Cooper Davis
Bound by Nature★★ summary:
Hayden Garrettにとって、Josh Petersonは1番世の中で顔を合わせたくない相手であった。
JoshのすべてがHaydenの感情をかき乱す。何よりきまりが悪いことに、HaydenはJoshが近くに来るだけで欲情を覚え、それはあからさまにJoshにばれている筈だった。
「狼」の嗅覚には、Haydenの体の反応を知るのなど簡単なことだ。

彼らはその地区に住むふたつの大きな「狼」の群れの、それぞれ後継者であった。
どちらも服従することを知らない、力の強いアルファ。
そして何よりJoshはストレートだ。Haydenに興味があるわけがない。

だがJoshは、大学から戻ってきたHaydenに近づく。
Joshは昔から、自分とは違って理知的でシャイなHaydenのことが気になっていた。いい友達になれそうだし、彼と一緒に狼として満月の下を走るのは楽しそうだった。

2人が呑もうと約束した夜。
その夜に何かがあった。
何か、感情を昂揚させる素晴らしい出来事。そして、Haydenの記憶を閉ざすほどおぞましい出来事。

その出来事がHaydenを5年もの間刑務所にとじこめ、出てきた時には彼は別人のようになっていた。
JoshはそんなHaydenの信頼を得ようと必死に彼に語りかけるが、Haydenは世の中のすべてを拒む。彼がJoshに見せるのは、裏切られた痛みと憎しみばかりで…
.....



狼2匹の、過去と現在が入り混じった話です。
シャイでちょっと考えすぎで、自分がJoshに惹かれていることを隠そうとして隠しきれず、そのことに自己嫌悪を抱いているHaydenと、何だかHaydenと友達になりたいなーのJosh。
頭脳派と肉体派、みたいな感じですが、どっちも体格はいい。

話は大学から戻ってきたHaydenがJoshに「飲みに行かないか」と誘われるところからはじまりますが、その後、いきなり5年後にとびます。
何故かJoshに裏切られたと思ってうらんでいるHayden。彼はかつて約束された未来を失い、前科持ちとして小屋のようなところに住んでいる。

でもJoshを拒んでばかりもいられません。
5年の間に、2つの狼の群れは対立し、争いが激化して、長老たちは和平が必要だと考えていた。
群れの和平のためには絆を結ぶ必要があって、白羽の矢が立ったのはHaydenとJosh──それぞれの群れの後継者。彼らがMateになれば、争いはおのずとやむ、ということで、要するに彼らは政略結婚を迫られています。
これは大変。つうか、いいのか男同士で(細かいことは気にしない)?

勿論Haydenは拒んで逃げますが、どうしてかJoshはあきらめない。
5年前にHaydenを裏切って陥れた(筈)の男が何故今さら自分を求めるのか、そもそもJoshはストレートじゃないのか? とHaydenは混乱する。
その混乱の中で、5年前に本当は何があったのか、Haydenが失った記憶の中身があらわになっていきます。

「狼」の狼らしさと言うか、本能の強さのようなもの、野生があちこちにちりばめられていて、そこに読みごたえがありますね。
Cooper Davisは描写のきめが細かくて、体温とか匂いの描写が読んでいて気持ちいい。その世界にゆっくりと引き込まれていく感じです。
結局、Joshが5年前のことをどう解決してふたたびHaydenに会うことにしたのか、そのあたりがすとんと腑に落ちない感じはありますが(ちゃんと説明はされてるんだけど穴があると思う)、本編のテンションの高さと、この作者独特の丁寧で情熱を秘めた描写はさすがです。

狼好きだけでなく、傷ついた2人がもがく話が好きな人におすすめ。

★人狼
★裏切り

スラを10冊ちょっと購入。やっぱり20%オフは素晴らしい!
しかしMyBookStoreで買ったMary Calmesの「Change of Heart」が、何とStanzaで文字化けします。
Microsoft Reader(lit形式)、Mobipocket(prc形式)の両方駄目。
PDFは読めますが、これはStanzaだとすごく使えないので、最悪iPodTouchのGoodReaderにPDFを入れて読むかな…

Stanzaのせいか? Macのせいか?

とりあえず問い合わせ送っておきました。返事待ちです。英文メール書くと英語の書けなさにへこむ…
これまで、ブロックがかかっていて読めないというのはありましたが、文字化けははじめてだー。英語でも文字化けってするんですね。
ちなみに、「文字化け」は英語でgarbledと言います。今回調べた!
Your mail was garbled to read. とか。

garble は辞書によればこんな感じ。

1 〈事実言明などを〉ゆがめる, 曲解する, 改ざんする;〈文章などに〉勝手に手を加える.
2 〈記号メッセージなどを〉混同する, 取り違える.

http://www.mybookstoreandmore.com/
MyBookStoreがリニューアル!して、20%オフセール中です。

shinynew というクーポンコードを入力すればいいようです。(書店ページ上部にも書いてあります)

ここは出版社ではなくて、いくつかの出版社の本をまとめて売っているようなところ。Samhainとか、DreamSpinnerとかLiquid Silverとか。リニューアルでふえたかな? あとウィッシュリストができたかな? 前からあったっけ?

おすすめはヒストリカル貴族もの好きならAva Marchの「Object of His Desire」とか、楽しい活発な受け好きならLB Greggの「Catch Me If You Can」、J.L.Langleyの本(カウボーイ物以外はここで買えます)、「Bound By Love」とか「Tabloid Star」などのT.A.Chaseのいくつか、とか。

本をジャンル分けから探す時は上の「GLBT」じゃなくて、やや下にある「Romance」の子項目の「GLBT」から探した方がいいです。これよくわからない。
20%オフの内に何か買い込むぜ!
「A Matter of Time」のMary Calmesの他の作品も売ってるので、そのへんも狙ってます。

A Matter of Time 4
Mary Calmes
A Matter of Time 4★★ summary:
A Matter of Timeシリーズ 4(前巻のネタバレあり)

デザイナーJory Keyesと、殺人課の刑事として戻ってきたSam Kage。
2人の関係は今度こそ確固としたものになりそうだった。

Joryはこれまでの経験からまだ破局を恐れているが、Samが本気であることは彼にもよくわかった。Samは、Joryの人生の中に自分の居場所を見つけ、そして自分の人生の中にJoryを入れようとしている。
彼はもう、2人の関係を隠そうとも、「ノーマル」な人生をうらやんでもいなかった。

だが、3年前の事件はまだ2人の背を追っていた。
3年前、Joryによく似た男が、Joryが前に住んでいた部屋で殺された──その事件は、かつて事件の目撃者となったJoryの口封じに失敗したものだと思われていた。裁判とともにすべて終わったのだと。
それなのに、また、男が殺される。Joryとつながりを示す物を持って。
連続殺人。そして、その殺人が指し示すのはJoryだった。

誰が、何のためにそんなことをしているのだろう? 3年以上にわたって?
殺人者は自分の身近にいるのだろうか?

そんな時、Samの身にまで危険が迫り、Joryは事件を自ら追いはじめる。Samを守るために。

*DreamSpinnerから、3と4を合わせて「A Matter of Time2」として再発売されました。
.....



A Matter Of Timeシリーズ4
続き物。1、2、3を読んでから!

3でよりを戻した2人のその後、ではありますが、もうしっちゃかめっちゃかです。
Joryが走る逃げる走る逃げるっていう感じ。

今回はSamから逃げているわけではなくて、Samが動けない間、とにかくアクティブに事件を追い掛け回す。誰の制止もききません。
ブレーキの壊れた車みたいです。アクセル踏みっぱなし。大丈夫か。
回りの人間の心配はとどかないし、無理矢理警察に保護されれば悪党の手を借りてそこから抜け出したり、パトカーの後ろから手錠つけたまま逃げ出したりと、ほんと無茶苦茶。
みんなJoryをとめようとしますが、「もう誰にもとめられないんじゃよ」って感じ。直感と行動力にすぐれたJoryはたまにちゃんと役に立ったりして、それがまた余計に物事をややこしくしている。ただの役立たずならもっとマシかも。

ふたたび色々な事件がおこって、にぎやかな一冊です。事件だけでなく、SamとJoryが2人でどう一緒の人生を生きていくか、そういう彼らの愛情やお互いのための妥協もきちんと書かれていて、これまでの3冊の流れをきちんと締めています。

Nickの行く手というか、身の落ちつけ方がわかったのが地味に嬉しかった。1でJoryと一晩すごした後「君が好きなんだ」とごたごたした医者ですが、その後も何かと出てきて、微妙な愛着があったサブキャラでした。
間が抜けてて惚れっぽくて、いい人なんだけど思いこみ強そうで、Joryが寝た相手の中でもかなりいいキャラ出してたと思います。身の落ちつけ方も、彼らしくどこか間抜け。

Joryの失踪と迷走っぷりが半端じゃないので読んでて楽しいですが、4になるとちょっとJoryの立ち位置が「姫」っぽくなるのが個人的にはちょっと残念かなー。活発で強気で行動力もあるんだけど、何と言うか、愛されポジションが姫っぽい。(3までの姫になりそうでならない感じがツボだった)
それと、少しミステリ部分がルーズかなあという印象もある。
でもそのへんをノリで読み切っていくと、相変わらずすごく楽しい読書です。読み出したらなかなかとまれない。
無茶苦茶でやる気でがんばっててけなげな、でもトラブルメーカーな受けが好きなら迷わずいきましょう。

シリーズ完結かどうかはわかりませんが、とりあえず話は一段落した感じです。ものすごく楽しいシリーズでした。おすすめ。

★トラブルメーカー
★暴走受け

小説読んでると出てくる言い回しとか。なじんどくといいものとか、つれづれに。
単語自体は簡単なんだけどね、みたいなものを。

for good
永遠に(for good and allの省略形)He was gone for good.とか。
goodとついてるのでいい意味かと思いきや、ところがどっこいという感じですね。

possession
「所持」という意味ですが、これで逮捕された場合(arrest for the possession)、薬物所持のこと

cheat
「だます」という単語ですが、「浮気」にも使う。カップルの場合、He cheated me. で「あいつ浮気しやがった」となる。

He is on something
薬物をやっている(ハイになっている)。「It seems he is on.(あいつキメてんじゃないの) 」みたいに「something」を抜いたケースも見たことがあります。
be stonedも同じように、酔ってるとかドラッグをやってるとかいう意味。
酔っぱらっている状態を俗語で「wasted」とも言う(死んでる人にも言う…)。

pot マリファナ

turn on
欲情する、うっとりする(His word turned me on. とか You turn me on. とか。性的な物事関係なく物事に魅了されている時にも使う。I was turned on. のように受け身もよく見る)
スラではずばり「勃起している」という意味になることが多い。

fucked up
失敗する(わりと汚めの表現)"I fucked up."で「やっちまった」的な感じ。

cut from the same cloth
同じ布から切り出された=同類の、つまり「同じ穴のムジナ」の意。

change
着替え
「He changed」は「変身した」ではなく「着替えた」ということ。パラノーマルものの場合この限りではない…
店での「change」はお釣りとか小銭って意味になります

bird
勿論、鳥。スラングとしては中指を立てる意味もあって、「flip the bird」で誰かに中指を立ててみせること。
flip the finger も「中指を立てる」という意味。
ちなみに「finger」は基本的に人さし指から小指までの4本の指をさします。親指は「thumb」。
そーいや昔、中指を立てる時は右手と左手で意味が違うの、なんてまことしやかに言われていた気がしますが、読んでる限りそういう描写に出会ったことはないですね。真偽不明。

Be prepared
これはアメリカのボーイスカウトのモットーで、しばしばジョークに使われます。
もう耳にタコができるほど出てきます。「prepare(準備)」と言えばボーイスカウト!と即座につながるものらしく、手回しのいい人に「ボーイスカウトか」とつっこむのはほとんど礼儀なんじゃないかと思います。
スラではもうお約束のやりとり、「lubeの準備あるよ」「お前はボーイスカウトか」。勿論コンドームでも可

余談ですが、日本のボーイスカウト支部のモットーは「そなえよつねに」
どこの支部も同じような信念をモットーにして準備や警戒を呼びかけていますが、Wikipediaによると何故かタイだけがいきなり「Better to die than to lie」と、えらく厳しい。
ウクライナの「With Strength! With Beauty! With Care! With Speed!」もちょっと凄いな。勢いもあれだが、Beautyってあんた。うっかりエロ解釈しそう。

A Matter of Time 3
Mary Calmes
A Matter of Time 3★★☆ summary:
A Matter of Timeシリーズ 3(前巻のネタバレあり)

Jory Keyesの誘拐事件から、3年がたっていた。
彼の波乱の恋の相手、警官のSamは、病院に彼を置いて姿を消し、それきり何の連絡もなかった。

それを忘れようとして、Joryは忘れられない。1年以上つきあった相手ともそれ以上関係を深められずに別れ、夜ごと遊び歩いて、顔も名前も覚えていないような相手との関係をくりかえす。
デザイナーとして独立し、仕事は順調だった。Daneの盛大な結婚式も開いた。
飲んで、遊んで、働いて、Joryの日々はそのくり返しだった。
すべてはうまくいっていた。うまくいっている筈だった。

Samが3年の不在を経て、またJoryの前に現れるまでは。

決して、彼らはうまくいかないだろう。Joryにはその確信があった。
何度くり返しても、必ず彼らは破綻する。そのたびに痛みは増すようで、今回ばかりはそのあやまちに足を踏み入れるつもりはなかった。
Samが何を言おうと、Jory自身が何を望もうと。

*DreamSpinnerから、3と4を合わせて「A Matter of Time2」として再発売されました。
.....



A Matter Of Timeシリーズ3
続き物なので、1、2を読んでから。

Joryは26歳。
成長したかどうかと言うと、微妙かもしれない。Samが去り、彼は少し人生の行く手を見失っている感があります。
さすがに3年経っているから、気持ちの中で区切りをつけたつもりでいる。でもまだ苦しんでいて、楽しく暮らしているような日々の中から、そんな様子がちらちらと見える。
遊びに行って充分飲んだのに、1人でいたくないから誰かを呼んでまた遊ぼうと夜中に携帯を眺める、とか。
わりと楽しそうに暮らしてるんですが、満たされてない感じがうっすらと漂っている。

Samは3年ぶりにJoryの前に現れ、Joryを自分の人生に取り戻そうとするけれども、Joryは全力でそれを拒否する。とにかくもう一度あんな思いをするのは無理。2度と耐えられないと思う。
だがSamは3年の間に変わっていて、怒りっぽい、高圧的な男は、頑固さはそのままでどこかおだやかさを身に付けたようです。
彼は今度こそ気持ちを決めている。Joryがいない人生など、ありえないのだと。いきなりやってきてそれはあるかよ!と思いますが、彼には彼の事情があったりもする。
そんな彼が懸命にJoryを口説くシーンがなかなか甘々で、読んでて楽しいです。

相変わらず展開のテンポはいい。Joryに常につきまとっていた事件は片づいたので、そう言う意味ではやや平和な一巻でもありますが、心理的にばたばたしているJoryの様子は平和でも何でもないですね。
これまで2冊、Joryは自分が何をしたいか、何を求めているか、はっきりとターゲットを定めて全力でぶつかっていましたが、思えば引くのも早かった。彼はSamが言うように、何かがまずくなりそうだと思うとそこから姿を消す癖があるようです。
友人や兄のためなら、何とでも戦う。何でもする。でも自分の人生に執着が薄く、どこか傷が浅いうちに物事をすませようとする。
でも今回の相手は、Samです。それも、心を決めたSam。
うーむ、手ごわい。

引いて、逃げて、つかまれて、口説かれて、怒鳴り返して、また逃げようとする。
いつまでもつか。
そんなお話。
そして今回こそ、彼らはうまくいくのか?

ここまで2冊楽しんだ人は買いです。Samが必死になったり、ものすごく支配的になったり、我に返ってちょっと引こうかとしてみたりするが結局Joryから離れていられない様子がすげー可愛い。
んでもって、4に続く。

★再会
★強引保護者系攻め

A Matter of Time 2
Mary Calmes
A Matter of Time 2★★★ summary:
A Matter of Timeシリーズ 2(1のネタバレあり)

Jory Keyesは殺人を目撃し、証人となり、刑事のSam Kageと出会って恋に落ちたが、彼らの仲は平穏なものではなかった。
Samは、これまでの人生をずっとストレートとして生きてきた。家族との関係、友人、キャリア、すべてが彼にとってプレッシャーとなる。
彼はJoryを愛していると言い、Joryはそれを疑ったことはなかったが、Samが「ノーマル」な暮らしや可愛い女の子との結婚を捨てきれずにいることも、知っていた。

殺人の証言者としての役目も終わり、JoryはSamの人生から姿を消す。
それは苦痛に満ちた決断だったが、ほかに道はなかった。SamにはまだJoryの存在を受け入れる心の準備ができていず、そのことを自覚すらしていなかった。

Joryは、仕事にも遊びにも満足していた。
新たな家族、友人、仕事、自分の望むものすべてがある。
だがただひとつ、何よりも欲しい物には決して手が届かない。

そんな時、思わぬ形でまたSamがJoryの前に姿を現し…

*DreamSpinnerから、1と2を合わせて「A Matter of Time1」として再発売されました。
.....



続き物なので、1を読んでから。しかも3を買う覚悟で。(2の最後がすごいクリフハンガーなんですよ…)

相変わらずなJoryです。そろそろ23歳になるけれども、陽気で憎めなくってバイタリティに溢れていて、無茶。
Samとの恋や喧嘩や失恋は彼を打ちのめしますが、それでもJoryは元気だ。
強盗に手を振って彼らの車をカージャックするくらい元気。見ているだけで楽しいです。

アドレナリンが出ると何をするかわからない人なんですね。誰の言うことも聞かない、自分の本能にだけ従って突っ走る。やがて興奮状態が終わってアドレナリンが切れるとその場でつぶれそうになってます。
小猫みたいな感じです。遊ぶ時に夢中になって駆け回って、はっと気付くと疲労にもう目も開けられなくなっている。
そんな彼が恋をしたり、また命を狙われたりするので、そりゃもう大変なことになってます。その間を縫って男とデートをしたり、振り切ったり、自分と付き合いたい男を口説いて別の男とのブラインドデートにつっこませたり、それをスパイよろしく双眼鏡片手に追い掛け回してチェックしたり、めまぐるしく頑張ってます。

今回は、雇い主のDaneとの関係も新たな局面に入ります。私はこの人、攻めになったらそりゃ素敵な攻めになるだろうと思うのですが、当人まるで興味なさそうで残念です。無慈悲で高飛車で美形ですごいツンデレなんだけどなあ。
彼はJoryのことを罵りながらも大好きで、それが高じて今回Joryに大きな選択を迫るのですが、「お前のことを愛してるけど、お前と寝るのは絶対ご免だから別の手を考えた」とか言ってます。
愛されてるなあ、Jory。そして彼もDaneを愛している。でもそれは恋人への思いとはタイプが違う。
ここもまた、別の意味で萌えます。

Samもまた相変わらず、高圧的で、Joryにめろめろ。ほんとに溺愛。
彼は、何があってもJoryを失えないことはわかっている。だがやはり、長年生きてきた「ノーマル」な生活からのプレッシャーは重い。それが幾度も彼とJoryを引き剥がす。
それでもSamは、新たな打開策を探しはじめています。身勝手なようで、彼もまたもがき、Joryを取り戻すべく人生と向き合いはじめている。Joryを何度も傷つけるけれども、彼らはやはり離れられない。

その溺愛っぷりと、剥き出しになった気持ちの濃さがいい。2人の言い争いも容赦ない。
スピード感もあり、Joryのユーモアもあり、別れや再会のドラマも山盛り。楽しい読書におすすめです。
恥ずかしげもなくJoryを甘やかすSamの言葉が結構楽しいので、「べた惚れの相手に歯の浮くようなことを本気で言っちゃうこわもての刑事」とかに萌える人にも鉄板。

★再会
★やんちゃ受け

タグに「長さ」の分類を入れてみました。役に立つ…かなあ?
ひとつの記事にタグは10個までしかつけられないので、このへんがタグづけの限界っぽいですね。単語数はエディタに数えてもらってます。「語数」ってほんと、慣れてないからピンときませんね。

分類によって揺らぎはあるものの、小説の長さ分類はWikipediaによればこんな感じ。
novel_length.jpg

それとは別に、このブログでは勝手な長さ分類を使ってます。
・10万語以上(長編以上)
・5~10万語(長編)
・3~5万語(中長編)
・1~3万語(中編)
・1万語以下(短編)

5~7万語あたりも分けたい気もするけど、あんまり細かくしても、ということで。
タグの並び方が制御できないので、多い順とかに並んでないのですが、そこはご勘弁。
自分で今回長さを確認してみても、短いと思っていたのが意外と長さがあったりとかして、語数をあらためて確認すると驚くことがありました。

英語にまだ不慣れな人は多分、1~3万語くらいが読みやすいと思います。あんまり短いのは、英語に慣れるまで意外と読みにくいです。一箇所わからないと、ダメージが大きいので。補完を入れやすいのは、ある程度の長さのあるものですね。

「電子書籍」のあり方論議 有識者会議が初会合


http://www.sankeibiz.jp/business/news/100317/bsb1003171739003-n1.htm

 総務省と文部科学省、経済産業省は17日、電子出版などのあり方について議論する有識者会議の初会合を都内で開いた。誰もが利用できる環境整備や著作権などの問題点などについて議論し、6月をめどに取りまとめを行う。



実は今、日本において、すでに商業出版している人が出版社の許可を得ず、別個に電子出版するのは自由です。現行の著作権法の下では、出版権や複製権を他者(出版社など)に契約で譲渡した場合にも、「電子出版」はその制約を受けないからです。
まあでも、やっぱり元のところの「顔を潰す」のは嫌でしょうから、有名著者がAmazonに電子出版を委託しちゃう、なんてことはあんまり大掛かりにおこりそうもない。

問題は、電子出版関係の権利がえらく曖昧になっているまま法律が時代遅れになっていることで、そこのところを何とかしないと日本の電子出版の未来はないと思う。
(…取次ぎや書店の反対は、また別においても)

反対派も賛成派も、その枠組みができてからやっとはじまるんじゃないでしょうか。

Quinn's Hart
Cassandra Gold
Quinn's Hart★★☆ summary:
Quinn Delaneyはこれまで出会いに恵まれたことがなかった。6フィート7インチ(約2m)と身長が飛び抜けて高く、シャイな彼は、36歳になる今まで人とうまく接することができなかった。
彼は、酒のみの父親をなくしてから施設で育った。そこで出会った友人が、今やただひとりの彼の家族であり、親友だった。

その彼女のたのみを断りきれず、人数を合わせるために、Quinnは独身ツアーに参加する羽目になる。
ストレート、ゲイ、レズビアン、それらの独身者がごっちゃになってディズニーワールド行きの旅をするのだと言う。
Quinnは旅がひどい結果に終わるだろうと思いつつ、仕方なく参加して、初日から身の縮むような思いをしていた。

31歳の小児科医Josh Hartは、勉強ばかりであまり子供らしい子供時代をすごしたことがなく、はじめてのディズニーワールドへの旅に年がいもなく胸をときめかせていた。
一緒に行く筈だった恋人がつれなく彼を去ったが、幸い、旅行会社の女性は彼の旅をシングルツアーのキャンセルの中に押し込んでくれたのだ。
そしてその旅で、彼は大柄だが優しく、シャイで、殻にこもったQuinnと出会う。
Quinnは彼の「タイプ」ではない──だが、いつもこわばっている彼が笑顔を見せた時、Joshはその笑顔から目を離すことができなかった。

Quinnにとって、Joshはほとんど「理想の男」だった。そんなJoshが自分に興味を示していると感じながら、Quinnは自分の望みを否定しつづける。そんな筈がない。そんな幸運が彼を訪れるわけがない。
だがそれでも、一縷の望みが心の中に残る。
わずかな最後の勇気、Joshと向き合うだけの勇気を、果たしてQuinnは奮い起こせるだろうか。
.....



シャイで引っ込み思案で自分の価値に気付いていない男と、殻に隠れた彼の素顔に恋するいい男。「俺はあいつの本当の価値を知っている」みたいな。
わりとよくあるパターン(だって鉄板だしね!)ですが、その中でもかなりいい雰囲気を醸し出している一作です。

その雰囲気の良さは、繊細なキャラクターによるところが大きいと思う。
Quinnは後ろ向きで、自分を低く見て、Joshの好意もいちいち「親切だから自分をかわいそうに思ってくれたんじゃないか」とか「やっぱり俺は邪魔なんじゃないか」とか勘ぐります。
でもその後ろ向きさは、あんまり陰険なものではなくて、あくまでおだやかです。たまにいる「ドラマクイーン」タイプの悲劇の主人公ではなく、ただひたすらにシャイ。
これまで傷つけられてきた過去を抱き込んで、Quinnは静かです。

Joshは多分、これまで見た目のいい派手な、自分とつり合うような相手とつきあってきたんじゃないかと思う。途中で出てくる彼の元彼も、まさにそういうきらきらしたタイプ。
誰もが「Quinnはお前のタイプじゃない」と言い、Josh自身もそう思いますが、Quinnにゆっくりと確実に惹かれる自分を否定もしない。Quinnの中を見て、そこにある正直さや、くつろいだ時のQuinnの笑顔やジョークにくらっとする。こちらもまっすぐでいい男です。

シングルツアー(しかも毎日テーマパーク!)という、「非日常」の中での出会いと恋ですが、勢いに呑まれているというよりは、互いをちゃんと見つめて、確かなものを作り上げていく恋愛模様です。
周囲の人間たちも彩りよくて、友人同士になったほかの男たちとか、Quinnに目をつけて「俺を縛って叩いてくれないか」とか言っちゃうちょっとお馬鹿な男とか、いい味出してます。最後の方にQuinnが彼を冗談で撃退するのはいいシーンですね。最初に「縛って」と言われた時はもう凍りついて、その場から逃げ出してしまい、みっともなく逃げたことに落ち込んだりしてたのに。

Joshが一方的にQuinnを殻から救い出すのではなく、2人は出会いの中でゆっくりと、互いの存在を認め、自分の価値に気付いていく。
Quinnもまた、Joshのよき理解者であり、時に彼を守る。そのバランスがとてもよく、読んでいて味わいの楽しい一冊です。

シャイな大男に萌える人は鉄板。「殻にこもった繊細な男」のシチュが好きな人におすすめ。
タイトルの「Quinn's Hart」の「Hart」はJoshの名字であると同時に、「Heart」や「Hurt」とかけてるのかなあ…と。わかりませんが。
しかしこのツアー、うっかりすると無法地帯になりそう。

★人見知り
★独身者ツアー

Freaks In Love
T. A. Chase
Freaks In Love★★ summary:
核が落ちた後の、混沌の世界。
JamesはTriad Cityの西地区のボスの護衛として働いていた。
ある時、東地区のボスとの会談がセッティングされるが、そこで彼らは襲撃を受ける。罠だったのだ。

東のボスのボディガード、Magpieはその襲撃で重傷を負い、Jamesは助けを求めに街の北地区へ向かう。それは、Jamesが守り通してきた秘密を暴く行為でもあった。

壁に囲まれて出入りを許されない、北地区は「フリーク」達が住むフリーク・タウン。彼の故郷。
二度と戻らないと誓った場所だった。

Magpieはまさかフリーク・タウンへ自分が行くとは思いもしなかった。そして彼を救ったのがJames──決して誰にも口をきかず、体毛のない体をタトゥで飾ったこのいかつい男であることが信じられなかった。
フリークの力で自分の傷が治ったことも、そしてその力が自分の中に残ってしまったことも。
何より、Jamesがフリークの1人であることも。
彼を混乱させながら、何もかもがめまぐるしく動きはじめる。

この街で何かが起ころうとしている。ボス達の襲撃はそのはじまりにすぎない。
それが始まる前に、JamesとMagpieはフリーク・タウンを、そしてその街を出なければならなかった。2人で力を合わせ、互いに背中を預けて。
.....



フリークと、若くて口の悪い暗殺屋稼業の男の話。
舞台は核が落ちた後の近未来です。

フリークであることを隠して生きてきたJamesは、蛇型のフリークで、フリーク・タウンでもほぼ最強に近い位置にいるフリーク。
彼は生まれた時に親から負わされた喉の傷が元で、ほとんど口をきかない。口をきくと痛むようです。

Magpieはひとりで生きのびてきた男で、Jamesの分も補うようによくしゃべる。そして悪態をつきまくる。
fuckだのshitだのまき散らしながら、どんどん混沌を増していく状況に毒づきつづけます。
ストリートで育った彼は、慌てたり追いつめられたりすると、その時使っていた言葉づかいに戻ってしまうらしい。ほんとにめちゃめちゃ口が腐ってますが、ちょっと可愛い。

全体にスピードの早い話で、うっかりすると置いていかれそうなくらい早い。
死ぬ寸前のところを免れたためのアドレナリン、生きのびるための緊張感、そういったものの中で2人は惹かれあう。けれども、そこには気持ちが先にあるというよりは何だか肌のあたたかさが先に立つような、少し乾いた感触もある。
彼らは人生の中でずっと孤独で、人を求めたことがない。そんな2人が生きのびるために身をよせあう、それは「恋人」というよりは「相棒」というような、追いつめられた関係にも見えます。
フリークでもいい、今そこにいるのは、信頼できるのは、互いだけだから。

街の北地区、フリーク・タウンは壁に囲い込まれていて、フリークを出さないように厳しく管理されています。
その中は弱肉強食の世界で、普通の人間が生きのびられる場所ではないため、JamesはどうにかしてMagpieを守りながらそこから脱出し、街からも逃げ出す方法を探さないとならない。
そのためにJamesがずっと押し隠してきた「フリーク」としての本性を剥き出しにする、その決心の強さが格好いい。

うぞうぞっとフリークが出てくるフリーク・タウンとか、核の後の世界とか、そういう設定が好きな人、戦う男たちのカプが好きな人におすすめ。
「明日のことは明日考えよう」みたいな切迫感が全体に流れていて、たたみかけるスピード感がいいです。

★ミュータント
★近未来

とりあえずのこころみですが、拍手設置しました。
記事ごとの拍手数が表示できるものです。
「あーこれ読んでみたい」とか、「これ読んだけどおもしろかった」という場合に気後れせず押してもらえると嬉しいです。
そういうのが溜まると、読む人の参考になるかなーと。本の感想を書いてもらってもOK。「今いちでした」も書いてよいぞ!

拍手じゃなくて、記事ごとの投票とかカウントものが設置したかったのですが、よくわからない。
アイコン変えちゃうと拍手数が表示されないし。

しかしテストで押してた拍手が消せないのな。。しまった。

A Matter of Time 1
Mary Calmes
A Matter of Time 1★★★ summary:
22歳のJory Keyesは、人生を楽しんでいた。
著名な建築家の個人アシスタントとして働きながら、夜はクラブで一晩の楽しみをひっかける。一夜の遊びの男とは、朝までは一緒にすごさない。
彼は日々を楽しんでいた。
だが友人のために彼女の家に立ち寄った時、男が人を殺す場面を目撃してしまったJoryの人生は、大きく変わる。

裁判の重要な証人となった彼を、警察は証人保護プログラムに入れたがるが、Joryは人生の自由を一時でも失いたくない。
断って、それまで通りの生活を続けようとする彼と、警官のSam Kageは強く対立する。
Samは強く、体格のいい男で、Joryは彼に惹きつけられるものを感じていたが、Samはどこからどう見てもストレートだった。

だが、2人の間に生じる感情の強さはJoryを驚かせ、Samを驚かせる。
その関係に未来はあるのか? これは本当の恋なのか、それとも一瞬の好奇心なのか?

*DreamSpinnerから、1と2を合わせて「A Matter of Time1」として再発売されました。
.....



1~4まで出ています。一本完結のシリーズではなく、珍しく「続き物」というやつです。
4で完結したのかどうかはわかりませんが、とりあえず一段落はしてます。

とてもおもしろいシリーズで、その中核を為すのが主人公のJory。これがもう、エネルギーに溢れた、めちゃくちゃな男。
親の顔を知らずに祖母に育てられますが、そういう過去の影はほとんどかけらもない。男から男に遊び回るのも、別にこれは孤独だからと言うわけではなく、楽しいから。
物事をあまり深く考えないのは性格で、人の話を最後まで聞かない癖があります。バイタリティ余ってるからね。この癖が色々なところで彼をトラブルに巻きこむ。
勝手に生きているようですが、仕事は誠実、友人には忠実で、一度恋人が出来れば、それ以外の相手とは絶対に寝ない。それが彼なりのモラルです。

周囲を引っかき回す楽しいキャラで、トラブルメーカーと言うだけでなく、色々な問題を彼なりの視点で解決していくバイタリティがあります。たとえば(これはまだ先の巻ですが)強盗が入った家を助けるために、その強盗の車に乗りこんでカージャックしちゃったり、警察に手錠をかけられたのを何とかするためにアダルトショップに行って「彼氏が鍵を無くしたんだ」と手錠を外すのを手伝ってもらったり。
そのあたりのJoryの溌剌とした動きを見ているだけでも楽しいシリーズです。

彼の運命の相手となるのが、ストレートの警官(つうか刑事か)Sam Kageで、34歳の彼はきつい性格とその体格で誰にでも恐れられているけれども、Joryはさっぱり彼を恐れない。
2人はすぐに、相手が自分の運命だと知るけれども、Samはそれまでストレートとして生きてきた男で、警官。
ゲイとしてカミングアウトしたとして、できたとして、彼のキャリアは、未来はどうなるかわからない。そしてSam自身にも問題があります。Joryこそ彼の「One」だと知りながら、Samはまだ、それまで求めてきた未来──結婚、家族、子供、そして順調な警察でのキャリアなど、そう言った「ノーマルな」ものへの渇望を捨てられません。

彼らが惹かれ、ぶつかり、離れる。その一方で、Joryは彼を証人に立てたくない犯罪組織に狙われる。
スピーディな展開が続きます。

カプ的にはちょっと「Adrien Englishシリーズ」っぽい感じもする。あそこまで痛い葛藤ではありませんが。まあ警官と好奇心の強い一般人のカプとなると、どうしても似るかも。警官ものだとカミングアウトの葛藤は常にセットですしね。
最近ミステリがはやってるのも、あのシリーズからの流れなんじゃないかなあと思ってますが。いや、好きだからいいんだけど。強圧的な警官×やんちゃ受け。

鮮やかで楽しい一冊です。とにかくJoryが楽しいし、2人の間の磁力の強さは萌える。惹かれあう時も、対立する時も、いつも強烈。
あと、Joryの上司のDaneがほんとかっこいい。有能で辛辣で美形で冷酷で、Joryにたよりきっている。ここの、今にも相手に噛みつきそうなやり取りはいいなあ。最初、Daneがカプに噛んでくるかと思ったよ。

活発な受けに萌える人、そういう受けに振り回される強い攻めが好きな人におすすめ。結構あちこち笑えて、ほんと楽しいです。

★無茶無謀受け
★ストレート警官攻め


※ここの書店は、何故か「カートに入れる」をクリックすると一気にペイパルのお会計に飛ばされます。まだその動作の謎が解けない…

From Afar
Ava March
From Afar★★ summary:
1817年、ロンドン。
Raphael Laurentはいつも孤独だった。吸血鬼に変えられたこの36年というもの、ロンドンにいるほかの吸血鬼達との交流も拒み、彼はただ孤独だった。
Aleric Vane、公爵の息子に出会うまでは。

それから3年、RaphaelはいつもAlericを見ていた。彼の生活のサイクルを知り、彼が好む娼館、好む娼婦、好むプレイまでも知っていたが、決してAlericに近づくことはなかった。
心の底から求めているが、あきらめていた。AlericがRaphaelの手の届くところにくることはない。
孤独にも痛みにももう慣れきっていた。

公爵の息子Alericは何かを求め、家族の制止をふりきってロンドンへ来たが、3年のロンドン暮らしも彼の中にある虚無を埋めることはなかった。
何を求めてきたのだろう。もう金がつきれば、道がない。父親の許しを得に戻ることは考えられなかった。

そんな夜、Alericは暴漢に襲われる。駆けつけたRaphaelが暴漢たちから彼を救い出すが、Alericの傷は命にかかわるものだった。

Raphaelは、Alericを救うことができる。吸血鬼に変えさえすれば。だがそれはおきて破りだ。
それに、こんな形で救われてAlericは彼をどう思うだろう? 化け物だと思われて、この先の長い孤独を生きていけるだろうか──
.....



19世紀のロンドンでの、貴族の若者と、彼に恋した吸血鬼の話。

吸血鬼と彼に変化させられた相手、と吸血鬼ものとしてはわりとよくあるパターンですが、なかなかその「吸血鬼」っぷりがよく書けています。吸血鬼になったAlericは五感が研ぎ澄まされ、その中でも一番情欲がもろに影響を受ける。つまり欲情しやすい。うーん、おいしい。

Raphaelは長い間Alericを見ていて(ほとんどストーカーのようだ…)、思わぬ形で彼はAlericを手に入れてしまう。
それは彼にとっての幸福であるけれども同時に恐怖で、いつか失うかもしれない、このおきて破りが自分とAlericにはね返ってくるかもしれないと、彼は心の深くで怯えている。

Alericは状況の変化に驚くし、とまどいますが、元々彼は人生に行き詰まっていたのでわりと正面からRaphaelの存在を受けとめます。
彼はやや傲慢で支配的な公爵の息子だけれども、繊細でやさしいところがあって、Raphaelの孤独にすぐ気付く。Raphaelの住む屋敷を見て、その暮らしぶりを見て、Raphaelがどれほどひとりで孤独なのか、どれほどAlericを必要としているのか感じとる。
そういう優しさ、気持ちの大きさと、激した時の強さのコントラストが実に魅力的です。

Raphaelは吸血鬼だけれども、ほとんど迷える若者のようで(多分彼はずっとそうだったんでしょう)、Alericの強さに惹きつけられる。
彼の中にある痛み、孤独が物語の中から透けてくる様は、Alericならずとも痛々しい。あきらめるようにして時をすごしてきた、そんな彼はAlericに出会ってしまって望みを持つ。

Alericは、男色が罪の社会から一気にふたつのボーダー(男色と吸血鬼化と)をとびこえたわけで、そこのところはもうちょっと葛藤がほしい気もするけど、でもそれもAlericの強さのあらわれではあるのかも。
こういう、傲慢さの入りこんだ貴族のたたずまいを書かせると、この作者はやはりうまいし、萌える。
ロンドンの吸血鬼組織の様子も暗く陰惨で、あそこにもドラマがありそうですね。

特に表記がないんですが、これは続き物なのかなあ。
一本ものだとすると、ちょっと唐突な終わり方のような気がします。ちゃんと完結はしているけれども。続きがあるといいな。

吸血鬼ものというよりは、やっぱりヒストリカル貴族ものという雰囲気の方が強いです。
貴族と吸血鬼は雰囲気が合うし、両方好きな人においしい一冊。勿論色気たっぷりで、濃密です。
ストーリーとドラマとエロがバランスよくちりばめられていて、味わいのある吸血鬼ものになっています。

★吸血鬼化
★おきて破り

今読書中は「A Matter of Time2」(Mary Calmes)
さっき1を読み終わったばかりで、すごくおもしろかったので2も買ってきました。4まで出てるので楽しみ。殺人事件の証人になってしまった若者(22)と、彼に振り回される警官(34)の話。だと思う。でもこの主人公のボスもあやしい。てかかっこよすぎる、不動で冷酷でツンデレなボス。
最初はちょっとしたビッチちゃんかと思ってたけど(主人公がやりたい放題なのだ、色々な意味で)、Joryかわいいな。

ここで買えます。また知らない出版社が…
国旗が揺れてたり時計が秒を刻んでたりと、何だかすごく「HTML覚えたばっかりです」的ななつかしいサイトの作りですね。

そしてどういうわけか、ここは「カートに入れる」をクリックすると即ペイパルにとばされてさあ今すぐお支払い!になって、一冊ずつしか買えない。
そんな仕様があるわけない(ないよなー)ので、今度もうちょっとまじめに見て回るつもりです。
ほんとは3くらいまでまとめ買いするつもりだったのだが…

今日(日本時間だと明日になるかも?)、T.A. Chaseの「Freaks in Love」が発売されるので、そっちも楽しみ。
ちなみにT.A.はブログでの連載に区切りがついたので、来週の火曜からまた新しい連載をはじめます。今はふたつ候補を出して、どっちを最初に書くか読者投票をしているところ。私は2なんだけど、1になりそうだな。狼だしなー
大抵ブログの連載は後から加筆されて出版されますが、興味ある方は、ブログの方もどうぞ

J.L.Langleyが次の狼シリーズ(With or Withoutシリーズ)のGoが編集から出たとtwitterで言っていた。でもまだ3割くらいしか完成してないんだけど、こっちも楽しみです。次の次がSterlingの話なんだ。

Memory Of Darkness
P. A. Brown
Memory Of Darkness★☆ summary:
42歳、離婚歴あり、息子とは疎遠、前科持ち。
Johnny Wagerは人生の敗者であった。

けちな犯罪をしてグレーゾーンを動き回り、たまに若い男を引っかけて楽しむ。
だがその投げやりで成り行きまかせの人生は、引っかけた相手の死体と一緒に目を覚ました時、大きく動き出す。
死体の喉は見事に切り裂かれていた。

Wagerは、自分の犯罪歴や生活態度からして、一度つかまれば「犯人」と決めつけられ、二度と日の目を見られないことがわかっていた。
彼の1人息子Markは真面目な警官であるが、そのことが彼自身の心証をよくするとは思えない。
逃げるしかなかった。
だが、どこへ、どうやって?

ドラッグクイーンの友人やその彼氏の力を借りてはじまった、当てのない逃亡。その末に、彼はTylerのところへ転がりこむ。散歩させていた飼い犬がWagerになついてしまっただけの、何の関わりもない、無関係な男。
Wagerと同年代、つまり守備範囲よりずっと年上。──の筈の男だった。

友人の裏切り、自分を憎んでいる筈の息子からの思わぬ手助け、Tylerとの奇妙な関わり。
自分を追っているのが警察やFBIだけでないことに気付いたWagerは、逃げ回りながら、どうにかその場をしのいでいく。ただひとつ彼の知るやり方、法の裏側をかいくぐり、車を盗み取りながら。

一度たりともまともな生活をつづけられたことがない。
ほかにどんな生き方ができる? まともな生活をしている男と、一体どんな未来がある?
.....



しょぼい犯罪者の40男と、ポルノ作りながら真面目に暮らしている元海軍の40男。
なかなか味わいのある組み合わせです。
そこにWagerの息子、きまじめな警官Markや、Wagerの友人ででっかいドラッグクイーンHyacinthなど、なかなか印象深い人間たちを巻きこんだ逃亡小説。

犯罪者目線から書かれた話(しかし殺人はやってない!わけですが)のわりに、Wagerのしょぼさが実にリアルです。
車は平気で盗む。タクシーがわりに車泥棒。嘘も平気でつき、Tylerの弱みにつけ込むようにして彼の家に上がり込むのも平気。ドラッグもちびちび売って小金を稼ぐ。
でも、銃の扱い方すら知らない。

ごみ溜めのような中で彼なりに楽しく人生を送っていたWagerですが、殺人に巻きこまれ、濡れ衣を着せられて、必死に逃げ惑います。
その逃げ方も、きわめて近距離かつ行き当たりばったりで、ほんとにしょぼい。町くらい出ろよ。とは言え、やっぱりその感じがリアルだと思います。
何だか大人になりきれてない感じのある男です。感情移入はしづらいが、憎めない。
Tylerと何となく仲よくなってしまい、巻きこむのはやだなあと思いながら、言われるままに彼の車を借りちゃったりする。めちゃめちゃ巻きこんでるじゃないか。
そういう、何ともあちこち情けない、でも彼なりに誠実で優しいWagerにTylerがほだされていくあたりは、果たして幸せな未来が待っているのかどうか迷いますが、独特の味がある。

すっきりさっぱり格好のいい男でもなく、格好良く未来を望めるハッピーエンドでもないかもしれない。
でもそれだけに、グレーゾーンをうろついている男たちが互いにもがいて事態を乗り越えていこうとする、妙に効率の悪い姿に何とも言えないリアリティがあります。現実味というよりは、ちょっと薄暗い映画のような手ざわり。

あんまり格好良くない親父に萌える人に是非おすすめ。逃亡の様子もよく書かれていておもしろいです。
息子、いいやつだなー

★逃亡
★犯罪者

Catch Me If You Can
LB Gregg
Catch Me If You Can★★☆ summary:
小さな画廊で働くCaesar Romanoは、現代美術のアーティストの作品売り込みのために大きなパーティを開く。
それが割に合わない騒動の元だった。

何故かそのパーティにCaesarの昔の恋人が顔を見せ、作品のひとつが盗まれ、至るところで脅迫がとびかいはじめる。消えた絵、消えた金、明るみに出てはならないセックス映像。
山ほどの容疑者、非協力的な友人や雇い主。

そしてCaesarの周囲にいきなり現れた警官、Dan Green。目立つ傷を持ち、Caesarの行く先々に現れる彼は、だが目的を語ろうとしない。
何が起こっているのかわからないまま、Caesarはとにかく次のお披露目がある数日後までに、消えた作品を探し出そうとするのだが…
.....



LB Greggの新刊が出ると聞いて、先月から楽しみにしていました。
ここの攻め受け、大好きです。自立心が強く生き生きとして、いささか御しかねるほどの受け。強引でマッチョだけど受けにめろめろな攻め。
騒動に巻きこまれてはじたばた頑張る受けと、守ろうとして苛々する攻め、というコントラストがが見ていてすごく楽しい。

Caesarは金もなく、がんばってアートの世界で食っていこうとしているけれども、うまくいかない。イタリアの血を引く彼、そして彼の家族や一族は皆が血気盛んで、鼻っ柱が強いです。
一族のほとんどがレストランやそれに関わる仕事をしている中、Caesarは1人だけ別の道を選ぶ。彼の独立心はそれほど強い。金はないけど誇りはある。

どこからともなく彼の人生に現れたDanは、そんなCaesarの中にある忠誠心の強さやはねっ返りなところに引かれて、お互いにちょっとずつ綱引きをしながら、2人は近づいて行きます。
その様子がまた、可愛いというか、実にツボ。この人の書くエロは、受けがじたばたしてる感じと、最後には攻めの情熱に押し流されるように屈服してしまう様がドラマティックで、萌えるし楽しい。

話全体はもう「Caesar受難物語」で、次々と物事がふりかかり、混沌の内に流れ去っていく。実にスピーディ。
謎もテンポよく書かれていますが、やはりミステリというよりは事件の中で右往左往するCaesarの様子を楽しむ話でしょう。彼がまた嘘をついたり誤魔化したりするのが壊滅的に下手な男で、そういう状況に置かれるといきなりどもりまくるあたりも可愛い。活きはいいですが、わりと奥手で、純情。
それ以上トラブルにはまりこまないためにもお前にはDanが必要だよ、と読んでいてしみじみ思う。ちゃんとした大人の男なんだけど、でもやっぱりその生き生きとしたやる気は危険だ。

最終的に元彼がもうちょっと改心してくれてもいいのになあと思いましたが、まあそれはいいか。
シリーズ1と銘打ってあるので、続きが出るのも楽しみです。ちなみに作中で大切な役割を果たすJustin Timberlakeはミュージシャンの名前。超セレブ。

楽しい読書をしたい人、勝ち気な受けが強引な攻めに無理矢理甘やかされる様子に萌える人におすすめ。

★騒動
★元警官×イタリア男

★Three-Star rating system★


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・2017年
・後半 王子二巻
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・ほかにも出るかも
・王子とか何か売れてくれ〜(色々軽くピンチ)
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・フェア・ゲーム
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・恋のしっぽをつかまえて
・狼を狩る法則
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*他訳者さん*
・わが愛しのホームズ
・ロング・ゲイン
・恋人までのA to Z
・マイ・ディア・マスター