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Slash(m/m小説) レビューブログ

※万人向けの内容ではないのでご注意ください
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see look watch の話

今さら意味を問うまでもなくとても基礎的な単語で、中学で(今は小学校もあり?)全部「見る」と習ったんじゃないかと思いますが、全然ちがう使われ方をする単語です。
こういう最初に習う単語って意外とその後辞書を引かなかったりするので、なかなか区別がつかなかったりします。


watch には、ただ「見る」だけではくくれない、意図的で強い視線のニュアンスがある。
この単語は、一点をじーっと見るイメージ。テレビやスポーツ観戦にはこのwatchを使う。転じて、実際に目で見ていなくてもずっと気にしていたり、気をつけていたりするという意味もあります。
「凝視する」「注意する」という感じかな。「watch」で名詞として「見張り」という意味も持つ。ちなみに「Watch your mouth.」と言うと 「口に気をつけろ」の意味になります。

see
これは至る所に頻出する言葉。
"You see?" は会話文でよく見かけますね。「わかる?」と相手の理解・共感を求めるセリフで、つまりseeには物理的に「目で物を見る」という以上の、「対象物を認識する」意味があるということです。推察したり、理解したりする。意識に入れる。
物理的に「見る」という行為になると、seeには視線の方向性がない。わざわざwatchやlookのように意志を持って見るのではなく、目に入ってきたものを認識するという感じの、受動的な傾向があります。
体の動きよりも、脳や意識での認識の度合いが高い。そういう言葉です。

人と会うのにも「see」を使いますが、やはり「その相手を見て認識する」という部分を含んでのことなんじゃないかなあ。視野だけでなく、気持ちや意識に入ってくる。気持ちで「見る」ような感じ。
「I am seeing someone.」と言うと「今付き合っている人がいます」ということ。「I am seeing a guy.」で「男とつきあっているんだ」。こっちのがスラ的

look
「その方向へ視線を向ける」という意味の単語で、必ずしも対象物を「見る」必要はない行為。
ウィズダムの例文には「I looked out of the window but saw nothing.(窓から外を見たが何も見えなかった)」とかあって、lookとseeのちがいが一文によく出ています。「目をそちらに向けた」けど「何も認識できなかった」ということですね。
そこから転じてlookには「顔を向ける」的な意味合いもあるんじゃないかと思う。「look forward」で「楽しみにする」だし「look for」で「探す・求める」、「look away」で「目をそらす」。どれも顔や体の向きが感じとれる、「方向」感のある言葉です。
「見る」だけでなく、そっちを「向く」というニュアンスこみで解釈した方が分かりやすい単語でしょう。
その他、「looking」とかで単純な「見た目」を表すのにも使われますが、どの場合も、内面より外面に重きを置いた言葉です。「see」が内面向きなのとは対照的ですね。


というわけで、3つともかなり違う単語で、3つともよく出る単語です。
こういう「習ってはいるし、意味も知ってるけど」という簡単な言葉の使い分けを把握するのは、語彙を増やす以上に、小説を読む時に役に立つ。頻出するし、文章に表情がつくので楽しくなります。
よく「英語は高校で習う単語で充分」とか言いますが、あれって、それぞれの言葉のニュアンスをちゃんと把握していることを前提にしているんだろうなあ。

Sins of the Father
D.W. Marchwell
Sins of the Father★★☆ summary:
Charlie Kirbyには過去があった。
彼の父親は人を殺し、刑務所で死んだのだ。

42歳になった彼は高校の教師をしながら、父親が入っていた刑務所でボランティアとして、囚人に高卒資格を取るための勉強を教えていた。
そんな彼に、Caleb Farmerという老いた囚人が手助けを求める。手紙を書きたいと。40年会っていない息子へ。

Calebは40年近く昔に妻を殺し、それからずっと刑務所で生きてきた。長い罪の時間を経て、彼は自分がどれほど愚かでどれほど周囲を傷つけたか悟り、それを謝りたいと思っていた。
彼の息子は事件の時にまだ6歳で、母が殴打されて死ぬ音をクローゼットの中で聞いていなければならなかった。Calebは彼に向けて手紙を書きたいが、文字の書き方を知らない。
そこで、自分の代わりに手紙を書いてほしいとCharlieにたのむ。

CharlieはCalebに文字を教え始めた。2人で一緒に手紙を書きながら、Charlieはその「息子」の行方を探す。
その探索は思わぬ形で彼の人生にはねかえり‥‥
.....



あえて、あらすじではいくつかの大きな要素を省いてあります。
これは導入がすごくうまい本で、まずは学生時代の若いCharlieからはじまる。父親の罪を背負うように生きてきて、他人との間に壁を作ろうとしているCharlie。
でも彼は変わります。
そのへんについても書きたいんだけど、書いてしまうと読む楽しみが半減する気がするので、割愛。すごくテクニカルな導入部だと思う。

本編の大部分は現代で、Charlieは42歳になっています。刑務所で出会った囚人のたのみを聞こうとして動き出す彼ですが、囚人と息子との間を結ぼうとする彼の行為は、ただの親切心ではなく、もっと切迫したところから出ている。
かつてCharlieは、服役している父親に毎週会いに行ったけれども、父親は彼に一度も会おうとしないまま死んだ。決して修復されることのなかった自分の家族の絆を、Charlieはこの囚人と息子のケースに重ねているようです。

Charlieはとても繊細で考え深く、ちょっと考えすぎるほどの人で、彼の慎重な視線のひとつひとつが過去の物事や人の心の動きを浮かび上がらせていく。そんなに神経質にならなくても!とつっこみたい時もありますが、その気配りが彼の魅力であるのもわかる。
また書き方がなかなかうまくて、盛り上がるまでは心理の動きが事細かに描写されている一方、物事の火花が散る時には、動作や表情、セリフを中心に淡々とつづられる。そこに至るまでの彼の気持ちを知っているので、読む方は、息をつめるようにしてその瞬間の彼の痛みやたじろぎを想像してしまう。
色々なことがよく計算して書かれた話だと思います。

やがて、彼の人生にはJamesという男が入ってくる。彼とCharlieの関わりはドラマティックで深く、2人ともに複雑な過去と現在に搦め捕られて、自由に動けない。その様子がもどかしくて読みごたえがあります。
ともに生きていきたいのであれば、彼らはそれぞれに過去の影から抜け出さなくてはならない。
この小説は痛ましい過去を重荷として描くだけではなく、過去や痛みのピースが「現在」を作っているのだという肯定の部分も大きい。振り返るだけでなく、前に進むための物語です。

色々な過去が絡み合う導入から中盤までは圧巻で、少し中だるみするかなーという感じがありますが、後半には静かな緊張感が戻ってきます。登場人物の誰も声高ではないのに、そこからにじみ出してくる痛々しさはクリアにつたわってくる。
Jamesの視点からのシーンがもうちょっとあればいいかなーとか、ラストでもうちょっと「手紙」についてJamesがどう思ったか知りたいなあとかありますが、過去の罪に対する人の心の動きが丁寧に描き出された物語だと思います。
すべてが丸くおさまったわけではない、そのあたりのさじ加減が憎い。読み終わった後、気持ちが動いて後を引く本です。
しかし3つ差のカプなんだけど、「younger man」とやたら年の差を強調するのは何なのだ。作者の萌えか。

人は、過去と和解しなければ前に進むことが出来ない。
罪とか過去とか、そういうテーマが好きな人に。スラ成分もちゃんと入っている、味わい深い話です。

★父親の罪
★手紙

Old Poison
Josh Lanyon
Old Poison★★☆ summary:
Dangerous Groundの続編。

外交安全局の捜査官、Taylor MacAllisterとWill Brandtは3年にわたって仕事のいいパートナーであったが、1週間のキャンプとその時の事件を経て、2人は恋人同士になった。
それが一時的な関係で終わるのか、何かが始まっていくのか、見定めようとしながら、彼らは今の関係を満喫していた。どちらもが予想しえなかったほど、2人は互いにしっくりきた。

だがそんなある日、Taylorは差出人不明のプレゼントを受け取る。毒蛇の入った酒のボトル。
Willは誰かがTaylorにうらみを持っているのではないかと恐れるが、Taylorはそれを笑い飛ばした。
だがWillはどうしても不安が拭えず、Taylorが日本赴任時代の過去を話そうとしないことも気になっていた。

Taylorは、Willと関係を持ちはじめてからもまだ2人のことに自信が持てないでいた。自分ばかりがWillを好きで、相手によりかかっている気がする。
Willもまた、互いの将来と彼らの関係とを、どう秤にかけていいか考えあぐねていた。Taylorは愛しい。だがもし彼らの関係が明るみに出れば、どちらかは仕事を辞めなければならないかもしれない。
.....



冷静なWillとやんちゃなTaylor、という組み合わせが前作よりはっきりと浮き上がってくる続編です。
Willと仕事のコンビを一時的に解消しなければならないことや、その他聞きたくないことを聞かされたTaylorは、感情のあまりにひたすらに走り出してしまう。Willのそれ以上の説明も聞かず、ただあふれてくる感情に突き動かされて、全力疾走する。
彼には、そういうところがあります。感情が豊かで、自分でも時おりそれを扱えない。だからこそ、そばにWillのようなおだやかな男がそばにいると落ちつく。
いい組み合わせです。そういうところにぐっとくる。

前作でのWillは、彼らがつきあうのがいい考えだとは思っていなかった。そのことは彼にとってはもう過去のことだけれども、Taylorの方がまだそれを振り切れないでいます。
望んでいるのは、自分だけではないだろうか。Willはいつかまた、やはりTaylorとつきあうのがいい考えではないと思うのではないだろうか。
彼はまだ悶々としていて、そんなTaylorにさらに過去からの物事がふりかかる。捨ててきた筈の過去。
畳みかけるような展開の中で、2人はまた自分たちの関係を見つめ直し、新しい絆をつながなければならない。

好きな話の続編で、好きな話なんですけど、気が散る点がひとつ。
「日本での過去」が物語のひとつのキーになっているのですが、そこに出てくる「日本」の描写にどうしても微妙なズレが見えて、落ちついて筋を楽しめない時がある。
こればっかりはほんと、仕方ないですね。よく書けている方だとは思うんですが。
Taylorに警告のように届くのは「a cobra bottled in rice wine」で、rice wineが日本酒だというところから推察するに、これはマムシ酒かハブ酒。

個人的に多少のつまずきはありますが、それでもやっぱり、好きな話です。
彼らの間にある感情の激しさも相変わらず情熱的で、緊張感に満ちているし、2人の関係が少しずつ変わっていくストーリーからも目が離せない。
しかしWillの元彼は格好いいなあ。あれはTaylorが不安になるのも無理はない。

Lanyonのキャラらしい、内側に鋼のように強い熱を持った、輪郭の強い男たちの話。
そういう強い男が好きな人、前作の「Dangerous Ground」を楽しんだ人ならやはりまちがいなく買いの一冊です。前作よりTaylorが可愛い。

★仕事仲間(パートナー)

Dangerous Ground
Josh Lanyon
Dangerous Ground★★★ summary:
外交安全局の捜査官であるTaylor MacAllisterとWill Brandtは、3年の間コンビを組んでいた。
仕事、友情──すべてがうまく回っていた。
Taylorが撃たれて瀕死の傷を負うまでは。

Willは、それが自分のせいだと知っていた。
TaylorはWillを口説こうとして、Willはきっぱりと拒否した。Taylorに気持ちが動かなかったからではない。その逆だ。Willは2人の間にあるパートナーとしての絆と友情を何より大事にしていた。
それを壊したくはない。
そのすぐ後、Taylorは無謀な行動から撃たれ、彼らの間にあるものは決定的に変わってしまった。

Willは休暇を取って、Taylorを強引に登山につれていく。それでまた彼らの仲が落ちつくだろうことを願って。
ぎこちない2人は、山中で、飛行機の残骸と脱出に失敗した乗客の死体、それに巨額の現金を見つける。カジノ強奪事件の犯人と金だ。

Taylorは長い間、この相棒に恋をしていた。だがその気持ちが返されないものであることもわかっていた。
こんな状態に、いつまで耐えられるだろう? Willがもし今の恋人と長くシリアスな関係になったとして、毎日そんなWillと顔を合わせて平気な顔で仕事ができるとは、Taylorには思えなかった。

パートナーを解消しようと言い出すTaylorに、Willは動揺する。
そして彼らの背後には、飛行機を探す別の人影が迫っていた。
.....



休暇中の捜査官2人の、山の中でのストーリー。
TaylorはWillが好きで、WillもTaylorが好きだけど、2人の「好き」はくいちがっている。恋人になりたいがあきらめている男と、とにかく相棒のままずっと仲良くいたい男。
なかなか厳しいシチュエーションです。

Willは大柄で物静かで、いつも物事を現実的かつ冷静に判断する。対するTaylorは癇癪玉のような激しさと衝動を持ち合わせているが、2人はずっと互いを信頼していた。
でもTaylorの銃撃事件以来、TaylorはWillが罪悪感からやたら保護者的になっているのを感じ、それにうんざりしている。強気だからな、Taylor。

2人とも、元のようにしっくりくる相棒関係が恋しい。Willはそこに戻ろうとするし、あきらめているTaylorはWillから離れようとする。やっぱりここでも2人はくいちがいます。
相手に執着しているのはTaylorの方かと思いきや、WillもまたTaylorを失うくらいなら「セックスぐらいどうでもいい」というところまで追いつめられています。Taylorが自分と寝たいと言うのならそれでもいいか、とか。
冷静沈着をモットーとするWillが、これに関してはあんまりまともじゃない。

だがしかし、Taylorは意外と内面にロマンティックなところがあって、「セックスで全部片づくと思うなよ」となる。Willは「お前の望みはそれなんだろ」とくるし、Taylorは「お前は何もわかってない!」と反発する。
2人はまた対立し、怒りを剥き出しにしながら、互いの中を深くのぞきこみます。

導入部から彼らが互いの呼吸を探りあう、ひりひりくるような緊張感が漂っています。
たしかLanyonを読んだのはこれが最初だったんだけど、実に「男臭い」キャラにぐっときて、今でも大好きなコンビです。2人ともにきつく絡まった感情の糸の中でもつれながら、それぞれにもがいている。
その感情の強さや繊細さに、時おりほろりときます。

クライムサスペンスとしても上質にできていて、後半は追いつ追われつ、血なまぐさくスピーディな展開になっています。自分たちの感情の出口とともに、2人は生き残る道も探さないとならない。
戦う男たちの絆にぐっとくる人、男っぽいスラが好きな人にオススメ。

★山登り
★相棒

Knowing Caleb
Cameron Dane
Knowing Caleb★★★ summary:
Hawkins兄弟は本当は兄弟ではない。彼らはそれぞれ悪魔の種族の出であり、今は一族から離れ、アメリカで牧場を経営しながら新たな人生を送る仲間であった。
そのうちの2人が恋人と出会い、それぞれ苦難を経て人間になった今、Caleb Hawkinsだけが残されていた。

だがCalebは、自分が決して兄たちのような真実の恋を見つけることはないだろうと、わかっていた。
彼の過去を誰も知らない。彼が背負わなければならない罪を、兄たちですら知らない。悪魔だとばれるよりも、その罪が暴かれることの方がCalebにとっては恐ろしかった。

Jake Chaseは6年前に最愛の妻を失ってから、生きる希望を取り戻せずにいた。
Calebは悲嘆に暮れているJakeを見つけ、牧場に雇い入れる。
特に何も問題はないはずだった。

だが2人は互いに強く惹きつけられるのを感じ、2人ともに愕然とする。
どちらもゲイではない。
それなのに、どちらも相手を無視できず、拒否できない。感じたことのない飢えや欲望に流されるように相手に手をのばしながら、どちらも、もがくようにそこから逃れようとしていた。

果たしてストレートの2人の男は、それぞれの過去を乗り越えて2人をつなぐものを直視できるのだろうか。そしてCalebは、自分の罪をJakeに見せることができるのだろうか。
.....



Hawkins Ranchシリーズ。最後に残った3人目の兄弟の話なので、もしかしたらシリーズ最終巻かもしれません。
これまであまり正体というか、本当の性格がよく見えていなかったCalebの話です。

Calebは陽気で、女好きで、これまでのシリーズでも実にいい男です。「Falling」でCainが人間になれる方法やその他あやしげな魔法を探し出してきたのも彼だし、「ReneCade」でRenの理解ある雇い主として気を配っていたのも彼。
でもその中で、Caleb自身がどういう人なのか、いまいち見えてきていないのも確かです。どこかつかみどころがない。

それが何故なのか、彼は本当は外に見せかけているほど「この世に悩みなき」明るい人ではないのだということが、この話の中でかかれています。

そして、いまだ妻の喪失から立ち直れないJake。彼の痛みも深く、その悲嘆は読んでいるこちらが息苦しいほどです。
それぞれ、強い輪郭を持つ男2人にフォーカスが強く当てられた話で、彼らをつなぐ性的な欲望も含め、強烈な話運びになっています。
やっぱとにかく激しいぞ、Cameron Dane。この人はこの牧場シリーズが一番強烈な気がする。
その中でも、「男と男」という感じでがんがんぶつかりあい、傷つけあったりしていくのがこの話。とにかくまっすぐぶつかりあい、はらわたを引きずり出すように互いの内側をのぞきこむ。
何と言うか、本当に力技な話だと思う。うっかり引いたりしないで一気に盛り上がって読んでいきましょう。いやもうほんと激しくて、Calebが本当は悪魔なんだ!ということなんか、ささいな問題な気がするくらいです。

話としては、彼らの関わりの他、Calebが何度も狙われる謎の狙撃事件などが起きたりして、そちらもなかなか相手の正体が見えずにおもしろいです。
そんでやっぱり、兄弟の絆がいいですね。色々なものをくぐり抜けてきた彼らが幸せに暮らしている様子を見ると、ほのぼのします。この話の中での数少ない息抜きポイント。

もう、台風かなんかの夜に読んだ方がいいんじゃないだろうかというくらい、激しくドラマティックな話。
激しいもの好き、ストレート同士がもがく話が好き、あとは苦しんでるキャラに萌えるんだよねという人におすすめ。

★ストレート×ストレート
★悪魔

Oxford American College Dictionary のiPhoneアプリ版が、今appStoreで115円です。

※1700円に戻りました。うーん、短い


続き...

The Sheikh and the Servant
Sonja Spencer
The Sheikh and the Servant★☆ summary:
奴隷のNooriは遠い北の海を越えた向こうの民だった。周囲の人々と違うきゃしゃな体つきと白い肌、金髪と青い目からも一目で明らかだ。
父親の死後、借金のためにamir(アラブの首長や王族のこと)に買われた彼は、そこで人の快楽に奉仕する日々をすごしていた。
ある日amirの客として訪れたとあるsheikh(同じく族長)の接待に割り当てられ、彼は熱心に相手に尽くした。
いつか親切な男が彼を買い、今の生活から這い出せるかもしれない。それがNooriの夢であったが、かなわないこともどこかで悟っていた。

だからそのsheikhが旅立ちの前にNooriを買ったと聞いて、彼は驚いた。
sheikhは滞在の間、Nooriの体に指一本ふれなかったのだ。

Shahinというのがその男の名前だった。彼のために、Nooriはすべてを賭けて尽くそうと思う。
だがShahinは、奴隷を得ようとして彼を買ったのではなかった。
Nooriは奴隷の立場から召使いとなり、Shahinによって自分の意思や決断を持つことを求められる。それはNooriにとってとまどうばかりの、だが新鮮な暮らしだった。
そんな日々の中、Nooriの心はShahinを求めるが、寡黙な男は相変わらずNooriにふれようとせず…
.....



アラブ風のファンタジー。日本ではよく見るけどスラでは珍しい気がしますね。
全体にほのぼのとした雰囲気と、淡々とした話運びで、のんびり読める感じです。

Nooriがけなげで可愛い。奴隷の立場を必要以上に恥じたり悲観したりもせず、でもふってわいた幸運には涙を浮かべるほど喜ぶ。まだ子供っぽい、純なところが残っています。
彼はすぐShahinに恋に落ちて、それをほとんど隠そうとしませんが、肝心のShahinが何を考えているのかよくわからず、彼の一言ずつに右往左往してしまいます。
懸命に生きながら、新しい人生に出会って、少しずつNooriが希望を持ちはじめ、持ち前のしなやかな明るさを発揮して場をなごませる、その様子がほほえましい。

ShahinはNooriの知性や品格を見て、快楽奴隷にしておくのは勿体ないと自分のところにつれていき、彼に「自分の判断」を持たせようとします。
それまで奴隷としてひたすら人の言うことだけに従ってきたNooriに、人として自立する道を教えようとする。
そんな日々の中で彼もまたNooriの細やかな心遣いや、優しさに惹かれるが、自分の立場を使って無理強いするようなことは決してできないと、心の深くにそういう気持ちを封印しています。
これがまた寡黙と言うか、ほぼ用事以外はしゃべらない男で、族長としての責任をすべてに優先させるあまり、重荷を背負いすぎているのではないかと周囲に心配されている。前の妻が死んでから、彼が身近に近づけたのはNooriだけなのです。

寡黙な族長とけなげな奴隷、という鉄板カプで、いじらしいというか何ともじれったく話が進んでいきます。
手をつないでるだけで盛り上がったり、微笑を見るだけで幸せになったりしつつ、一向にちゃんとくっつかない。いい感じのじれったさです。

アラブ系の話が好きな人、けなげな奴隷が素敵な主人に買われる話がツボの人におすすめ。エロ少な!ですが、そこが楽しいんだ。
居心地がいい、読み心地がなんとも可愛い話です。

★アラブ
★奴隷

アメリカの某巨大オーディション番組の参加者にスキャンダルが浮上?という記事で

his relationship with the cops.


を「警官との恋人関係」と一瞬読んだ私はスラ脳です。

「cop」じゃなくて「cops」なところが実際のポイントで、「警察によくお世話になっている」の意でした。
単数と複数だと全然ニュアンス違ってくるのが、英語の面白いところでもあり、見逃しやすいポイントでもあり。

あ、「the」も効いてるのか

Thirty Days
Shayla Kersten
Thirty Days★★ summary:
Biton Savakisはニューヨークに住む42歳の裕福な弁護士である。
だが彼の人生は今や危機に瀕していた。10年にわたって彼のそばにいたErikを、3ヶ月前に癌で失ったのだ。
ErikはBitonの恋人であり、そして何よりも、従順で愛しい奴隷であった。

根っからのDom(主人)であるBitonは、それ以来喪失と、飢えにさいなまれていた。
誰かを支配したい欲望はあるが、クラブで誰を見てもそういう気持ちにはなれなかった。
そんな彼を見かねた友人が、傷ついて途方に暮れているSub(奴隷)を彼に紹介する。
迷い、自分ではどうすることもできないまま主人を求める奴隷、Cavan。Bitonは彼を30日間の契約で引き受けた。
それは喪失から気をそらす助けになるだろうし、もしかしたらまたBDSMの世界へ戻る足がかりになるかもしれない。

だがCavanはただのBDSMの奴隷ではなかった。
彼は、養子制度の隙間からこぼれおちて人身売買のシステムの中で売り飛ばされてきた、犯罪被害者であったのだ。
痛みと恐怖しか知らず、闇雲に主人に従うことしか知らない彼を、Bitonはその闇から救い出せるだろうか。
.....



10年以上のパートナー兼奴隷を癌で失ったDomと、現代式奴隷制の被害者でトラウマ持ちの奴隷の、30日の物語。

Cavanは里親の間をたらい回しにされる間、いつのまにか「奴隷」として訓練されて売られる存在になっていました。
彼はほかの生き方を知らず、支配するだけのマスターしか知らず、奴隷としての自分しか知りません。

Bitonも「マスター」であるけれども、彼とかつての「奴隷」のEricの間にあったものは豊かで深い、人間的なつながりです。支配することで愛情を示す者、支配を受け入れることで自分自身を解放し、完全に相手にゆだねる者。奴隷は主人を信頼し、主人は奴隷を支配しながら守り、彼らは対となる。
Cavanはそんな関係を知らない。ただ支配されることしか知らない彼は、ほかに生きる術を知らないから「主人」をほしがるだけで、その生き方は彼の選んだものではない。
BitonはそんなCavanをどうするべきかわからないけれども、もちろん、Cavanを見捨てることもできません。Bitonは犯罪を告発し、犯人をとらえる手助けをし、Cavanをカウンセラーに見せる。

彼らは2人とも迷っています。Bitonは愛するEricを失って人生の意義すら見失っているし、Cavanには何もかも理解しがたいことばかり。
わりとさっさとエロい関係になるのですが、それが解決にならないことは明らかです。セックスはその瞬間の迷いを吹きとばして体を満足させるけれども、何ひとつ変えることができない。
Cavanは迷える奴隷のままで、Bitonはそんな彼を支配の対象にはできない。Cavanが心底望まなければ、彼はBitonの「本当」の奴隷にはなれない。そして奴隷になれない相手を、Bitonはそばに置きつづけてはいられません。
どうしたらいいのかととまどい、もがく、両方の気持ちがよく書かれていると思います。

痛々しい奴隷と困りきった主人の話ですが、ちゃんと犯罪捜査やカウンセリングなど現実の側面も入ってきて、話にほどよい厚みがあります。
奴隷側からの「支配されたい」欲求を書いた話は多いけれども、主人側からの「支配したい」欲求、その切迫感を書いた話は珍しいので、そのあたりも読みどころ。Cavanにもちゃんと自立の気配が見えてきている、そういうラストも好感が持てます。

トラウマものが好きな人、主人/奴隷関係が好きな人におすすめ。

★BDSM
★人身売買

WHAT SHOULD AUTHORS CALL THE LITTLE ROSEBUDS? ※18禁ブログに飛びます

ROSEBUDというのは「バラのつぼみ」のこと。もちろん寓意。
これはm/mレビューサイトの記事なんですが、「asshole」を何と呼ぶか、という話。
とてもおもしろかったので、ちょっと長くなりますがここにポストします。

ass(勿論、尻!スラでは大事な単語だ!)はイギリス英語ではarseになりまして、Ava Marchなんかはイギリス貴族のヒストリカルスラを書いていますが、やっぱり「ass」じゃなくて「arse」を使っている。

肝心のブログ記事の内容をざっくりつまむと、
「こないだ読んだ話の中で、作者がassholesのことをとにかく色んな医学的用語で呼んでいた。anus とか rectum chute まで使って。ちょっとグロくない?」
というような話。
医学的というところでは「clinical」という形容詞を使っていて、直訳すると「臨床用語」ってことになります。
anusは「肛門」、rectum は「直腸」、chute は「シュート」。ダストシュートとかの筒状のシュートのこと。。
正直私はassholeanusの差は読んでいて全然感じないので(anusが出てくると珍しいなとは思うけど)ネイティブからどう見えるのかというのはすごくおもしろい話でした。

rectum(直腸)はCameron Daneがよく使っていて、私も最初辞書で引いた時に「うっ」と思いましたが、男性向けっぽい露骨なエロ系なんだろうと解釈してます。
このブログの記事の主は、「anusとかrectumとか書かれるとトイレか病院しか思い浮かばない、buttsex(butt=尻)を医学用語で考えるのは嫌だ。chute なんて使われるとめちゃめちゃ引く。だってchuteから出るものったらゴミでしょ」とクダ巻いておられます。おもしろい。chuteなんて見たことないけど。
hole と呼ぶのはOK、だってアレは「穴」だもんね。passage(通路) と書いたり、assholeをとにかくどんな名前でも呼ばないようにして行為だけを書く( push inとか動作を描写して)作家もいる。gather(ひだ)とか rosebuds(つぼみ)とか可能な限り比喩で乗り切る手もある。みんなはどう呼ぶのがいいと思う?」

‥‥ざっと、そんな記事です。

passageは入れる行為そのものの時より、入っちゃった後の「passageを擦って」とか「passageを満たして」とか使われる気がするので、ほかの単語と同列に並ぶのは微妙なんだけど、ネイティブさんからはそうじゃないのかな。
gatherrosebudsは見た記憶がない。gatherとかは見ても流しちゃいそうな気もしますが、何となくBLっぽい。奥襞の、という感じか。私が見るたびにちょっとおかしくなる「entrance」について記事内での言及はなし。(BLでも「入り口」と書いたりするので、この発想は洋の東西を問わないなあと思うのです)
assholeholeは一番「ずばりそのもの」という感じがするみたい。無味乾燥と言えばそうなのか。

「作家の大体は dick cock を平気で使うけど、まだシャイで penis という医学用語を使う人もいる」なんてことも言及されてます。
penis派ってシャイなのか?
やはりpenisは「proper medical name」(医学用語)なんだそうです。

まあ「そんなトイレを連想させる言葉を使うのはどうよ」という記事主の言いたいこともわかるけど、日本でもフランス書院なんか読むと、そういう「解剖学用語多用派」とでも言いたくなるようなスタイルの作家っているからねえ。逆にそこに萌えるというのもアリだろう。多分。
日本語でも「それ書かれると萌えがふっとぶ」って単語もあるから、気持ちもわかりますが。

さて、この記事には一晩で100以上のコメントがついてまして(半分は記事主のリプライだけど)、よく知られている作家さんもコメントつけたり自分の作品のエロ部分をポストしたり、興味深いです。
ざっくり見ると

holeが一番無難なんじゃない」
entrance to heavenってのを見たことあるよ(笑)」天国への入り口…
「歴史物だったらfundament(尻, でん部;肛門)もお気に入り」
thick cream into his secret caveとかは無理(笑)」
「個人的には chute も気にならないな」
opening, dark passage, forbidden place とか使ったことがある」秘奥、とかに通じるものを感じる
cock を使うのは生々しくてセクシーだから」
winking rosebud とか back passage と書くか、his ass につっこんだと書くかは作品のムードや視点によるでしょ。言葉のチョイスが気になるんじゃなくて、そのエロシーンが不出来だからそういう気持ちになるのかも」
channel(経路・水路)もいける」
sphincter(括約筋)と colon(結腸)はやっぱ無理」

santorumを使う勇気のある人はいるかな(笑)」というコメントにsantorumを探したけど手持ち&web辞書にのってなくて、ぐぐると何故かWikipediaにたどりつく。
そのページによれば2003年にとあるユーモア作家によって作られた造語で、読者からの定義を募集したところ、勝ったのが「frothy mixture of lube and fecal matter that is sometimes the byproduct of anal sex.」(潤滑ゼリーと排泄物がまざった泡っぽい物体:時にアナルセックスの副産物として出る)だったんだって。げっっっ。一生懸命訳した私の努力を返せ!!

気を取り直してコメント続き。
starfish(ヒトデ)は見たことないけどねえ」存在するのか!?
boy cunt とか man cunt って書いてあるのを見たよ…」cuntは女性器の俗称
man-pussymangina もたのむからやめて」pussyは小猫のことだけど、卑語で女性器。mangina は造語で man-vagina の略だそうです。vaginaは膣のこと。。ふと女体化に思いをはせてしまうぜ
saddlebackingを使って何か書いてもいいよ(笑)」saddlebacking:ティーンたちが信仰によって定められた純潔を守るため、アナルセックスに傾倒する現象: …へえ
openingtight ring を使う」無難ですね。tight muscle ring とか見たことあります
yaoiを借りて読んだら、穴が濡れてくる描写があったよ。人外でもないのに。ほんともう医者に行けと」気持ちはわかるけど、慣れるぞ、あれも
「私が読んだ有名人気作家の男女ものは、女のassholeも濡れるんだよね…」あーでも日本でも男女の後ろ使いは慣らしなしが多いよね。不思議
pulsing starfruit とかもちょっと…」スターフルーツって、形から?しかも脈打ってる?
cornholeもきびしい」どうも穴の俗称らしい?何でとうもろこし
pooper も嫌だ」尻の俗語、らしい…初耳。poopで船の船尾だからか、それとも犬の糞だからか?あんまりいい響きじゃなさげ
「エロ書くことになったら manhole を使うよ!」いやそれもどうなんだ。この人ゲイで、記事主の友人なので、ちょっとまぜっかえしに来たっぽいけど

全体に「holeとかopeningとかが無難だよね」という流れの中、ヒストリカルロマンスを書く作家さんが「holeassholeは即物的で下品で苦手」とも言っているので、やっぱ人により取り方が色々あるようです。

まあ何にしても、新しい言葉をたくさん覚えた記事でした。
BLでたまに出会うような、むちゃくちゃ手間かけた比喩を使いまくったエロってスラにはないかと思ってたけど、この様子を見るとどこかにありそう。会いたいような、逃げたいような。

不意に思い立って、2009年の読書から特にオススメピックアップしてみました。外れなし!と信じるラインナップなので、興味のある人は是非!
ちなみに、上から順にラブラブ甘々→苦め、と並べてます。リンクはこのサイト内のレビューページ。
どれも何度も読み返してますが、楽しい。

Cover Me
The Broken H
Home Of His Own
Love & Loyalty
ReneCade
Adrien English ミステリシリーズ
Shades of Gray

去年はほとんど商業スラ初心者だったので、有名どころをばんばん読めてお宝ざっくざくという感じでした。うっかりスラ漬けの一年をすごしましたが、今年はどうなることやら。

Family Unit
Z. A. Maxfield
Family Unit★★ summary:
退役軍人のLoganは、癌で死んだ恋人の家に移り住んだ。
恋人の記憶をしのんでいたハロウィンの夜、彼はRichardに出会う。

45歳のRichardには大きな過去があった。
ゲイであることを認める前の混乱、その時に生まれた息子。その息子も事故で死に、彼は8歳になる孫のNickを引き取って1人で育てていた。
Nickは、彼に残されたただ1人の家族だ。孫のためならRichardは何を捨てても惜しくはなかった。

たとえLoganにどれほど惹かれていたとしても、一瞬の情熱や恋のためには捨てられないものがある。
2人だけでも、Richardと孫のNickはまぎれもない家族として暮らしていた。

RichardとLoganは互いに惹かれながら、ただ恋人というだけではない新しいスタンスを探さなければならない。意見のくいちがい、価値観の相違、8歳の子供の存在。
そのすべてを乗り越えて、新しい家族の形を。
.....



45歳のおじいちゃんって若いよね。Loganも最初はRichardが「父親」なんじゃないかと思います。
Richardがのりこえてきた人生は楽なものではありません。若い時の性的な混乱でできた息子とは長年会えず、やっと互いの関係を修復したと思ったら事故で息子は失われ、薬物中毒の母親の手から孫を奪い返し、彼はそのNickをひたすら守って育てている。
かつて恋か子供かという選択を迫られて、RichardはNickを選んだ。それはNickが8歳になった今も同じ。

しかし勢い余ってRichardは過保護にすぎるし、すべてのものからNickを守れるわけではないということを、どこか納得していない風です。時にはNickは1人で戦わなければならない、そのことを受け入れようとしない。
Loganは彼を尊重するけれども、時おり2人の意見は大きくくいちがう。

特に暴力というか、「力」の関わるところになるとRichardは反射的な拒否を示します。
彼には何故Loganが従軍したのか理解できないし、家の中に銃を置いていると知るや彼の家に行くことも拒否する。ある種の潔癖症と言ってもいい。
Richardにはそういう、どこか理想的な完璧さを求めるところがあって、それは現実感覚に優れたLoganとはちょっと相いれない。

でもLoganはいい男だね!彼はRichardの拒否に傷つくけれども、理解している。RichardがNickのことになると過剰反応を示すことも、子供のことが第一に来ることも理解する。理解しすぎじゃないかという時もあるが、でもほんとにいい男だ。
譲歩ばかりするだけでなく、Richardにも理解して歩みよってもらおうと、Loganは色々な努力を重ねます。一方的な譲歩が2人の関係を壊しかねないことを、彼はよく知っている。

Richardの問題は他人との妥協に慣れていないことで、その深くには、「家族」を失ってきたことによる傷がある。ゲイであることが彼にその孤独を負わせた。
孫のNickに対する過保護なほどの愛情はその埋め合わせでもありますが、同時に彼はNickと自分の作った殻にこもって、他人をたやすく入れようとしません。
LoganがRichardと本当の恋人になるためには、「家族」としての信頼を得ないといけない。まあ、Loganは簡単にあきらめるような男でもないけどさ。
そういう2人の様子を書いた話です。

中年になってからの恋ではあるけれども、2人とも結構ピュアなところがあって、人と人との距離を丁寧に描いた話全体に繊細な味わいがあります。軍隊とかそういうあたりの価値観は何と言うか「アメリカン」な感じもするので、そのへんは好き好きあるかも。
ところどころRichardの名前が誤植でNickになっていて、人の名前が間違ってるのってそんなに珍しくはないんだけど、8歳の子供の名前だとさすがにこっちの萌えっとした気持ちがしぼみますね。惜しい。でも最後のオチまできちんと作られていて、いい話です。

価値観のちがう大人たち(片方子連れ)のリアルな恋模様に萌える人に。
ちょっと長めなので、じっくり楽しめます。

★元軍人×非暴力主義者
★家族

travel、trip、journey

どれも「旅行」を意味する言葉ですが、多少ニュアンスが違う。
ウィズダムによると


travel 旅行すること
trip 往復の短い旅行
journey 長い(時につらい)旅行


単なる移動やちょっとした出張はtrip、短い移動から長い旅行まで使うのがtravel(場合によって通勤にも使える)、「(場所や時間の)移動」という意味も含め長い旅に使うのがjourneyというところでしょうか。
米英でもニュアンスの差があるらしいが、そのあたりは潔く丸めていきましょう。

特に「journey」と言う時には、何かその裏に苦労や思いがありそうですね。「journey's end」で人生の終焉を言うそうな。
たとえば日本語でも「旅行に行く」と「旅に行く」では響きの差がありますが、「journey」をわざわざ使うと「旅」に近い気がします。
「trip」は「短い」&「戻ってくる」というのがポイントらしい。「旅行に行く」と口語で言う時には「take a trip」のようにtripを使うことが多いそうです。気楽な感じなんだろうか。

他に類義語として、voyage(航海)、tour(周遊旅行)とかあります。tourは基本的にあちこち回る遊びの旅行。日本での意味と一緒ですね。
voyageは正直、あまり見たことがない。「The ship sailed~」みたいにsailを使ってあっさり表現していることが多いような。大げさな言い方なんじゃないかと思ってるけど、どうなんだろう。

動詞で使いやすいものや名詞として多用されるものなどあるので、書く時にはそのあたりにも気を配る必要がありそうです。

Crossroads Showdown
Keta Diablo
Crossroads Showdown★★ summary:
探偵のFrank McGuireは、FBIの手助けをする為にウェストバージニアの町を訪れる。そこでは少女たちが次々と行方不明になり、親たちを恐慌の渦に叩き込んでいた。

そしてFrankはFBIだけでなく、幽霊にも呼ばれていた。行方不明になった少女たちと同じ年ごろ、似た姿形の少女。
だが被害者たちの写真の中に、彼女の顔はない。
少女は何者なのか? Frankに何を伝えようとしているのだろうか?

Frankの恋人、Rand Brennanは、彼らの関係にそろそろきちんとした形をつけるべきだと考えていた。Frankがどんな決断をするにせよ、このままうやむやで欲望に溺れるだけの関係を続けてはいられない。
そして、彼自身の未来を決めるべき時でもあった。大学を続けて医者を目指し続けるのか、それとも別の道を選ぶのか。
.....



Crossroadsシリーズ3作目。
今回はFrankがRandと離れて調査に行くこともあって、彼らのエロよりも事件の比重が大きいです。
まあテレホンセックスとかありますが。英語って色々説明するのがうまい言語なので、電話ごしのエロにすごく向いてるな。
Frankの周囲を幽霊がうろうろしているので、ちょっと物事はごたついていて、たまに笑えます。死んでる相手とは言え、子供の前でしごくのは確かに無理!

Frankは相変わらず、どこかコントロールをRandに奪われるのを警戒しているところがあるけれども、やはりRandの磁力には逆らえない。
そしてそのことを、彼は恐れている。誰かがそれほど強い力を彼の人生に及ぼすということを。恋に落ちていることはわかっているが、口に出さず、相手に知らせなければやりすごせると思っているふしもあります。
勿論、RandはそのままFrankを放っておいてくれるような親切な子ではないのですが。

RandにはRandで、自分の人生に対する思惑がある。
もし大学をやめて別の道を選んだら、Frankと一緒にはいられなくなるのか。
彼はFrankに決断を求める。それが彼らの人生を変えることになるとわかっていて、それでもまっすぐに斬り込んでくるRandは、シリーズ第1作目でマリファナの為に使いっ走りをやっていたRandとくらべると大きく成長したなあ。感慨があるのがシリーズ物のいいところ。

実のところ、そういう葛藤とか向き合うシーンとかはもっと深く掘り下げてある方が好きなのですが、このシリーズらしく色々ハイスピードでかっとばしていきます。そういう潔さと、言い方は悪いが、ある種単純化されたドラマがこの話の特徴でもある。わかりやすいし、キャラの輪郭が強く、スピード感がある。
ざっくり楽しむも、書かれていない部分を補完してじっくり楽しむもいいと思います。

前二作を楽しんだ人だったら必須。
とりあえず彼らの関係も一段落ついたので続くのかどうかがちょっとわからないけど、続編出たら買う。

★テレホンセックス

Crossroads Revisited
Keta Diablo
Crossroads Revisited★★☆ summary:
大学生たちが次々と謎の死を遂げる中、探偵のFrank McGuireは嫌な予感がしていた。
その予感は、忘れていた過去の亡霊の形をとって現れる。FBIからの情報によると、かつて彼のパートナーを殺した男が再び野放しになり、監獄に入れられた復讐のためにFrankを狙っていると言う。

Frankはその相棒の忘れ形見、大学生のRand Brennanと同居していた。
Randは大学に復帰していたが、Frankと約束しただけの成績を取ることが出来ず、しかも盗み酒をして勉強をさぼっているようだった。そちらもFrankには頭の痛い問題だ。

Randの存在はFrankを強く揺さぶる。欲望、飢え、支配欲。そして保護欲。どれもこれまで感じたことがないほど強い感情だった。
何よりもRandの安全が大事だと、FrankはRandを家から追い出して、母親の元へ帰す。
それが一時的なものになるのか、それともRandが脅したようにこれきり彼らの関係の終わりとなるのか、彼にはわからなかった。
.....



Crossroadsの続編。
相棒の息子をものにしちゃったFrankは、そのRandと暮らしながら、彼がきちんと勉学に励むように目を光らせている。そして怠けているのを知るや、早速「おしおき」にとりかかります。目的と手段があやしい。
相変わらず、無茶でエロな感じです。
アナルプラグとか入れて大学行かせるのは、かえって勉強に集中できなくて逆効果じゃないんだろうか。まあエロいからいいか!

そんで相変わらず、ここはぶつかりあっています。
エロエロでべたべたなのに、ほとんどキスシーンがないんだよね。それはやはり、彼らの距離感、そしてFrankの警戒心を表しているのでしょう。Randの存在に溺れながら、Frankはそれを示さず、強気な態度の下でどこか自分に逃げ道を残そうとしている。
Randはまあ快楽にくらんであんまりそのへんは深く考えてませんが、本能的にFrankの警戒を見抜いているようです。

体でつながっている、気持ちもどこかでつながっている、でもまっすぐに向かいあってはいない。
エロの時以外は状況の主導権を握ろうとして争う、強気な2人。
Randがセックスの最中にFrankの名前を呼ぶまいとするあたりなんか、Frankの葛藤を知りながら意地を張っているようで、なかなかに萌えます。最後は呼んじゃうんだけどね。


Hoarse, rough cries tore from his throat. Caught up in a tidal wave of heat, Frank’s name escaped, and he hated himself for saying it.


強引でやりたい放題の攻めとエロが好きなら、とても楽しく読めます。
ただちょっと校正が甘いのか、地の文の途中に " が入る誤植がいくつかあって一見セリフに見えるので、「Frankの大きなcockが入ってくると‥‥」といきなりセリフ内でエロを語り出しているかのようだ。
びっくりしたり、うっかり笑ったりしてしまいます。何故ピンポイントにエロでやるか。

中編くらいなので、勢いで読めます。Crossroads3作の中ではこれが一番好きかな。

★BDSM(おしおき程度)
★強引攻め×強情受け

screenshot_03.jpgラスベガスで7日からCES(国際家電ショー)がひらかれているそうですが、そこで電子ブックリーダーがたくさん出ているそうです。

その中でお披露目されたサムソンの電子ブックリーダーが、「ページの上に書ける」機能を出してきた。
肝心の対応フォーマットがPDF、ePub、テキストってのはどえらく貧弱な気がしますが。

※リンク先詳細レポあり

でもこう、小説を読む以外の目的とか、書類を読みながら何か書き留めるとか? この「書く」アプローチには新しい地平があるかもしれませんね。
カラーディスプレイで何色か表示できれば(これは白黒ですが)、前にちょっと流行った「三色ボールペンで読む日本語」も電子的に再現できて、ものを読み込んだり検討したりするのにいいのかも。校正チェックもできるなあ。

やはりラスベガスで発表された、さらに大きな、マガジン型と言うか新聞型のリーダー、Que proReaderの記事はこちら
でもこれ、Appleがそろそろ出すタブレットブックと丸かぶりしそうな気がする。

Crossroads
Keta Diablo
Crossroads★★ summary:
Frank McGuireは彼に仕事のすべてを教えてくれた相棒が自分の腕の中で死んでから、警察をやめて探偵の仕事をしていた。
そんなある日、その相棒の息子が行方不明であると知らされる。

Rand Brennan。両親は彼が自分の性的なアイデンティティ──ゲイであることを受けとめ切れずに混乱していることをずっと心配していた。
彼は自分自身を探そうと模索する中で、マリファナを吸い、大学から消え、どこか場末のビリヤードホールで働いていたが、今や愛する妹からの電話にさえ出ようとしなかった。

FrankはRandを探す仕事を引き受ける。同時にFBIから依頼を受けて、少女連続殺人事件の犯人を追いはじめていた。
Frankを死者が訪れ、何かを告げようとするのだが、彼らが必死に告げようとするメッセージをFrankはうまくつかみ取ることが出来ない。
死者は何を望んでいるのか。シリアルキラーはどこで次の獲物を探しているのか。
.....



死者の声を聞くサイキックの元警官(30歳)と、その死んだパートナーの息子(22歳)の話。
全体にこう、展開が早いと言うか、たまにびっくりします。

Frankは銃に撃たれて自分の腕の中で死んだパートナーの記憶にまだ苦しんでいて、相手の家族と疎遠になっています。Randが消えたと聞いた時、彼を襲ったのはその後ろめたさと、かつてRandを見た時の記憶──自分の欲望でした。
彼はRandの行方をつきとめると同時に、この青年がもう二度と馬鹿な真似をして家族を心配させないように、こってりおしおきをしてびびらせてやろうと計画します。そして案の定というか何と言うか、その計画で彼自身も深みにはまってしまうのです。

このあたり「おいおい、そんなことしていいのかよ」とつっこみたくなる感じで、特に商業スラはNon-con(合意なし)は滅多に見ないのでびっくりしましたが、まあそういう感じの流れです。
互いの体に流されちゃう、というのはいいシチュだと思うので、そのへんのびっくりをクリアすると楽しい。でもやっぱりちょっと「おいおい」と言いたくなるような強引さだ、Frank!ってかヌンチャクはそういう用途に使っていいのか。パートナーの息子にそんなことしていいのか。

Frankはかなり強引でかたくなな男で、Randに対しても厳しい態度を取る。
自分のセクシュアリティに対してもがいているRandは、そんなFrankの行為に疑問や迷いを粉砕されるのだけれども、彼らはどうしても体が先行するので、どうにもコミュニケーション不足なところがあります。
でもRandのいさましさというか、強情さやへこたれなさはFrankといい勝負。こいつもちょっと無茶。

そんな肩肘はった2人ががつんがつんとぶつかりあいながら、時おり深々と相手をのぞきこむような一瞬の訪れが、濃密でいい。

文章はわりと味気ない方ですが、何せ勢いとエロがあるので、一気に楽しく読めます。つっこみどころは多い。多いが、でもそれは作品のマイナス部分というよりは、この話のスタイルであって、つっこみ含めで楽しむものだとも思います。
シリーズ続編あり。全体に、勢いと無茶ぶりで出来ている感じで、強引で支配的な攻め×意地っ張りで反骨精神のある受けに萌える人におすすめ。
エロは軽いBDSM風味。

ちなみにここの書店は警告をでかいアイコンで表示するのですが、それが何とも凄いので、リンク先要チェックです。確かにわかりやすいけど、もうちょっとためらえ。

★無理矢理エロ

google.jpgGoogleのスマートフォン「Nexus One」が発売されました。androidを搭載した携帯はこれまで発売されていましたが、Googleがハードから開発は初です。
日本には今のところ予定がないですけどね。買えるのは米国、英国、シンガポール、香港。香港て何で?
iPhone、ブラックベリーという強豪がいるスマートフォン業界にどう斬り込んで行くのか、楽しみです。ちなみに「スマートフォンの上を行く(by Google)」ということで、自称「スーパーフォン」なんだって。

ついにハードキーボードを取っ払って、全面タッチパネルになりました。
あんまり技術的なことはよくわからないのですが、スペック見ると明らかに画面がいい。
・Google:画面解像度が800 x 480
・iPhone:480×320
うわあ。
重量は5グラムくらいiPhoneより軽い。Touchよりずっと重いのは変わらないな。大きさは、iPhoneをちょっと縦に細長くしたくらいで、少し薄い。薄いのはいいですね。
バッテリーはiPhoneに対してすらちょっと微妙。
Google:通話7時間(3G使用時)or10時間(2G使用時)、ビデオ7時間、音楽20時間
iPhone:通話5時間(3G使用時)or12時間(2G使用時)、ビデオ10時間、音楽30時間

iPhoneは内蔵メモリ容量を公表してませんが、新型は256MBでクロックが600Hzというのが推測値らしい。
それに対して、GoogleはRAMが512MBでクロック1GHzと、それはうらやましいなあ。
とりあえずGoogle側はフラッシュメモリが512MB入ってて、これに色々記録するっぽい。その他にSDカードもあって、初期は4GB、拡張で32GBまで。これはまあ、カードまで含めるとiPhoneといい勝負ですね。自分で拡張できるのかな?

Bluetoothが入ってるにもかかわらず今のところほぼ解禁していないiPhoneに対して、Bluetoothを標準規格として取り込んでいるのは大きい気がする。
さらにiPhoneとちがってバックグラウンドでアプリが動く。これはいい!
でもGoogleは公式以外のアプリって課金販売してないよねえ、と思ったら10月から日本でも課金開始してるのか。iPhoneと対抗するにはそのへんが勝負になるでしょう。

何となく、Googleの相手ってiPhoneじゃなくてブラックベリーな気がするんだけどね。Googleマップとの連携とか、いかにもビジネスマンに訴求しそう。

powerwordsIcon.jpg
アルクのiPhoneアプリ
PowerWordsシリーズ(appStoreリンク)

とにかく単語を覚えろ、どんどん覚えろ!なiPhone/iPod touchアプリです。
各レベル900円。

洋書はかなりフィーリングと補完で読めるとは言っても、やはり最低限の単語力がないと厳しい。逆に言えば、語彙がある人はそれだけで有利です。何となく文章の意味がわかっちゃうからね。
最近、私もあらためて語彙を増やそうと、ぼちぼちアプリを買っています。買っただけにならないようにしなければ‥‥

PowerWordsシリーズは2000、4000、6000...で12000までの6つあり、TOEICのレベルに合わせて1レベル2000語ずつ、全アプリ合計で12000語を網羅してます。
とりあえず8000買ってみた。松竹梅があると竹を買ってしまう典型的な中道志向。
PowerWordsは元々PCアプリなのかな。DS用にも出ていますが、各レベル定価3,990円を考えると、iPhoneアプリの900円は安い(iPhoneアプリとしては高いが)!

IMG_0024.jpg
中身は、基本的にレベルごとの学習。
まず単語と意味を交互に見て(読み上げあり)、その後単語の意味を聞かれるので三択で答える。

ここでまちがえると、しつこくしつこく何度も出てきます。まちがえすぎると単語がブラックリストに入る。入ったからって何があると言うわけでもないけど、ちょっとショックです。

今はブラックリストに6つ単語が入っていますね。

IMG_0025.jpg
おもしろいのは、書き取りというか、綴りも要求されること。
これは結構「うっ」とくるものも多いです。

これでかなり覚えられるのではないかと思う。見てるだけだと、覚えたつもりでつるっと脳の表面から滑り落ちてたりするからね!

ゲームもあるけど、そんなに役に立たない気がする。暇つぶしにはいいんだけどね。学習しているレベル内での出題なので、範囲が10単語とかに限られるのはすごく微妙だなあ。


8000をやってると、割と小説によく出るような単語があります。これが終わったら(まだまだかかりそうだけど)次は6000買ってみよう。
どんどん単語を見て、指で選んでいくので、短期的には単語が体に入って行く感じがあります。復習しないとつるっと忘れそうな気もしますが、それは私の問題であってアプリの問題ではないな。

キクタンも持ってるんだけど、チャンツはまだよくそのありがたみが理解できないので、PowerWordsの方が楽かな。
でもまたキクタンもやってみようと思ったり。

ちなみにアルクには昔、英文法の通信教育でお世話になりました。「読む」ための学習ってあまりないんだよね。
今見ると、私がやった時からかなり刷新されているようです。「He was hit.」と「He got hit.」(車にはねられた)のニュアンスの違いを解説してくれたりして、初歩もわからなかった時にありがたい講座でしたねえ。通信やったのはあれが最初で最後だった。
小説読む為の講座とかあるなら、またどこかでチャレンジしてみてもいいんだけどな。

Julian's Second Chance
Claire Thompson
※出版社の問題で一時的にリンクを外してます。
Claire Thompson★★ summary:
大学生のAlexはスリランカへの卒業旅行の途中で、イギリス人の旅行者Julianに出会う。
彼らは一目で気が合った。Alexは強くJulianに惹かれ、自分たちの間に何かがあると感じていたが、Julianが彼と同じようなゲイであるのかどうかがわからなかった。

その旅から6年がたち、Alexは今でもJulianのことを忘れられなかった。
だが今のAlexには恋人がいる。年上で強引だが、Alexは彼を愛していた。
愛していると思っていた。目の前に彼の裏切りが示されるまでは。
いや裏切りを目にしても、彼にはまだ心が定まらなかった。許すべきか、許していいのか。許さなければ、彼はまた1人になってしまうのか。

Julianは6年前のことを悔やんでいた。できることならAlexにあやまりたい。
だが広いニューヨークでどうやって1人の男を探し出せばいいのか、彼にはわからないまま、ニューヨークでの仕事の話が舞い込んできて‥‥
.....



以前に「Masks of Emotion」というタイトルで発行された物の再発行らしいですね。
たまにそういうことがあります。新タイトルの中に見覚えのある題があって、確認したら表紙すげかえて新刊として出てたりとか、出版社変わったとか。

これは若い2人がスリランカ旅行の最中で仲よくなって、でもその旅は苦い形で2人を分けてしまう。それから6年たって‥‥という話なのですが、再会そのものよりも主に「再会するまで」の彼らの人生の話です。そこがちょっと変わってますね。

Alexは年上の男と特に不自由ない関係を持って、楽しんでいるけれども、自分だけが関係の一方的な割を食わされていること、2人の関係がフェアなものではないことに気付き始めている。
でも決定的な最後通牒をつきつけるのには迷いがある。一緒にいるとまだ楽しいし、やはりそばにいると彼を求めていると思う。
あんまり男の子らしくない気もしますが、気持ちの揺れ方はなかなかにリアルです。相手が下手に出てくると、ついつい優位を楽しんでかえってドツボにハマったりね。

Julianはその6年の間に自分がゲイであることを、やっと認められるようになっている。
長年の葛藤や重荷から解放され、自分が全く未知だった世界に入っていくが、やはり恋人の求めるものと彼の求めるものは一致しない。
セックス以上の何か、人生を預けられるほどの何か。
彼もまた、それをずっと探しています。そして探すたびに、心によみがえってくるのは6年前のAlexの姿なのです。

そういう、6年間の二人の様子がエピソードをちりばめるように書かれていて、同時に6年前の物事が追憶としてよみがえってくる。
追憶に追憶がかぶさって、少し構成がたてこんでるかなあと思うところもあるのですが(特に前半)、大体の出来事を呑みこんでからの後半部は、Alexと前の恋人のぐらぐらした関係とか、結構楽しめます。
あんまり長くはない話で、その中に6年分の「時間の流れ」をきちんと描き出している点に好感が持てる。そういう時間の厚みがあると、やはり再会がドラマティックになるね!

再会ものが好きな人におすすめ。

★不実

今回はスラを読むには必須スキルの、あぶない英語のお話。
実用にはなりませんが。てか実用にしちゃ駄目だが。

自動翻訳にスラをかけるると「蛇口」を頻発させて読者を悩ませる「cock」ですが、他にもそのものずばりを表す単語は多い。
呼び名が色々あるのはわかる。日本のエロにだって屹立とか楔とか肉棒とか欲望とか、山ほどある。
しかし英語のそれって、日本語に直すとどうなのか。作家さんはどう使い分けているのか、とそれぞれのニュアンスが気になるのもまた確か。

「これってどうなの」と人に聞けた話ではないので、山勘と経験則からまとめてみました。(詳しい人がいたら教えて!)

たとえば類義語のネット辞典で「cock」の類義語を見ると、


penis, phallus, member,beam, pricking, shaft, peter, pecker, dig, turncock, light beam, puppet, gumshoe, mother fucker, incision, neb, cocksucker, dickhead, cock, rotating shaft, quill, shaft of light, slit, dick, barb, ray of light, prick, shit, beak, bastard, hawkshaw, scape, slam, son of a bitch, instrument, diaphysis, bill, scratch, calamus, tool, lance, peckerwood, stopcock, asshole, spear, rooster, gibe, hammer, beam of light, creature, putz, jibe, irradiation, motherfucker, woodpecker, whoreson, dent, nib, ray, shot


とか。見たこともないものも多い。
エクスカリバーとかは入ってないね!やはり見当たらない「log(丸太)」も隠語のひとつだし、このリスト以上に無数にあるのでしょう。てゆーかcocksuckerとかdickheadってのはブツの名前じゃなくて、人物をののしる時に使う悪口だよな。この辞典大丈夫か? まあいいか。

shaft」はわりと婉曲表現が入ってるんだと思う。「屹立」とかそんな感じかな。たまに「陽根」ちっくなマッチョな感じもしますが。これはこれだけで出るよりは、cockとかdickとかと同時に使われることが多い気がします。
hard-on」あたりも小説内ではよく見ますが、「勃起したもの」的な婉曲表現で、服の上から股間の膨らみを見た時にも使える。器官そのものというよりは状態を指す言い回しでしょう。
phallus」は芸術的な言い回し。古風で、仰々しい感じかな。スラの中で「この彫刻のdickが‥‥」という相手に「それはphallus。彫刻につくとdickはphallusになるんだぜ(笑)」という会話があって、笑ってしまいました。たまにファンタジーで見るかも。
him」も婉曲表現として見ますね。「'him' に指を回して…」とか。かなりお上品な感じ。
そう言えば一昔前、日本のスポーツ紙のエロ連載は「ジュニア」とか「ムスコ」という表現が幅を利かせていましたが、いざ英語圏にいってみるとほぼ見ないぜ、ジュニア。
隠語ではないずばりの「penis」に関しては、普段見ない。ないこともないけど、すごく即物的(あるいは解剖用語的な?)な感じで、甘エロ系ではまず見ませんね。単語としてエロくないのか、スラ好みじゃないのか。

実際にスラ内で頻発するのは「cock」「prick」「dick」
この3つで8割いける

この中では、「prick」がずば抜けて上品(?)です。
インテリ系とか育ちがいいとか奥手のキャラが使う時は大体これ。いきなり「Suck my cock.」とか言ったりしない。基本は「prick」。
すごく奥手になるとそれすら言えなくて、「my...thing」(それ)とか言ったりしてまた萌えどころがあったりするわけですが、まあそれは別件。そんな人滅多にスラにいないしな。

cock」と「dick」では出現率は半々ですが、dickの方がお上品ランク的には上ですね。女の子がエロ話する時にdickをよく使ってるし。
cockはきわめて下品で、即物的な言い方のようです。

というわけで、上品ランクは prick >>>> dick >> cock くらいの感じになるかと。

このへんを踏まえると、貴族と平民のエロで「prick」と「cock」を使うそれぞれのセリフに身分差を感じて萌えてみたり、普段クールでわきまえた感じの攻めがコトの最中に「You like my cock in your ass?」とか言い出したら完全にけだものモードに入ったってことがわかったりするわけです。(あるいは一皮剥けばただのエロオヤジか、とか)

余談だけど、そういう時に 'Do you' からはじめないのが強気攻めっぽくって萌える。

あけましておめでとうございます。
駆け込みで年内100本レビューも達成できました。12月に「あれ、100本いけるんじゃない?」と気付いてから、がんばってみたんだぜ。
私のTouchには今260本くらいスラが入っているので、大体2.6冊に1冊くらいレビューしている感じですね。

去年の3月にはじめたスラのレビューブログですが、去年一年だけ取っても、スラの世界も変わりつつある気がします(商業スラ歴浅いから大きなことは言えないんだけど)。
市場が見るからに大きくなっているし、新しい書店もできている。カウボーイの流行がおさまってきて、よりパラノーマルや吸血鬼ものがふえ、それもちょっと手の込んだ仕掛けがあるパラノーマルものが好まれている気がします。
今年はどんな年になるんでしょうか。どんな作家とめぐりあえるのか、楽しみ!
ちなみにとある作家さんが「5年前はm/m小説という呼び方も固定されてなかったんだよ。こんな隆盛の時代が来るなんて!」と日記に書いていた。それを踏まえると、えらい進化っぷりですね。


さて、今年もぼちぼちと、楽しく読みながら紹介して行こうと思います。
たまに、ここを見てスラを買った!というメールをいただけたりして、幸せ。ほんと同好の士がほしいよ、このジャンル。
スラ作家の紹介&おすすめとか、英語ネタとか、随時歓迎です。
今年はあと、Touch(iPhone)の英語学習アプリのレビューとかもぼちぼちしてみようかな。まあ、気楽にやりますので、気楽にお付き合い下さい。

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