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Slash(m/m小説) レビューブログ

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wisdom teethって「親知らず」のことなんですね。
大人になってから生えるから「wisdom」ってことかな??

ほかの歯は何て言うのか辞書で見てみました。

犬歯:a cuspid a canine tooth
「canine teeth」の方を人狼ものでよく見ますね

前歯と奥歯は front teethback teeth。普通だ。

乳歯:a milk [baby] tooth
永久歯:a permanent tooth


あんまりおもしろいのはなかったですね。

「歯」と言えば英語の小説でよく出てくるのが「Tooth Fairy」で、これは子供の抜けた歯を枕に置いておくと眠ってる間にやってきて、お金やプレゼントにかえてくれる妖精らしい。
私が読んだ会話の中では、たとえば「まだサンタを信じてる?」みたいなニュアンスでサンタのかわりにTooth Fairyが使われてたりしました。子供っぽいね、というからかいでしょう。
今でもポピュラーな習慣のようです。Tooth Fairyの日なんてのもあって、2/28か8/22らしい。とりあえずtwoは絡めとけってこと?ちがうか。
しかし出典を見つけられなかったんですが、以前に「Tooth Fairyは歴史的に結構怖がられていた」という話を聞いたことがあります。顔をあわせちゃいけないんじゃなかったかなあ。そういうホラー映画はありますね。
まあ、子供に言うことをきかせるために、妖精やら妖怪やら使って脅すというのは、洋の東西を問わずポピュラーな手段だからなあ。


脱線ですが、日本では「下の歯が抜けると屋根の上へ、上の歯が抜けたら縁の下へ」放るのが古くからの習慣ですが、うちの姉は歯が抜けた時に縁の下がない建物にいたので、地面に埋めたんだそうです。
で、年上の従兄に「そんなことをすると真っ黒な歯が生えてくるぞ」と脅されて、泣きながら地面を掘って歯を探したんだとか。
罪なことを言うもんだ…

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Dark Heart
Thom Lane
Dark Heart★★☆ summary:
Amaranthの国の旅人ギルドは、繰り返し何者かに襲撃されていた。
ある夜、魔道士Lucanが嵐を逃れてギルドの屋敷を訪れ、屋敷の奴隷であるTamは彼に仕えることになる。

魔道士は誰もが恐れる存在であったが、その中でもLucanは特に恐しく見えた。闇よりも暗く、強烈な力と意志を持つ存在に。
Tamはベッドの中と外の両方で彼に奴隷として仕えながら、Lucanの冷厳さに惹かれていく。
だが奴隷は未来のことを考えない。過去のことを考えない。彼らにはその一瞬ずつの人生をやりすごして、その時々に目の前にいる者たちにつくしていくだけだ。今をこえた望みなど、身にすぎたことだった。

Lucanはギルドにたのまれて襲撃事件を調べはじめ、Tamは彼につき従って手伝う。
LucanはTamをしきりに呼びつけ、つれ回し、ベッドに入ればTamを抱くが、それ以上の個人的な興味を見せる様子はない。ただ道具のように彼を使うだけだ。
奴隷と主人、その関係の中にTamは自分の思いをとどめておくしかない。そしてLucanが去っていけば、また次の主人に仕えるしかない。
それが、盗賊としてとらえられ、奴隷の烙印を押された時にさだめられたTamの運命だった。
.....



書店的には「BDSM」のカテゴリに分類されてますけど、そういうわけではありません。主人/奴隷で支配と服従の関係ではありますが、それは人間関係であって、この話の性的嗜好はわりとノーマルです。
ただ、「奴隷」というもののありよう、その心の向きの特殊さが実によく書かれています。それがおもしろい。

この世界での奴隷はどうも、1度奴隷になったら解放されたりしないらしい。
Tamは、決してひよわでもなく、むしろはねっかえりで反骨精神にあふれた少年なのですが、こと主人に対する服従となるとそこには鉄の規律があって、つねに主人やギルドを自分の上に置いています。たとえ直接の命令に反して、罰せられる時でさえも。
彼の迷いのない忠誠を一身に受けながら、魔道士LucanはTamを時に冷たくあしらったり、生意気な物言いや反論を鞭で罰したりする。
奴隷をしつけるのは主人の権利でもあり、義務でもあって、それは自分の体面のためだけではなく奴隷のためでもあります。奴隷はきちんとしつけられてふるまう限り、奴隷としての人生をまっとうできますが、その規範を踏み越えた奴隷にはさらに厳しい人生が待っているからです。

Tamが、新しい奴隷が馬車を引いている姿を見るシーンがあります。Tamはその奴隷の中にまだ反発があるのを感じ、やがて彼も落ちるだろうと思う。「ある日、必ずその時がやってくる。鞭が怖いから主人に従うのではなく、ただ従うために従う、そういうふうになっている自分を知る」のだと。
そのことを悲しんだり、痛みをもって振り返っているわけではない。単純にそういうものなのだ。それが自分におきたことであり、他の多くの奴隷におこったことであると、Tamは知っている。
いつかその新しい奴隷も、Tamのように根っからの奴隷となる。そうなればもう戻ることはできない。

そのあたりの特殊さがリアルに書かれていて、おもしろいです。
彼らの力関係を踏まえた上で、LucanとTamとの間に生じる感情や軋轢、決して口には出されない思いなど、なかなか巧みに書かれています。
ファンタジーらしさも満載で、LucanがTamをつれて地獄の門をくぐるシーンなど見所も多い。それにしてもLucanはTamを悪魔との取引にさし出しちゃったりするんだ。鬼ですな。
それでもLucanが好きなTamがかわいいやら、かわいそうやら。

ファンタジーや主従ものが好きな人、「傲慢攻め×けなげ受け」の組み合わせにぐっとくる人におすすめ。
シリーズ続編の「Healing Heart」では、彼らのバカップルぶりも楽しめます。

★主従(奴隷)
★ネクロマンサー

前に書いたことがあるように、「英語の読書力」と「英語力」はイコールではありません(むしろわりと関係ない)。
私は「英語力はないけど小説を読む」典型で、もともと英語が苦手でしたが、慣れと萌えだけで破れかぶれに突破してきたようなものです。
そういうあんまり真面目に英語ができない、あちこちわかってない人間の立場から、読むコツなんかをちょっと弱気に解説してみようかと。

洋書を読むコツはいくつかあります。よく言われるポピュラーなものに個人的な意見を足して、こんな感じ。


続き...

Boys of Summer
Cooper Davis
Boys of summer★★☆ summary:
Hunterは、親友Maxと恋に落ちた自分を知っていた。
だがMaxはゲイで、彼はストレート──少なくともMaxと恋に落ちるまで、自分がストレートだと思って、生きてきた。

もしMaxとつきあうのならば、友人や、周囲の人間に彼らの関係を隠しおおせるものではない。今のように親友としてすべてを覆い隠すことはできない。
Maxはそんな、暗い秘密のような扱いを受けるいわれはない。それはHunterにもわかっていた。

彼らはフロリダの海岸へと2人でバカンスに出かける。互いの気持ちをたしかめ、それをはっきりと認めるために。
Maxは長い間、その時を待っていた。Hunterに恋をした彼は、ほかの誰とも寝たことがない。そしてHunterの覚悟がはっきりと固まるまで、彼と寝るつもりもなかった。

友人たちから数千マイル離れたフロリダの海岸で、2人は互いと向き合う。
それが一瞬の夏の出来事で終わらないことを、彼らのどちらも知り、どちらも望みながら、その瞬間を深く恐れてもいた。
.....



ゲイとストレート(だと信じていた)の若者の話。
2人は惹かれあい、恋に落ちますが、まだ決定的な体の関係には至っていません。

Maxがちょっと古風というか、純情で、どうしてもHunterとの関係を「特別」なものにしたい。彼は隨分前にクローゼットから出て(=カミングアウト)、もう戻るつもりはない。だからもしMaxとHunterが関係を持つのならば、それは友人たちにすべてを明らかにするという覚悟の上でなければならない。
でもHunterは、Maxの存在、彼と最後の一線をこえることが自分の人生を変えてしまう、そのことに怯えています。Maxがいなくては生きていけないと思う。だけれども、この先に待つだろう人生の変化も怖い。

そのあたりの気持ちの揺れがHunterの視点から書かれた、非常にきめのこまかい物語です。
一夏の、濃密な思い出を作りながら、彼らはどちらも踏みこんだことのない場所へと踏みこみ、互いを変えていく。

夏の出来事を書きながら、同時に彼らの過去が描かれていきます。
Maxへの気持ちや自分がゲイである可能性を否定しようとするHunter、それでも離れられないまま2人は行き違い、ほとんど絶望的に求めあう。嵐のような感情と、痛みに近い葛藤。
カジュアルによそおったはじめてのデート、お互い同士を友人だと見せかけながらの夕食、ファーストキス──そしてそのキスひとつで、彼らは離れられなくなる。そんなふうに何よりも互いを必要としながら、最後の一歩を踏み出せない。
生々しく、痛々しい気持ちの揺れの重なりあいが丁寧で、なかなかに読ませます。

描写が繊細で、エロシーンにも独特の切羽つまった色っぽさがある。表現が詳細なわけではないんですが、生々しいというか、感情と体が剥き出しになった感じがあります。
中編くらいの長さで、全編を通してあやうい緊張感が張りつめている。
若者だからか「青春」っぽい繊細さもあって、「はじめて」シチュが好きな人や、迷いやためらいがある話が好きな人におすすめ。

続編「Taking You Home」が出てます。

★友情→恋
★はじめて

Love & Loyalty
Tere Michaels
Love & Loyalty★★★ summary:
シアトルの殺人課の警官Jim Sheaは、自分が捜査を担当したある殺人事件を忘れることができなかった。
一人娘が殺され、Jimが起訴した殺人者は無罪となり、それを目の当たりにした母親は心臓の発作をおこし、息絶えた。
家族のすべてを無残に奪われた父親は、だがJimを責めることはなかった。

ドラマティックな実話の映画化権を求めてハリウッドの人間は蟻のようにむらがったが、父親はGriffin Drakeとその相方である女優のオファーにだけ返事をした。映画が決して犠牲者の名誉を穢さないこと、面白半分のものにならないことを条件に、映画化の契約が結ばれる。
だが彼は、癌で余命いくばくもない。映画の完成を見ることはないだろう。
それを当人以外に知っているのはJimだけで、彼の意志通りに映画が作られるのを見届けるのが、Jimの誓いでもあった。

シナリオライターGriffin Drakeにとってこの映画は、自分のキャリアを高めるまたとないチャンスであった。
Jimから詳しい事件の話を聞こうとした彼は、この、強く自分を抑制している物静かな刑事に惹かれていく。一夜の打ち合わせはデートへと変わり、GriffinはそのままJimの家にとどまってしまう。それは彼らのどちらとっても、意外な成行だった。

Jimは何も探してはいなかった。一夜のセックス以上の関係も、愛も、信頼も。
Griffinの存在に心をくつろげながら、彼はいつかそれが終わり、Griffinが彼の人生から立ち去るだろうと思う。これまでずっと、すべてがそうだったように。
.....



Faith & Fidelity」に出てきたJames(Jim)の話。あれからちょっとたっているようです。独立した話なのでこれだけで読めますが、MattとJimとの奇妙な絆を知っておくと、Jimの内側がより深くわかります。

Jimは45歳の、とっても格好いい男です。
誰もが彼に恋人がいないことを意外に思うほど格好いい。だがJimは孤独で、孤独に慣れ、自分のルールで物事を運び、人と距離を保つことに慣れている。
彼をつつむ壁の向こうにある傷つきやすい素顔をGriffinが感じとったのは、彼もまた明るく馴染みやすい人間のようで、その裏に繊細な顔を持っているからかもしれません。
はじめてのデートの日、Jimが誕生日だと知った彼は、小さなカップケーキを買って蝋燭をたてる。こんなことして嫌がられないかな、と内心ドキドキしながらベッドにケーキを持ってきてサプライズを演出しようとする姿に、Jimはほだされてしまうのです。

そんな彼らの関係は、何ともぎこちなくて、それがとても可愛い。
わりと簡単にはじまって、互いの存在が気持ちいいけれども、自分がここにいていいのかどうか確信が持てない。相手の気持ちを探り合い、自分が踏みこみすぎてないかどうか考え、たじろぎ、立ちどまる。相手の反応を息をつめて待つ、その様子がリアルです。

家にろくな家具を置かず、仕事以外の私生活を持たないJimの姿は、前作でMattに心の内を見せたあの「James」とは少しちがって見える。あの時は、こんなに殻にこもった人には見えなかったし。
それは、遠い場所で知らない相手に心をひらくしかなかった、そんなJimの問題なのだと読んでいるうちにわかってくる。彼の中には色々と豊かなものがあるけれども、Jimはそれを静かな壁で覆ってしまっている。それを他人に見せることを恐れている。

惹かれながらたじろぐ彼らの心の動きもいいですが、周囲の様子もおもしろい。Jimの友人たちは彼を心配し、Jimが誰かいい人を見つけることを願っています。彼らは自分たちではJimの孤独を救えないことを知っているのでしょう。
そんな彼らなので、いざJimが恋人を持った時には過剰に反応します。
JimがGriffinを皆とのディナーにつれていく、という電話をすれば「頭を打ったのか」とか「何かの暗号か」とたしかめ、Griffinが現れれば「本当に存在したんだ!」と驚く。いい友人ですよ。うるさがるJimの気持ちもわかるけど。
最後の最後に、Jimがこっそり恋をしていた友人との会話がある、そのシーンも、とてもいい。

一方で、長年の友の裏切り、自分のした約束への責任、そんなものが彼らの関係を揺さぶり、2人の人生を変えていきます。
GriffinはすべてをなげうってJimとの約束を守ろうとする。でもそれだけでは充分ではないかもしれない。

前作もおもしろかったですが、こちらはまたぐっと緊張感のある、力強い描写の話になっています。Jimが少しずつGriffinに心をひらいていく、その様子がきちんと描き出されていて、説得力がある。
JimやGriffinだけでなく、周囲の人間の感情もよく書かれていて、物語に厚みをそえています。人間関係を中軸に据えた話が好きな人におすすめ。

★ハリウッド
★遠距離

Faith & Fidelity
Tere Michaels
Faith and Fidelity★☆ summary:
ニューヨーク市警風紀取締課の刑事、Evan Cerelliは、長年つれそった最愛の妻を交通事故で失ってから、まるで抜け殻のような人生を送っていた。ただ子供たちのために生き、仕事を続けてはいたが、世界はまるで、彼の周囲ですべての色を失ってしまったようだった。
彼は中学で妻に出会い、恋に落ちて、それからずっと他の女性を見たことはなかった。彼女は彼の最大の友人であり、理解者であり、恋人であり、妻であり、子の母であり、彼を世界につなぎとめる存在だった。

元殺人課の刑事Matt Haightは、仲間に背を向けられて警察を去ってから、警備会社で働いてはいるものの、ボトルの底をのぞきこむような日々を送っていた。
アパートにろくな家具も置かず、人生の目的もなく、ただその日をやりすごすために酒に手をのばす。

警官の退職パーティで、2人は出会い、お互いの存在にほっとする。相手を憐みもせず、詮索もせず、余計な世話も焼かない。
ただそこにいて、一緒に酒を飮むだけの友人。2人でいる間は、転落した人生を取り戻そうともがかなくてもいい。何か別のものになろうとせず、自分自身でいられる。

だがその気持ちがいつのまにか、友情以上のものへと変わりはじめる。それに気付いた2人は、仰天する。
それまで自分がゲイだと思ったこともなかった。そんなことはありえない。その筈だった。
.....



Mattは42歳、Evanは30代半ば~後半の筈、だと思う(探してみたけど年齢発見できず。でも長女が17歳だし)。
人生の荒波に叩きつぶされかかった2人が、まるで予期しなかった次の荒波にぶつかって、恐れ、たじろぎつつも、そこから新しい人生を模索していく話です。

Evanは、周囲から愛されています。4人の子供たち、彼の心配をして食事の面倒を見ようとする女性パートナー、理解ある仕事場の仲間。
彼らが自分を案じ、心にかけていてくれることはわかる。でもそのあたたかさを、Evanはもう感じとることができない。
妻が失ってから心がとじてしまった彼は、自分が「ゆっくりと死にかかっている」のを知っているけれども、どうしようもないまま、世界からすべり落ちていく。

その彼にはじめて届いたのが、Mattの存在です。彼のあたたかさにしがみつくように、Evanは人生のぬくもりを思い出していきますが、その先、どうしたらいいかわからない。
Mattと一緒にいて、果たしてどうなる? 事故から1年たったとは言え、亡くなった妻への裏切りにはならないだろうか? しかも男と? 子供たちがこれを知ったらどう思うだろう?
現実の重さをただ恐れ、引いていこうとするEvanを、Mattはとめることができない。

そういう、社会の規範や自分の常識の中で、自分たちの関係をどうするべきかわからない2人の大人の男(てか親父)の心模様を中心にした話です。
そんなに颯爽とした感じもなく、時々情けなかったり、ちょっとよれよれした感じもある親父っぷりがいい。

途中、Mattがたまたまひっかけるone-night-standの相手のJamesがめっちゃくちゃ格好よくて、この一夜のエピソードがいい具合に効いています。(シリーズ次作「Love & Loyalty」は彼が主人公の話です。すごくいい)
いかに色々こみ入ってしまったからと言って、それまで40年自分がストレートだと思って生きてきたMattが「男をひっかけに」夜の町に行くのは正直違和感があるんですけども、Jamesがあんまりいい男なのでそのへんはまあいいか、という気持ちにもなる。

細かい部分はいくつか気になりますが、感情表現が豊かで、全体によく書けている話です。
40すぎて、とか、自分がゲイだと思ったこともない親父、とか、そういうものが好きな人におすすめ。

★ストレート×ストレート(子連れ)
★親父

Tabloid Star
T. A. Chase
Tabloid Star★★★ summary:
一夜の関係、一瞬、切り取られたシーン──

Josh Bauerは夜はバーテンダーとして働きながら、全部で3つの仕事を掛け持ちしていた。誰かときちんとした関係を持つような時間の余裕はない。
だが1人の男が、彼の心をとらえる。Joshは彼を家につれ帰ると、熱い一夜をすごした。
目がさめた時に相手の姿が消えていたことには、驚かなかった。

行きずりの、一瞬の関係。
その筈だった。

だがタブロイドの一面に出た写真を見て、彼は仰天する。あの忘れ難い一夜の相手は、ハリウッドで売り出し中の俳優だったのだ。
そして思わぬことに、Joshは彼のスキャンダルの相手として巻きこまれてしまったのだった。そんな余裕がある筈がない。3つの職をどうにかこなしながら、彼には守らなければならないものがあった。

Ryan Kellarはついに手ごたえのある役をつかみ、主演映画の成功は約束されているかに思えた。
その間の、一瞬の息抜き。誰にも気付かれないと思っていた。だがまちがっていた。
誰が写真を撮ったのだろう。それともあのバーテンダーが、金のために彼を陥れ、路地へ誘い出したのだろうか?

2人の世界は、タブロイドにのった写真によって引っくり返される。どちらも傷つき、怒っていた。
写真を撮ったのは誰なのか。Ryanのキャリアはこれで瓦解してしまうのか。Joshが守りたい人々は、タブロイドの毒牙から逃れつづけることができるのか…
.....



刺青男×男前ハリウッド若手俳優。素敵な組み合わせです。
2人の間には緊張が残り、糸を引きあうようにして互いのバランスを崩しながら、それでも惹かれていく。その緊張感がいい。
純粋に好意だけでつながっているわけではない、でも離れられない、温度が高いカプです。

スキャンダル、エージェントとの対立、Joshが明らかにしたがらない事情など、色々なことが絡みあって、かなりスピーディな話になっています。
彼らのかかえる痛みがそれぞれはっきりと描かれているので、2人が対立するシーンは見ていて心が痛む。でもRyanを脅すJoshはちょっと格好よかった。
2人は熱い一夜の行きずりとして関係をはじめますが、一連の騒動の中から抜け出すためにともに動きながら、相手を間近に見て、互いの奥にあるものを見出していく。
そこから少しずつ、まっすぐな信頼や人間関係を築いていきます。家族、友人。そんな人たちまで巻き込みながら。
一夜の遊びが、タブロイドのスキャンダルのおかげでより深いものへと進みはじめる。それはRyanも、そして勿論Joshも予期していなかったことだった。

さりげなく、他シリーズのキャラが出てきてますね。
直接出てくるのは、まずバーテンダーのJoshの側には「Home of His Own」のMorganとVance。Brodyの友人&ビジネスパートナーです。
彼らのセリフで「Brodyとそのパートナーが遊びにきてて」みたいな言葉があるので、Tonyも一緒にいるんだなーと、何だかすごく嬉しくなってしまった。Tonyに会いたいなあ。大好きだ。
さらにハリウッド俳優Ryanの側には、「Love of Sports」シリーズの双子の片割れであるGarrettと、彼のパートナー。このシリーズについてはまだレビューしてないですね。押しも押されぬハリウッドスターGarrettも、恋人と一緒に格好いい姿を見せてくれます。この2人も幸せそうでよかった。
ちょっとしたお遊びというかサービスなので、そっちの話やキャラを知らなくても全然大丈夫ですが、世界が広がった気がして楽しい。

T.A.の話で私が好きなところのひとつは、読みおわった後に「Happy ever after」がありそうな気がするところです。かと言って、重さがないわけではない。
どんなに障害があるように見えても、どんなに大変な2人でも、2人で手をつないでさえいればいつか「そして、みんな幸せに暮らしました」がやってくるような気がするのです。

この話もそういう話。まだまだ大変だけれども、きっと最後にはみんな──2人だけでなく、周囲のみんなも幸せになれる。そう感じられるストーリーです。

★スキャンダル
★刺青

His Convenient Husband
J. L. Langley
HisConvinientHusband★★★ summary:
Micah Jiminezは7歳で孤児となった時、貪欲な親族たちによってすべてを奪われ、あやうく施設へ行くところだった。
だが叔父が働く牧場に引き取られ、そこの経営者の一家に育てられて、まるで家族のように受け入れられた。
Michahはあの時の痛みと喪失、自分が得た幸運と恩を忘れたことはなかった。

二度とあんな思いをくり返すつもりはない。そして、愛する者たちの誰にも、あんな痛みをくぐらせたりはしない。

だが今や、牧場は危機に瀕していた。オーナーは年老いて病となり、その医療費は牧場の維持費を食いつぶしている。Michahはあらゆる手を使って金をかき集めたが、オーナーの死も、牧場の破綻も、時間の問題だった。

そんな時、彼はオーナーの遺言を発見してしまう。

遺言の内容に追いつめられたMichahは、ダラスでビジネスマンとして働いているTuckerに助けを求めた。
Tucker。オーナーの孫であり、Michahとは兄弟同然のように牧場でともに育った。
Michahはその頃からずっとTuckerに恋をしていた。そして18の誕生日、Tuckerとともについに一夜をすごしたが、TuckerはそのままMichahに背を向けてダラスへ去っていったのだ。
彼に救いを求めるのはMichahにとって最後の、プライドと痛みを呑みこんだ、ギリギリの決断だった。

やつれたMichahの来訪に驚き、遺言を見たTuckerは、ひとつの結論に達する。
その奇妙な遺言によれば、彼らが牧場を人手に渡さず相続する方法がまだ残されていた。Tuckerが結婚することだ。
そしてTucherは、Michahと結婚することに決める。牧場のためならMichahがノーと言わないことを、彼は知っていた。
.....



J.L.Langleyの新刊。「Innamorati」シリーズの1、ということで、シリーズものらしい。「Innamorati」というのはイタリア語で「恋に落ちた人たち」という意味らしいです。
そのシリーズ名にふさわしい、葛藤と渇望、さらにちょっとコミカルな部分も加えた一編になっています。

TucherはMichahが牧場に来た時からずっと、この年下の少年を守ろうとしてきた。彼が何を失ってきたか知っているから、Michahをすべてのものから守りたかった。たとえ彼自身からでも。
そして4年ぶりに現れたMichahを守るため、Tucherは結婚という手段に打って出る。
だが結婚は形だけのもので、すべてが終われば、また離れるしかない。そのつもりだった。

Micharが18歳の時なら年上のTucherが「つけこんでいる」ような気がして離れていこうとしたのもわかるんですが、22歳になったんだからもういいじゃん、くっついちゃえよ、とはちょっと思います。
でもTucherがMicharにあまりにもめろめろで、タガが外れそうな自分を怖がっているのも伝わってくるので、その気持ちもわかる。
2人は形式上の「結婚」をして牧場に戻り、伯父(相続を争っている)が納得して引き下がるまで頑張ろうとする。一緒のベッドで(相手にふれないようにしつつ)眠り、伯父の目の前であてつけのキスをして、寝室でちょっとエロい声を上げてみせたり。
たまに本気でキスしたくなったり、しちゃったりしますが、我慢我慢。MicharはTucherがいずれいなくなってしまうことを知っているし、Tucherは最後にはMicharから離れなければならないと思っている。
…もういい加減、幸せになろうよ。何故そこで耐えるかなー。

その意地だけでなく、2人の間にはまだまだ大きな溝がある。
何をおいてもMicharを守ろうとするTucherと、子供みたいに盲目的に守られるのは我慢ならないMichar。彼らは対立し、挑みあいます。なんせMicharはラテン系が入ってるので、気性も激しい。

重い部分もありますが、全体に可愛らしくて、互いが互いにめろめろなのに、距離を置こうとしてもがいているのが笑えます。
わりとあっさりと中編くらいの長さ。J. L. Langleyの割にエロは控え目。短いからか。
Tucherなんか嫌いだ!大好きだけど嫌いだ!と頑張るMichahが本当に可愛いので、「意地っぱり受け」とか、うっかりそれをつついてしまう「ちょっと傲慢な年上攻め(受け溺愛)」が好きなら鉄板のおすすめです。

ちなみにタイトルの「His Convenient Husband」の「Convenient」は「お手頃」とか「都合のよい」という意味ですが、「marriage of convenience」で「政略結婚」という成句になります。成程。

★偽装結婚
★遺言

White Flag
Thom Lane
White Flag★★☆ summary:
Charlieはひとつところにとどまらない生活を送っていた。自由に、どこへでも行き、どこをも去る。
その暮らしを活かして旅の紀行文を書きながら、行った場所、そこで出会った人々を愛し、去った。
何のためであれ、留まることはない。それが彼の人生だった。彼はその自由な生活を愛していた。

フランスの田舎町で運河下りの旅をしている途中、彼はMatthieuに出会う。2人は船の中で一夜のデートをし、それからMatthieuは彼を家族のワイナリーへ招いた。
そこは何代も続くワイナリーで、Matthieuは新しい、自分らしいワインづくりをはじめていた。
彼には夢があり、人生の未来があり、その場所に心から深く根をおろし、故郷を愛している。決して故郷を去らないタイプの青年だった。

彼との関係に未来はない。Charlieは立ちどまれない。Matthieuは立ち去れない。それは、どちらもわかっていた。

だがどちらも深く、互いへと落ちていく。
どちらかが自分の人生をあきらめなければならないのだろうか。それとも、両方がこの恋をあきらめるしかないのだろうか?

white flag──白旗をあげるのはどちらなのか。すべてが手遅れになる前に。
.....


LooseIDの五周年企画、Red, White, and Blueの一冊です。
運河や、ワイナリーの自然の描写がいいですね。自分の運河で釣った魚、庭でとれたオリーブを、勿論自家製のオリーブオイルとともに自家製のパンにはさんで食べる…うーん、絵に描いたような素敵な風景。ワイナリーいいなあ!
もうここに住んじゃえよ、Charlie、という気持ちにもなります。いいところだよ。

その生活にふれ、家族のあたたかさにふれて心を揺らがせながら、Charlieは「ここを去るんだ」ということを、自分に、そしてMatthieuの家族に言いつづける。
自分は去る。どんなに去りがたくても。それが彼の人生です。
かつてひとつところにとどまろうとしたこともあった。が、うまくいかなかった、その苦い経験があるらしい。
Matthieuも、Charlieの決断を受けいれているように見える──何故なら彼はまた、どんなに望んでもそこを去っていくことはできないから。互いの人生のことをよくわかっています。
別れのリミットが近づいた時、彼らが絶望的な気持ちで言葉もなく互いを求める様子は、日中の運河のおだやかな光とは裏腹に、暗くて切ない。そのテンションの描写が強くて引きこまれます。

とどまる者と、通りすぎていく者。互いを得るために、彼らは何かを犠牲にしなければならない。
彼らのたどりつく答え、それが彼らなりの「white flag」なのです。

そんなに長い話ではありませんが、テーマが明確で、背景が美しく、読んでいると気分がなごみます。Matthieuはかわいくてゴージャスだし、食べ物がとてもおいしそう。
良質で、後味のいい、幸せな中編。感情表現も繊細で美しく、全体にとても手触りのいい話です。
ワイン好きならきっと十倍楽しい! というかMatthieuの作ったワイン飮みたいな。

★ワイナリー
★旅人

Nick Of Time
T. A. Chase
Nick of Time★★ summary:
吸血鬼Gryphonは、かつてないピンチにいた。人間にとらえられ、武器や陽光を使って拷問され、動物の血だけを与えられてぎりぎり生かされている。
もう少し人間の血があれば、自分を癒やし、そこから逃げられる。だがもうその望みはないように思えた。

Nickは、この世界に人間以外のものが生きていることを知っていた。人狼、吸血鬼、そのほかの神話や伝説の生き物…
恋人のためにその調査に関るうちに、Nickはいくつかの秘密を探りあて、そのために殺されそうになる。恋人だと信じたその相手から。
叩きのめされ、死にかかった彼は、ぼろ屑のようにGryphonのいる場所へと放りこまれた。

死を覚悟したNickはGryphonへ自分の血を差し出し、Gryphonは逃げ出すチャンスのためにNickの犠牲を受け入れる。
命をかけたその絆が、Nickと自分との、そして人外のものたちの存在すべてを巻き込む、大きな戦いのはじまりなのだと、知らないままに。
.....



「Nick Of Time」というのは主人公のNickの名前でもありますが、それ1つのセンテンスで「あやうい時、際どい時(に間に合った)」という言い回しなんだそうです。

NickとGryphonは暗闇の中で血を介して出会い、その絆は一瞬で固いものとなる。GryphonはNickの血を吸い尽くさずにとめる自信がない。Nickは死を覚悟しているので、それでもいいと言う。
Nickの自己犠牲と、血が、彼らを結びつけます。自分たちが想像していたよりも遥かに強く。2人を巻きこむ感情の強烈さ、鮮やかさがひとつの読みどころです。

Gryphonは1000年以上を生きてきた吸血鬼ですが、人の世のことにはあまり興味がない。でもNickに一瞬にしてとらえられ、彼の命を救うために神々へ祈る。まあその祈りがちょっとしたトラブルを呼ぶのですが。
Nickは人と接することがちょっと苦手で、シャイだけれども、興味のあることになると質問がとまらなくなる、ちょっとオタクな部分も持っている。そして、そんな自分に自信がない。
そんなNickがGryphonのそばでしっくりと馴染んで、2人のどちらも相手なしではいられないような様子がなかなか愛らしい。Nickははじめて、自分を本当に受け入れてくれる相手に出会う。それが吸血鬼であったということは、彼にとって問題ではないのです。

とにかくやっぱり吸血鬼ものってのはエロいよね! 大変にエロ多し。
素敵だけど、大丈夫か、ちゃんと世界を救えるか!

ところでこの話はTAのブログで連載されていたもので(後半は出版にあたって書き足されてます)、「Allergies」とつながっています。
「Allergies」では人狼と人が恋に落ちますが、最後の方で、どうやら人狼を襲っている人間たちがいるらしい…というネタ振りがあった。この「Nick Of Time」では、その人間たちが人狼だけでなく人外の存在すべてに対して敵意を持っていることが判明し、彼らに渡してはならない「本」の存在があらわになります。
吸血鬼と人間のカップル、GryphonとNickが、危機を戦うために立ち上がる。
話の途中で、「Allergies」のLouとRayも出てきます。「Nick Of Time」だけで独立してますが、あっちも読んでおくと、あの人狼一家が出てきた時に愉快です。特に噂のママがついに登場!だったしね!
Rayは相変わらずかわいいなあ。「人狼にノミはつく?」と、Louに隠れてこそこそ聞いているのも彼らしい。クリスマスにはノミとり首輪プレゼントか? Lou大ピンチ。

さて、GryphonとNickは(いちゃいちゃしつつも)彼らの目的を果たすために戦いますが、そのラストで、やはり次の戦いの気配が出てきます。
おそらくそれは、今回出てきていたJessとPavelの2人、人狼と吸血鬼である彼らが次の話で受け継ぐのでしょう。今後もこうやって、カプを変えながら全体の話が進んでいくんじゃないかな、と思います。
すべてがどこに向かって進んでいるのか、とても楽しみ。いずれはLouの兄貴のRoverとかBanditも幸せになれると思うんだけど。Roverってどこか苦労性っぽくて、群れのために色々犠牲にしてそうで、幸せになってほしいですよ。

甘々人外もの好きにおすすめ。カプ同士がクロスオーバーしつつ進んでいくので、そういう構成が好きな人にも。
ちなみに8/31発売でしたが、ここのパブリッシャーの「8月売り上げベスト1」です。すごいぞTA!

★吸血鬼×人間
★超能力

新型が出ると噂でしたが、とりあえず値下げされましたね。新、ではないようです。(※32GB、64GBはCPU一新で処理が早くなってるらしい)

iPod Touch 8GB…19800円
(16GB…廃番)
iPod Touch 32GB…29800円
iPod Touch 64GB…39800円


かなりお手頃なデバイスになってきました。
私は16GB使ってるんですが、これは「音楽やビデオをどのくらい入れたいか」で買う容量が決まってきます。
アプリをがんがん入れて、ビデオ小一時間くらい+小説200冊+音楽数百曲で8GBでもいけますが、それ以上の余裕を持たせたい場合はやっぱ32GBかなあ。
音楽は500曲くらい入ればいい、という人なら、他のことにかなり振り分けても(アプリとか小説とか)8GBでまかなえると思います。

アプリに関しては、うちのは容量を食う辞書を3冊ばかり入れてますけど(国語2つに英和1つ)、今のとこ容量を圧迫されてる感じはしないです。あとゲーム10個くらい入ってるな。アプリ全体では50個くらい。
英英も入れたいんですけど、ちょっと高い。3000円くらいだけど、Touchのアプリで1000円こえるとためらいを感じる。ゲームとか100円ちょっとで売ってるしな…
アメリカンヘリテージとロングマン英英とどちらにしようか、考え中。

読書端末、電子メモ、ビデオ、音楽、画像ストレージの他にTouchで主に何をしてるかと言うと、買い物メモと口座管理と体重の記録とか。ロト6の予想番号も出してもらってます(そういうアプリがある)。まだ1度しかあたってないけど!
日々のこまごましたことがこれ1台に集約できると、ホントに便利です。何かあるとすぐTouchのアプリを探すのが癖になってしまいました。
落としたらどうなるか、考えたくもない。。母艦(同期に使うMacやPC)にデータが残ってるんで、そこから復帰はできますが…

しかし新型にカメラがつくって話なんですが。不具合が出て遅れたらしいけど、カメラつきでもこの値段続行なのかな?

実益も兼ねた一石二鳥、ということでスラッシュを読む人もいるようです。実際、できることなら実益ほしいよねえ。
エロを読んで英語は上達するのか?

結論からいくと、英語多読には、英語力上達の即効性はないと思う。
英語が上達するかと言えば、「しないこともない」
が、「あてにできるレベルではない」


続き...

Adder
Ally Blue
Adder★★ summary:
音楽、セックス、名声…それさえあれば何もいらない筈だった。
「L」ではじまるあの言葉すら。

Adderには、はっきりとした人生の目的があった。自分の音楽で身をたて、名声を得ること。人生を楽しむこと──すべての点において。
少年時代からその目標に向かってつき進み、手に入るすべてのものを楽しんできた。男だろうが、女だろうが、音楽だろうが。ファンに愛され、寝る相手にことかいたことなどない。それで満ち足りていた。
誰かと真剣につきあおうなど、1度たりと思ったこともなかった。

バンドの新しいドラマー、Kalilが自分の目を引いた時も、それまでと何も変わらないと思っていた。寝てみたいが、それだけのことだと。
KalilもAdderに惹かれるが、彼はAdderのようなやりたい放題の男の相手をするつもりも、バンドメンバーとつきあって物事をややこしくするつもりもなかった。
だが強引なAdderに、結局Kalilは押しきられてしまう。

1度寝てみて、好奇心と欲望を満たして、だが物事はそれで終わらなかった。2人の間にあるものは、彼らが考えていたよりも深く、強烈なものだったのだ。
そしてその気持ちは、彼らのどちらをも動揺させ、怯えさせる。

一方、バンドにもついに大きなチャンスが訪れ…
.....



Adderはとにかく自己主張が強く、わがままで、やりたい放題、貞操観念などかけらもなく、あからさまで、臆面もない。格好が何かキラキラしていて悪趣味。一言で言うと、性格も見た目もけばけばしい男です。
でも音楽には真摯で、友人には嘘をつきません。勝手だけど、いい加減なわけではない。そのバランスが魅力的で、時々とても笑えます。

Kalilは根っから真面目で、頑固で、融通がきかない。独占欲が強いし、ところかまわず誰かと寝たりはしない。
Adderと性格があうわけがない…と思いながら、奔放なAdderに惹かれ、結局何だかうやむやに2人でつきあっているような状態になってしまうのですが、その状況もKalilを悩ませます。
Adderともし別れたら、大好きなこのバンドを出ていかなければならないんじゃないだろうか。Adderがそのへんの女といちゃいちゃしてるのが気に入らない。でも別に何を言う権利があるわけでもないし。ああ何か息苦しい!
鬱々としながらも何も自分からは言えないKalilを、Adderはじいっと見て、悩みを聞き出して、何度も「大丈夫だ」と悟す。でもKalilは悩むのをとめられない、そういう性格。よくAdderとつきあっているもんです。

それでもって、ここはAdderが受けです。Adderいわく「俺は受けしかやらないし」だそうで、「つっこみたければ女と寝るじゃん?」ということらしい。理屈が通っているような、いないような。
Kalilも基本的に受けなんですが、Adderが「俺はやだ」と言うから、仕方なく彼が攻め役をやっています。
不憫な奴…

2人の関係が深まるうちにバンドにとっても大きなチャンスが振ってわいて、Adderはそれを本気でものにしたい。だがそれは、はじめてのKalilとの対立を生むのです。
行き違い、嫉妬なんかも含んで、若さと疾走感のある話です。
真面目でうろたえやすい、でも時にAdderも手こずるほどに頑固なKalilがAdderにいいように翻弄される様と、わがままで俺様なAdderがいつのまにかKalilにめろめろになっている様子が読みどころ。楽しい。

Ally Blueは人気作家なんですが個人的には相性が微妙で、現状は勝率5割。しかしたまにこういうヒットがあるから買ってしまう(話がつまらなかったことは1度もないし)。これとか「The Happy Onion」が好きです。
筋立にいつも工夫があって、人と人の対立やドラマのあるストーリーを書く人です。ここは可愛い年下攻めが、めっぽう強気で頑固。

Adderというキャラが好きになれるかどうかで、この話の評価が大きく変わると思います。
わがまま勝手で型破りなだけではなく、なかなかユニークに一本芯が通った(通り方がおかしなことにはなってますが)キャラなので、興味がある人は是非どうぞ。
バンドの他のメンバーもなかなかいい味出してます。

★バンド
★頑固×奔放(ヘタレ攻め気味)

Windows in Time
M. Jules Aedin
Window in Time★★☆ summary:
向かいのアパートの窓に姿を見せる男は、何者なのか…

Jonah Sellersは別れた恋人が置いていった荷物につまずいて階段を落ち、足首を折った。
姉が買い物の用を足しにきてはくれるが、気が滅入る日々の中、彼は向かいの建物の窓に、粋だが古風な格好をした男の姿を見る。
彼はまるで、Jonahに見せつけるように意味ありげな笑みをうかべて、1枚ずつ服を脱いでいた。

Jonahの姉は休暇に出かける間、Liam Brooksという看護師をJonahのために手配した。
若く、おだやかな物腰のLiamにJonahは惹かれるが、Liamの態度はどこか煮え切らない。というよりも、たどたどしい。
不思議に思いながら互いの様子をうかがっている間に、Jonahはまた向かいの窓に男の姿を見る。

男は前と同じ服を着て、同じ笑みをうかべ、同じように服を脱いでいた。Jonahの方を見ているが、Jonahを見ているわけではない。

毎週火曜日の午後3時21分。同じ日、同じ時間。くりかえされるシーン。
彼は何者なのだろう? 誰に向けて服を脱いでみせているのだろう?
.....



この話は現代と、1957年の古きよきハリウッドの時代の2つをまたいで展開します。
窓のこちら側(現代)にいるJonahとLiamの2人、そして窓の向こうに見えるBuckとOliverの2人。

最初はジャック・フィニイの「愛の手紙」みたいな(名作っす)時をこえた2人の恋の話かと思ったんですが、それぞれの時代の、2つのカプの話です。
どちらのカプがメインということもなく、両方のカプがそれぞれの話を持っているという感じ。で、彼らは「窓」を通してつながっていく。
まあJonahの側から見えるのは、服を脱ぐ男の姿だけですが。
読む側からしたら、わりと早めに「窓から見える」のが1957年の2人(というかBuck)だということは推測がつきますが、BuckとOliverの方の話が進むにつれ、何故Jonahの窓からBuckの姿が見えるのか、一体2人に何がおこったのかが気になってきます。彼らがどんな運命に向かって進んでいるのか。
なかなか、その展開具合がにくいです。

1957年。当然、ゲイの人権などなく、理解もない。
そんな時代の中、BuckとOliverは非常に危険な手段で逢瀬を重ねます。
その末に何がおこるのか──何故彼らは2人ともに消えたのか。現代のJonahとLiamは、新聞の記事やインターネットから彼らの失踪に関する情報の断片を集めながら、それをつなげていく。

やがて事件の真相があらわれ、Buckが現れつづける理由も明らかになる。
50年前の物事の決着は、JonahとLiamにゆだねられます。
最後の最後にBuckとOliverが姿を見せるシーンはとても美しくて、スーツケースを持っているOliverの様子に心がしめつけられます。ついに出発できてよかったね。本気でじんときました。あれはいいシーン…

欲を言えば、50年前の2人にくらべて現代の2人のカプのドラマが薄いのがちょっと残念かな。Liamにもうちょっと何かあるかと思ったんだけど、意外とあっさりしていたのでそこは拍子ぬけの感がなくもない。
英語の崩壊したメールを送ってきたり、奥手なのにJonahにのめってたり、幽霊屋敷に住みたがってたりと、かわいいんだけど。惜しい。

M. Jules Aedinは、派手さはありませんが地味にいい話を書くので、最近気になっている作家です。品があるというか、味わいを感じる。
何本か読んだ感じでは、「時間」の積み重ねを描写するのが好きで、熱烈な「瞬間」よりも、そこからはじまっていく人間関係や絆にこだわりがあるようです。あと時代背景とか。書き慣れた感じがあって、展開はとてもうまい。

気持ちにじわりと染みこむ、素敵な話です。女装趣味が絡んでくるので、女装好きにもいいかもしんない。って書くと何ですが、なかなかに可愛いですよ。
余韻のある話を読みたい人におすすめ。

★窓から見える男
★過去と現代

T.A.Chaseの「Tabloid Star」が本日発売!
と、評判のいいJordan Castillo Priceの「Hemovore」を購入。読むぞ~。

T.A.のはブログからではなく書き下ろしなので、その分楽しみ。ゴツいバーテンダーと映画スター(?)の話のようです。刺青を舐めるシーンがあるという注意書き(押し?)があるのも楽しみ。
T.A.はとにかく幸せになれるから、いつでもどこでも楽しい。

Jordan Castillo Priceはすごく好きなんですが、彼女を読むのには結構気力と体力を持ってかれるので、ぼちぼち読もうっと。気持ちがダークに傾くのです。
やられた~という感じで、夜中に読んでたらそのまま朝まで飲んでしまいそうな時がある。危険な作家です。すごいよなあ。

★Three-Star rating system★


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