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Slash(m/m小説) レビューブログ

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The Hell You Say
Josh Lanyon
The Hell You Say★★★ summary:
Adrien Englishが経営する書店のアルバイトは、悪魔教のような集団から嫌がらせの電話を受けつづけていた。彼は怯えていて、その理由を言おうとしない。Adrienは大学生同士のいじめのようなものだと思い、彼にボーナスをやって一時的に町を去らせた。
町では奇妙な儀式による殺人死体が発見されはじめ、Adrienの隠れた恋人Jakeは、その捜査にあたっていた。

Adrienが書店のイベントに招いた人気作家は、とあるカルト集団について次回作を書くべく調査している──とイベント中に宣言し、失踪した。
そしてAdrienの書店の入口にも、悪魔教の模様のようなものがペンキで書かれる。
何かがおこっていた。Adrienは大学教授に会って悪魔教についての話を聞きはじめる。

その一方、Jakeとの関係は一見うまくいっているようだったが、そこにはいつも緊張感が横たわっていた。Jakeはホモセクシュアルである自分を嫌っていて、自分の性癖が明るみに出ることを恐れている。それは、Adrienが永遠に隠れていなければならないことを意味していた。
彼はJakeの日常の一部にはなれない。そしてJakeはAdrienを求める一方で、それ以上に「普通の」人生を求めていた。
.....



Adrien English ミステリシリーズ。2冊目ですが、3作目(1冊目に2話入ってるので)。
悪魔カルトによる殺人や、人の失踪で騒がしい町で、Adrienはいつものように事件に首をつっこんでしまいます。

JakeとAdrienの関係は複雑で、2人の複雑なキャラクターがそれをさらに入り組んだものにしています。Adrienはとても知的で、繊細で、Jakeの置かれた立場をわかっていますが、それが彼らの関係の痛みを減らしてくれるわけではない。
Jakeは強靭で苛烈なところを持つ男ですが、その一方でAdrienに対しては優しい。2人きりの時は。
ほかに何もいらないかのようにJakeがAdrienを求める一瞬からは、Jakeもまた、人生の中でもがいていることがわかります。

互いに互いの空虚を満たす、とても素敵なカプなんだけれども、破綻は足元まで迫っている。Adrienはそのことを知っているけれども、Jakeの方がそれを受けとめきれていないかのようです。
どちらも求め、どちらも苦しんでいる。互いに言葉に出して内面をさらけ出すことは少ないけれども、そのテンションがいつも互いの間にある。読んでいるとその複雑で切ない人生模様に引きこまれます。

一方でAdrienは事件を掘りつづけ、死体に行きあたったり、脅されたりと相変わらず忙しい。さらに身内の再婚やら、相手の家族とのつきあいなど、本当に忙しい。
あまり社交的なタイプではありませんが、彼の見せる繊細さと皮肉屋の一面を、人々は大抵好きになります。Adrienの中には拭えない影があって、彼は時おり扱いにくいけれども、大抵は優しくてフェアで、誰に対してもいい友人に見える。
だからこそ幸せに暮らしてほしいんですが。
騒がしい「日常」の中で、AdrienとJakeとの関係はもつれ、Adrienに好意を持つ男が現れ、だがその男がカルトに関っているかもしれない?と、物事は彼の周囲で混沌としていく。Adrienの人生そのものも、混沌としつつあります。他人といることが好きなわけではないが、外でにぎやかにすごした後、1人で書店の2階の住まいに帰るのは気がすすまない。で、事件を掘ってみるものの、それはさらなるトラブルやJakeとの対立を呼んでしまう。

読んでいると、何だかちょっとAdrienが可哀そうになる。彼はとても魅力的なんだけど、時おりあまりに孤独に見えます。
Adrienが求めているものが何なのか、それはやはりJakeと一緒の人生だろうと思いますが、それは決してAdrienの手が届くところにはない。そのことが、彼を余計に孤独にしている。

ミステリとしてもおもしろいと思うんですが、やはり読みどころはJakeの強烈なキャラクターと、それがAdrienの人生にもたらす津波のような力でしょう。
作者のLanyonは芯の強い強靭なキャラを書くのがとてもうまいけれども、その中でもJakeは群を抜いて強烈で、私は彼が好きですが、それでも読んでいて本気で怒りを禁じえないところもあったりします。あああ、殴ってやりてえ!
それくらい、物語として強いキャラです。彼はAdrienを傷つけるけれども、きっと彼自身も傷ついているのです。

決して甘い話ではありませんが、Adrienの人生の複雑さが凝縮された、濃密な一冊。
一度、腰を据えて読んでみるに値する物語だと思います。おすすめ!

★ミステリ
★対立

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Physical Therapy
Z. A. Maxfield
Physical Therapy★★★ summary:
Jordan Jensenはリハビリを終了して、新たな出発をするために St. Nacho'sの町へと引っ越した。無二の友人Cooperが恋人と暮らす町へ。
だが St. Nacho'sへ来たのは、そこに友人がいるからだけではない。Cooperが、3年の放浪の末ついに足をとめ、彼の中の痛みを癒やした場所。その町に興味があった。

JordanとCooperは、かつてともに酒とパーティに溺れて未来を失い、酔ったJordanが運転していた車が子供を轢き殺して、彼らはどちらも想像だにしていなかった人生の深みへと転落した。
Jordanは刑務所へ行き、同乗していたCooperはどん底の人生のうちに路上生活者となり、やがてSt. Nacho'sへとたどりついた。
そしてそこで、Cooperは自分の人生を手に入れたのだ。
友人が St. Nacho'sで何を見たのか。Jordanはそれが知りたかった。

町のスポーツジムに職を得たJordanは、最初の日にKen Ashtonに会う。Kenには、Jordanを憎む理由はあれど、好く理由はなかった。Kenの野球人生は酒酔い運転のドライバーの事故に巻き込まれて破滅し、その事故で友人を失い、彼自身、昏睡から覚めた今も自由に歩くことすらままならない。
だがKenは、Jordanのマッサージに癒やされる。Jordanにふれられていると、事故からはじめて、自分が生きていると感じる。

KenはJordanに惹かれ、Jordanはそれを恐れる。彼もまたKenに強く惹かれていたが、2人が関ることがいい考えだとは思えなかった。刑罰としては償ったとは言え、今でもJordanにあの罪がのしかかる。
誰が許しても、誰が忘れても、Jordanだけは許すわけにも忘れるわけにもいかなかった。あの子供。あの一瞬、世界が砕けちったあの瞬間を。
.....



St. Nacho's 2。
前作の「St.Nacho's」ではCooperが主人公で、彼が絶望の中でバイオリンを背負ってSt. Nacho'sにたどりつき、恋人Shawnの力を借りて人生と向き合うまでが語られました。
その中でも出てきていた、Cooperの友人であり、恋人であった男、そして共犯者とも呼ぶべき存在のJordanが今回の主人公です。

前作では、Jordanの内面が今ひとつ見えてこないところがあって、それが後半部分をちょっと弱めていたと思うのですが、今回のこの「Physical Therapy」でJordanはとても魅力的な顔を見せます。シャイで優しい。だからこそ苦しい。
痛み、絶望、罪悪感。「St. Nacho's」でCooperに責任を転嫁しようとしていたJordanはもういない。彼は再度のリハビリを経て、自分自身を立て直すすべを覚えた。それは、他人を癒やすこと。だからマッサージを覚え、St. Nacho'sへとやってくる。

一方のKenは、自分の人生が事故によって奪われた苦しみと怒りをかかえています。世界は彼の周囲でとざされてしまったかのようです。だが、彼はJordanのぬくもりを感じ、Jordanの中にある優しさ、彼からつたわってくる光へとすがりつく。
Jordanは彼を癒やしてあげたいと思うけれども、KenがJordanに向ける思いをどうしていいのかはわからない。彼は他人に与えることはできても、他人から何かを受けとることはできない。まだJordanの中には、罪や闇がこびりついたままなのです。
癒やしが必要なのは、KenだけではなくJordanの方でもある。それが、繊細な語り口からゆっくりと見えてきます。やがてKenもそれに気付く。
そこまでの、ひとつひとつ言葉や仕種を積み重ねていくような、独特の描写が味わい深い。

Jordanが他人を癒やすことで自分を立て直そうとしたように、KenもJordanを癒やすことで自分自身をも癒やしているのだと思います。彼らはどちらも苦しみ、1人では出口へたどりつけない。
でもSt. Nacho'sは癒やしの場所。奇跡のおこる場所です。
奇跡にたどりつくまでが大変だけども…

前作の主役、Cooperと恋人Shawnが元気そうにしているのも嬉しい。Shawnは相変わらずかわいいなあ~。耳がきこえないんですけれども、そのためかどうか、ダイレクトに真実を見抜き、真実を恐れない勇ましさがあります。周囲の会話をCooperが何気なくShawnに手話でつたえている様子も、2人の調和が感じられて美しいです。
あそこには希望があって、それを求めてJordanはSt. Nacho'sに来たのだろうと思う。

こうしてJordanの内面をのぞいてから前作を読み返すと、CooperとJordanの2人の友人同士がたどってきた人生や痛みが鮮やかに見えてきて、数倍楽しめます。
私はシリーズ前作は★2つをつけたのですが、2冊セットで考えると、迷わず★3つをつけますね。
しかしこれを読んでから前作を読み返しましたが、以前に手こずったこの作家の文章が、結構あっさり読めるようになっていました。
あれから50冊くらい読んだからなー。さすがにちょっとは進歩してるか。やっぱり萌えは強い。

繊細で美しい、静かな癒やしと調和の物語です。
ストーリー重視、エロ以外の部分重視の人におすすめ。「St. Nacho's」と2冊セットでね!

★贖罪
★リハビリ

Timeless
Patric Michael ※リンク先はMS Readerフォーマット
Timeless★★ summary:
NateとAndyは高校の時から一番の親友であった。Nateがゲイであり、Andyがストレートであることも彼らの友情を妨げはしなかった。
大学に入ってからも一緒に遊び、パーティをし、ルームメイトとしても暮らした。
いい時も悪い時も、彼らは互いのためにそこにいた。
Andyが真剣に恋をした女がNateをホモだとののしって、Andyが彼女と別れた時も。Andyは傷つき、混乱し、Nateを責める気持ちや自己嫌悪にさいなまれていたが、それでも彼らの友情は崩れなかった。

そしてNateは、Andyが恋人ではなく友人である彼の側についたことについて、深く考えはしなかった。

2人は人生の様々なアップダウンを経験しながら、友人のまま強く結びついていた。
だからAndyが従姉妹の結婚式に彼を誘った時、Nateは喜んで一緒に一週間の旅行に行く。

友人とのふざけあいから出た、ただひとつのキス。それが彼の人生を引っくり返すことなど思いもせずに。
.....



To Have and to Hold」アンソロジー収録の1編。1本だけバラで買えます。

2人の親友が、長い友情の末に自分の気持ちに正直になる話。
「友達を好きになる」というよりも、「好きだけど、ずっと友達でいようと思っていた」話です。でもどちらもその気持ちをないことにしている。Nateは望みがないと思っているし、Andyは自分の気持ちを受け入れたくなかった。

彼らの友情はとても強固なもので、2人とも恋人をつれてダブルデートしたりしますが、その様子がタチの悪い悪ガキ同士がつるんでるみたいで可愛い。色々なところで、かなり笑えます。
その悪ふざけのような言葉の中でも、彼らが本当に相手を大事にしているのがわかる。
だからこそ、互いの気持ちを認めることは簡単ではない。後戻りのきかない、失うことのできない関係に入りこむことが怖い。

この話の読みどころのひとつは、関係がすすんでからのAndyの気持ちです。好きだと言って、互いを受け入れて、でもそれだけでは現実と向き合えない。Andyにはまだそこまでの覚悟がない。
Andyは自分やNateに対してだけでなく、自分の友人や家族に対しても正直にならなければならない。でもそれは、自分がストレートだと言いきかせて生きてきた男にはとても高い壁です。
NateはAndyの「dirty little secret」にはなりたくないし、何よりAndy自身、Nateがそんな扱いを受けることを許せない。Nateとのことを、そしてNateを恥じたくはない。
どうするか。一瞬の欲望や愛しさだけでなく、この先の人生に何を望むか。Andyは人生の選択をせまられます。
単純にくっついてハッピーエンドとはいかない、そこがなかなかするどいと思う。

「ウェディングマジック」の1日の中で、Andyは正しい答えを見つけ出せるのか。
長い時間と友情の積み重ねが見えてくる、笑えて、甘くて、ほろ苦い部分も織り交ぜた話です。後味もいい。
「ずっとお前が」というシチュに萌える人におすすめ。楽しいです。

★短編
★親友同士

Nowhere Diner: Finding Love
T. A. Chase
Finding Love★★★ summary:
Timothy Gapinは傷心のうちに、故郷のミネソタを去る。
残ることはできなかった。彼はゲイであることを隠している恋人のために、ずっと自分たちの関係を秘密にしてきた。誰にも言わず、誰にも見られないように。それは仕方がない。そのことには耐えられた。
だが恋人は父親に言われるまま、女性と結婚した。しかも結婚してからもTimとの関係を続けたいと言う。
Tim自身も、また相手の女性も、そんな扱いを受けるいわれはない。嘘に塗り固められた人生に入りこんでしまう前に、Timはそこを去るしかなかった。

バスに乗って故郷を去った時、どこへ行くというあてはなかった。ただ遠くへ、遠くへ。
4日間バスで移動を続け、深夜のテキサスの食堂で、Timは食堂の若者が癇癪をおこして辞めるところに行き合う。成行からその青年のかわりに食堂で働きはじめた時、Timは何かを期待していたわけではなかった。
ただ通りすぎていく途中でたまたま足をとめた、それだけの、何でもない場所だった。

だが食堂と仲間は彼の存在を受け入れ、Timは思いもかけずに自分の居場所を得る。
そしてトラック運転手Bernie Capleyとの出会いは、Timに探すつもりのなかったものをもたらした。彼はBarnieと恋に落ちたのだ。
しかしミネソタに置いてきた筈の過去は、そのまま彼を放っておいてはくれなかった…
.....



「Nowhere Diner」の「Nowhere」というのは、どこにもないような不思議な場所、というようなことだと思います。

この食堂が実際になかなか不思議というか、ありそうでなさそうな不思議感が漂う場所で、小さい町の小さな食堂らしくゴシップもとびかい、人のことに口もはさむのですが、その一方でちゃんと相手の尊厳を大事にする。ゲイだからと言ってTimを特別視したりはしない。
海軍のコックあがりの主人、レズビアンであることから家を叩き出されたウェイトレス、戦争のトラウマから酒に溺れているコック。決して人生は薔薇色ではないけれども、彼らはその食堂で小さな世界の調和を作っています。

Timは22歳で、人生の経験も乏しく、過去の恋の記憶を引きずってもいる。
思いもかけずにBernieとつきあうようになってからも、どうもその記憶が彼を揺さぶります。あの不誠実な恋人以外、Timは恋人を持ったことがない。「電話するよ」と言われて「わかった」と返事をしても、電話がくるわけないと決めこんでしまうところがある。相手を信じるとか信じないということではなく、Timはそんなふうにちゃんと約束を守ってもらったり、恋人から大事にされたことがない。
そのことにひとつずつ気付き、Timは自分がどれほど不健全な恋をしていたのかに気付いていく。

コックのChadとTimとの淡い友情もいい味を出しています。
傷ついている相手を、Timは無理に殻から引きずり出そうとはしない。自分が傷を得た経験から、彼はただChadに居場所を提供して、Chadのブライドを尊重する。そのことはきっとChadにはとても大きなことだったのだと思う。
Chadの物語はこの中では語られませんが、「Nowhere Diner」シリーズとしていずれ書かれるのではないかなーと。というか、作者のTAのことだから、故郷にいるあのろくでなしな元恋人もいつか救済してあげそうな気がします。まあ救済される前にいっぺんどん底に落ちることまちがいなしだが。ほんとにあの男、最低だー!あの最低っぷりは結構すごい。
でも彼の中にも痛みや苦しみはある。それはよくつたわってきます。

人生の現実が色々とふりかかってくる中で、その痛みと、おだやかな食堂の空気とが調和した、独特の雰囲気の話です。
つらいことはたくさんあるんだけど、明日はいいことがおこるかもしれない。そんな静かな希望が全体を通して感じられるのは、Timのおだやかな人となりが語り口から感じられるからでしょう。BernieがTimの中に何を見て恋に落ちたのか、何故Timを助けたいと思ったのか、Bernie自身も語らないんだけど、読む方にはつたわってくる。派手ではないけれども、とても魅力的でやわらかな青年です。

どこにもない、どこかにあるかもしれない場所。
そんな食堂を舞台にした、ほろ苦さもある大人のおとぎ話。気持ちの中に静かに入ってくる話です。おすすめ作。
包容攻め好きとか、攻めに大事にされる受けが好きな人には、特に!おすすめ。

★過去の傷
★居場所探し

Dreaming in Color
Cameron Dane
Dreaming in Color★★☆ summary:
この2年、Colin Baxterは赤いドアのある家の夢を見ていた。
そして、その家に住む男の夢を。

男の顔はいつも見えない。だが男の中にある痛みや悲嘆はColinに鮮やかにつたわって、いつも彼はそれを癒やしたいと思うのだった。夢の中で男とくり返し体を重ねながら、彼はいつか現実にその家を、そして家の主人を見つけたいと願っていた。それはそれほどリアルな夢だった。

友人の結婚式のためにフィジーを訪れたColinは、ボートの上から小さな島に建つ家を見て呆然とする。
あの家だった。幾度となく夢で訪れた家。
だがその家に赤い扉はなく、家に住む男はColinの夢など見たこともないと言う。

己のあやまち、そして死んだ恋人の記憶から逃げるようにフィジーへ渡ってきたMarek Donovanの望みは、ただそっとしておいてもらうことだけだった。そのために人里離れた島に家を買ったのだ。それから2年、彼は望み通り孤独に暮らしてきた。
だがいきなり現れたColinの姿、そして彼がこの家と赤い扉の夢を見ていたという話を聞いて、Marekは凍りつく。
Colin Baxter。忘れる筈もない、彼の高校の同級生。過去から現れた男。
これは何かの罠か、復讐なのだろうか。Colinは、Marekが何をしたのか知っているのだろうか。Colinの体に残る傷、その痛みをもたらして彼の人生を変えたのがMarekであったことを。彼は知っていて、現れたのではないだろうか。
.....



夢の話です。
「あなたの夢を見ていたんだ」というのはよくある恋物語ですが、「家の夢を見ていた」というのは、スラというよりホラーっぽいパターンですね。
これも超自然現象が(ほんのちょっと)からんできて、見方を変えるとちょっと怖い。いや、話はハッピーエンドで情感のあふれるいい話ですが。あの家はこの先もずっとこうやって自分の好きな住人を呼びよせていくのかなーとか、余計なことを考えると涼しくなれます。

Marekは幾度もあやまちを冒してきた男で、Colinに対しても強い罪悪感をもっている。彼らは互いに惹かれていくけれども、惹かれれば惹かれるだけ、Marekは過去にあったことを言い出すことができません。
Colinは自分を許さないだろう、そう思いながら、それが怖くて口をとざし、Colinを抱きしめる。彼の痛みが物語の焦点になっています。

大人になってからの再会の話もおもしろいんですけども、学生時代の追憶がパワフル。そんなにその部分のボリュームはないんですが、少年の罪悪感や情動、羨望、焦りや虚勢で混沌とした心や、それに追いたてられるように最悪の選択をしてしまう、その一瞬の怖さがよく出ていると思います。
そして今でもMarekはそのあやまちに背を追いかけられている。向き合わないから抜け出せないんですが、1人で向き合うことができないMarekの気持ちもよくわかる。

Colinも頑固でかわいいですが、Marekの複雑で痛みをかかえたキャラクターがいい。はじめは冷たくColinをあしらおうとするけれども、結局それができない。強い男のようでいて、あちこちにやわらかな部分をかかえている、それが見えてきます。
この話は、Colinが夢によって「家」を見つけ出し、Marekを悲嘆や孤独から引きずり出すまでの話ですが、決してColinや偶然の力だけではなく、Marekが自分の決断で闇から抜け出そうとする、その部分が美しい。

あとJordan(Colinのルームメイトの女性)が、なかなか魅力的。
「ゲイに理解のあるお節介な女性」ってはよくあるサブキャラですが、あまりにも無個性だったりいたたまれないような振舞いをしたりするケースが少なくない。あれはキツくて苦手です。
その点、Jordanは個性的で、彼女自身も色々な問題をのりこえてきた(Colinのおかげで)様子が、うまいこと見え隠れしています。びっくりするほど口が悪いが。

Cameron Daneにしては色々地味な話だけど(エロも結構あるけど、わりとそこも地味)、それだけにいつもより万人向けかも。おとぎ話のようなフィジーの美しい自然、超自然的な夢、10日間のバカンスなどの「非現実」的な部分と、痛みや苦しみのある「現実」の世界をうまくつないで織りあげた、佳作だと思います。

運命とか、あやまち、贖罪など、そういうキーワードが好きな人におすすめ。

★過去のあやまち
★夢

Enthralled
Laura Baumbach
Enthralled★★ summary:
Colin Dobsonがホテルの窓から身を投げたまさにその瞬間、夜空を飛来した何かが、彼を部屋の中へ押し戻した。

Rowland Campbellは3人の吸血鬼ハンターに追われ、矢で貫かれたまま人間の部屋にとびこむ。
そこで出会ったのは、自殺願望を持つ端麗な青年であった。

彼らは完璧な取り合わせであった。Colinは死を歓迎し、Rowlandは傷を癒やすために人間の血が必要だった。
この暗い闇を生きる日々はRowlandの望んだものではない。だがそれでも彼は千年以上の長きにわたって、生きるために戦いつづけてきた。それが人間の命を奪うことを意味しても。この先も戦い続けることに迷いはなかった。
Colinの血を啜ることにも。

はじめは獲物と捕食者。だが2人は互いの中に、自分に欠けていたものを見出す。ColinはRowlandに守られ、必要とされ、欲されることに満たされ、Rowlandはこのひ弱な人間の中にある純粋さに惹かれた。それは彼の中にある、決して埋められない筈の空隙を満たす光。
.....



Breathing(Enthralled2)
Laura Baumbach
Bleathing★★☆ summary:Colinは、それまでの、外界から切り離されたような人生では考えられないような日々を送っていた。
Rowlandとともに旅をし、独占欲の強いこの恋人から、信じられないような快楽と情熱を教えられる。RowlandはColinを守り、すべてを与えた。

だが同時に、すべてを分かちあおうとはしなかった。どこへ行くのか、何のためなのか。常に彼は判断を自分で下し、Colinを従わせた。そのことにColinが不満を持っているわけではなかったが。
ただひとつ、Colinが恋人と分かちあいたいと望むものは、呼吸──生きている恋人のように、Rowlandの息とそのあたたかさを分かちあいたかった。彼はRowlandを愛していたが、闇の中で息をしない肉体とともに横たわっているのは、想像以上に彼の気持ちを波立たせた。

RowlandはまたもやColinに何も言わないまま、彼を刺青師のところへつれていく。
そして彼らの背後には、執拗にRowlandを追うハンターの影も迫っていた…
.....



短編なので、2本まとめて紹介。
「Enthralled」シリーズの1と2です。

吸血鬼と人間で、わりとテンプレというか王道ですね。
Rowlandは古く力の強い吸血鬼で、強く、たくましい肉体と、不屈の精神を持つ。Colinは子供の頃からの病、それにともなって外界から隔絶されて育ち、家族とのふれあいも少なかったようで、繊細というかちょっと壊れやすい感じ。それだけに、無邪気でかわいいところもある。
2人が運命のように互いに落ちていく様子が語られています。

Rowlandがまさに「闇の支配者」然としていて、傲慢で美しく、いい吸血鬼っぷりです。
獲物として見ていたColinに惹かれるものを覚え、飽きるまでそばに置いとくかと思って手を出してみる。しかし気付いてみれば、相当がっつりColinにハマってしまっているようです。
「俺様」な人が(というか吸血鬼が)恋に落ちた相手を守るの図ってのは、とにかく読んでいて楽しい。守ろうとしながら支配する、その感じがよく出ています。

戦闘シーンや刺青のシーンなどもしっかり書かれていて、一気に盛り上がって読めます。
吸血鬼や王道好きの人におすすめ。
体格差、保護者/被保護者、支配者/従属者など、わりとスラの中でも「BLっぽい」感のある話なので、「スラッシュを読んでみたいけど、あんまりガチムチっとしたのは…」という人にも入りやすい1本だと思います。

★吸血鬼/人間
★タトゥー

Dreaming of Dragons
T. A. Chase
Dreaming of Dragons★★★ summary:
エルフのMordredと聖騎士Georgeは、幻想界で長年に渡る恋人同士であった。何ものも自分たちの関係をおびやかすことはない。2人のどちらも、そう考えていた。

だがドラゴンや、魔法の生物たちが幻想界の領域を越えて人間の世界に現れはじめ、Georgeはガイアの命を無視して人間に力を貸すために立ち上がる。2つの世界のバランスを取り戻すために。
恋人が自分から離れていくことに、Mordredは気付いてはいたがどうすることもできなかった。人間たちに──主にKaelとHughに──力を貸してやりたいのはMordredも同じだ。
ただ恋人の高潔なほどの犠牲的精神は、Mordredは持ち合わせていなかった。
そしてGeorgeの正義を求めるまっすぐな心根を、Mordredは愛していたが、理解しているとは言いがたかった。

GeorgeはMordredから離れて別のものを守りはじめ、だが彼らの戦いを嘲笑うかのようにドラゴンは現われつづける。
Mordredは、ドラゴン出現の裏で糸を引く者の正体を暴くために最後の賭けに出た。
それは恋人のため、そして人間界にいる友人たちのための賭けであった。だがその賭けがGeorgeとMordredを大きく引きはなすことになる。

2人は世界を守るため、友人たちを守るためにどこまで自分たちを犠牲にしなければならないのか。
そしてMordredは恐れていたことを目のあたりにする。Georgeの高潔さは、彼の──彼らの──すべてを犠牲にするほど強いものであることを。
.....



Here Be Dragons」の続編。かつ、完結編(おそらく)。
KaelとHughの2人の人間を中心に語られた前作に対し、今作は幻想界の人たち、魅惑的で移り気な美しいエルフMordredと、はからずも遠い昔に彼と恋に落ちてしまった気高い聖Georgeを中心にして展開していきます。

前回に引きつづき、まだドラゴンや海蛇は人間界で暴れ回っています。KaelとHughはドラゴン狩りに追われ、Georgeはそれを影のように助ける。
Mordredは、ちょっと暇にしています。んでもって、暇になるとかまってほしくなるのが、この猫のように高慢なエルフの気質でもある。皆が駆けずり回っているこの非常時に無責任ですが、そのへんが可愛いところです。

もともと彼は、聖Georgeなんていう堅物と恋に落ちるつもりはなかった。1人の恋人とずっとつれ添うなんてことは、気まぐれなエルフにとって予想の外だった。
それでもお互い、とらわれるように恋に落ちてしまった、その遠い昔の出会いと回想が物語のそこかしこにはさんであって、「いやホントにそんなつもりはなかったんだけど」というMordredのつぶやきが聞こえてくるようで、おもしろい。

わがままを言ってばかりではなく、MordredはMordredで仕事はしてますが、忙しいGeorgeに「お前は暇でいいな」と言われてカチンとしたりする。そりゃGeorgeほど熱心じゃないけどさ、そんな言い方あるかよ、てな感じでやさぐれたりします。
いや本当、可愛いです、このエルフ。あんまりこれを1人にしちゃいかんよ、Georgeも。
実際に悪い虫が近づいてきたりするわけですが、Mordredの方が虫よりたちが悪いかも。

私は、前作を読んだ段階ではそんなにこのカプには興味が沸かなかったのですが(何か出来すぎな感じのカプだし)、いざこの2人に焦点を移して語られてみると、感情のやりとりや重ねてきた年月が鮮やかにせまってきてとても楽しめました。
一方で、Kealの問題もちゃんと書かれていて、Kaelが前作で描かれたトラウマから完全に立ち直っている様子も見てとれます。よかったなあ。なかなかにいさましくて、Keal好きならそこだけで一読の価値あり。相変わらずHughとラブラブです。

2人の人間と、エルフと騎士は、ドラゴンの出現をとめられるか。そのメインのストーリーもしっかり書かれていて、隙なく楽しめる話に仕上がっています。
そして最後に、彼らは何かを犠牲にしなければならない。命、記憶、恋。犠牲を払うのは誰なのか。
ある意味ベタな展開ですが、それが正面きって書かれていて、文句なしに最後の最後まで盛り上がります。「王道」はやはりこうでなきゃ。

前作を楽しんだ人なら絶対におすすめ。
2冊あわせて上質の「物語」でもあるので、ドラマとファンタジーと愛らしいカップリングを同時に楽しみたい人に。

★堅物騎士×移り気エルフ
★自己犠牲

Channeling Morpheus: Manikin
Jordan Castillo Price
Channeling Morpheus:★★☆ summary:
Marushkaという女の吸血鬼が、Michaelに永遠の命を囁いて彼女の部屋へと誘う。レースやベルベット、磁器、真珠──陽光の入らない一室はそれらのものであふれていた。
「人形」たちに美しい衣装を作ることに情熱を注ぐこの女吸血鬼は、Michaelを新たな獲物にしようとしていた。
見目のよい、ちょっとした小物をふやすように。もう一体の人形をふやそうと。

Michaelは吸血鬼たちが長く生きれば生きただけ性質が悪くなるのではないかと疑ってはいたが、彼らがどれほど常軌を逸脱するのかまではわかっていなかった。自分がどんなことに足をつっこもうとしているのかも。

吸血鬼を眠らせることには成功したものの、にっちもさっちもいかない危機に陥ったMichaelの最後の希望は、Wild Billだった。吸血鬼の男。
彼はMichaelを救ってくれるだろうか。それとも、2人の間に「何か」が存在すると思っているのはMichaelだけなのだろうか。セックスよりも、血よりも深い何かが。
.....



Channeling Morpheusシリーズ」3作目。
前2作ではキャラクター同士の邂逅と関係の深まりを書いていましたが、このあたりからまさにJordan Castillo Priceの本領発揮というか、暗い、湿った、ざらついた世界を思うさま楽しむことができます。
年経たヴァンパイアの暗い部屋でBillとMichaelは再会し、Michaelは浴室の床に倒れたままのヴァンパイアの首を切り落とさなければと思いながら、闇の中でBillの愛撫を受ける。暗い情熱が2人をつないでいる。

Wild Billは生きていくために人の血を吸わなければならず、彼が誰かを殺しているわけではないと知りつつも、彼とのキスに他人の血を味を感じたMichaelの感情は乱れる。BillがMichaelだけの血で生きていけるわけはない。だが、それでもMichelは耐えられない。それは嫉妬です。
恋人というわけでもなく、名前のつけられない関係に溺れるように、2人は互いを求めていく。未来がそこにあるのか、多分2人のどちらもわからない。

吸血鬼の血で血まみれになったMichaelをBillは抱きしめ、MichaelはBillの口の中にある他人の血の味を消そうと、自分を噛むようせがむ。
2人をつなぐ不気味なほどの情動と、そのテンションが見事です。長さとしてはちょっと長めの短編という程度ですが、色々なものが凝縮されていて濃密に楽しめると思います。

ダークな雰囲気が好きな人に是非おすすめ。

★吸血鬼×人間
★吸血プレイ

Str8te Boys
Evangeline Anderson
Str8te Boys★★ summary:
Maverick HolmsとDuke Warrenは同じ大学のサッカーチームに所属し、4年の間ルームメイトであった。
Dukeは陽気で、不屈で、時に騒々しいほどのところがあったが、Mavはこの友人を心の底から大事にしていた。

大学生活、そしてDukeとのルームシェアが終わろうとしている時、2人で払っている家賃の半分をDukeが使いこんでしまう。
金に困った2人に、ゲイの友人が「Str8te Boys」というサイトを紹介してくれた。それは男同士の写真をのせているゲイ向けのサイトだが、タイトル通り「ストレートの」男をテーマにしたもので、あまり「ゲイっぽい」ものではない。ちょっと雰囲気のある写真を取るだけだ。
そのモデルをして、金の穴埋めをしないかと言うのだ。

Mavは少し迷ったが、それほど抵抗があるわけではなかった。MavもDukeもゲイではない──だがたまに2人は、「gay chicken」というチャレンジをして遊んだ。ふれたり、極端に近づいたりして、先に引いた方が負けというものだ。
2人のふざけあいは、時にかなりきわどいところまでいった。どちらも負けまいとして、そのチャレンジはどんどんエスカレートし、キスをしないという暗黙のルールさえもいつのまにかなし崩しになっていた。

それでも、彼らはどちらもゲイではない。
少なくともそれがMavの信じていることだった。そして彼は、Dukeとともに写真のモデルになることを承諾するのだが…
.....



卒業を目の前にした、大学生のルームメイト2人の話。
「Str8te Boys」てのは「Straight Boys」の意味で、ストレートっぽい男たちの、きわどい雰囲気の写真をのせているサイトです。2人はここでモデルをして稼ごうとする。

2人はとても仲がよくて、でもMavはそれをすべて友情だと思っている。
話はMav視点から語られるのですが、彼の視線を通してすら、「お前は鈍いよ」と言いたくなる鈍さというか、かたくなさです。「gay chicken」ゲームでキスをしても問題ない、何故ならそれはゲームで、相手はDukeだから。別に何もおかしなことはないな。Mavの頭の中ではそんな感じで物事が回っています。
気付け。せめて、キスの先にいってしまった時に気付け! ゲームを自分から仕掛けるようになった段階で、気付けよ! 
と、そのへんを楽しむ話でしょう。

陽気な雰囲気があって、全体に何か「大学生っぽさ」というか、荒削りな情熱で進んでいく感じがおもしろいです。話全体のノリがよくて読みやすい。
「gay chicken」とかも実際にあったらどうよ、という遊び方なんだけど、大学生だと思うと悪ノリはありだと思う。青春ぽいというか。
それでまた、気持ちの裏にあるものが段々わかってくるにつれ、Dukeの視点から物事を考え直すとすごく楽しいです。あー、ここで耐えてるな、とか。ここは地獄だなとか。

本当にノーマルだと思っていた、とか、自分との葛藤とか、同級生からの疑いや反射的な否定など、大体一揃い分のドラマが入って楽しく読める一本です。長さもそんなにないし。
友情発展ものが好きな人、言いたくて言えない感じが好きな人におすすめ。

★ルームメイト
★チャレンジゲーム

Mexican Heat
Laura Baumbach & Josh Lanyon
Mexican Heat★★★ summary:
サンフランシスコ警察のGabriel Sandaliniは、情報屋とコンタクトを取るためにバーに出かけたが、情報屋は現れず、正体のわからない男と行きずりの関係を持ってしまう。
名前も知らないくせに誰よりも彼を理解し、彼の中にあるものを見抜く男。
だが、二度と会うつもりはなかった。Gabrielは誰かに弱味を見せたり、関係を深めることなくここまで生きてきたのだ。彼の生活では、他人に必要以上に近づくことは命の危険を意味した。

Gabrielが麻薬組織の中に潜入捜査を開始して、もう2年になる。この2年で中核へ近づいてきた。
あと少しで大きな組織を摘発できる筈だった。

Gabrielの潜りこんだ組織が、メキシコの組織と組んで新たな麻薬取引をはじめる。取引の話し合いのために現れた、相手の組織の連中に見知った顔を見つけ、Gabrielは凍りつく。
あの男。
バーでの一夜の男は、メキシコの麻薬組織のボスの片腕だった。

優雅で、強く、確信を内に秘めた男、Miguel Ortega。Gabrielは彼をできる限り無視しようとする。ここで揺らぐわけにはいかない。
だが2人は上から命じられ、麻薬の取引ラインを確立するために一緒にメキシコへ旅立つ。そこで2人きりになったOrtegaは、Gabrielに思わぬことを言った。Gabrielのボスが、Gabrielを邪魔に思っている。できるだけ早いうちに、隙を見つけて逃げろと。
だが逃げられない。潜入捜査はやりとげなければならない。それが自分の命の危険を意味しても、Ortegaを刑務所に叩きこむことを意味しても。

そしてまた、Ortegaにも大きな秘密があった──
.....



Josh LanyonとLaura Baumbachの合作。というか、インタビューとか読むとLauraの書いていた話にLanyonがメールで指導を行ったようです。
Amazonでもペーパーバックが出版されていて(そっちが先らしい)、去年、電子書籍としても再発売されました。

熱い、本格クライムサスペンスです。好きな話なので何回も読み返しています。描写が力強くて気持ちがいい。
Gabrielは怒りと孤独に満ちた、荒々しい男で、潜入捜査をしている刑事としての自分以外に「自分」を何も持たない。家族も、友人も。
Ortegaはスペイン人。こっちも熱いな。ちょっと笑っちゃうほどキザなところがありますが、映画の主人公のような「いい男」です。彼はGabrielに惹かれ、その中にある空虚に惹かれる。だがのばした手を、Gabrielはいつも払いのける。どれほど惹かれていても、彼はその手をつかむわけにはいかない。

とにかく2人の間にある緊張感がただごとではありません。前半の、互いの秘密を間に置いた時の緊張感、後半での互いの人間関係がまるで変わってしまった後からの緊張感。傷ついたGabrielはその闇から這いあがろうとし、Ortegaは手を貸そうとするが、Gabrielの孤独とプライドは彼に対しても牙を剥かせる。
大きな運命のうねりの中で、それぞれ強烈な個性を持つ2人の男が、何かを作りあげていく。その過程は荒々しく、痛みに満ちています。

映画のようで、一気に読める話です。いくつか後半に「もうちょっとここに描写があればなあ」と思うところもありますが(特にGabrielの最後の変化の描写がほしかった)、いい話だからこその文句と言えるでしょう。
てゆーか私はもうちょっとラブラブなシーンが読みたかった。エロってわけじゃなく。もうそれは好みですな。でもOrtegaにいいように甘やかされるGabrielとか、すごくいいと思うのだ!

こういうジャンルが好きなら絶対おすすめ。かなりびっくりするような展開があり、ハラハラしたい人にも。
キャラが肉体的に苦しむ部分がありますので、そういうの苦手な人は注意。

★クライムノベル
★潜入捜査

Diving In Deep
K. A. Mitchell
Diving In Deep★★ summary:
Cameron Lewisは水難救助のインストラクター兼トレーナーとしての自分の仕事を気に入っていた。
あちこちの町から町へ講習を行うためにとびまわり、30歳に近くなった今も決まった恋人はいなかったが、寝る相手に困ることもなく、人生に満足していた。いた筈だった。

Noah Winthropは兄の幼馴染にずっと恋をしていた。それは初恋だった。だが16歳の時に思いきって打ちあけても、Cameronは彼を相手にしなかった。
Noahが19歳の時、兄の結婚式でCameronが介添役をつとめる。そしてその夜、NoahはCameronと一夜をともにした。
目がさめるとCameronは姿を消していて、それから6年間、NoahはCameronの姿を見ることはなかった。

のりこえたつもりでいたが、いつもNoahの心の中にはCameronがいて、あの一夜を忘れることができずにいる。
そんなある時、水難救助の研修の概要に、NoahはCameronの名前を見つけ、6年ぶりの再会を果たした。Cameronは大人の男になったNoahに強く惹きつけられるが、Noahは2度とかつてのまちがいを繰り返すつもりはなかった。
これを一夜の関係にはできない。NoahはCameronのただのセックスの相手ではなく、もっと意味のある関係になりたかった。
そしてそれは、まだCameronにとって心がまえのできない関係でもあった。
.....



親友の弟に迫られて、うっかり寝てしまった。しまったと思って背を向けて、6年たって近くの町まで戻ってみたら、その相手はとんでもなくゴージャスな男になっていた、さてどうする。というような話。
NoahはCameronの「特別」になりたいけれども、6年前にCameronが何も言わずに消えてしまったことはトラウマになっていて、Cameronに強く踏みこむことができない。また逃げ出されたらどうしようかと思って、何だか自分にとって曖昧なまま関係を続けてしまう。

一方のCameronは強い男で、つねにTop(攻め)です。
だがNoahはいわゆる「Bottomタイプ」ではなく、そのことがCameronを悩ませたりする。自分はTopでいたいけれども、Noahは一体どうなんだ、とか。あんまり本当は相性よくないんじゃないか、とか。
「リバ上等」が多いスラの中で、ここまでTopがBottomがと悩みつづけるのは珍しい。でもそれはただの嗜好ではなく、Cameronの性格というか、Cameron本人にとって大事な立脚点です。コントロールを握りたい男。だがNoahは彼を揺さぶる。ほかの誰にもできないような深みから。
それが余計、彼にNoahとの間に一線を引かせる。

NoahはCameronを愛していて、こうやって関係を持てるだけで充分だと思っていますが、それだけでは駄目かもしれないとも思う。
好きでも。好きだからこそ。
そのあたりでぐるぐるするNoahが、ちょっと馬鹿馬鹿しいくらいかわいいです。でかいゴージャスな男が捨てられたことのある犬みたいにうろうろしながら、それを隠そうとたまに意地を張っている。初恋だから仕方ないな!

K.A. Mitchellの話の特徴としては、人と人を結ぶ力関係の複雑さと、それに翻弄される感情描写の強烈さです。そのあたりの表現が非常に細かい。「細かいことは気にするな」というタイプの人には向かないくらい、細かい。キャラが強烈なだけに読んでいておもしろいんですが。
人間関係のあれこれを読みたい、という人におすすめ。情動、緊張感、期待、失望、息苦しさ。時に争い、時に言ってはならないことを言ってしまったりもする激しい2人です。
エロも相当に濃厚。

で、私はこの話を読んでやっと「Collision Course」の内容が腑に落ちました。Joey(この話ではNoahの元彼)が主役なのですが、この「Diving In Deep」の彼を見ると、あっちの話での言われようが理解できます。たしかにJoey、問題あるな。そう思って読み返すとわかる。ああ、半年かかってすっきりしました。
やっぱシリーズはちゃんと順番に読むものですね。この本を読むまでシリーズだったことも認識してませんでしたが。
そのうちあっちもレビュー書こうと思います。

★初恋(再会)
★エロ多め

Bound By Love
T. A. Chase
Bound by Love★★★ summary:
もう故郷に戻るべき時、気まぐれな双子の兄──JTの面倒を見続けるのをやめる時だった。
Tyler Newsomeは兄とロデオサーキットに背を向け、故郷の牧場へ戻ることにする。ロデオに参加している時も、いつも彼の心は故郷にあった。
いや、故郷だけではない。故郷にいる1人の男へと。

Ren AlstonはいつでもTylerに惹かれていた。
だがアフガン戦争から戻ってからの彼はフラッシュバックに苦しめられ、人とまともな関係を持てる状態ではなかった。そんな時、Tylerの兄JTに言い寄られて一時的に関係を持ったが、ほとんど長続きしなかった。
どのみちJTときちんとした人間関係を結べるとは、Renは思っていなかったが。わがままで気性の激しいJTは嵐のようで、おだやかで辛抱強いTylerとはまるでちがった。彼らの関係は互いに一瞬の愉しみでしかなかった。

それから時間がたち、Tylerの帰還を聞いたRenはそのニュースを歓迎する。人生の安定を取り戻した今こそ、Tylerと向き合うだけの勇気が持てるかもしれない。
そして今度こそ、そこから何かをはじめられるかもしれない。

だが彼らを取り巻く環境はやさしくはない。JTは相変わらず、Tylerの周囲を引っかき回して弟の関心を取り戻そうとする。
Renには自分と同じように戦争でトラウマを追った弟がいて、ひどいフラッシュバックが彼に銃を握らせる。
そんな現実の中で、2人のカウボーイは長年秘めてきた思いを、確固とした絆に育てることができるだろうか。
.....



おだやかでまったりした性格のTylerと、年上のカウボーイ、やや支配的で傲慢なほどに強い性格のRenの話です。
全体にラブラブっとした話で、個人的にはこれ読んでると結構ほのぼのするんですが、背景は入り組んでいて、風あたりの強い現実の中で互いを求めようとする2人の姿を応援したくなります。そしてまた2人でいる時の感情の濃厚さがすごい。

一方、JTの破滅的な性格もなかなかいい味を出している。TylerとJTは子供の頃に母親をなくしていて、その時に母から「JTの面倒を見て」とたのまれたTylerはそれからずっと兄のために色々なものを犠牲にしてくる。だがそれでも──だからこそ、JTはTylerが自分から離れていくことが許せない。
Tylerは自分より兄の方が人目を引き、ロデオの才能もあり、いわば自分が影の存在であることを知っているけれども、そのことをコンプレックスにはしていません。自分は自分、JTはJT。おだやかにその状態を受けとめ、そんな地に足のついたおだやかさをRenは愛し、癒される。

Renは戦争でのフラッシュバックをかかえていて、疲れきるまで何日も眠らずにすごすような男です。強いが、その内側に深い傷をかかえている。
Tylerの存在は彼の中にある闇を少しばかり明るいものにして、彼を幸福にします。Tylerを決して手放すつもりはないけれども、Renは自分が他人とまっすぐに向き合い、正常な恋愛ができるかどうか心のどこかであやぶんでもいる。
そしてその不安を癒やすのも、Tylerの存在なのです。

色々なドラマの糸が入り組んで、濃淡の深い話ですが、一方で明解な強さのある物語です。T.Aの話はどれも読みやすく、平明なようで深いのがすごいと思う。
JTのわがままさも決してただわがままなだけではなく、彼もまたどこかに苦しみをかかえているのが見えてきます。まあどうしようもないガキですが。

非常にかわいい、相手の存在をまっすぐに求めようとする2人の話です。受け攻め固定。
甘々で濃厚な話が好きな人におすすめ。双子ネタが好きな人も(双子カプじゃないけども)。
BDSMプレイやら、カラメルソースプレイやらあって、エロシーンも濃厚です。えげつないような描写はないので、よっぽど苦手な人以外は読む人は選ばないかと。
JTの話は、続編としていずれ出るとのことです。楽しみ~。

★BDSM
★年の差

Death Or Life
T.A. Chase
Death or Life★★ summary:
Noah Wiltsonは、静かに暮らすこと以外は何も望んでいなかった。だが大統領選挙に立候補する父のため、「理想の家族」を見せるためのキャンペーンにつきあわざるを得ない。
父親にそれ以上の興味や関心を持たれていないことを、Noahは知っていた。息子がゲイであることが明るみに出れば、自分の選挙に大きくかかわる。父が気にしているのはそれだけだ。
Noahは普段は父親や家族と距離をあけ、必要とされればキャンペーンにつきあい、父の邪魔にならないようにしてきた。

だからある夜部屋に戻ると、殺し屋が待ち受けていたこと、そしてその殺し屋から雇い主が父親であることを聞き、Noahは心の底から驚愕した。

殺し屋は、これが最後の仕事になることを知っていた。Noahの存在を誰かが邪魔にしているように、自分の存在も誰かの邪魔になっている。消される前に消えるしかない。
Noahを殺すか、生かすか。その選択は彼の手の中にある。もしもうこの仕事を続けないのなら、Noahを殺すことに何の意味があるだろう?

自分の身を父親から守るための書類を持って、Noahは母方の祖父の元へ身を寄せる。事情を呑みこんだ祖父はNoahのために護衛チームを雇った。
セキュリティのリーダーにはCain Packertがついた。かつて政府のために働いた経歴を持つというこの男にNoahは強く惹かれるが、同時に、Cainの中に、暗闇で出会ったあの殺し屋に似たものを感じていた。
.....



父親に殺されかかった青年と、殺し屋と、護衛の話。
誰と誰がカプなのかはとりあえず内緒。ていうか、途中までまさか三角関係??とびっくりしたのですが(T.A.らしくないので)、そんなこともなく、甘々カップルでした。やっぱりね。

そして内緒にするとあまり書けることがない…
相変わらずカプ的には幸せですが、今回は殺し屋やその出生の秘密などが絡んでいて、どことなくあやうい緊張感が常に張りつめています。
そしてまた、Noahの父親はまだNoahのことをあきらめていない。Noahの危険はまだ去っていない。

Noahはただの研究員であって、生死のやりとりや殺し屋の存在は彼の理解を越えている。突然の事態に翻弄されながらも、彼は彼らしくまっすぐに物事に対処しようとしています。
おだやかでありながら、芯が強いあたりは、いかにもT.Aのキャラらしい。恋人に秘密があることを感じとりながらも、それをこえた信頼を寄せる様子がなかなか愛らしいです。

殺し屋の独特な性格づけが、物語に陰影を与えています。どこか人生に無関心で、人を殺すことを何とも思っていないが、決して残酷な男ではない。現実的で、シニカルで、感情を抑えた男。
彼がNoahを助けたのは決して感傷からではない。だがそのことは、Noahだけでなく彼自身の人生を決定的に変えることにもなる。

あらすじの割にそれほど暗かったり、悲壮だったりということはなく、読みやすい作品だと思います。長さとしても一気に読めるし、わりと万人向けというか、サスペンス+甘々カプが好きな人ならさらにおすすめ。
作中に出てきたもう一組のカプ(Lordと口のきけない青年Mars)の物語がすごく気になります。T.Aによると彼らの話もそのうち書くそうなので、そっちも楽しみ!

★殺し屋

Bound to Him
Ava March
Bound to Him★★★ summary:
Lord Vincent PrescotとLord Oliver Marsdenの関係がはじまってから、6ヶ月がたとうとしていた。
Vincentは、自分のすべての望みに応えてくれる恋人に満足し、父親から買い取った領地の開拓にも成功し、忙しくすごしている。

だが、Oliverは時おり憂鬱になっていた。
たしかに彼は、Vincentと体を重ねることができるならほかに何もいらないと思った。「心はいらない」とも友人に言った。
それでも6ヶ月の関係の中で、Vincentがまるで変わらないことにOliverは大きな痛みを感じてもいた。彼らの間は前と変わらない──いや前よりも悪い。もはや友人同士としてOliverと社交パーティで顔を合わせることすら、Vincentは避けようとした。

行為がおわれば、VincentはOliverの部屋を去る。一度として、ともに朝まですごしたことすらない。
自分がVincentの「汚れた秘密」になってしまったかのような重い失望感を、Oliverは拭うことができなかった。

そんなある日、Vincentは、父親からの呼出を受ける。
長男にすべての目を向け、次男のVincentがいかに努力しようと一顧だにくれなかった父親の、今になって息子の存在をたのみにする言葉に、Vincentは揺さぶられる。
だが父の要求に応えることは、Oliverとの関係を完全にあきらめなければならないことを意味した。貴族の令嬢との結婚。

迷い、Oliverに助言を求めようとするVincentは、だが相談を切り出す前に恋人から別れを告げられる。彼にとってはあまりにも唐突に、そしてあまりにも絶対的に。
.....



Bound by Deception」の続編。
相変わらず、誠実で繊細な2人の話です。

Vincentは世間の目を気にし、そしてまだ完全に自分たちの関係を受けとめることができていない。そして、そのことがどれほどOliverを傷つけているのか、見えていません。
Oliverは待つことに疲れはじめ、Vincentは何が友人を苛立たせているのかわからない。
ひとつひとつの苛立ちは些細なことだが、すべては深い絶望から出ている。Vincentは決してOliverを、そして彼の愛情をあるがままに受け入れようとしないのではないかと。

それでもOliverは愛する相手のためにできる限りのことをしようとするけれども、体のいい道具になってしまったようで、心にささくれるものをどうにもできない。そしてそれは、Vincentのせいばかりではありません。Oliver自身の環境の悪さ、わずかな収入にたより、自分でしっかりと身をたてることのできない状況もまた、彼を傷つけている。

Ava Marchの小説でうまいところは、必ず話の中でキャラクターたちが自分自身と向き合い、変わっていくところです。恋が、そして互いの存在が互いを変えていく。
時に痛みをもつ言葉を相手にぶつけあって、そしてその痛みが彼らに真実と向き合う勇気を与える。自分の中にある、目をそむけていた真実。
その「変化」を導くのが大変にうまい作家だと思う。一瞬で何かが変わるわけではないが、痛みが染みこんでいくように何かが見えてくる、その静かな目覚めが丁寧な筆致で浮かびあがってきます。

今回もまた、VincentとOliverは大きな決断を強いられる。Vincentはずっと関心を得たいと思っていた父からのたのみを断りきれず、同時にOliverの存在を心から追い出すこともできない。彼は何かを選ばねばなりません。そのことは、自分の奥深くに眠らせていたものの大きさを彼に気付かせる。Oliverに対する思い。
Oliverもまた、Vincentとまっすぐに向き合うために、自分自身を変えていかなければならない。ただ待つだけではなく、自分をもっと誇りに思えるように。

2人は互いをとらえる感情の中でもがき、相手の存在にあらためて気付く。
相手を鏡のようにして自分の姿をあらためて見つめ、相手の目にうつる自分に真実を見る。それが恋というものかもしれません。

BDSMプレイがありますが、そう強くもないものなので、特に読む人は選ばないかと。
ヒストリカルなもの、秘められた関係が好きな人におすすめ。

★貴族
★すれちがい

Bound by Deception
Ava March
Bound by Deception★★☆ summary:
1822年、ロンドン。
弱小貴族の青年、Oliver Marsdenには誰にも言えない秘密があった。
子供の頃に侯爵の次男であるVincent Prescot と出会い、固い友情を築きながら、彼はずっとこの友人に恋をしていた。
誇り高く、有能で、貴族らしいたたずまいのVincentは彼にとってかけがえのない友であると同時に、決してかなわない恋の相手だった。

だがある日、OliverはVincentがロンドンの娼館で男を買っていることを知ってしまう。
ギャンブルで勝った金を持ち、Oliverは娼館の女主人に特別な願いをたのみこんだ。
Vincentが次に訪れる時、自分を男娼としてVincentの部屋に入れてほしいと。

ついにその日、顔がわからないほどに暗く灯りを絞った部屋でVincentを待ちながら、Oliverは部屋にそろえられた道具を見て驚く。Vincentが男を買っているというのも充分以上の驚きだったが、その部屋にあるものは彼の友人に対する想像をこえていた。
鎖、手枷、鞭。それはOliverの知らない世界であったが、Vincentがそれを求めるならすべてをさし出す覚悟が、Oliverにはあった。

一度、ただこの一夜。Vincentの手が、唇がこの体にふれるなら。
ほかのことはどうでもよかった。一生に一度、ほしいものを手にできるのなら。
.....



思いが高じて、だますようにして友人に抱かれようとする男と、娼館で男を買いながらも自分が男を好きであることを否定している男の話です。

Ava Marchは「Object of His Desire」がおもしろかったのですが、これも同じ、ヒストリカルなスラッシュです。
相変わらず心理描写が繊細で、同時にとてもキャラクターが魅力的です。どちらも彼らなりの欠点をかかえ、彼らなりの長所があり、だがとても誠実な男たちです。

Vincentは、Oliverの求めるすべてを持っている。名誉、力、金、己に対する強い誇り。
Oliverもまた、Vincentにはないものを持っています。VincentはOliverに話を聞いてもらうのが好きで、Oliverが何気なく言う一言に、自分を理解されて受けとめられていると感じる。彼にとっては得難い友人です。
だが、あの娼館で一夜の行為を共にした相手、心に残って消えない男娼が、まさかこの友人だったとは思っていない。

そしてまたVincentはその誇り、完璧な息子であろうとする自意識の中で、自分の性癖を自分に対しても否定している。たしかに娼館で男を買っているが、自分は彼らの求めるものを与えているにすぎないのだと。
2人が向きあった時、Vincentは自らの弱さをそのままOliverにぶつけ、自分の醜い言葉にたじろぎます。それが本当の自分の姿だったのかと。暴かれるのは、一夜のことだけではないのです。

高まっていく緊張の中で彼らの友情はどうなるのか。VincentはOliverの行為を知るのか、そして自分自身を受け入れることができるのか。

BDSMプレイはそれほどキツいものはないですが、きちんと雰囲気や気持ちの流れが描かれていて、とてもいいシーン。彼らが「対」であることが、シーンからつたわってくる。
全体を通して端正な、誠実な物語だと思う。どこかクラシカルな文章が物語の舞台や雰囲気とよくあっていて、貴族やヒストリカルなものが好きな人だけでなく、おすすめの一作です。短編というわけではありませんが、それほど長くもないので、気軽に手を出せる1本かと。

続編の「Bound to Him」も出ていまして、同じように誠実で、静かな色気と緊張感のある話です。
これはこのままシリーズ化するかな? するといいなあ。

★ヒストリカル
★BDSM

書店で購入できる主なファイル形式。
(11/9/16 最終更新)


続き...

利用したことのあるネット書店について、簡単な自己流まとめ。メジャーな書店にはリンク集からも行けます。
ここの情報は随時更新予定。(13/5/30最終更新)

※現状として、作家はAmazonに展開しつつ、インディーズのこうした出版社も使ったり、自分のサイトで販売していたりと複数のルートを持つことが多いです。Amazonよりは、出版社からじかに買った方が作者に入る額が高いため、どちらでもいい場合はなるべく出版社から買っておくと地味ですがサポートになります。


続き...

Grey's Awakening
Cameron Dane
Grey's Awakening★★ summary:
たたみかけるように幸せな報告が続き、投資会社の経営者Greyson Coleはうんざりしていた。彼が周囲の幸福をことさら嫌っているというわけではない。だがもう充分だった。
ついに従業員から結婚の報告がまた届き、Greyは何年もやったことのない、いや一度もやったことのない行動に踏み切る。
2週間の休暇を取り、山にある小さな別荘へと出かけたのだ。持ってはいるが、一度も行ったことのなかった場所へ。世間から逃げ出すように。

だが自分の小屋の扉をあけた瞬間目にとびこんだものは、見知らぬ男の半裸であった。

Sirus WilderはGreyの小屋から川をへだてた向かいの小屋に暮らしていた。少なくとも、トラック運転手の仕事がない時には。
だが配水管のトラブルから小屋の水が出なくなり、困った彼は、Greyの双子の妹から小屋を使っていいと言われる。
彼はありがたくその申し出を受けた。長年顔を見せなかった小屋の主が、まさかいきなりやってくるとは、誰も知らなかった。

互いに対する第一印象は最悪であった。
Greyは自分の妹がSirusをわざと送りこんだのではないかと疑い、警戒する。Sirusは人をすげなくあしらうGreyの態度にムッとする。
だがそれでも、Greyはあくまで理性的な人間であって、水がなく困っているSirusを放り出すことはできなかったし、SirusにとってGreyの小屋を使えるのは助かる。
2人は互いに妥協して小屋を共有することにした。2週間たてば、Sirusは小屋の配管工事を終えて戻り、Greyは休暇を終えて仕事に戻る。

2週間。
周囲の浮かれ騒ぎにうんざりして孤独に引きこもりたいGrey、手ひどく終わった過去の関係から立ち直っていないSirus。どちらも誰かと感情的にかかわるつもりはない。
2週間で、2人の間に何もおこる筈はなかった。
......



はからずも、同じ小屋を共有することになってしまった男2人の物語。
ありていに言って、全編エロです。エロの中にストーリーがあるというか。これはこれで潔くて、好きですが。

読みどころは、Greyの強烈なキャラクターと、2人の間を行きかう磁場のような強い力、それによって揺さぶられる2人の男。どちらも恋になど落ちたくはない。だが相手の存在を無視することができず、2週間で終わるただのセックスの関係ということで自分を納得させながら、相手に溺れていく。
Greyはいつも、自分と他人の間に一線を引いて、その線の内側に踏みこんできた者は恋人だろうが誰だろうが、容赦なく切り捨ててきた。他人のことを知りたくも、他人に自分の内側をのぞかれたくもない。
彼は孤独で、そしてそのこと自体に気付いていない。それほどに孤独です。
だがSirusの存在は火のように彼を惹きつける。すべてが手遅れになるほど。

Sirusは、Greyがひどく固い殻をまとっていることに気付きます。そしてそれを、Grey本人がどうすることもできないでいることも。
その殻の内側へ手をのばしたいと願い、だがGreyが肉体以上のものを求めていないことも感じ、Sirusは行きづまる。
Sirus自身もまた、二度と、未来のない一方的な関係にはまりこむつもりはなかった。
だがGreyの存在はあまりにも強烈に、彼を情動の渦に引きずりこむ。

体からはじまる恋なのか、恋をしたから欲しいのか。その境い目が曖昧になるような、激しく、情熱的な話です。
エロエロですが、エロ表現がかなり露骨で、ある意味「男性向」のような笑っちゃうほどの表現もまざってますので、そのへんが苦手な人は避けた方が無難。それもまたCameron Daneの味だとは思いますが、正直数回笑ってしまいました。
それにしてもGreyはかわいい。ちょっとSirusが踏みこんできただけで硬直したり、「きたきた、こいつもか」みたいに過剰反応したり、Sirusは何だか野生の獣をなだめているみたいです。
脆い内面を冷たい殻で覆おうとしている男、地に足がついた包容力のある男。なかなか鉄板カプだと思います。
そういうとりあわせが好きな人、暑苦しいほど激しいものが読みたい人におすすめ。もちろん、読むならやっぱりエロだ!という人にも。

★エロエロ
★鉄面皮/情熱男

Feral
Joely Skye
feral★★ summary:
Ethanはクーガーのシェイプシフターであった。8年前、それを珍しがった人狼の群れが彼をとらえ、Ethanの友人である雌の人狼は死に、Ethanは繰り返し拷問を受けた。
シェイプシフターは変身することで傷を癒やすことができる。傷と痛みには終わりがない。
どうにか逃げ出したEthanは、ひ弱な人間の体を忌み嫌い、クーガーに変身して2度と人間には戻らなかった。8年間。
そして彼は決して再び、人間に戻るつもりはなかった。

だが、もはや人間であることがどういうものなのか忘れかけた彼を、また人狼の群れが追う。

Bramは、Ethanが拷問されていた時、その群れにいた。後ろ盾もなく、力もなく、狼である自分をコントロールする力の弱い彼は、その時どうすることもできずにそのクーガーを見ているしかなかった。
8年たち、その時の残酷なリーダーはもういない。だが次にリーダーになった男は、アルファとしての力を誇示してBramを支配する、傲慢な男であった。
「野生に戻ったクーガーは殺さなければならない」と、リーダーは言う。人であることを忘れたクーガーは人間を襲って食う。その前に狩って、殺す必要があると。
Ethanが殺されないようにする方法はただひとつ、彼をとらえ、人間であることを思い出させ、手なずけることだった。

Bramは人肌のあたたかさで、Ethanを人間の形に引き戻し、彼を人として世界につなぎとめようとする。Ethanの怒りと憎しみの前で、それは簡単なことではない。
Ethanはただ自由を求めてもがく。それがどんな方向であろうとも。
.....



人狼ものは大量にありますし、狼以外の獣のシェイプシフターが入っているのもままありますが、これは「人」とその内なる「獣」との対立や引きあうダイナミズムを中心に書かれた、その意味で珍しい話です。詳細な心理描写で、緊張感のある展開が続く。
人と獣はシームレスにつながっているわけではなく、どこか痛みをともなう形でもつれあっています。変身には10分から、時には半時間もかかる。変身を終えた時、記憶はいくらかとび、混乱して、自分がどこにいるのか何がおこっているのか、多くのことが抜け落ちている。

Ethanは8年もの間、必死にクーガーの姿を保ってきた。だが人間にふれられ、人間のあたたかさを思い出すと、孤独をのがれようとして人の形に戻ってしまう。
彼の中の獣はその弱さを嫌い、牙を剥いて獣の形にしがみつこうとする。人間が孤独をうずめるために他人にふれようとする一方で、獣は怒りにふるえている。
そんなふうに、彼らは2つの顔を持ち、時にその両方に引き裂かれます。

また、Ethanが長年の孤独と痛みをかかえる一方で、BramにはBramの問題がある。彼は群れのオメガであり、彼の中の狼は服従することに慣れているが、Bram自身はそのことに怒りを覚えている。
彼は服従しながらも反発し、アルファに対して卑屈であることに馴染みながらもそれを忌み嫌う、ねじれたオメガなのです。

このアルファがじつに、嫌な感じで。一見まともな男に見えるだけに、何かこう落ちつきの悪い嫌さがある。
Bramが何か変な感じに弱々しいので、前半は読んでてかなり焦れます。ハラハラというよりイライラ。イライラしながら読みすすめたい人にはうってつけの話です(結構楽しい)。ちゃんと終わりにはきっちりと落とし前をつけるので、イライラの分だけカタルシスも楽しめる。
Ethanがクーガーから人間の世界へと戻ってくる前半部もおもしろいですが、後半のBramの変化もなかなか読みごたえがある。
クーガーは人狼のように群れを作る性質はないので、Ethanは群れだのオメガだのがピンとこない。それはBramにとって救いでもあり、つらくもある。
2人はちがう種ですが、互いによりそい、信頼するすべを覚えていく。そしてその信頼をもとに、ふりかかっていく危機をのりこえていかなければならない。シフターを追うのは、狼たちばかりではない。

普通じゃないシフターものを読みたい人とか、クーガーたまらねえ!という人とか、リハビリ過程があるものに萌える人におすすめ。
猫科のシフターものって、もっとみんな書けばいいと思うよ!

★シェイプシフター(野生)
★逃亡

Chasing Smoke
K. A. Mitchell
Chasing Smoke★★★ summary:
FBI、そして国土安全保障省で働くDaniel Gardnerは、母親が家を引き払う手伝いをするため、渋々クリスマスに休暇をとって生まれ故郷へ帰る。彼は家族と折り合いが悪く、そして故郷にはもう苦い記憶しかなかった。
自分を殴った酒飲みの父親、家庭内での言い争い、苦い恋と失恋の傷。
15年前の恋。彼を誰より惹きつけ、混乱させ、傷つけた年上の少年、Trey。

Treyの父とDanielの父はベトナムでの戦友で、彼らは家族ぐるみのつきあいをしていた。DanielはTreyへの恋に落ち、Treyも時にはそれに応えるようにも見えたが、彼はいつも人前ではDanielなどいないかのようにふるまいつづけ、自分がゲイであることを否定しつづけていた。
Danielは故郷を去る時、Treyに一緒に来てくれるよう懇願した。だがTreyはその願いを一蹴するように軍隊に入り、Danielの人生からそれきり消えたのだった。

あれはもう遠い昔のことだ。その筈だった。

だが戻った実家に空き巣が入り、その捜査に訪れた刑事の顔を見て、Danielは呆然とする。Trey。
彼は刑事になっていた。そしてそれが何のためか、Danielには一瞬でわかった。DanielがFBIをこころざしたのと同じ理由だ。
遠い日の犯罪の正体を暴くため。そしてTreyの父親の無実を証明し、妻殺しの罪を晴らすため。

再び動き出した過去の事件が、彼らを結びつける。
だがそれが解決した時、2人を待つものは今度こそ最後の別れなのかもしれない。
.....



Treyは、かつてのDanielにとって家族よりも必要な、大切な相手だった。Danielは自分を投げ出すようにしてTreyを求め、TreyはDanielに惹かれながらも、その先にあるものが恐しくて彼をつきはなす──
お互い複雑な家庭をかかえた少年同士の、切羽つまった、抑えきれない情動は、結局破綻します。
Danielは今でもその傷をどこかにかかえている。彼は今の恋人にも誠実に対そうとするが、人生や自分自身を彼らと分かちあうことができない。かつてTreyにしたように、自分をひらいてみせることができない。

TreyはTreyで、ゲイであることを恐れ、Danielを恐れ、同時に父親の犯罪によって彼の少年時代は滅茶苦茶になっています。
15年たって、彼は自分にとってDanielがどんなに大切な存在だったかわかっているが、距離を近づけようとしても、Danielがどこかに逃げ道を残していることを感じる。
体だけならいくらでも近づけるのに、Danielは過去の傷にしがみついて、Treyを許そうとしていない。
それでも2人は惹かれあう。

頑固で一途で繊細なDanielと、迷いと怒りに満ちた過去を持つ執念の男Trey。この2人の、緊張感に満ちた、時にもう未来などないかのような関係が読みどころです。
どちらも相手を恋しいと思う。人生の中で、これほど何かをほしいと思ったことはない。だがどちらの男も、相手の人生の中に自分の姿をはめこむことができない。
この事件が解決すれば。そしてDanielの休暇がおわれば。母親の家を売ったら、Danielがこの町に戻ることは2度とない、それはどちらもわかっている。

一方、謎解きの部分もしっかりしています。そして謎解きでも2人は対立する。
空き巣が「何か」を探していたと感じるDanielは、家の荷物の中からベトナム戦争中のポラロイド写真を見つけ、それが何かを意味すると感じる。だがTreyは簡単にはとびつかない。彼は父親が有罪にされた事件について、15年間ずっとかかえこみ、ずっとその重さを感じてきた。袋小路にいることに慣れてきた。その彼にとって、Danielはあまりに簡単に出口を指さしているように思える。

この話は、2人の男が自分なりの「出口」を探すまで、の物語でもあります。Danielにとっては過去の怒り、その過去がつくってきた自分自身の殻。Treyにとっては、父親の事件にとらわれつづけてきた自分からの。
タイトルの「Chasing Smoke」の「Smoke」は、まるで煙のようにとらえどころのない15年前の事件、そしてさらに昔のベトナム戦争でおこった「何か」と同時に、過去の自分自身を表しているようにも思えます。
そして「Smoke」は過去からたちのぼるばかりのものではない。事件を調べ出した2人を、現実の炎が追ってくる。煙の裏に隠れた殺人者を、2人がつきとめるまで。

読みおわって気付いたのですが、K.A.Mitchellを読んだのは2冊目でした。
Collision Course」を読んだことがあって、これずっとレビュー書こうかどうか迷ってるんですよね。すごくおもしろかったんですが、1つどでかく腑に落ちないところがあって、それがまた、自分の英語力でニュアンスを読みおとしたせいじゃないかという疑いが抜けず。
んで何度か読み返している作品です。どっちも多少ボリュームがありますが、エロ満載で(この人はエロのテンションを高めるのがうまいと思う)、ベタ惚れなんだけど甘々ではない、読みごたえのある話です。ほかのも読んでみよう。

話も人間関係もがっつりと読みたい、という人向け。
相当に自我の強いキャラ同士ですが、大体において受け攻めの分担ははっきりしてる感じなので(100%ではない)、やっぱりカプは固定が落ちつくよね!という人にも。

★エロ多め
★再会

The Broken H
J.L. Langley
The Broken H★★★ summary:
The Tin Starシリーズ(独立して読めます)

保安官Grayson Hunterは、かつてあれほど愛した両親と、彼らの経営する牧場から遠ざかって久しかった。
いや、Grayが避けていたものは、両親でも牧場でもない。
彼が向き合うことのできない相手は、両親にとって「もう1人の息子」とも言うべき存在であり、牧場を切り盛りしているShane Cortezであった。
Grayの初恋の相手。そしてその初恋を砕いた相手。

Grayは傷心に追いたてられるように故郷を去ってロデオのカウボーイとなり、特殊部隊にくわわり、やがて故郷に戻って保安官となった。だがあれから12年たってまだ、Shaneへの思いと傷は彼の中で生々しいままだった。

ShaneはGrayがそんなふうに傷ついているとは知らなかった。両親に蹴り出されるように故郷を離れるしかなかったShaneは、Grayの父親に拾われて牧場に転がりこんでから20年、ずっと牧場のために働いてきた。もはやGrayの親は彼にとっての両親であり、ここが彼の故郷であった。そして彼をこの牧場につなぎとめるものはそれだけではなかった。

打ちひしがれて飢えた少年として、未来への希望もなく牧場にやってきたあの遠い日。Shaneを、大きな緑の目で見上げた子供がいた。憧れと尊敬に満ちたまなざしで、彼はShaneに聞いたのだった。
"Are you a war chief or a peace chief?"
そのあどけない問いとまなざしが、Shaneを暗闇から救い出した。
それからずっと、ShaneはGrayを守ろうとしてきた。たとえShane自身からでさえ。

どちらも互いを求めながら、どちらもそれぞれの理由で互いの間に壁を築いた。
そして時がたち、その壁は崩れようとしていた。
.....



The Tin Star」でちょこっと出てきた保安官、Grayの話です。
Grayは複雑な人間で、理知的で、考えすぎるが、それは彼の思慮深さをあらわしています。物事を見た目で判断しない。いつも、その裏にあるものを見ようとする。
その彼が唯一直視できなかったものは、過去のShaneからの「拒否」。
Shaneが、ゲイであるGrayを拒否したのだと感じたGrayは、いてもたってもいられず、故郷を去る。愛する両親、愛する牧場、そして何よりも愛する相手に背を向けて。その裏にあるものを見ようともせず。

Shaneには一方で、複雑な思いがあります。彼は子供のころのGrayを愛し、甘やかし、Grayがほしいというものは何でも与えた。Grayが「あの馬がほしい」と言えば、まだ人に慣れていないその馬を牧場につれ帰り、自分の体を張ってその馬を人に慣らした。
だがあれから時がたち、もはやGrayは少年ではなく、1人の大人の男としてShaneと向き合う。

意地っぱりな男2人の、でもめろめろな愛の話です。めろめろなエロ話でもあります。13歳の年の差。年上はそれを気にして距離をあけようとするし、年下はその態度を拒否だと思う。でも2人はちょっとしたきっかけで互いの求めるものに気付き、後戻りのできない道へと入っていくのです。
ただ、保守的な小さな町ではゲイだということは非常に大きな意味をもち、Grayの保安官再選を目の前にして、Shaneは自分の存在がGrayへの足枷にならないかどうか悩む。その問題は、彼らの間に新たな亀裂を生んでしまう。
Shaneは今でもGrayを守りたいし、Grayはもはや守ってもらいたくなどない。それが互いの思いを犠牲にするのなら。
どちらも強い、誇りをもった男同士の話です。

この作者特有の幸福感があって、とても楽しく、一方で人生の長い時間をかけた恋としても味わい深く読めます。
「保護者」ネタが好きな人なら絶対!
エロは濃厚かつ、感情にあふれていて、読んで楽しい。互いの互いへの信頼がエロを通して見えてくる、それがいい。
それにしてもGray、眼鏡萌えにもほどがある…!

ところで、LanyonDark Horseなんかでも出た「Chief」って何なのかと思ってましたが、目上・年上の人に対する親しみをこめた呼びかけみたいですね。
しかし和英辞書だと「だんなさん」とか訳してありますが、ちょっとそれはなあ…
どう解釈すればいいんだろう。たとえば訳すなら「おやっさん」とか?「おやっさん、愛してる」とか…萌えないことおびただしいのですが。
これに萌えてこそ一人前なのか。何の一人前かはともかく。

いやまあ、英語のまま読むのが一番いいってことですね。

★保護者
★エロ濃い目

6月はちょっとばたばたしていたので、「To Have and To Hold」が毎日1編送られてくるのをいいことに、主にそれを読んですごしていました。
短編毎日読むってのもいいものですね。おかげで買ってみたい作家も出てきたし、レビュー書けそうなものもいくつかあったので、またいずれ。7月はTAの新作もLanyonの新作もあるので楽しみです。
暑い夏にビール呑みながらスラを読むぜ。うーん、それはいいのか悪いのかよくわからない。

スラッシュ(の電子ブック)を買うのに一番利用されるのはその手のネット書店だと思いますが、クレカの使用をためらう人もいるんじゃないでしょうか。


続き...

★Three-Star rating system★


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*他訳者さん*
・わが愛しのホームズ
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