Slash×Slash

Slash(m/m小説) レビューブログ

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Without Reservations
J. L. Langley
WithoutReservations★★★ summary:
ネイティブアメリカンの血を引く獣医のChayton Winstonは、実は人狼でもあった。満月になると狼に姿を変えて狩りに出かける。
ある時、彼の群れの仲間が撃たれた狼を──それも人狼を──Chayのもとに運びこんできた。白い狼を一目見た瞬間、いや見るまでもなく近づいた時から、Chayはそれが彼の「mate」であると知る。
狼には運命の相手がいる。それはただの恋ではなく、どこか大きな力で運命づけられたただ一人の相手。否応なしに惹きつけられ、一生を分かちあう相手だ。
Chayはまだ4つの時から、ずっと自分のmateを夢に見てきた。白い肌と青い目のパートナー。ついに出会ったことにChayは喜ぶが、同時に予期せぬ驚愕にもとらえられていた。彼の運命の相手は、雄狼──男だったのだ。

Keaton Reynoldsは傷から回復して目をさまし、自分がmateとともにいることを悟る。一瞬で、彼は惹かれ、とらえられるが、次の瞬間に相手がストレートの男であることを知って、その喜びは砕け散る。
昔の恋人が「自分はゲイではない」と周囲にふるまう態度に傷つけられたことのあるKeatonは、「ゲイではない」男とまたかかわりあう気はなかった。mateであれ、何であれ。

Keatonは彼らの出会いをなかったことにしようとするが、Chayは後に引かない。はじめのうちこそ驚いたが、Chayはずっと望んでいたmateを前にして後ずさりするような男ではなかった。そしてKeatonと少しずつ関係を積みかさねながら、Chayは心の底から、この美しく、強情で癇癪もちの、小柄な狼を好きになっていく。まさしくKeatonは、彼の求めるmateだった。
Chayの心を信じながら、それでもKeatonは彼らの未来を信じられない。いつか、Chayはやはり女の子の方がいいと思いはじめるのではないだろうか。それにChayの家族や友人が、彼のmateが男であると知ったらどう思うだろう? 自分の存在や、自分たちの関係はChayの未来や幸せを傷つけてしまうのではないだろうか。

そんなある日、Keatonの車のブレーキホースが切断されて、事故をおこし…
.....



J.L. Langleyの人狼もの。
ここの人狼は、興奮すると目だけ狼になります。狼の目で見つめあったりして、大変エロい。
んでもって、女性の人狼はいないそうです。だからChayは、白い狼が自分のmateだ!と気付いた時、まず「女の狼がいるんだー」と感心する。まちがってるぞお前。でもまちがってることにびっくりしてなお、Chayはひるみません。小柄なKeatonを「Little Bit(ちっこいの)」と呼び、他にもKeatonを苛立たせるいろんな渾名を勝手につけながら、彼はどんどんKeatonの生活に入りこんでくる。ためらわないし、迷わない。
Keatonは希望と自制の間で揺れ動きながら、どうにかしてChayを自分の生活から押しやろうと思うけれども、一度「これは運命だ」と決心したChayをどうにかできるわけもない。

ゲイとストレートのカプの話ってのはそんなに珍しくないですが、ゲイ側(Keaton)がとにかく逃げよう逃げようとしているのがおもしろい。逃げると言ってもただの及び腰ではなく、「女じゃなくってすいませんね、こっちに気を使ってくれなくても全然結構ですよ」みたいな、ちょっと攻撃的な逃げ方です。
J.L. Langleyの受け(タイプ)はみんなそうなんですけど、Keatonも小柄で敏捷で、ユーモアと反骨精神に満ち、愛らしい癇癪もちでもあります。この受けを、包容で強引な攻め(タイプ。たまにリバやるので)が溺愛するという、まさに鉄板カプ。しかもすごい可愛い。
Keatonはとても強い狼で、Chayが属する群れの中でもおそらく最強の狼ですが、戦いや主導権争いを好まない。16歳の時に家族や仲間にゲイであることをカミングアウトし、拒絶された彼は家をとびだして自力で学費を稼ぎ、自分だけの力で生きてきた。その彼がはじめて自分を預けられるほど信頼した相手が、Chayです。逃げよう逃げようとしながら、Keatonは頑固で誠実なChayにふれるにつれ、彼に傾いていく。

2人が飼っている子犬(ChayからKeatonへのプレゼントです)がまた可愛い。いいムードになったところでChayの爪先をかじり、Chayが狼に変身すれば「遊んで!」とばかりにChayの耳をかじる。どうにかしてくれ!と狼のまなざしでKeatonにうったえるChayが笑えます。狼なのに。
Chayの友人や母親など、障害は多けれど、彼らは互いとともに新しい生活を作りはじめる。
その一方、誰かがKeatonを狙っていることが段々とあきらかになります。はたして彼らはすべてのトラブルを無事のりこえられるのか?

ほんとーに愛らしい、笑えるカプです。
いくらか残った問題が気になるのですが、何故ChayがKeatonの狼としての強さを嗅ぎとることができないのかとか、銀の弾丸が最後に効かなかったのはどうしてかとか、あれは裏設定があるのかないのか。
まあでもそれはさておいて、とても楽しめる一冊。気になる友人のRemiの話は、続編が出てるので読んでみるつもりです。

★人狼もの
★運命の相手(mate)

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Amor en Retrogrado
A. M. Riley
Amor en Retrogrado ★★ summary:
Robert Lemosの15年ともに暮らした恋人、JD Ryanが路地で撃たれて発見される。彼の連れは死に、JDは病院に運びこまれ、保険の書類からRobertに連絡がいく。
Robertは1年前、JDと破局していた。

病院に駆けつけたRobertは、JDが彼のことを記憶していないこと、おそらくは外傷性のショックによって部分的な記憶喪失に陥り、出会う以前の彼に戻っていることを知る。どうすればいいのかわからないまま、Robertは退院したJDを自分の家へとつれて戻る。
自分たちがすでに別れていることを、どうしても彼はJDに告げられない。何より、彼はまだJDを愛していた。
この15年ずっと、愛しつづけていた。
だがJDとの関係は悲惨なものだった。彼らは常に争い、JDはRobertを傷つけ、Robertが仕事に没頭するとJDは酒を飲んだ。JDは誇り高い男だったがいつもどこかに怒りをかかえていて、そんな彼をRobertが守ろうとする、その行為すらJDを傷つけた。
愛はあった。それはまちがいなかったが、彼らの間に信頼はなかった。

記憶を失ったJDはいつになくおだやかで、Robertへの愛情を素直に見せる。もしかしたら彼らはまたやりなおせるだろうか。
そう思いながら、また痛みをくり返すことにRobertは臆病になっている。
そしてまた、JDとその連れを撃った犯人への捜査が進むにつれ、疑いはRobertへと向けられ…
.....



これはおもしろい展開の小説で、「JDが撃たれた→Robertの家へ→事件の捜査進行」という現在の時間軸の間に、フラッシュバックのようにRobertとJDとの関係が挿入されていきます。それによって、彼らの痛みに満ちた日々が浮き彫りになっていく。その構成が非常に巧みです。
JDはもともとゲイではない(というか、気付いていない)。だが彼はRobertに出会って恋に落ち、しかし混乱し、己のセクシュアリティを否定しようとしてできず、怒りに満ちる。その怒りが、後々まで彼に影響を及ぼしていたように見えます。

陽気で美しい恋人を得て、Robertは生涯ではじめて「幸福」というものを味わう。
だがJDは時にシニカルに彼らのことを「セックスにすぎない関係」と言ってのけ、彼らが結婚してからも、「その関係に意味があるのか」と問う。彼はどこか暗いところへ目を向けているようなところがあって、やがてその怒りや、Robertの独占欲が彼を喰いはじめる。そしてJDは酒に逃げ、Robertは仕事に逃げる。
その日々が、エピソードの挿入によって次第に明らかになっていきます。
2人の関係がRobert視点から描かれるため、はじめのうちJDは勝手なふるまいのわがままな恋人に見えますが、段々と、Robert側にも問題があることがわかってくる。
彼らはどちらも弱く、どちらも相手を信頼していない。愛はあるけれども、傷つけあう武器のようにそれを振り回してもいる。
その過去の様子と、今の(記憶を失った)JDのやけに素直な様子との対比が悲しい。
果たして彼らは、思いもかけない形で新しい絆を作れるか。それともただ、かつての失敗をくり返すのか。


小説としてはいくらか弱いところもあって、捜査する側のエピソードがちょっとわかりにくかったり(ていうかあれ必要か?)、いらんところでキャラ視点の移動があったりします。私は視点固定じゃない(同じ章の中で視点があちこち移動する)小説って嫌いじゃないですが、この作者は「固定」のように見せておいて、たまにふらっと視点を動かすので語り口として不安定なのです。
ただ、それを補ってあまりあるほど、2人の感情のほとばしりは見事だと思います。Robertの視点から見ているにもかかわらず、JDの中にある痛みはあきらかで、ねじれていくしかない関係のどうしようもなさが切ない。特に中盤から非常に読みごたえがあります。
スペイン語があちこちに散見されまして(わからなくても読める、つか読んだ)、巻末にスペイン語スラング辞典があるのがちょと楽しい。
タイトルの「Amor en Retrogrado」は機械翻訳だと「後退するiの愛」とか出てくるので(英語だとLove in I Retrogradeとか)、「巻き戻された愛」とかそんな感じ…で、いいのかなあ。

★記憶喪失
★破局した恋人との再会

A Strong Hand
Catt Ford
A Strong Hand★★★ summary:
SMシーンの高名な写真家であるDamianは、予定していたモデルが来られなかったある日、思いついたイメージをためしてみるためにアシスタントのNickを使う。そして、Nickが完全に彼のイメージを再現していることを発見した。

Nickは学費のために仕事を必要としていた。全裸でSMシーンの写真を撮ることにもそれほどの抵抗を感じなかった。Damianはすぐれた写真家で、モデルを大事に扱っているのを見ていたし、カタログの写真はモデルの顔が判別できないよう暗い影にされていることも知っていた。
彼が知らなかったことは、自分がDamianのイメージの中で折り曲げられ、器具に拘束されることにどれほどの興奮を覚えるか──どれほど、Damianの支配の下で昂揚するか、ということだった。
彼は欲情し、驚く。Nickはゲイではなかったし、SMに対するわずかな知識も、興味もなかった。だがDamianの下で彼は服従の喜びを覚えていく。

DamianとNickは、互いの間にあるものを探りはじめ、DamianはNickを自分のSubとして様々なことを教えはじめる。
一度Nickが自分の中の性癖に気付いた以上、無自覚にその世界に入っていくことは危険をともなう。「セーフワード」の存在すら知らないNickを無知なまま放置しておくことはできなかったし、DamianはNickを支配する誘惑には勝てなかった。
だがNickの持つ好奇心が満たされた時、Nickが彼を去るだろうことも、Damianにはわかっていた。彼らは10の年の差があり、Nickを動かしているのはあくまで未知の世界への誘惑でしかない。
そう思いながらも、いつのまにか、DamianはNickに対する気持ちを無視できなくなっていく。支配と愛情の境い目で、彼は苦しみ、主人としての自信も失い‥‥
.....



わりとSMってサディズム/マゾヒズム的な観点からとらえられがちですが、スラにおける(というか欧米における、か?)SMというのは「Slave/Master」の関係性を重視するものが主で、嗜虐的な(だけの)ものは少ないように思います。
BDSM系の名作と言えば「Remastering Jerna」なんかもすごく好きなんですが、このへんを読むと「主人にもスキルが必要」ということがよくわかります。奴隷の欲望と限界を正確に読み、己を律するだけの強さがない人間は、Dom(Dominant=支配者)になる資格がない。
奴隷と主人とは言っても彼らの間には深い信頼が必要で、互いを信頼するからこそ彼らは深くシーンの中へ入っていく。奴隷の服従と屈服を得た主人には、その信頼に応える義務があります。
信頼を基礎として、彼らは互いの限界をさぐりながら、行為を深めていく。痛みや拘束具は、己を通常では感じられない世界へ解放していくための道具であって、目的ではない。

この「A Storong Hand」は、そのへんを見事に凝縮した話で、プレイの物理的な詳細だけでなく、そこにある精神的なつながりやハーモニーを書いています。
初心者で、ゲイでさえないNickを新たな世界へ導こうとしながら、DamianもまたDomとしての資質を問われる。彼は経験の深いマスターですが、Nickとの間にあるものはそれまでの彼の経験だけでは対処できないものです。
NickはDamianの支配を望んではいるが、一方で見知らぬ行為に怯え、途中でセーフワードを口走ってしまうこともある。
この場合、セーフワードを発した奴隷(ってのも何かちがうんだけど、Subをどう訳せばいいものやら…)ではなく、そこまで追いこんでしまった主人に問題がある。それが、即座に行為をやめて反省するDamianの様子からもよくわかります。
話の中でも何度か言及されますが、彼らはDomとSubの関係ではあるが、本質的にその関係を支配し、すべての力を持っているのはSubの方なのです。

Nickは迷い、惑い、Damianはいくつもの間違った手段を取ってしまう。
失敗と葛藤をのりこえ、彼らは互いを信頼することを覚え、相手のリミットを覚え、単なるプレイをこえる人間関係をつくりあげていく。そして、さらに深い感情も。

SMの話というより、信頼と人間関係の葛藤の話です。エロは山盛りですが、特にハードなプレイもなし。痛くもないし、受けもそんなにいじめられたりはしないので、SM読まない人でもおすすめ。
あと、写真を撮るシーンで紡ぎ出されるイメージがとても艶っぽくて美しい。
ラストはちょっとあっさりしすぎた感もありますが、そこまでがとてもおもしろかったし、特殊要素ではあるけれども、人間関係の絡みがよかったので★みっつ。

★BDSM

Allergies
T. A. Chase
Allergies★★★ summary:
デザイナーのRaymond Marvelsは、仕事場にあるパソコンの不調のため、会社にエンジニアを派遣してもらう。
部屋に入ってきたエンジニアは見たこともないほどゴージャスな男で、彼らの関係はあっというまに深まるが、どういうわけか、RayはそのLou Canisがそばに来るたびに強いアレルギー反応を示すのだった。とは言え、それは彼らの関係を妨げはしなかった。

Louは、新しい職場で出会ったRayに夢中だった。このシャイで奥手なデザイナーはこれまでの彼の「タイプ」ではなかったが、Louは、行きずりや短い情事では終わらないものが2人の間にあることを感じていた。
たとえRayが、彼が半径3メートル以内に近づくたびにくしゃみを連発しようとも、この新しい恋人を離す気はない。
だが、Louにはひとつ、出会ったばかりの恋人に言えない大きな秘密があった。そしてその秘密が、Rayのアレルギーの原因なのではないかと、Louは疑っていた。
Louの家族に会ったRayは兄弟にアレルギー反応を示し、Louは確信する。恋人のアレルギーは──Louに対するものが一番ひどいとしても──Lou個人ではなく、彼らの一族に対するものなのだ。
Louの一家は、人狼の一族であった。

LouはどうやってRayに自分の秘密を言うべきかわからない。かつて人間の恋人に正体をあかして殺されそうになった姉は「本当に好きなら、まだ黙っていた方がいい」とアドバイスするし、兄は「関係が深くなればなるだけ傷も深くなる。もし駄目になっても立ち直れるよう早いうちに告白してしまった方がいい」と言う。
Rayは人間としてのLouを好きになってくれた。だが、狼としてのLouは?

いつかは言わなければならない。だが、いつ?

その一方で、見知らぬ人狼がLouの一家のテリトリー内へ断りなく入って…
.....



人狼の恋人にアレルギーになってしまった、という、全体に幸せな話。
スラには人狼ものはかなり多いですが、ここの一族は大変「狼」っぽいのがいいです。Louには8人の兄弟がいて、末っ子の彼以外は全員双子です。姉の生んだ子供すら双子。
彼らは仲がよく、荒々しく、陽気で、つねに「群れ」の中での序列を競っている。一瞬で結束し、外から見ると驚くほど喧嘩し、そして全員、「犬」に関するジョークに目がない。
Rayに対してもLouの中の狼は独占欲を見せ、命令し、支配したがる。Rayはそれを受け入れるけれども、決して弱々しく言いなりになるタイプの恋人でもない。

Rayはシャイですが、地に足がついていて、おだやかでユーモアにあふれた男です。T.A.の受けはいつもそういうところが可愛いと思う。
ちょっとあたふたしたり、及び腰だったりするんだけども、一度恋に落ちてしまえば、その中でとても幸せそうにのびのびしているのが愛らしい。
Louの秘密、Rayのアレルギー、となかなかに前途多難な恋人たちですが、それを感じさせない幸せっぷりです。

この話はT.A.が彼のブログで更新していたもので、ちょっとだけ加筆や修正があるけれども、基本的には同じものです。ブログでは毎週火・水曜日に(通常は)話の更新がされているので、興味がある人はどうぞ。今は西部劇風の連載をしています。

「Allergies」は人狼の話ですが、この後にブログでこれとつながる吸血鬼の話を書いていまして、そのうちまとめられて出版される予定になっています。それぞれ完結した別々の話だけれども、あわせて読むとまた楽しい。
誰かが「人外」を狩りはじめている。それは誰か? 人狼と吸血鬼、そしてその他の一族も、力をあわせ、新たな敵に対して戦わなければならない。その先に何があるのか、というのも楽しみなところ。

ラブラブなのが好きな人には絶対おすすめ。
あと大家族の感じが好きな人、双子萌えでもいける。

★人外(人狼)
★甘エロ

The Christmas Tree Bargain
J.L. Langley
TheTinStar
★ summary:
クリスマス前からクリスマスプレゼントを見たがって家中を捜索するJames(Jamie)に手を焼きながらも、Ethanは今年も恋人のために特別なプレゼントを用意していた。それは…
.....



「The Tin Star」のクリスマス外伝。
本当に短いのでほぼストーリーはなく、いちゃいちゃっとして終わり、という話なのですが、大変にJamieが愛らしいので「The Tin Star」を楽しんだ人におすすめ。(本当はJamesですが、誰もがJamieと呼ぶ)
「The Tin Star」から4年たっていますが、Ethanはまだ醜いクリスマスツリーを買ってきて飾りつけているようです。毎年どこでそんなに醜い木を買ってくるんだ、というくらいやばいっぽい。
「何故そんなに醜い木が好きなのか」の答えが話にあるかなーと思いましたが、それはなし。別に大した理由はないのかなあ。気になってるんですが。


ここのところ、ちょっと読むものにハズレが多いので、ここは「固い」作者の話でも買って気晴らしするかーという動機で買ってみたけど、楽しい話でした。
同じ理由でLanyonも買ってしまったので、これから読みます。
「The White Knight」とか「Allergies」とかレビュー書きたいもの自体はたまってるので、ぼちぼちとー。

★短編
★エロ

Stanzaが1.8にバージョンアップしまして、ちょっととまどうことがあったのでメモ。


続き...

Stealing West
Jamie Craig
SteelingWest★ summary:
Leon Stroudは強盗、そして身におぼえのない殺人で賞金首となって逃亡生活を送っていた。彼はこれまで人に向けて銃を撃ったことはなかったが、賞金稼ぎたちが彼の言い訳を聞くわけもない。
彼の犯罪のパートナーであり、性的なパートナーでもあったKennethは、馬車を襲った時に出会った子持ちの女性と恋に落ち、2人の男と情婦、その子供の4人はカリフォルニアへと逃げるために列車に乗る。

その列車の中で、Leonは賞金稼ぎのThomas Gradyと顔をあわせる。ThomasにKennethを追わせるわけにはいかない──Kennethは彼の大事な友であり、そして今や女と恋に落ちて家庭を持とうとしている。
Leonはやむなく、シエラネバダ山脈の上で列車を降り、Thomasに自分を追わせることにした。友から賞金稼ぎを引き離すために。
.....


Stealing Northe の続編、ということですが、そっちはとばしてこっちを読んでみました。(Stealing Northeは相棒のKennethが恋人と出会い、恋に落ちる話。M/M/F)
ありていに言って表紙買いだったのですが、Leonが意外に子供っぽくてかわいかったです。
相棒のKennethの幸せのために1人で危険に身をさらし、意固地になって足の痛みや疲労をこらえ、Thomasにとらえられてからも憎まれ口を叩きつづける。彼らの間にはりつめる緊張感は時に性的な高揚となって、2人のどちらをもとらえる。
賞金稼ぎとしてLeonをとらえているThomasには様々な意味でアドバンテージがあるわけですが、その力、その支配そのものがLeonを魅了する。
BDSMカテゴリですが、それほど強いプレイはないです。最後のシーンだけちょっとありますが、全体には普通の縛りというか。

さらっと読んで楽しむタイプの話。
西部劇の雰囲気、お尋ね者、賞金稼ぎ、などの言葉に反応してしまう人におすすめ。
賞金稼ぎは萌える!

ちなみに書店のページで「Saddle Up」という同テーマ(カウボーイ)の5冊セットも売っていますが、これは…あんまりおすすめしないです。Spirit Sanctuary はちょっとおもしろかったかな。

★賞金首/賞金稼ぎ
★ウェスタン

Orientation
Rick R. Reed
Orientation★ summary:
1983年、22歳のRobertは44歳のKeithに出会い、倍の年の差があるにもかかわらず2人は深く恋に落ちる。
だがその年のうちにKeithは当時まだあまり知られていなかったAIDSを発症し、ひどく苦しんだ末、Robertの目の前で息を引きとった。クリスマスの日。

その24年後、2007年。RobertはKeithの遺産と資産管理の仕事をしながら、静かに生きていた。
彼の傍らにはいつも若い恋人がいて彼の孤独をまぎらわせたが、誰ひとりとして彼の心にとどくことはない。
そして2007年のクリスマスの日、今の恋人であるEthanは彼の目をかいくぐってどこかへ出かけ、戻らない。「クリスマス」がどれほどRobertに大切なものなのかわかっている筈の彼のそのふるまいにRobertは苛立ち、Ethanに対していくつもの疑いを抱くが、それを正面きって切り出すことはできなかった。Robertはいつでも孤独を恐れていた。

ひとりのクリスマスに耐えきれず、暗い夜の中を散歩に出たRobertは、湖畔で今にも水にとびこもうとしている娘に出会う。彼女はJess。24歳。クリスマス生まれ。…Keithが死んだ、まさにその年のクリスマス。
彼らはどこか近いものを感じあいながら、奇妙な形で近づいていく。そしてJessは夢を見はじめる。ずっと昔、まだRobertが若く、Keithと出会った店での夢を。
この出会いは運命なのだろうか?

一方、Rodertの若い恋人Ethanは、自分ではどうにもならない麻薬の深みにはまっていた。それは彼の体を、そして精神を蝕みはじめる。抜け出す道を探してもがきながら、EthanはRobertが彼を生命保険の受取人にしていることを知り…
.....


2008年のEPPIEのGLBTカテゴリ受賞作です。
しかしこれ、「スラッシュ」ではないですね。RobertとJessの、2人の男女の不思議な絆を中心にして話がすすんでいきます。Robertはゲイで、Jessもゲイ(レズビアンと言うほうが日本語のなじみはいいですね)なので、GBLTカテゴリなんだと思うけど。恋愛要素はなし。
ただ、最初の1983年のシーン、死んでいくKeithのためにRobertがクリスマスの飾りつけをし、プレゼントをひとりでひらき、豪華な料理を作るシーンはとても美しくて、胸がつまります。スラ的にはここだけで読む意味があるかもしれない。

Robertは24年もたって、今でもKeithの死とその喪失をのりこえることができず、人生に意味をもつことができていないように見えます。彼は親切で、心やさしく、人の世話を見るのが好きだが、同時に弱い男でもある。
Ethanはかつてはそこも含めて、Robertとそれなりに幸せな絆を結んでいた筈だった。だが麻薬が彼のすべてを奪っていく。そして恋人の変化に気づき、うすうすその正体を疑いながら、Robertは真実と向き合うことができず、Ethanの無数の言い訳にすがるように、目の前でおこっていることから目をそらしつづける。
それは先のない関係で、いずれは破滅が待っている。それも、ただの「別れ」以上の取り返しのつかない破滅が。

そのEthanの転落の軌跡が非常に怖いです。彼が常用している麻薬は「Meth」つまりメタンフェタミンで、非常に強烈な依存性を持つものとして知られています。どんどんと服用量がふえ、いずれは死に至る。
ほんの短い間にEthanは転落し、自分が肉体的にも精神的にも壊れはじめていることを感じながら、もがく。ただしもがく方向がかなり間違っていますが。
Ethanのシーンや、彼が取引しているドラッグディーラーのシーンの心理描写が非常に詳細で、読みごたえがあります。ほんとにEthanの「壊れてる」感が怖い。
彼が転落したのは彼自身のせいですが、結局Robertは彼を愛したことはなかったし(Ethanがそれを求めていたわけではないとは言え)、Robertの中にはいつでもKeithがいた。つねに彼は言葉に出さずとも、すべての恋人とKeithを引きくらべていた。そのことがEthanの足元をあやまらせた一因なのはたしかで、不健全な絆は不健全な人間を生みやすいのかもしれない。

「スラッシュ」ではないけれども、そういう人間ドラマを中心にした心理サスペンスが好きな人におすすめ。
性描写はほぼなし。超自然的現象が入るので書店のカテゴリに「Paranormal」が入ってますが、別に超能力で何かがおこるとかではないです。

★サスペンス
★死別した恋人

★Three-Star rating system★


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・2017年
・後半 王子二巻
・12月 アドリアンXmas

・ほかにも出るかも
・王子とか何か売れてくれ〜(色々軽くピンチ)
・来年はもふもふやるよ!

*発行済*
・フェア・ゲーム
・フェア・プレイ
・ドント・ルック・バック
・恋のしっぽをつかまえて
・狼を狩る法則
・狼の遠き目覚め
・狼の見る夢は
・天使の影(アドリアン・イングリッシュ1)
・死者の囁き(アドリアン2)
・悪魔の聖餐(アドリアン3)
・海賊王の死(アドリアン4)
・瞑き流れ(アドリアン5)
・幽霊狩り(ヘルハイ1)
・不在の痕(ヘルハイ2)
・還流
・夜が明けるなら(ヘルハイ3)

*他訳者さん*
・わが愛しのホームズ
・ロング・ゲイン
・恋人までのA to Z
・マイ・ディア・マスター

 
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